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フルサイズミラーレス徹底比較 EOS R・Nikon Z 7・α7 IIIの違い【コントロール編】

ソニーα7 IIIを使い始めて約1年(間3か月のブランクあり)、ニコンZ 7・キヤノンEOS Rを使い始めて約半年。ある程度使い込んだので腰を据えてじっくり比較レビュー。全てを1ページに詰め込むと凄まじい量となるため、細分化して徐々に掲載していこうと思います。

第6回はカメラのフィジカルな操作性について。ボタンやコマンドダイヤル、そしてAFレバーなどの使いやすさを見ていきましょう。ボタンカスタマイズに触れると話が膨らみ過ぎるので、補足する必要がある場合のみカスタマイズを絡めます。

徹底比較 コントロール編

カメラ操作性の確認

機能 R Z 7 α7 III
コマンドダイヤル 2 2 2
露出補正 ボタン(要設定)
コマンドダイヤル
ボタン(初期設定)
コマンドダイヤル
専用ダイヤル
コマンドダイヤル
モード変更 ボタン 専用ダイヤル
ロック可能
専用ダイヤル
全ボタン数 18カ所 21カ所 17カ所
設定変更可能ボタン 12カ所 6カ所 11カ所
背面ホイール - - 1
AFレバー - 8方向
(AF-C中対応)
8方向
(AF-C中不可)
M-Fnバー スライド
タップ左右
- -
電源スイッチ 左肩 シャッター同軸 シャッター同軸
EVF/LCD切替 ボタン(要設定) 専用ボタン ボタン(要設定)
サブモニタ モード
カメラ設定
タイマー
バッテリー
カメラ設定 -

「それぞれに癖があり、操作性が違い過ぎるので比較するのがとても難しい」と言うのが正直なところ。

そんな訳で今回は「共通する機能」がどのような配置となり、どのような使い勝手となっているのかを見比べてみたいと思います。

ボタンレイアウト

R Z 7 α7 III
全ボタン数 18カ所 21カ所 17カ所
設定変更可能ボタン 12カ所 6カ所 11カ所

先鋭的なデザインのEOS R

Z 7やα7 IIIが一眼レフと似た操作性を意識したデザインですが、EOS Rは一眼レフとは異なる可能性を模索しているようなボタンレイアウトとなっています。

Z7はカスタマイズ可能なボタンが少ない

Nikon Z 7は数が最も多いにも関わらず、カスタマイズ対応ボタンがとても少ないです。「このボタンはかくあるべき」と言われているようで、ちょっと柔軟性に欠けるかなと感じます。

ただし、実際にカメラをグリップした状態で多用するボタンに関してはカスタマイズに対応。それでも方向4カ所やISO/露出補正がカスタマイズ不可となっているのはモッタイナイ。

また、EOS Rとα7 IIIが右手のみで操作できるのに対し、Z 7はモードダイヤルや削除ボタンの操作に左手を使わざるを得ないのが気になるポイント。

小型ながら柔軟性のあるデザイン

Z 7と比べてα7 IIIはカスタマイズ対応ボタンが多く、なおかつ割り当てることが出来る機能に制限が少なく、EOS Rよりも選択肢が豊富な点で優れています。ボタンカスタマイズの自由度はα7 IIIがダントツと言えるでしょう。

その一方で「露出補正固定の物理ダイヤル」だったり、「カスタマイズの選択肢が少ないコントロールホイール」だったり、頭が固いと感じる部分もあったりします。

電源スイッチ

シャッターボタン同軸のZ 7・α7 IIIに対し、EOS Rはキヤノンでお馴染みのカメラ左上。

どのカメラにしても従来通りの配置となっているのでメーカーを鞍替えしない限り問題は感じないはず。

敢えて言うと、Z7は一眼レフ時に存在した「モニタ点灯モード」の配置が無くなっています。

コマンドダイヤル

フロントダイヤル

どのカメラも従来式のダイヤル配置を採用。キヤノン一眼レフ・ニコン一眼レフ・ソニーαAを継承するかのようなデザイン。

それぞれ少し癖があり、Z7とα7 IIIは(一眼レフと比べて)グリップが小さいため、このポジションのダイヤル操作は少し窮屈感があります。手のサイズによって違いはあるかと思いますが、特に手が大きい人は気になるかも。

EOS Rはキヤノンらしい上部配置となっています。配置に無理が無いので一眼レフと同じ感覚で操作できます。ただし、この配置が他社と比べて独特となっているため、LUMIX GシリーズやEOS一眼レフの操作に慣れていないと違和感があるかも。

ちなみにどのカメラも絞り値やシャッタースピードを操作する時の回転方向は変更可能。

リアダイヤル

最も自然に操作できるのはα7 III。コマンドダイヤルのサイズと配置がバッチリ。EOS Rは比較してサイズがやや小さく、上部に配置されているので少し回し辛いです。

Z 7はカメラの角に配置されているので片手でグリップを維持したまま操作するのが難しい。

モードダイヤル

デジタル式のEOS R

従来までのモードダイヤルから一新。MODEボタン、もしくはMODE機能を登録したカスタムボタンを押すことでMODE変更モードに突入。この時にコマンドダイヤルやタッチパネルを操作することで各種露出モードへ移行することが出来ます。

片手で、しかも右手をグリップした状態でスムーズにモード変更できる反面、ボタン操作が多いのでダイヤル式よりワンテンポ遅れることも。特に静止画・動画モードの切り替えは「MODEボタン→INFOボタン→動画モード選択」と言ったように3つの操作が必要となってくるので注意が必要。

電子式なのでもう少しカスタムモードを用意してもらいたかった。(EOS Rは3つ)

従来通りのZ 7とα7 III

Z 7はニコン一眼レフの上位機種に多い「三つ葉ボタン」方式では無く、エントリーからミドルモデルに多い普通のモードダイヤル。ミラーレスなら三つ葉ボタン方式のほうが相性良さそうな気もしますが…。ダイヤル操作は従来通り「ロックボタンを押しながら操作」が必須。トグル式となっていないので誤操作が少ないものの、素早い操作には不向き。

α7 IIIも同じくダイヤル式で、上位機種と異なりロック機構は備えていません。モードダイヤルで動画モードへ移行する点がZ 7と異なります。Z 7のようにモードダイヤルで動画時の(P/A/S/M)を切り替えることが出来ないのでクイックメニューやメニュー画面からの操作が必須。カスタムモードは一見すると少なく見えますが、「カスタム2」に合わせると「M1?M4」のプリセットも使えるので最も自由度は高い。

その他ダイヤル

露出補正

α7 IIIのみ物理ダイヤルを搭載。

「0」ポジションの時のみコマンドダイヤルで露出補正を操作できる設定は可能となっています。ただしカメラ角に配置されているため、何かの拍子に誤操作しやすく「気が付いたら+1/3、-1/3」という状況が多いので悩ましい操作部材。ロック機構が欲しいところ。

正直に言えば蛇足のように感じるダイヤルです。

カスタムホイール

ボディに実装しているのはα7 IIIのみ。ただし、設定項目が少なくLUMIXのように露出補正やAFフレームサイズの変更には非対応。

ただし、EOS Rはレンズ側にコントロールリングを、Z 7も設定次第でネイティブZレンズに限りフォーカスリングをカスタマイズ可能となっています。

AFレバー

Z 7とα7 IIIはそれぞれ8方向対応のAFレバーを搭載。

形状が少し異なり、典型的なAFレバーの形しているZ7に対し、α7 IIIは他で見たことが無い陥没したような形のレバーとなっています。「レバーを倒して操作する」よりも「レバーを押し込んで操作する」イメージ。個人的にはちょっと使い辛いレバーです。

ちなみにAF-C動作中にレバーを操作できるのはZ7のみ。例えば1点やワイドなどで被写体を追従しながらフレーミングする場合に便利です。

EOS RのM-Fnバー

M-Fnバー

EOS Rはカメラ背面上部に静電式タッチ操作に対応した操作系を搭載。

EOS Rユーザー以外にこの使い勝手を説明し辛いのですが、敢えて言えば「左右方向ボタン」と「左右スライドレバー」として機能するカスタムコントロール部材。

登録可能は機能は「左タップ」「右タップ」「スライド」の3カ所に割当可能。ボタンカスタマイズとは割当可能な機能が全く異なっており、「AFフレーム」「ホワイトバランス」「拡大」「ISO」「動画撮影」「Fv」から選択可能。

ボタンカスタマイズで間に合う選択肢が多く、個人的には「ピクチャーコントロール」や「ドライブ」「オートライティングオプティマイザ」などを登録したかったところ。

さらにタッチ式操作のため触れると誤操作に繋がるうえ、グローブなどを装着していると操作することが出来ません。キヤノンにしては融通が利かない機能。

シャッターボタン

EOS Rのみシャッターボタンとコマンドダイヤルの配置が逆。この配置は好みが分れるものの、一眼レフと比べてグリップの小さいミラーレスで似たような操作性を維持しているのはEOS Rだと感じます。

Z 7やα7 IIIの方式だと少し窮屈感があります。

方向ボタン

EOS Rは4方向、α7 IIIは3方向についてボタンカスタマイズに対応。

残念ながらZ 7は全て非対応。Z 7はAFレバーがあるにも関わらず、方向ボタンをカスタマイズできないのは実に惜しい。

また、Z 7は同じ機能でも呼出方法によってコマンドダイヤルでのみ操作できたり、方向ボタンでしか操作できなかったりします。例えば「ピクチャーコントロール」をアイ(i)メニューから呼び出す時は方向ボタンのみ、ファンクションボタンから呼び出す場合にはコマンドダイヤル操作のみ。「この機能はこうやって操作するべし」と言っているかのようで頭の固さを感じます。

AF-ONボタン

どのカメラもグリップしたまま押しやすい、いわゆる「一等地」に配置されています。ボタンカスタマイズに対応しているため、「AF-ON」機能を使わないにしても多用する機能を配置して活用したいところ。

しかし、Z 7のみこのボタンへの割当機能が制限されています。AFとAE関連の他は拡大機能のみ。EOS Rやα7 IIIのようにFnボタンとしてカスタマイズすることは出来ません。

RECボタン

EOS RとZ 7はボタンカスタマイズに対応、α7 IIIはRECボタンとして機能が固定されています。(Z 7は「静止画/動画」切替レバーで動画設定時はRECボタンとして機能固定)

一方で「録画開始機能」はEOS Rとα7 IIIがカスタマイズで別ボタンに割当可能。ただし、EOS Rの「録画停止機能」はRECボタン固定となっているので注意。α7 IIIは割り当てたMOVIEボタンで録画開始から録画停止まで対応しています。

拡大・縮小

EOS Rとα7 IIIがボタンカスタマイズに対応するカメラ右上配置に対してZ 7はカメラ右下配置で機能固定。

拡大機能を全く使わない人にとって無駄なボタンでしか無いので、Z 7もボタンカスタマイズに対応すべきだったと思います。

再生・ゴミ箱ボタン

EOS Rとα7 IIIが右手で操作できる配置に対してZ 7はカメラ左上。左手による操作が必須となってくるので小まめに撮影結果を確認することが出来ません。ただし、ボタンカスタマイズで「再生」機能は右手側に配置可能。

α7 IIIはボタンカスタマイズが「静止画・動画・再生」と3系統に分かれているのでそれぞれ最適な機能を割り当てることが可能です。

メニューボタン

EOS Rとα7 IIIはカメラ左上に専用ボタンを配置していますが、どちらもボタンカスタマイズでカメラ右側に配置することが可能。(α7 IIIは最新のファームウェアアップデート必須)

Nikon Z 7のメニューボタンはカメラ右下。ボタンカスタマイズの「メニュー」は対応していないものの、「マイメニュー」へショートカットする機能があったりします(結構便利)。

ディスプレイボタン

EOS Rとα7 IIIはそれぞれのメーカーらしい配置となっています。(EOS RはEOS Mシリーズと同じで、α7 IIIはソニー製カメラ全般で共通)

理解に苦しむZ 7のDISPボタン

Z7はD850やD750のようなボタン配置では無く、どちらかと言えばD3500やD5600などDXエントリーモデルに近いレイアウト。「ああ…そこに付けちゃったんだ…」という感じ。カメラをグリップした状態で比較的押しやすい配置となっているにも関わらず、カスタマイズ非対応でDISP機能のみ。

初値40万円前後のカメラなのにこのレイアウトは頂けない。せめてカスタマイズ対応で、DISP機能はドライブボタン付近に配置するべきだったと思うのです。

モニター編でも述べた様に一眼レフユーザーを想定したボタン配置なのかもしれません。

もともと「静止画・動画切替レバー」の中央にあった「ライブビューボタン」がミラーレスでは必要なくなったので、その代わりにDISPボタンを配置したと考えると合点がいくのです。

ファインダー編で紹介した「ファインダー優先モード」中は背面モニターのINFO画面「点灯/消灯」機能として使うので確かに押しやすい場所にあると良いのかも。

サブモニタ

α7 IIIは非搭載でEOS RとZ 7がそれぞれカメラ右肩に配置。

Z 7のサブモニタは一眼レフとほぼ同じ機能性を備えています。それ以上でもそれ以下でもありません。

これぞミラーレスのサブモニタ EOS R

一方のEOS Rは前述した通り、モード呼出時に専用画面を表示したり、表示形式を変更できたり、Fvモード時に対応するカメラ設定値を表示できたり、タイマーや充電時の専用表示などバリエーションに富んでいます。

ファインダーでも情報を確認できるミラーレスでサブモニタを搭載するならこのような使い勝手でこそ意義があるように感じます。フルサイズミラーレス初号機ながらよく考えられていますね。

敢えて言えばZ7の要改善点が多い

EOS Rは攻めすぎ、Z 7は頭固すぎ、α7 IIIは守りすぎ。

どのカメラも良いところと悪いところがあるので、正直に言うと甲乙つけがたい。

  • AFレバー無いのは論外ですが、他は全体的に使いやすいEOS R。
  • 頭の固さを感じるものの、一眼レフ乗り換えなら使いやすそうなZ7。
  • 露出補正やホイールの扱いが雑なものの、割とバランスの良いα7 III。

敢えて言えばZ 7はボタン配置とカスタマイズ機能についてもう少しデザインを煮詰めて欲しかった。初値40万のカメラで部分的にやっつけ感のあるボタンレイアウトや機能性はとても残念。

あえて言えば最後発のLUMIX Sシリーズが一番使いやすそうな印象。あるべき所にあるべきボタンが配置されている感じ。(再生ボタンを除く)

今回使用した機材

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