ソニー「E PZ 10-20mm F4 G」のレビュー第一弾を公開。今回はレンズの外観や操作性、カメラに装着してオートフォーカスの使いやすさなどを確認しています。
E PZ 10-20mm F4 Gのレビュー一覧
- ソニー E PZ 10-20mm F4 G 徹底レビュー 完全版
- ソニー E PZ 10-20mm F4 G 徹底レビューVol.6 周辺減光・逆光編
- ソニー E PZ 10-20mm F4 G 徹底レビューVol.5 ボケ編
- ソニー E PZ 10-20mm F4 G 徹底レビューVol.4 諸収差編
- ソニー E PZ 10-20mm F4 G 徹底レビューVol.3 解像チャート編
- ソニー E PZ 10-20mm F4 G 徹底レビューVol.2 遠景解像編
- ソニー E PZ 10-20mm F4 G 徹底レビューVol.1 外観・AF編
外観・操作性
箱・付属品
従来通りソニーらしいインターナショナルオレンジを基調としたカラーリングの箱だ。レンズが小さいので、外箱も非常に小さくなっている。最近のソニー製カメラは環境を考慮した紙製梱包材が多いものの、レンズは従来通りの梱包方法を採用している。
付属品はレンズフードと説明書・保証書のみ。レンズポーチやケースなどは付属していない。
外観
全体的にプラスチックパーツを多用しているが、しっかりとした作りで安っぽさは感じられない。頑丈で、防塵防滴仕様のGシリーズらしいレンズだ。小型軽量ながら豊富なコントロールを搭載しているのは注目に値する。ちなみに製造国は中国だ。
ハンズオン
サイズはφ69.8×55.0mm、重量は178gと小型軽量なレンズだ。これでズーム全域の開放絞りがF4であり、インナーズームを実現しているのだから驚きだ。前述したとおり外装にはプラスチックを多用しているが安っぽさは感じられない。軽量化のためと考えれば多少のプラスチック感は許容範囲内だ。
前玉・後玉
前玉周辺にはレンズ名やピント距離、フィルター径などが白字でプリントされている。このように反射しやすい色のプリントが前面にある場合、フィルター装着時に逆光シーンで反射して写りこまないか気になるところだ。レンズは防塵防滴だが、前玉にフッ素コーティングが施されている記載は見当たらない。もしも水滴や汚れの付着が想定されるのであれば、保護フィルターを装着しておいたほうがメンテナンスしやすい。対応するフィルター径は62mmだ。対応しているEマウントレンズはそこまで多くないので、買いそろえるのは難しい。保護フィルター以外はステップアップリングなどで対応するのも一つの手。
レンズマウントは金属製で、4本のビスで固定されている。後玉は思っていたよりも小さく、内部反射の対策なのか大きなフレアカッターを搭載している。
フォーカスリング
レンズ先端には小さなフォーカスリングを搭載。手前のズームリングと隣接しているので、誤操作しやすく積極的に使いたいとは思わない。フォーカスリング操作時はズームリングがロックされると良かった。フォーカスリングはリニアレスポンスで、180度未満でピント全域を操作することが可能だ。
ズームリング・ズームスイッチ
フォーカスリングの手前には少し大きなズームリングを搭載している。一般的なズームレンズのようにメカニカルな構造ではなく、フォーカスリングと同じくバイワイヤでズームレンズを電子制御している。いわゆるパワーズームレンズだ。このため、ズームリングに焦点距離の表示がないものの、ライブビュー上に現時点での焦点距離が表示される。また、ズームリングにはハードストップは無い。電子制御ながらレスポンスはリニアで、90度未満でフルズームが可能だ。ゆっくり回転させるとメカニカルなズームリングのように操作することが出来る。ただし、素早く回転させると動作がワンテンポ遅れる。
ズーム速度を一定に保ちながらズーム操作したい場合はズームスイッチがおススメだ。ゆっくりズームしたい場合、スイッチを少し操作してフルズームに約10秒かかる程度の速度で操作可能だ。素早く移動する場合は2秒かからない程度だ。
スイッチなど
フォーカスリング・ズームリング/スイッチの他に、ソニーではお馴染みのAFLボタンやAF/MFスイッチを搭載している。AFLボタンは従来通りの感触だが、AF/MFスイッチはシグマ「Iシリーズ」のような垂直式を採用している。個人的に前後にスイッチをスライドするよりもわかりやすい。
装着例
手持ちのカメラにAPS-C Eマウントは存在しないが、6100万画素のα7R IVを使用することでAPS-Cクロップでも2600万画素での利用が可能だ。このレンズは光学手振れ補正を搭載していないので、ボディ内手振れ補正が一般的なα7シリーズで使用するメリットがある。小型軽量で、F2.5 G単焦点レンズのような感覚で携帯することができる。
AF・MF
フォーカススピード
このレンズのフォーカスレンズはリニアモーターで駆動する。フルサイズ用レンズで一般的なXDリニアモーターとは別物なのか不明。仮に別物だったとしても、実写では非常に良好なフォーカス速度を実現しており、特に不満は感じない。至近距離でのC-AF応答速度も非常に良好だ。
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指す。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となる。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。
今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離と無限遠で撮影した結果が以下の通り。
10mmや15mmではフォーカスブリージングがほぼ皆無だ。素早いフォーカス操作でも目立つことはないだろう。比較して20mmは画角変化が少し大きくなるが、それでも最小限に抑えられている。一昔前の広角ズームレンズと比べると遥かに良好な結果だ。
精度
α7R IVとの組み合わせで、フォーカス精度に大きな問題は見られない。被写界深度が深いので誤検出しやすいと予想していたものの、心配は杞憂に終わった。
MF
前述したとおり、リニアレスポンスで程よいストロークの操作が可能だ。ただし、ズームリングを誤操作しやすく、積極的に使いたいとは思わない。
まとめ
F4 インナーズームで驚くほどの小型軽量化を実現した広角レンズだ。光学性能を抜きにして、それだけでも大いに評価できるレンズである。さらに、このレンズは防塵防滴仕様やパワーズームに対応し、静止画のみならず動画撮影にも適したレンズに仕上がっている。APS-C Eマウントのハイブリッドユーザーであれば魅力的な選択肢になると思う。
今回のレビューで注意しておきたいのは、レンズに光学手振れ補正が搭載されていないこと。動画撮影ではアクティブ手振れ補正を活用するか、ボディ内手振れ補正を搭載したカメラを利用する必要がある。ボディ内手振れ補正に対応していない場合、静止画でスローシャッターの場合は三脚が必須になると思われる。また、フォーカスリングとズームリングの距離が近すぎて誤操作が多いのは悩ましいところ。
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