キヤノン「EOS R8」のレビュー第五弾を公開。今回はカメラのオートフォーカスシステムや低照度、追従、検出性能などをチェックしています。
EOS R8のレビュー一覧
- キヤノン EOS R8 徹底レビュー Vol.8 JPEG 編
- キヤノン EOS R8 徹底レビュー Vol.7 メニュー・カスタマイズ 編
- キヤノン EOS R8 徹底レビュー Vol.6 解像性能 編
- キヤノン EOS R8 徹底レビュー Vol.5 AF編
- キヤノン EOS R8 徹底レビュー Vol.4 ドライブ・連写編
- キヤノン EOS R8 徹底レビュー Vol.3 ダイナミックレンジ編
- キヤノン EOS R8 徹底レビュー Vol.2 ISO感度編
- キヤノン EOS R8 徹底レビュー Vol.1 外観・操作編
- キヤノン EOS R8 Hands-on 外観と起動時間やシャッター音の確認
オートフォーカス
仕様の確認
- フォーカス方式:デュアルピクセルCMOS AF
- フォーカス動作:ワンショットAF、AIフォーカスAF、サ-ボAF
- 自動選択時AFエリア分割数:
- AFフレーム選択可能ポジション:
・測距エリア:横:約100%、縦:約100%
・[静止画]最大1053分割(39×27)
・[動画]最大1053分割(39×27) - 測距輝度範囲(静止画撮影時):EV−6.5〜21 F1.2レンズ
- AFエリア:
スポット1点AF、1点AF、領域拡大AF(上下左右)、領域拡大AF(周囲)、全域AF、フレキシブルゾーンAF(AF1、AF2、AF3)
キヤノン独自となるデュアルピクセル方式の位相差検出AFに対応。システム的にはEOS R5やR6よりも新しく、EOS R3以降の最新モデルとよく似ています。EOS R3よりも前の機種と比べた際の主な仕様の違いは以下の通り。
- ゾーンAFがフレキシブルゾーン3枠となりカスタマイズ可能
(以前はゾーン・ラージゾーン2種) - どのAFエリアでも被写体検出や全域トラッキングが可能
(以前は全域AFのみ)
AFエリア
ピンポイントや1点AFと領域拡大は従来通りですが、ゾーン系のエリアモード3枠が全てフレキシブルゾーンとなりカスタマイズが可能。ひし形など特殊な形状にはできませんが、対象に合わせて縦と横の幅を変更することが出来ます。
AFメニュー
エントリー向けのフルサイズミラーレスながら、AF用のメニューが6ページと多い。機能的には上位機種と比べても遜色ない贅沢な仕様となっています。過去のEOSは明らかに区別化されたものですが…。
基本的なAF設定を自身で変更できるほか、サーボAFの「乗り移り」「追従特性」「速度変化の追従」も細かく調整が可能。撮影環境に合わせた設定に変更可能ですが、最適な設定とするには試行錯誤が必要となります。よく分からない場合は初期設定で問題ないと思います。
レスポンス
キットレンズのRF24-50mm F4.5-6.3 IS STMを装着。
従来通り応答性のよりAFを利用できます。サーボAF時のトラッキングエリア情報の表示は更新速度が高速で視認しやすい。
人物
人物は顔や瞳を検出するほか、被写体検出を利用することで頭部や全身も検出が可能。ただし、パナソニックのように身体の一部で検出することはできません。瞳・顔検出と被写体検出の切り替わりは非常にスムーズで、自然に補完しているように見えます。顔や瞳検出のほうが優先順序が高く、検出時は積極的に瞳へピントを合わせる傾向。検出できなかった場合は顔、頭部、全身の検出へ推移します。
帽子着用時でも良好な検出精度を維持。少し前の機種(R5など)は帽子のツバに引っ張られる傾向があったので、これは大きな改善点。競合他社の最新モデルでも苦手とする場合が多いので、これはEOS R8の強み。
動物
瞳→頭部→全身の優先順序で被写体検出が動作します。「全域トラッキング」がオンの場合は検出AF後は自動的にフレーム全域を利用して追従継続。全域トラッキングがオフの場合は指定されたAFエリアと周辺部でのみ被写体検出が動作。今回は猫の置物を使用しましたが、良好に動作していることが分かります。
キヤノンの被写体検出は高頻度で検出してくれる反面、余計な被写体を検出することがあります。そのような場合は全域トラッキングをオフにして1点AFエリアなどで範囲を狭める必要あり。
鳥の置物でも問題なく動作。瞳が確認できる場合は正確に追従しています。EOS R5などは瞳を誤検出する場合がありましたが、EOS R8はR5よりも良好な精度を維持しています。
実写でも検出頻度が高く、追従開始のポイントを簡単に設定することができました。検出の頻度はニコンやソニーよりも良好。
低照度AF
0.4s・F4・ISO 25600で適正露出となるような低照度でAFを動作。ワンショットAFでなんとか合焦可能。サーボAFもなんとか動作しますが、追従性は期待しないほうが良いでしょう。この環境でのAF動作はニコンやソニーよりも優れています。ただし、被写体検出を動作した場合は不安定となる可能性あり。
横切り追従
サーボAFをカスタマイズしても前景の遮蔽物にAFが引っ張られる可能性あり。引っ張られたとしても被写体を再度検出することですぐに復帰することが出来ます。AFエリアを限定しても狙った効果は得られませんでした。
追記:
EOSR6markIIも『検出する被写体』入れてるとそんな感じだったような? サーボAF特性で、Case2:障害物が入るときや、被写体がAFフレームから外れやすいとき を粘り優先して『検出する被写体』はなしにしてるな。
Via Twitter アリモプレオ
横切り追従時の粘りを改善する方法を教えてもらったので、試した結果が以下の通り。全域トラッキングのみで被写体を追従する場合、被写体検出ありの場合よりも粘りづよくなりました。とは言え、完璧ではなく、初動の追従位置によって結果にムラがあるように感じました。また、被写体検出を利用できないので、ピントが外れた際のアシストが皆無となるのが悩ましいところ。
まとめ
手ごろな価格のフルサイズミラーレスとしては高性能なAFシステムを搭載しています。EOS R3譲りの最新システムであり、カスタマイズ可能なフレキシブルゾーンやどのエリアモードでもトラッキング、被写体検出に対応したのは大きい。特に目玉となるのは、この価格帯ではまだまだ導入例が少ない被写体検出AFと言えるでしょう。
キヤノンの被写体検出は他社と比べて検出できる対象が広く、公式で言及している被写体以外でも利用できる可能性が高い。全域トラッキングと異なり、初動で狙いを定める必要がないため、素早く撮影することができます。また、人物も頭部や全身を検出する頻度が高く、個人的には撮影する手間や時間が惜しい家族写真などで重宝しています。従来機と異なり、帽子などを着用している際も瞳にピントを合わせやすくなっているのも強みの一つ。また、低照度におけるAFの動作も他社より安定しており、極端なシーンでも多少は対応することが可能です。
全体的に高性能なAFですが、少し気になったのが遮蔽物が横切った際の追従性能。被写体検出がオンの場合は前景に引っ張られる傾向があり、どのような設定でも大幅に改善することがありません。これはニコンやソニーの最新機種と比べると少し見劣りするポイント。被写体検出をオフにすることで改善しますが、EOS R8の強みとトレードオフになってしまうのが悩ましいところ。このあたりが改善すると、向かうところ敵なしなのかなと。
物理的な問題点は、AFジョイスティックを搭載していないこと。1点AFやゾーンAFを利用する場合にフォーカスエリアを移動するには方向ボタンかタッチパネルを使用する必要あり。実に惜しいポイント。
参考情報
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