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M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO レビューVol.4 諸収差編

オリンパスの交換レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」のレビュー第四弾を公開。未補正のRAWで大きな樽型歪曲ですが、その他はまずまず良好な補正状態(14mmの軸上色収差以外)のように見えます。

M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROのレビュー一覧

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

7mm

完璧ではないものの、ほとんど目立ちません。絞り全域で収差の量はほぼ一定。

10mm

7mmよりも良好な補正状態。絞ると僅かに改善します。

14mm

他の焦点距離と同じく良好な補正状態です。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

7mm

ピント面の前後にわずかな色収差の痕跡が見られるものの、コントラストが強い環境でもほぼ問題なし。この残存収差が目立つシーンはほとんどありません。

10mm

F2.8の絞り開放から全く問題ありません。極端なコントラストでも色収差が目立つ兆候無し。

14mm

極端なコントラストでは軸上色収差の影響が見られます。軽微な問題ですが、イルミネーションなどのシーンでは目に付くかもしれません。2段絞るとほぼ改善します。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

7mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

強めの樽型歪曲が残存しています。ここ最近のミラーレス用レンズとしては一般的な手法ですが、発売当初はまだこのようなレンズが少なく、驚いた人が多いかもしれません。歪曲収差はカメラや現像ソフトにより修正可能。綺麗に補正できますが、未補正RAWの画角よりも少し狭くなります。

8mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

7mmよりも穏やかな樽型歪曲。とは言え、まだ目立つ樽型歪曲のため、カメラや現像ソフトでの補正は必須。

9mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

8mmとほぼ同じ。

10mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

8mmや9mmよりも改善していますが、直線的な被写体をフレーム端に配置すると歪みが目立つ可能性あり。

12mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

未補正でもほぼ問題ありませんが、わずかな樽型歪曲が残っています。

14mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

未補正の状態でもほぼ直線。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

広角端では良好な補正状態ですが、10mmや14mmは点光源のわずかな変形が見られます。収差を完全に抑え込むためには少し絞る必要があります。

球面収差

前後のボケ質に大きな変化はありません。軸上色収差のテストから、絞りによるフォーカスシフトの兆候もありません。

まとめ

良好な光学性能のレンズですが、諸収差に関してはいくつか注意点があるようです。最も気を付けたいのは未補正のRAWで大きな樽型歪曲となること。カメラ出力のJPEGやレンズプロファイルに対応する現像ソフトであれば問題ありません。しかしレンズプロファイルを利用できない環境の場合、大きな樽型歪曲を手動で補正する必要があります。
さらに、歪曲収差の補正は隅のトリミングと引き延ばしが同時に発生するため、画質低下の原因となる可能性は否めません。14mmにおける軸上色収差も注意したいポイント。他の焦点距離よりも軸上色収差の影響が強く、状況によっては高コントラストな領域で色づきが発生する可能性があります。実写で目立つシーンは多く無いと思いますが、気を付けたほうが良いかもしれません。

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