Dustin Abbottがキヤノン「EOS R6」のレビューを公開。EOS R5とEOS-1D X Mark IIIのテクノロジーを数多く継承しつつ、遥かに手頃な価格のカメラと言及。世界で最も優れたAFシステムと評価しています。
少し高価だが競争力のあるカメラ
Dustin Abbott:Canon EOS R6 Review
- カメラの紹介:
・EOS R5との差別化は大部分が自然で正当化されているように感じる。ただし、動画機能の制限のみ恣意的だと感じている。
・追従性能は特に連写速度の点で競合カメラより圧倒的に優れている。- ビルド・外観:
・物理的にEOS R5と若干の違いがあるものの、非常に良く似たカメラだ。・外装はポリカーボネートを使用しており、防塵防滴はEOS 6D相当である。
・R5は前面にレリーズケーブルポートを配置しているが、R6は左側面の2.5mmジャックを使用する。このため、R5で同じ位置にあるシンクロソケットは存在しない。
・他にもマイク入力・ヘッドホン出力・Micro HDMI・USB3.1 Gen2に対応している。
・USB-C経由でボディ内充電に対応しているが、USB-PD専用であり、充電できる電源は限られている。
・レンズ交換の際にシャッター幕を閉じる機能は健在だ。EOS Rのセンサーを掃除する機会は滅多にない。それに対してソニーのセンサーは数日ごとにブロアでゴミを吹き飛ばす必要がある。
・EOS RのシングルSDカードスロットはSD UHS-II対応のデュアルカードスロットに置き換わった。- R5のようなCFexpressカードスロットは無いが、センサーが低解像なのでCFexpressは不要である。それにCFexpressと比べて様々なカードリダーを使用できるのは長所と言えるだろう。
- 携帯性:
・カメラの重量は680gだ。競合する大部分のカメラよりも少し重い。しかし、エクステンダーの必要が無い機能的なグリップとトレードオフとなっている。
・138×97.5×88.4mmのボディサイズは基本的にEOS R5と同じだ。- グリップ:
・ここ良いグリップだ。キヤノンの優れたポイントであり、ソニーはまだ追いついていない。- 操作性:
・モードダイヤルの有無は賛否が分かれると思う。R6に搭載しているモードダイヤルは素早くモードを切り替えるためには最も合理的な手段だ。R5は複数の手順が必要である。
・EOS R5のRECボタンは押しやすかったが、R6のRECボタンは少し埋没している。冬場に手袋を装着したまま押し辛い。
・オリジナルのEOS Rha間違いなくエルゴノミクスに関して最高のミラーレスだったが、「タッチバー」だけは余分な存在だった。個人的には決してこの機能のファンではない。
・EOS R6はタッチバーを回避し、AFジョイスティックを搭載した。
・背面ホイールダイヤルが追加され、レンズを含めて4つのコマンドダイヤルを操作可能だ。ワークフローに合わせて機能をカスタマイズ可能である。- 手ぶれ補正:
・導入は遅れたが、本当に信じられない程の補正効果を得られる。
・ソニーの手ぶれ補正と比べて効果的である。
・低解像のため実写ではR5よりも少し良好な結果を得られる。
・ただし、1秒を超える撮影では安定した結果を得ることは出来ない。- ファインダー:
・ファインダーは同じ倍率だが、解像度は369万ドットと比較的低い。
・それでも非常に優れたファインダーに違いは無く、さらに120fpsの高リフレッシュレートを使用可能だ。- モニター:
・競合他社と比べて強みの一つがバリアングルモニタだ。
・他社もバリアングルモニタを導入しつつあるが、キヤノンのモニタは高解像で応答性が高い。
・R5と比べると少し低解像だが、それでも素晴らしい見栄えだ。ニコンやソニー、富士フイルムよりもタッチ操作のレスポンスが非常に良好だ。- メニューシステム:
・記載なし。- オートフォーカス:
・EOS Rから飛躍的な進化を遂げている。AFシステムはEOS R5と共有だが、低解像のR6はより動体撮影に適したカメラと言えるだろう。
・EOS-1D Mark IIIが搭載しているEOS iTR AF Xを導入しており、人間と動物どちらの瞳も検出可能だ。
・もはやほとんどスキルを必要としないほど楽に動体を撮影することが出来る。
・低照度AFは-6.5EVまで対応しているうえ、上限も20EVまで向上している。理論上、26段の驚異的な測距輝度範囲でピント合わせが可能だ。
・さらにF22までのレンズでAFが可能となっている。
・走り回る犬を追いかけるのも簡単だ。
・20コマ秒を使用してもフレームレートが低下することは無い。
・メカシャッターと電子シャッターはどちらも同程度の精度だ。500枚以上のショット全てが完璧と言うわけではないが、ミスショットは稀だ。
・瞳AFは瞬時に被写体をロックする。
・結論としては世界で最も優れたフォーカスシステムの一つだ。- 連写性能:
・EOS Rの連写性能は非常に遅かったが、EOS R6ではメカシャッターで12コマ秒、電子シャッターで20コマ秒の連写に対応している。
・バッファは最大で240枚のRAWを撮影可能だ。C-RAWであれば500枚となる。
・バッファが問題となることは滅多にない。20コマ秒の連写を使用しても200枚近いRAWを撮影可能だ。- 高感度ISOノイズ:
・常用ISO感度の上限は102400だ。競合する大部分のカメラよりも高いISO感度である。
・ベースISO感度からISO6400までの画質にはほとんど違いが見られない。
・ISO25600まで上昇すると、ノイズが粗くなり目立つようになる。
・ISO51200ではもう少しノイズが増加する。シャドウが浮き、コントラストが低下する。
・ISO51200はR5をダウンサンプリングするよりR6のほうが良好だ。
・全体的に見て、R5より1段分良好だ。
・ISO102400は画質が大幅に低下するので避けたほうが良いだろう。- ダイナミックレンジ:
・ダイナミックレンジは必ずしもキヤノン最高性能とは言えないが、強力なパフォーマンスに違いない。
・4段分のシャドウ回復はほとんどペナルティ無しで回復できる。
・ハイライトの回復は2?3段ほどだ。R5との違いは微妙である。
・白飛びを防ぐ場合には高輝度諧調優先モードが有効だ。- 解像度:
・従来のM-RAW・S-RAWが無くなり、C-RAWに統一されている。
・ディテールは豊富で、大部分の撮影ならば2000万画素あれば十分と言えるだろう。ただし、トリミング前提の撮影には不向きである。
・解像度はEOS RやRPのほうが良好だが、その他性能はR6の2000万画素センサーのほうが優れている。
・広角レンズを使用すると露出不足になる傾向が悪化している。- 動画:
・EOS R5と比べるとオーバーヒートの問題は少ない。とは言え、熱は蓄積し、静止画・動画両方の連続使用で、録画可能な時間が短くなる可能性がある。
・露出モードがプログラムオートとマニュアルモードしかない。
・露出モードの制限は酷いが、多くの点で優れた動画機能に違いない。AFシステムはR5遜色なく、EOS Rのように大きなクロップは発生しない。
・オーバーサンプリングされた4K動画はディテール豊富だ。
・ALL-Iモードはない。- 作例集
総評
EOS R5やEOS-1D X Mark IIIのテクノロジーを継承しつつ、遥かに低価格で魅力的なカメラだ。いくつか差別化されているものの、幸いにも頭を抱える問題は回避されている。大部分は合理的な差別化であり、同じような価格の競合カメラと比べて競争力がある。
完全に新型センサーではないが、非常に優れた2010万画素センサーだ。優れたISO感度性能やダイナミックレンジを備え、心地よい色を維持している。
ボディ内手ぶれ補正は良好に機能し、エルゴノミクスも優れている。最も強みとなるのはオートフォーカスと深いバッファだろう。α9や1Dのような世界でも通用するスポーツカメラだ。
最大の問題はα7 IIIやZ6、そしてEOS Rよりも高価なことだ。年末商戦での割引セールなどでさらに価格差は広がると思う。キヤノンはコストパフォーマンスでは無く、カメラの強みで戦うことになるだろう。そしてEOS R6には確かに多くの強みがあり、検討する価値があると思う。
長所:優れたエルゴノミクス・ボディ内手ぶれ補正・素晴らしいAF・一瞬で回復するバッファ・ハイクオリティなファインダー・高解像で応答性の高いバリアングルモニタ・驚異的な低照度性能・4K 60p・優れたISO性能とダイナミックレンジ
短所:2000万画素・オーバーヒートの問題・ボディ内充電の電源は限定的・RFレンズは高価なモデルが多い・多くの競合モデルよりも高価
とのこと。
α7 IIIやZ 6IIの価格帯と比べて少し高価ですが、それだけの価値があるカメラに仕上がっているようですね。特に20コマ秒の連写性能や深いバッファ、そして優れたAFシステムの組み合わせは同価格帯の中で際立った存在に見えます。
2000万画素の解像性能は賛否が分かれるところだと思いますが、手ぶれやレンズの光学性能の敷居が下がるため、扱いやすいセンサーと言えるかもしれません。ファイルサイズも小さいのでストレージや後処理での負担も少ない。
ボディサイズはやや大きめながら、良好なグリップやボタンレイアウト、そしてボディ内手ぶれ補正を考慮すると妥当なサイズ感と言えるかもしれません。
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