オリンパスの交換レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」のレビュー第五弾を公開。14mmでフレアが目立つ平凡な逆光耐性や、広角ズームとしては良好な周辺減光、やや騒がしめのボケについてレビューしています。
M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROのレビュー一覧
- M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO レビュー完全版
- M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO レビューVol.5 ボケ・周辺減光・逆光編
- M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO レビューVol.4 諸収差編
- M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO レビューVol.3 解像チャート編
- M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO レビューVol.2 遠景解像編
- M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO レビューVol.1 外観・操作・AF編
Index
玉ボケ
口径食・球面収差の影響
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。
口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。
球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。
7mm
玉ボケには非球面レンズのムラが目立つうえ、隅に向かって口径食の影響があり、さらに倍率色収差による色づきも目立ちます。お世辞にも褒められた描写ではありません。
14mm
7mm F2.8よりも大きなボケが得られるものの、非球面レンズの粗や色収差の影響が目立ちます。
ボケ実写
7mm
接写時は滑らかな後ボケが得られているように見えますが、コントラストの高い玉ボケは荒れやすい印象。全体的にボケが小さいので悪目立ちしませんが、積極的に使いたいと感じる描写ではありません。悪目立ちする場合、F4まで絞ると落ち着きます。少し距離を長くしても、接写時と同じ傾向が続きます。背景が悪目立ちする場合はF4まで絞ってみると良いかもしれません。
14mm
接写時はボケが大きいぶん、悪目立ちする要素が和らいでいるように見えます。綺麗なボケとは言えませんが、使用をためらうほどの描写でもなし。
ポートレート
全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。
7mm
全身やひざ上くらいの撮影距離では、満足な後ボケを得ることができません。上半身やバストアップで背景がボケ始める程度。顔のクローズアップで十分なボケを得ることができます。
14mm
7mmよりもぼかしやすいですが、基本的には7mm F2.8と同じような使い勝手。顔のクローズアップ以外で十分なボケ量は得られません。
周辺減光
周辺減光とは?
フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ち。
中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となります。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生。
ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景や星空の撮影などで高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。
7mm 最短撮影距離
「周辺減光」はほとんどありませんが、歪曲補正を修正しない場合は四隅がわずかにケラレています。これは絞ってもほぼ改善せず、F8まで絞っても僅かに残存しています。
7mm 無限遠
最短撮影距離よりも「周辺減光」の影響が少し強いものの、ケラレの影響は穏やかになっています。小型軽量な単焦点レンズ(例えばLAOWA)よりも周辺減光の影響が良く抑えられています。
14mm 最短撮影距離
F2.8で穏やかな周辺減光の影響があり、F4まで絞ると解消します。F4以降は問題なし。
14mm 無限遠
最短撮影距離よりもF2.8での影響が目立つものの、F4で解消します。
逆光耐性・光条
7mm
複雑な光学設計のレンズであり、強い光を正面から受けるとレンズ内の反射でゴーストが多数発生するようです。一般的な撮影でここまで悪化する例は珍しいと思いますが、イルミネーションなどのシーンでは同様の結果となる可能性あり。また、ドーム状の前玉により、側面から受ける強い光でもゴーストが発生しやすい模様。ただし、フレアは良く抑えられており、コントラストを維持しています。
14mm
7mmと比べてフレアの影響が強くなっています。フレームの広い派に
光条
F16前後でシャープな光条を得ることができます。ただし、マイクロフォーサーズシステムでF16まで絞ると回折の影響が強く、解像度は大幅に低下するので注意が必要。バランスを取るのであればF8~F11を使ったほうが良いでしょう。
まとめ
逆光時のフレア耐性は完璧と言えないものの、ドーム状の前玉を持つ超広角ズームで完璧な逆光耐性のレンズを見つけるのは難しい。このレンズは広角ズームの中で特に酷いというわけではなく、良いというわけでもありません。7mmではフレアが良く抑えられていますが、14mmでは少し目立つ場合あり。ゴーストは全体的に発生しやすく、(発生するシーンでは)これを回避するのは難しいです。周辺減光は良く抑えられています。歪曲収差の補正時に四隅をクロップするため、という理由もありますが、小型軽量な大口径の超広角レンズよりも基本的に良好。周辺減光の補正を抑えることができるので、高ISO感度時に周辺部のノイズが出にくいのもメリットの一つ。
お世辞にもボケが綺麗なレンズとは言えませんが、ボケが目立つほど接写して撮影する機会はそう多く無いと思います。許容範囲内。
購入早見表
作例
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