オリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6」のレビュー第一弾を公開。今回はレンズの外観や操作性、AF・MFについてチェックしています。
M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6 レビュー一覧
- M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6 交換レンズレビュー 遠景解像編
- M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6 交換レンズレビュー 外観・操作・AF編
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レンズのおさらい
2010年に登場した最初期のオリンパス製マイクロフォーサーズ用レンズ。小型軽量化を意識した沈胴構造やプラスチック製外装を採用し、35mm判換算で18mmの広角域をカバーしつつ小型軽量化を実現。マイクロフォーサーズらしい機動力を発揮できるレンズに仕上がっている。
概要 | |||
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レンズの仕様 | |||
マウント | MFT | 最短撮影距離 | 0.25m |
フォーマット | 4/3 | 最大撮影倍率 | 0.1倍 |
焦点距離 | 9-18mm | フィルター径 | 52mm |
レンズ構成 | 8群12枚 | 手ぶれ補正 | - |
開放絞り | F4-5.6 | テレコン | - |
最小絞り | F22 | コーティング | |
絞り羽根 | 7 | ||
サイズ・重量など | |||
サイズ | φ56.5×49.5mm | 防塵防滴 | - |
重量 | 155g | AF | STM |
その他 | 沈胴構造 | ||
付属品 | |||
レンズキャップ |
小型軽量なレンズだが、8群12枚のレンズ構成中には2枚の大偏肉両面非球面レンズや1枚のEDレンズ、1枚の非球面レンズ、1枚の高屈折率レンズを使用した贅沢な作りだ。フォーカス駆動はMFTレンズとしては一般的なリードスクリュータイプのステッピングモーターを使用している。手ぶれ補正は非搭載なので、ボディ内補正を搭載していないLUMIXカメラで使用する際は手ぶれに気を付ける必要がある。価格を考慮すると当然と言えることだが、防塵防滴仕様ではないので悪天候での使用は避けたい。
価格のチェック
売り出し価格は6万円前後とこのクラスのズームレンズとしては少し高めだったが、2021年4月ごろに価格が改定されたのか相場が急落。現在は3万円前後で入手することが可能だ。マイクロフォーサーズで広角レンズを体験してみたい人にとって手ごろな選択肢となっている。ちなみに、私はYahoo!ショッピングでクーポンやポイント還元で実質2万5千円程度で購入した。
M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6 | |||
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レンズレビュー
外観・操作性
箱・付属品
マイクロフォーサーズ用レンズの中では最古参だが、パッケージは現行モデルと同等のデザインに変更されている。12-100mm F4 IS PROあたりから変わった黒を基調としたデザインである。実焦点距離を大きく表示しているほか、小さく35mm判換算の焦点距離も表示しており、フルサイズなどから乗り換えたりする場合に判断しやすくなっている。ただし、マイクロフォーサーズはデジタルカメラで一般的な「3:2」アスペクト比ではなく、「4:3」を採用しているので上下が広く、少し違和感を覚えるかもしれない。
付属品は前後のレンズキャップと説明書、保証書のみだ。レンズフードが付属していないので、フードを使いたいのであれば別売りのフードを用意しておく必要がある。
外観
全体的に少し安っぽい質感のプラスチック製外装だ。高級感は微塵もなく、このレンズを5~6万円で購入する気にはなれない。また、デザインを一新したM.ZUIKO(無印)レンズシリーズ、例えば「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II」などと比べて見た目が古臭い。デコレーションリングにはオリンパスのブランドカラーとなるブルーを採用しているが、現行モデルと比べて原色に近い鮮やかな色合いだ。どちらかと言えば一眼レフ時代の「ZUIKO DIGITAL」に近いカラーリングである。
ハンズオン
全長49.5mm、重量155gと小型軽量な広角ズームレンズである。手のひらサイズ、ポケットサイズと言ってもいい。広角ズームを多用することがなくとも、カメラバッグの隙間に詰め込むことができる。携帯しやすい広角ズームレンズはそれだけでも価値がある。ただ、手に取るとプラスチッキー質感を再確認することとなる。
レンズは沈胴構造を解除したり、ズーム操作を行うことで内筒が伸びたり縮んだりする。内筒もプラスチック製で頑丈とは感じない。沈胴構造を展開したまま持ち歩くと、内筒が少しガタついているのが分かる(特に9mm側)。
前玉・後玉
この時代のM.ZUIKOレンズは前面にレンズ名やフィルターサイズがプリントされている。明るい白い塗料でプリントされているため、フィルターを装着すると文字が反射して写りこむ可能性がある。フィルター径は52mmと他のシステムでは一般的だが、マイクロフォーサーズ用レンズで52mmフィルターに対応している製品は多くない。52mm径のフィルターは高くないと思うので買い揃えるのも一つの選択肢だが、より大きな径のフィルターに合わせてステップアップリングで対応するのもアリだと思う。
レンズマウントは金属製(に見える)。4本のビスで固定され、周辺にはシリアル番号や製造国が記載されている。ちなみに、2022年現在の新品は製造国がベトナムのようだ。(以前は中国製だったらしいが、現在は製造がベトナム工場に集約されている)
後玉は沈胴構造が格納時にマウント付近となるが、展開後は前方へ移動。そして望遠側へズームするとさらに前方へ移動する。完璧な密閉構造ではなく、ズーム操作などで空気の出入りが発生すると思われる。
フォーカスリング
小さなプラスチック製のフォーカスリングを搭載。切り込みでグリップを増しているように見えるが、あまり役に立っておらず滑りやすい。回転動作は非常に緩く、指一本でも操作可能だが誤って触れてしまうと即操作に繋がる。
フォーカスリングの応答性は良好で滑らかに動作するが、ピント全域で45度未満のストロークが非常に使い辛い。広角レンズながらマニュアルフォーカスによる素早いピント合わせが難しい。
ズームリング
ズームリングは沈胴構造のポジションを含めて「9mm/11mm/14mm/18mm」の焦点距離が表示されている。回転操作は滑らかと言えず、11mmや14mm付近でトルクが変わり、引っかかるポイントがある。動画撮影で滑らかなズーム操作は難しいだろう。
沈胴構造にはロック機構があり、格納状態から展開する際はリングを操作するだけだが、レンズを格納する場合はロックスイッチを操作しながらリングを回す必要がある。
レンズフード
前述したように、このレンズにフードは同梱していない。別途用意する必要があるものの、純正フードは機能やサイズを考慮すると高価なのでJJC製の互換フードを用意した。特に問題なく装着可能だが、逆さ付けには対応していない。
レンズフードは絶対的に見るとコンパクトだが、レンズ本体のサイズを考慮すると少し大きい。
装着例
マイクロフォーサーズのカメラとしては最小クラスのLUMIX GM1Sに装着した。このようなコンパクトカメラでもバランスを損なうことが無い広角ズームレンズだ。手ぶれ補正を利用することは出来ないが、広角レンズに求められるシャッタースピードはそう速くない。ISO感度への影響も最小限で済むだろう。
体感としては「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8」とよく似たサイズ感で収納性は抜群だが、使用時は沈胴構造を伸ばす必要がある。
AF・MF
フォーカススピード
ステッピングモーター駆動のAFを確認するためOM-1に装着してテストした。電光石火とは言えないが、広角レンズとしては必要十分なフォーカス速度が得られる。望遠側の接写から無限遠に大きく移動する際も快適だ。C-AFによる追従AFも良好に機能する。後述するがフォーカスブリージングが非常に目立ち、これが合焦速度や精度に影響を与えているように見える。
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指す。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となる。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。
実際にMFでピントを動かしながら確認してみると、接写時に画角がかなり広がっていることが分かる。これは広角域でも望遠域でも同じ傾向だ。動画撮影には不向きで、静止画用としても少し目障りな影響量である。個人的に、ここがこのレンズにおける最大の妥協ポイントと感じる。
精度
前述したようにフォーカスブリージングが目立ち、このためか、しばしばピントの山を掴み損ねる場面に出くわす。AFフレームの位置やサイズに関係なく発生するので信用ならない。
MF
フォーカスリングのストロークが45度未満と非常に短い。フルマニュアル操作で素早くピントを合わせをするには良いかもしれないが、じっくり操作してピントの山を確実に掴むような操作には適していない。
まとめ
正直に言うと、売り出し価格(6万円前後)での購入はおススメし辛い。レンズ構成は立派だと思うが、プラスチッキーな外装や操作性がイマイチのズームリング・フォーカスリング、そして目立つフォーカスブリージングが発生するAFは撮影体験に悪影響を与えると思う。
ただし、実売3万円前後なら話が変わってくる。マイクロフォーサーズでは貴重となる手ごろな価格の広角ズームレンズとして、多くのユーザーにとって説得力のある選択肢となるはずだ。9mmの焦点距離は広角ズームとして画角が広いわけでは無いが、広角初心者であれば十分にパースの効いた結果が得られる。幸いにも、(小型軽量レンズと考えると)光学性能はまずまず良好で、十分に絞ればフレームの大部分でシャープだ。
個人的な見解として、「4:3」アスペクト比で広角レンズは少し使い辛く感じる。いまいち広角レンズにしっくり来ない場合は「3:2」や「16:9」に切り替えて撮影を楽しんでみるのがおススメ。ちなみに縦構図の場合は「4:3」がしっくりとくる。
今後はこのレンズを使いこみながら解像性能や諸収差、逆光耐性などに焦点を当ててレビューを続けていきたい。乞うご期待。
購入早見表
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作例
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