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続!NIKKOR Z 50mm f/1.8 Sのボケは本当に汚いのか?定点・実写でチェックする

DPReviewの2018ベスト・ワーストカメラ機材紹介動画の中で「NIKKOR Z 50mm F1.8 Sのボケが汚い」というワードが巷で話題となっていますね。前回は滲むボケのレンズや古い光学設計のレンズと撮り比べてみましたが、今回は本レンズの描写傾向をじっくりチェックするべく作例多めに掲載していこうと思います。

使いこなしが必要無い素直なボケ

管理人の評価

  • 小ボケ領域の描写が安定している
  • 滲むボケ質ではない(縁取りがハッキリしている)
  • ニュートラルなボケ質で前後の描写差は小さい
  • 口径食の影響は並
  • 非球面レンズによる「玉ネギボケ」の影響は極僅か

結果から言うと前回と同じ「悪く言うと個性が見えず、良く言えばそつが無い」ボケ。従来のAF-S NIKKORと比べると随分とモダンな描写。

小ボケ領域の色づき(軸上色収差など)やその他収差が抑えられ、粗が目立たずオールラウンドに使っていける。

ボケの縁撮りは硬く(悪目立ちはしていないが)、AF-S NIKKOR 58mm F1.4Gのように滲むボケで色収差やその他収差を柔らかく包んでしまうような描写とは別物。

他社で言えば「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」のようなポジション。ピント距離による描写の変動が少なく、光学性能の高いバランスの取れた一本。素直で使いこなしが必要無く、買ったその日からしっかり使っていける便利なレンズ。

「柔らかい描写」を求めているのであれば、AF-S NIKKOR 50mmや58mmをチョイスしたほうが良いかもしれない。

個人的な(ボケ描写の)満足度は80点。

収差が抑えられた「綺麗なボケ」ではあるものの、滲むように柔らかい「美しい官能的なボケ」かと言うと否。

これはこれでアリかな(価格帯とサイズとF値)とは思うものの、やはりAF-S 58mm F1.4G(近接時)やM.ZUIKO 25mm F1.2 PRO、XF35mm F1.4 R(接写時)の描写を味わってしまうといささか物足りない。

NIKKOR Z 58mm F0.95 Noctは流石にやり過ぎなので、50mm F1.2~F1.4あたりでボケ質重視のレンズをリリースして欲しいところ。

定点チェック

とにかくサンプル数が多いので、もっと詳細を確認したい場合はFlickrアルバムを参照してください。

ピント距離 約50cm

大ボケ領域が大部分を占める中であえて小ボケ領域をクロップして確認すると、やはりボケは滲みが無く硬調。と言っても、色づきは少なく粗が悪目立ちすることは無いので特に気にする必要は無いはず。

前回の記事で掲載した近接の猫(F1.8)。

ご覧のようにクロップすると硬さを感じるものの、全体的に見ると特にこだわりが無い限り問題とは感じないはず。

ピント距離 約2m

やはり小ボケ領域は硬調だが全体的に見ると良くまとまっている印象。前ボケも綺麗。

コントラスト強めのシーンでは少し騒がしく感じるかもしれない。

ピント距離 約4m

近距離よりボケ量は小さくなるものの、描写傾向は同じ。

この距離感の場合、古いダブルガウスなレンズだとフレーム周辺部のボケが荒れやすかったりするのですが、そのような(目立つ)兆候は見られない。

ピント距離 約50cm

フルサイズ50mm F1.8で近接する場合、小ボケ領域が目立たないので大部分は綺麗に見える。

とは言え、コントラストが強い背景で後ボケの玉ボケが浮いてしまっている。滲むボケを伴うレンズはこのようなシーンでも玉ボケが浮かず、不必要な視線誘導が発生しない。

ピント距離 約1.5m

重箱の隅をつつかなければ「綺麗」と評価して終了。

玉ボケ ピント距離1m

この状況では特に非球面レンズの影響は見られないが四隅の口径食とボケの縁取りは目立つ。

玉ボケ ピント距離50cm

同上。玉ねぎボケは特に心配する必要が無いレベルだと思われる。

実写サンプル

前後ボケ 近距離

滲まず、急速にボケ領域へ移行するため「少し前のシグマっぽい」と感じる人もいるはず。

軸上色収差は綺麗に抑えられているので特に目障りとは感じない。

やはり所々で玉ボケが浮いてしまっているのがやや残念。

前後ボケ 中距離 その1

もはや書くことが無くなってきた。

敢えて言えば、中距離でもF1.8でピント面がとてもシャープ。これだけカリッと写るなら多少ボケが硬くても文句は言うまい。

スッキリ描写のオールランドレンズ。

前後ボケ 中距離 その2

前ボケ多めにフレーミングしても特に問題無し。色づき少なめ、皆無でとても使いやすい。

前後ボケ 遠距離

よく見ると後ボケが僅かに騒がしいと感じるポイントがあるものの、誰もこんなところをジッとは見ないと思われる。

玉ボケ

フレーム隅にて「少し玉ねぎボケの傾向があるかな?」と感じる程度。

非球面レンズの影響は本当に僅か。これで「酷い」と評価するとしたら、非球面レンズ入りの単焦点は全て酷評されてしまう。そんな気がする。

NIKKOR Z 50mm f/1.8 Sは買いか?

従来のAF-S 50mmとは一線を画す”キレイな描写”のレンズであるため、他の50mmを持っていたとしてもゲットする価値のある一本。

解像性能はとても良好でボケもバランスが取れていて使いやすい。おまけに防塵防滴仕様で天候を選ばず、オートフォーカスは静かでそこそこ高速。

まさにオールラウンドな50mm。これほど汎用性の高い50mmはニコン一眼レフ用では存在しないと思われる。買っちゃえばいいのじゃないですかね。50mm F1.8としては高価なものの、似たようなパフォーマンスのソニー「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」よりも安い。他に選択肢も無いのだから特に悩む必要は無いでしょう。

もし官能的な描写を求めているのであれば、来年に登場が期待されている58mm F0.95なり2020年に登場が予定されている50mm F1.2を待つべき。(公式ロードマップ

今回使用した機材

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