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NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VRのボケ質をチェックする

ニコン「NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR」のレビュー第三弾を公開。今回はピント面前後のボケ質や玉ボケの質感についてチェックしています。

NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VRのレビュー一覧

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがち。個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくないと感じる。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人がいてもおかしくない。
参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルを以下に示す。

描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によって変化し、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向がある。
特殊な方法として「アポダイゼーション光学素子」などを使って強制的に滲むボケ描写を実現しているレンズも存在する。

18mm

前後のボケ質に大きな違いが無い、ニュートラルな描写だ。しかし、よく見ると後ボケのほうが少し滑らかで、前ボケは少し硬調に見える。この違いはボケが大きくなっても同じだが、実写で微妙な違いに気が付くことは少ない。僅かに後ボケ寄りのボケ描写は使いやすいと思う。

100mm

18mmのようなボケ質の差はほとんど見られない。非常にニュートラルな描写だ。軸上色収差による色づきも少なく、使いやすい。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

ここで言う「口径食」とはレンズ口径がボケへ影響していることを指す。
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまったりする。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法が無い。しかし、絞ると羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じてF値を変化させる必要あり。

逆に口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが出来る。これは玉ボケに限った話ではなく、一般的な四隅のボケ描写の質感にも繋がる。口径食が強いと、ボケが小さく感じたり、場合によってはボケが荒れてしまう場合もある。
できれば口径食の小さいレンズが好ましいが、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要がある。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生する(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまう。

18mm

第一に口径食が目立つ。中央の広い範囲で円形を維持しているが、隅と周辺部はボケが欠けてしまっている。これは絞ると改善するが、口径食が改善する前にボケがかなり小さくなってしまう。
第二に非球面レンズの粗が目立つ。いわゆる”玉ねぎボケ”と呼ばれる玉ボケの内側に発生する同心円状のムラが目障りとなる。これは絞っても改善しないので、コントラストのある背景で玉ボケを出来る限り避けるしかない。高倍率ズームに求めるべきカテゴリではないが、それでもニコンZレンズの中ではかなり目立つので残念。

24mm

18mmと比べて口径食は遥かに良好な状態だが、依然として玉ねぎボケは非常に目立つ。正直に言うと少し不快な描写に見える。

35mm

絞り開放から口径食の影響はほとんど無い。玉ねぎボケが目立つハイライトをフレームに入れなければ綺麗なボケが得られると思う。

50mm

基本的に35mmと同じ。ボケが大きくなるので、そのぶん玉ねぎボケが目立つようになる。

70mm

再び隅の口径食が強くなる。ただし影響を受けるのはフレームの限られたエリアのみで、大部分は問題なく使用できる。

100mm

100mmを超えると隅の口径食が非常に強くなる。絞って改善することも出来るが、口径食が改善する頃には回折の影響を覚悟しなければならない。

140mm

100mmと同じく隅の口径食が非常に強い。広い範囲で円形を維持しているが、玉ねぎボケが玉に瑕。

ボケ実写

18mm

口径食の影響はあるものの、接写時は高倍率ズームながら滑らかなボケに見える。やはりコントラストの高い玉ボケに非球面レンズの粗が見える。実に惜しい。撮影距離が長くなると、全体的に玉ねぎボケの影響が目に付くようになる。特に口径食の影響が強い隅では見苦しい描写だ。この焦点距離ではF4~F5.6まで絞ると隅の描写が改善する。さらに撮影距離が離れても同傾向である。

50mm

18mmと比べると口径食の影響が少なく、隅まで自然なボケが得られているように見える。ボケは滲みを伴う柔らかい描写ではないが、まずまず滑らかで綺麗。絞っても特に違和感はない。撮影距離が長くなっても似たような印象を維持している。非球面レンズの影響を避ければ、高倍率ズームとしては好感が持てる。

140mm

140mm F6.3でも被写体に十分に近寄ることで大きなボケを得ることが出来る。その際の後ボケは滑らかで綺麗。絞ると少し騒がしくなるので、シャープネスや被写界深度に問題が無ければ絞り開放を使うのが無難だ。

撮影距離

全高170cmの三脚を人物に見立てて撮影。全身ポートレートから顔のクローズアップでどれほどボケが大きくなるのかチェックしている。

18mm

全身をフレームに入れると絞り開放でも十分なボケをえるのは難しい。膝上でもわずかなボケ量しか得られないので、さらに近寄る必要がある。バストアップ~顔のクローズアップでなんとか十分なボケ量を得られる。

100mm

100mm F5.8で全身ポートレートを撮影しても、背景を少しぼかすことが可能。微ボケもまずまず滑らかな描写に見える。膝上程度まで近寄ると被写体を背景から分離する十分なボケとなる。ボケ質もまずまず良好だ。バストアップ~顔のクローズアップでさらにボケを大きくすることもできる。

まとめ

ピント面前後のボケ質は程よく遠側にバランスを置いた使いやすい描写だ。2線ボケは目立たず、高倍率ズームレンズとしては評価できるボケ質である。前ボケが硬調と感じるのは広角側だけで、前景のボケが大きくなる標準~望遠域はニュートラルな質感となり、前ボケの硬さが目立たないのもGood。

欠点は同心円状のムラが目立つ玉ボケだが、これも背景のシチュエーションによって目立たない場合も多い。イルミネーションや夜景などと相性が悪いのは確かだが、自然風景や日常の撮影で不快と感じる描写に遭遇する機会は少ないはず。

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