キヤノン「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」のレビュー第五弾を公開。今回は前後のボケや玉ボケの質感、撮影距離でのボケ量をチェックしています。
Index
RF100-400mm F5.6-8 IS USMのレビュー一覧
- キヤノン RF100-400mm F5.6-8 IS USM 徹底レビュー 完全版
- RF100-400mm F5.6-8 IS USM 徹底レビュー 諸収差編
- RF100-400mm F5.6-8 IS USM 徹底レビュー ボケ編
- RF100-400mm F5.6-8 IS USM 徹底レビュー 周辺減光・逆光耐性編
- RF100-400mm F5.6-8 IS USM 徹底レビュー 解像力編
- RF100-400mm F5.6-8 IS USM 徹底レビュー 遠景解像編
- RF100-400mm F5.6-8 IS USM 徹底レビュー 外観・操作・AF編
前後ボケ
綺麗なボケ・騒がしいボケとは?
ボケの評価は主観的となりがち。個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくないと感じる。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人がいてもおかしくない。
参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルを以下に示す。
描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によって変化し、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向がある。
特殊な方法として「アポダイゼーション光学素子」などを使って強制的に滲むボケ描写を実現しているレンズも存在する。
実写で確認
前後のボケ質に大きな違いは見られない。滲むように柔らかいボケでは無いが、極端に悪目立ちはしないように見える。ピント面の直前直後に僅かな色収差の影響が見られるものの、やはり極端に悪目立ちする描写ではない。
玉ボケ
口径食・球面収差の影響
ここで言う「口径食」とはレンズ口径がボケへ影響していることを指す。
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまったりする。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法が無い。しかし、絞ると羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じてF値を変化させる必要あり。
逆に口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが出来る。これは玉ボケに限った話ではなく、一般的な四隅のボケ描写の質感にも繋がる。口径食が強いと、ボケが小さく感じたり、場合によってはボケが荒れてしまう場合もある。
できれば口径食の小さいレンズが好ましいが、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要がある。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。
球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生する(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまう。
100mm
玉ボケには少し縁取りがあり、同時に軸上色収差の影響があるものの、内側の描写に大きな問題は見られない。隅には口径食の影響があり、これを完璧に解消するにはF11付近まで絞る必要がある。
135mm
基本的には100mmと同じ傾向。100mmと比べると最短撮影距離が短く、撮影倍率も高いことから、より大きなボケを得ることが出来る。口径食は比較的穏やかで、1段絞るとほぼ解消する。
200mm
広角側と比べて玉ボケの縁取りが弱くなり、色収差の影響も少なくなる。さらに口径食の影響も少ないことから、全体的に見栄えの良いボケ。もしもボケを重視する場合は200mm以上の焦点距離を使うと良いかもしれない。
300mm
200mmと同傾向だが、口径食がやや強めに発生する。これを改善するには1段ほど絞りたいところ。
400mm
全体的に300mmと同じ傾向。
ボケ実写
その1
至近距離では被写界深度が浅いこともあり、暗いレンズながらボケを大きくすることが可能。全体的に滑らかな描写で特に大きな欠点は無い用に見える。また、多少絞るくらいで背景のボケが小さくなることは無い。
その2
撮影距離が長くなると、当然ながらボケが小さくなる。まだ十分なボケ量を得ることが出来るものの、隅は口径食の影響が目立つ場合があるかもしれない。
その3
撮影距離が長くなると、ボケが小さくなり、さらに縁取りが少し目に付くようになる。こうなると被写体に集中し辛くなり、イマイチぱっとしない写真になってしまうかもしれない。
まとめ
単焦点レンズほどではないものの、「ボケが欲しい場面」では滑らかで綺麗な後ボケを得られる。特に300?400mmの圧縮効果を使った場合、背景は大きなボケとなり、騒がしい描写は一切ない。その一方で、広角側(100mm)はボケが小さく、騒がしくなるシーンがあるかもしれない。しかし、それでも悪目立ちしない程度には抑えられている。
前後に偏りのない均質なボケであり、特に望遠側は色収差が少ないので、前ボケを積極的に入れてみるのも一つの手。焦点距離の性質上、前ボケを作りやすいので様々なシーンで試してみると面白いかもしれない。
購入早見表
RF100-400mm F5.6-8 IS USM | |||
楽天市場 | Amazon | キタムラ | Yahoo |
キタムラで中古品を探す | |||
レンズフード ET-74B | |||
楽天市場 | Amazon | キタムラ | Yahoo |
EXTENDER RF1.4x | |||
楽天市場 | Amazon | キタムラ | Yahoo |
EXTENDER RF2x | |||
楽天市場 | Amazon | キタムラ | Yahoo |
作例
関連レンズ
- RF70-200mm F2.8L IS USM
- RF70-200mm F4 L IS USM
- RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
- EF70-300mm F4-5.6L IS USM
- EF70-300mm F4-5.6 IS USM
- EF70-300mm F4.5-5.6 DO IS USM
- EF70-300mm F4-5.6 IS II USM
- EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM
- EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM