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キヤノン RF28-70mm F2.8 IS STM レンズレビューVol.5 ボケ編

キヤノン「RF28-70mm F2.8 IS STM」のレビュー第五弾 ボケ編を公開。指摘する細かい点はあるものの、全体的に見れば悪くない描写の大口径ズームレンズ。

本日のまとめ

細かいこと抜きにすると、ボケに関して悪くない描写のレンズ。
隅の口径食が不思議な形だったり、玉ねぎボケの兆候があったり、広角側の小ボケが騒がしかったりするものの、重箱の隅を楊枝でほじくったり、穿った見方をしなければ十分に満足のいく描写。カジュアルに使うなら全く問題なし。

If you ignore the minor details, this is a lens that does a good job of capturing out-of-focus images.
Although there are some strange vignetting effects in the corners, signs of onion bokeh, and noisy bokeh in the wide-angle range, it is a lens that provides satisfactory results if you don't look for flaws in the corners of a multi-tiered box or take a critical view of it. If you use it casually, there are no problems at all.

RF28-70mm F2.8 IS STMのレビュー一覧

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

後ボケ

ニュートラル寄りで縁取りが少ないボケですが、70mmでは軸上色収差の影響でボケに色づきが見られます。惜しい。

前ボケ

後ボケと比べるとボケの輪郭が少し硬め。やはり若干の色収差が目に付きます。少し気になる場合は絞ることで改善します。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

28mm

非球面レンズの使用により、玉ボケの内側に同心円状のムラがあります。気になるほどではありませんが、コントラスト強めの現像処理では目立つ可能性あり。また、四隅は口径食の影響で玉ボケが変形しており、これを改善するには2段絞る必要があります。

35mm

28mmと同傾向ですが、口径食の影響は軽め。F4まで絞るとほぼ解消します。

50mm

口径食の影響を受けるのは隅の一部のみ。色収差の影響は少なく、ボケの縁取りは僅か。全体的にズームレンズとしては良好な見栄えです。

70mm

50mmと比べて口径食の影響が強くなり、軸上色収差の影響でボケの縁取りに色付きが発生しています。それでも悪くない描写ですが、玉ねぎボケが少し目立ちます。

ボケ実写

28mm

ボケが大きい場合は問題ないものの、ボケが小さくなるとフレーム周辺や隅の描写が騒がしくなります。少し騒がしいと感じる場合は1~2段絞ると改善します。

50mm

広角側よりも安定感のある描写ですが、ボケが小さくなると周辺が少し騒がしくなる傾向あり。この場合も1段ほど絞ると改善します。

70mm

四隅の口径食は目立つものの、ボケ質は全く問題ありません。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。

28mm

全身をフレームに入れて満足のいくボケが得られるほど大口径ではありません。この際にハイライトのボケが騒がしくなる可能性があるため、F4くらいまで絞ったほうが良い場合があります(ボケが小さいので目立ちませんが)。バストアップ程度まで近寄ると、ボケの悪い部分が目立たなくなります。

50mm

28mmと比べるとボケが大きくなり、全身をフレームに入れても背景を少しぼかすことが出来ます。この際のボケは縁取りが強く、ハイライトが多いと少し騒がしく感じるかもしれません。絞りを調整したり、撮影距離を詰めることで改善可能。

70mm

フレームに全身を入れても背景を分離する程度にぼかすことが可能。この際のボケ質は許容範囲内で、28mmや50mmと比べると欠点が目立ちません。口径食はやや強めですが、大きな被写体をぼかしたい場合は70mmを使うのがおススメ。

 

まとめ

細かいこと抜きにすると、ボケに関して悪くない描写のレンズ。
隅の口径食が不思議な形だったり、玉ねぎボケの兆候があったり、広角側の小ボケが騒がしかったりするものの、重箱の隅を楊枝でほじくったり、穿った見方をしなければ十分に満足のいく描写。カジュアルに使うなら全く問題なし。

軸上色収差の影響が若干残っていますが、最も目立つ70mm F2.8でも軽微な問題。収差の色づきは無視できる範囲内に抑えられています。コマ収差など軸外収差の補正状態も良好で、フレーム隅に向かってボケが極端に悪目立ちする要素はなし。

広角側の小ボケでやや騒がしいですが、ボケが小さいので拡大しないと分かりません。細かい点まで追求するとLシリーズや単焦点の選択肢となりますが、「ボケ質は二の次」という人であれば十分なレンズと言えそうです。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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