銘匠光学「TTArtisan 25mm F2 C」のレビュー第一弾を公開。今回はレンズの外観や操作性、カメラに装着してMFの使いやすさなどを確認しています。
TTArtisan 25mm F2 Cのレビュー一覧
- 銘匠光学 TTArtisan 25mm F2 C 徹底レビュー 完全版
- 銘匠光学 TTArtisan 25mm F2 C 徹底レビュー Vol.6 周辺減光・逆光編
- 銘匠光学 TTArtisan 25mm F2 C 徹底レビュー Vol.5 諸収差編
- 銘匠光学 TTArtisan 25mm F2 C 徹底レビュー Vol.4 ボケ編
- 銘匠光学 TTArtisan 25mm F2 C 徹底レビュー Vol.3 解像チャート編
- 銘匠光学 TTArtisan 25mm F2 C 徹底レビュー Vol.2 遠景解像編
- 銘匠光学 TTArtisan 25mm F2 C 徹底レビュー Vol.1 外観・操作編
Index
まえがき
数多くのMFレンズを手掛けている銘匠光学のAPS-Cミラーレス用の手ごろな価格でコンパクトな標準単焦点レンズ。
概要 | |||
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レンズの仕様 | |||
マウント | E/X/M43/EOS M/RF/Z/L | 最短撮影距離 | 0.25m |
フォーマット | APS-C | 最大撮影倍率 | 不明 |
焦点距離 | 25mm | フィルター径 | 43mm |
レンズ構成 | 5群7枚 | 手ぶれ補正 | - |
開放絞り | F2 | テレコン | - |
最小絞り | F16 | コーティング | 不明 |
絞り羽根 | 7枚 | ||
サイズ・重量など | |||
サイズ | φ63×28mm | 防塵防滴 | - |
重量 | 166-189g | AF | MF |
その他 | |||
付属品 | |||
レンズキャップ |
開放F値が「F2」となる中口径の準広角レンズとしては小型軽量で、コンパクトなAPS-Cミラーレスカメラと相性の良いレンズに仕上がっています。特にレンズ全長が28mmと短いので、カメラバッグのちょっとした隙間などにレンズごとカメラを詰め込める携帯性の良さが強みとなります。
レンズ構成は5群7枚のダブルガウスタイプに見える光学設計を採用。手ごろな価格のコンパクトなレンズとしては安定感のあるMTFを実現しており、チャートを見る限りでは大部分で安定感のある描写を期待できそう。ただし、フレーム端に向かって急落しているので、周辺部ではコマ収差などが目立つ可能性あり。
価格のチェック
海外では55ドルと驚くほど安く、円安が続く国内でも1万円未満で入手可能。同じような焦点距離をカバーするF1.8~F2レンズがカメラメーカー純正品で3~5万円することを考えると手ごろな価格設定ですね。
外観・操作性
箱・付属品
グレーを基調としたシンプルながら個性的なデザインの箱。表面にはファブリック調のカバーが張り付けられており、高級感があふれ出ているわけではないものの、1万円前後の手ごろな価格設定を考えると立派な作りに見えます。高級感が有るわけでは無いけど、雰囲気作りには成功しているのかなと。
箱を開けてみると、レンズは分厚い緩衝材に囲まれて梱包されています。同梱品は説明書のみとシンプルながら、低価格なレンズとしてはしっかりとした内装。
外観
TTArtisanらしく鏡筒は総金属製のしっかりとした作り。多くのMFレンズメーカーが総金属製の鏡筒であることを考えると、TTArtisanのビルドクオリティが強みになると一概には言えませんが、少なくとも欠点とは感じません。鏡筒表面のピント距離や絞り値の表示は全てプリントで、エッチングなどの加工は施されていません。
外装はややマットなブラックの塗装で、マウント付近は無塗装のアルミニウム合金に見えます。
前玉・後玉
前玉にフッ素コーティングが施されている記述は見当たりません。防塵防滴にも対応していないのでフッ素コーティングは期待しないほうが良いでしょう。レンズ保護に役立つフードもないので、前玉の汚れや傷を心配するのであればプロテクトフィルターや社外製レンズフードがおススメ。前玉周辺にはレンズ名などが白文字がプリントされているため、撮影環境によっては白文字が反射してフィルターに写りこむ可能性は否定できません。
レンズマウントは金属製。マウントは特殊な形状のビス3本で固定されています。後玉付近は反射防止のためにマットブラックの塗装が施されているものの、実際に使った印象では反射対策が不十分。フォーカスは全群繰り出し式となっているので最短撮影距離側で全群が前方へと移動します。
フォーカスリング
10mm幅の金属製フォーカスリングは適度な滑らかに回転。ストロークは0.25m~無限遠で約135°。最短撮影距離が0.25mのレンズとしては程よいストロークで、無限遠側でも微調整しやすい。手ごろな価格のMFレンズとしては十分な操作性。
絞りリング
2mm幅程度の非常に小さな金属製絞りリングを搭載。F2からF2.8は1/2段刻みでクリックストップがあり、F4からF16までは1段刻み。微調整用のクリックは少ないものの、中途半端な位置で絞りを止めることも可能。フォーカスリングとの間隔が狭いので、絞り操作時に必然的にフォーカスリングにも触れてしまうのが悩ましいところ。ただし、適度なトルク配分で思ったよりも誤操作は少ない。
装着例
X-S10に装着。
「25mm F2」のレンズとしては非常にコンパクトで、「XF23mmF2 R WR」と比べると差は歴然(AFや防塵防滴には非対応ですが)。ミニマムなAPS-C 準広角システムを携帯したいのであれば面白い選択肢となることでしょう。グリップの無いX-E4やX-T30のような小型カメラとの相性がより良いと思います。
対応するレンズフードが無いので、ステップアップリング(43mm→52mm)でF-Fotoの円形メタルフードを装着。全長は2倍に長くなってしまうものの、逆光時のフレアや前玉の保護性を心配するのであれば装着するのも一つの手。F-Fotoのフードは前側が52mmねじ込み式フィルターにも対応しているのでおススメ。
フォーカス
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指す。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となる。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。
今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離と無限遠で撮影した結果が以下の通り。
ご覧のように、ピント位置により画角が大きく変化します。動画撮影時のピント移動ではズームしているような感覚となるかもしれません。
精度
ストロークは0.25m~無限遠で約135°。少し緩いかな?と感じることはあるものの、滑らかに回転するフォーカスリングは近距離?中距離で十分な精度でマニュアルフォーカスを利用可能。ただし、遠景におけるストロークは極僅かで、近距離と比べると繊細な操作が求められます。とは言え、苦痛と感じるほどではありません。
まとめ
フルサイズ用「TTArtisan 50mm F2」と同じく、非常にコンパクトな単焦点レンズ。小型軽量ながら、頑丈な金属製の鏡筒に、クリック付きの使いやすい絞りリングを搭載。フォーカスリングの操作性も悪く無く、全体的に見て1万円未満のレンズとしては良くまとまった製品。
「XF23mmF2 R WR」が4万円台、焦点距離が長くなるものの「XC35mmF2」が2万円台で購入できることを考えると、25mm F2 Cをおススメレンズと一概には言えません。しかし、小型軽量でMF操作を重視した際に25mmのレンズを探しているのであれば、面白い選択肢となるかもしれません。気になる光学性能はこれからテストする予定。乞うご期待。
購入早見表
作例
関連レンズ
- M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8
- LUMIX G 25mm/F1.7 ASPH.
- XF23mmF2 R WR
- 7Artisans 25mm F1.8
- PERGEAR 25mm F1.8
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