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銘匠光学 TTArtisan AF 75mm F2 レンズレビューVol.5 ボケ編

銘匠光学「TTArtisan AF 75mm F2」のレビュー第五弾 ボケ編を公開。これと言って批判的に指摘するところが無く、価格のわりに良く写るボケのレンズとなっています。

おことわり

今回は国内代理店より無償提供の「TTArtisan AF 75mm F2」を使用してレビューしています(感謝)。提供にあたりレビュー内容の指示や報酬の受け取りはありません。従来通りのレビューを心がけますが、無意識にバイアスがかかることは否定できません。そのあたりをご理解のうえで以下を読み進めてください。

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簡易的なまとめ

極上とは言えないものの、非常に使い勝手の良いボケ質のレンズです。ボケは広い範囲で滑らか綺麗な描写で、騒がしいと感じるシーンはごく僅か。色収差が良く補正されているため悪目立ちせず、玉ボケは綺麗できちんとした見栄え。これと言って指摘する部分がありません。

Although it can't be called the best, it is a very easy-to-use lens with a bokeh quality. Bokeh is smooth and beautiful over a wide range, and there are very few scenes that feel noisy. Chromatic aberration is well corrected, so it doesn't stand out in a bad way, and the bokeh is beautiful and neat-looking. There is nothing in particular to point out.

TTArtisan AF 75mm F2のレビュー一覧

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

後ボケ

ニュートラル寄りですが、僅かに縁取りが強く、二線ボケの兆候が見られます。軸上色収差が良好な補正状態のため、硬めのボケが悪目立ちすることはありません。

前ボケ

後ボケと比べるとボケの縁取りがなく、柔らかいボケ質。後ボケと同じく色収差の影響が少なく、見栄えの良い描写と言えるでしょう。「75mm F2」は前ボケを取り入れる機会も多いため、これはこれでアリ。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

口径食の影響こそありますが、玉ボケの内側は滑らかで綺麗。ボケの縁取りは強くなく、色収差の影響も目立ちません。肯定的に評価できる描写。ただし、よく見るとフレーム周辺部や隅のボケに倍率色収差と思われる色づきが発生しています。F2まで絞ると口径食は緩和しますが、周辺部における色収差の影響が目立つようになります。F4まで絞ると口径食は解消。若干か配りますが問題ない程度。倍率色収差の影響はF2.8と同程度。F2で玉ボケを小さくした際の作例。
このような状況ではフレーム周辺部がかなり粗くなるレンズが多いものですが…。意外にも、このレンズは健闘しているように見えます。

ボケ実写

至近距離

ボケが大きい場合には何の問題もありません。

近距離

ボケが若干硬いため、コントラストの高い背景では少し騒がしくなるかもしれません。ただし、縁取り以外は綺麗な描写であり、極端に悪目立ちすることはありません。

中距離

フレーム隅のボケが少し主張が強いものの、この価格帯の中望遠レンズとしては良くまとまっています。これと言って指摘するような欠点はありません。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。全身ポートレートのような撮影距離ではフレーム端や隅のボケがやや騒がしくなります。と言っても過度に悪目立ちするほどでもなく、許容範囲内。どうしても気になる場合はF2.8-4まで絞ると改善します。膝上や上半身、バストアップまで近寄ると問題は解消。価格のわりにきちんと使うことができるポートレートレンズとなっています。

まとめ

極上とは言えないものの、非常に使い勝手の良いボケ質のレンズです。ボケは広い範囲で滑らか綺麗な描写で、騒がしいと感じるシーンはごく僅か。色収差が良く補正されているため悪目立ちせず、玉ボケは綺麗できちんとした見栄え。これと言って指摘する部分がありません。最短撮影距離がもう少し短かったら良かったと感じることはあるものの、ボケ質は満足のいく水準。この観点で言えば競合する「7Artisans AF 85mm F1.8」でより良好な結果が得られるものの、価格差を考慮するとTTArtisanは健闘していると思います。

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作例

Flickrにてオリジナルデータを公開

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