ニコン「Z f」のレビュー第二弾を公開。今回は新しいプリセット「ディープトーンモノクローム」などを含めて、JPEG出力で利用するピクチャーコントロールについて色やコントラスト、使い勝手をチェックしています。
Z f のレビュー一覧
- ニコン Z f レビュー 完全版
- ニコン Z f レビュー Vol.6 フォーカス編
- ニコン Z f レビュー Vol.5 ISO感度編
- ニコン Z f レビュー Vol.5 メニュー・カスタマイズ編
- ニコン Z f レビュー Vol.4 ドライブ編
- ニコン Z f レビュー Vol.3 ダイナミックレンジ編
- ニコン Z f レビュー Vol.2 ピクチャーコントロール 編
- ニコン Z f レビュー Vol.1 外観・操作性 編
- ニコン Z f ハンズオン 外観と起動時間やシャッター音の確認
Z f JPEG レビュー
ピクチャーコントロール
ニコンお馴染みの仕上がり設定は従来通り7種類に加え、「フラットモノクローム」「ディープトーンモノクローム」「リッチトーンポートレート」を加えた計10種類。ソニーや富士フイルムほど味付けの濃い設定ではありませんが、キヤノンほど変化のない淡泊な設定(統一感があるとも言えますが)でもありません。「オート」はスタンダードをベースとして色合いや諧調を自動的に調整してくれるモードです。風景と人物撮影を交互に撮影するようなシーン(家族写真・旅行など)で便利。
モノクロを除くと、主な変化は彩度と暗部の諧調。色相に大きな変化はありません。雰囲気を変えたい場合はクリエイティブピクチャーコントロールなどを使ったほうが手っ取り早いです。
グレースケールを同じ露出で撮影したところ、プリセットごとに変化があることが分かります。スタンダードを基準にすると「ビビッド」「モノクローム」「風景」で似たような結果が得られるため、色彩の変化で使い分けていけばいいのかなと。新しい「リッチトーンポートレート」もスタンダードに近い結果が得られています。
一方、「ニュートラル」「フラット」「ポートレート」などは比較して軟調で、暗部の締まりがない、良く言えば柔らかい表現と感じるかもしれません。新しい「フラットモノクローム」はポートレートやニュートラルに近い味付けと言えそう。
個性的なプリセットが「ディープトーンモノクローム」。従来のプリセットは暗部の調整が多かったものの、明るい部分までかなり暗く写るようです。(ただ、色によって感度が異なるらしいので後述)
同じ環境でカラーチャートを撮影したもの。ディープトーンモノクロームは「青色の感度が低い」「赤色の感度が高い」とニコンが言及しており、確かにその傾向があるようです。緑色や黄色にも影響がある模様。他のプリセットが比較的安定しているだけに、ディープトーンモノクロームが突出しているように見えます。
パステル系の淡い色を撮影したのが上の画像。この場合、ディープトーンモノクロームの赤色への影響は控えめとなりますが、青色の低感度は依然として強い個性を放っているように見えます。日中の青空や夕景、マジックアワーなど時間帯によって異なる描写が楽しめるかもしれませんね。
クリエイティブピクチャーコントロール
EXPEED 6プロセッサより導入した新機能で、計20種類の個性的なプリセットに対応。他社では「フィルター」に相当するような設定も多くありますが、大きく異なる点はピクチャーコントロールのようにシャープネスやコントラストを調整できること。
さらに「適用度」(後述)を操作することで、全体的な効果を弱めることも可能です。ピクチャーコントロールと比べると色相やコントラストを大幅に調整するプリセットが多く、手軽に雰囲気を変えることが出来るのは魅力的。ただし癖の強いプリセットが多いため、適応度100で使うのは難しいかもしれません。
フラットよりもフラットな「ピュア」「ドリーム」があったり、0/1でこの上ないコントラストの「バイナリー」など尖った設定のプリセットも存在します。クリエイティブピクチャーコントロールは色相を傾けているプリセットも多く、見るからに色被りしている設定も多い。癖が少ない「ポップ」「サンスター」あたりが使いやすいです。
カスタムピクチャーコントロール
ピクチャーコントロール・クリエイティブピクチャーコントロールを合わせると計30種類のプリセットがあります。さらに細かく調整できる設定値が数多くあり、ゴリゴリに癖の強いプリセットへ変化させることも可能。
通常の設定値と分けて使いたい人はカスタムピクチャーコントロール(9枠)に登録することが可能です。設定値は別枠で登録できるほか、メモリーカードに保存したり、保存した設定値(ファイル)を読み出すことが可能。自分のお気に入りを公開したり、共有することも可能です。
ウェブにはカスタムピクチャーコントロールのプリセットを多数公開している「Nikon Picture Control Edutor」というサイトがあります。プリセットの効果を確認しながら設定値を調整したり、ダウンロードすることが可能。非常に簡単で便利なサイトなのでおススメ。
B&Wモード
Z f独自のB&Wモードではモノクロのピクチャーコントロールのみ使用可能となるモード。それ以外にこれと言った変更点はありませんが、モノクロモードへ素早くプリセットを変更することが可能となっています。また、カスタムピクチャーコントロールも自動的にB&Wモードへのラインアップに追加。最大で3+9種類のモノクロプリセットを使い分けることが出来ます。残念ながら、クリエイティブピクチャーコントロールのモノクロ(カーボンやバイナリなど)は利用することが出来ません。
仕上がり調整
通常のピクチャーコントロールでは以下の設定が可能。
- クイックシャープ±2
- 輪郭協調 9段
- 明瞭度±5
- ミドルレンジシャープネス±5
- コントラスト±3
- 明るさ±2
- 彩度±3(カラー)
- 色相±3(カラー)
- フィルター(モノクロ)
- 調色(モノクロ)
(各0.25段で調整可)
幅広い設定に対応しているほか、調整値は細かく刻むことが可能。自分好みの設定にしやすく、こだわりの設定値は前述したようにメモリカードで保存や共有が可能。
クリエイティブピクチャーコントロールは通常の設定値に加えて「適用度」の項目があります。通常は100となっており、数値を下げると通常のピクチャーコントロールへと変化(おそらくスタンダード)。癖が強すぎると感じら適用度を調整するのがおススメです。
「ピクチャーコントロール」をボタンカスタマイズで呼び出す場合、リアダイヤルでプリセットの選択、フロントダイヤルで適用度を調整可能。ライブビューで確認しながら素早く適用度を調整できるので便利。
まとめ
従来通り、状況に応じて使い分けていく楽しみのあるプリセットが多い。キヤノンやオリンパスと比べると諧調に一貫性が無いので使い辛いと感じるかもしれませんが、メリハリが効いているので使っていて楽しいのはニコン。もしもJPEG出力をメインで使用するのであれば、カスタマイズでいずれかのボタンに「ピクチャーコントロール」を割り当てておくのがおススメ。
新しい「ディープトーンモノクローム」はクセの強いプリセットですが、これまでにはないピクチャーコントロールで新鮮。前述したように青色や緑色がストンと落ちるので、全体的にアンダーな印象の結果となることが多いです。赤色や黄色が明るくなる作用もありますが、青色の影響と比べると控えめ。
従来通りカスタムピクチャーコントロールの登録枠があり、バックアップのmicroSDにプリセットを大量に保存しておくといつでもカメラに登録可能(ただしSDカード挿入時は認識されません)。モノクロプリセットは自動的にB&Wモードに登録されるので使い勝手もGood。全体的にJPEGを楽しみやすい機種となっています。
参考情報
購入早見表
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