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ニコン・キヤノン・ソニーのF4標準ズーム徹底比較 Vol.1 解像チャート編

キヤノン「RF24-105mm F4L IS USM」、ニコン「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」、ソニー「FE 24-105mm F4 G OSS」の比較テスト第一弾。今回は恒例の解像力チャートを使ったテスト結果を公開。

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解像性能比較

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:
    ・Nikon Z 7
    ・Canon EOS R5
    ・Sony ILCE-7RM4
  • 交換レンズ:
    ・NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
    ・RF24-105mm F4L IS USM
    ・FE 24-105mm F4 G OSS
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒
  • RAW出力
  • ベースISO感度で固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
    ・格納されたレンズプロファイル(外せない)
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

24mm

中央

6100万画素の解像性能を持つα7R IVと言うこともあり、ソニーFEの解像性能が最も良好だ。ただし、回折の影響が出始めるF11以降の結果を見ると、キヤノンやニコンも同じような解像度のセンサーであれば、似たようなレンズの解像性能を示すかもしれない。とは言え、今のところ6000万画素クラスのイメージセンサーはソニー(あとはシグマfp L)以外に存在しない。

Nikon Z Canon RF Sony FE
F4.0 4752 4510 5152
F5.6 4776 4620 5152
F8.0 4607 4327 5132
F11 4300 4353 4375
F16 3932 3895 4025
F22 3338 3154 3181

周辺部

24mmの周辺部ではニコンが急落する。マルチフォーカスで近距離での収差変動が少ないと思いきや、少なくとも広角側ではそうでもないらしい。絞ると徐々に改善するが、パフォーマンスが他社に追いつくのはかなり遅い。その一方でキヤノンは絞り開放から良好で、ソニーも1段絞ればキヤノン並みに安定している。

Nikon Z Canon RF Sony FE
F4.0 3167 4416 3651
F5.6 3448 4388 4353
F8.0 3716 4371 4429
F11 3976 4316 4238
F16 3775 3723 3673
F22 3031 3111 3017

24mmの隅ではさらに差が広がり、ニコンZはかなりソフトな描写となる。もしも近距離でフレーム隅まで良好な解像性能を得たい場合はF8~F11まで絞りたいところ。キヤノンとソニーは周辺部と同じ傾向で、キヤノンが絞り開放から安定、ソニーも1段絞れば良好な結果を得ることが出来る。

Nikon Z Canon RF Sony FE
F4.0 1475 3958 2533
F5.6 1677 3705 3535
F8.0 3051 3874 3911
F11 3456 3885 3888
F16 3291 3658 3289
F22 2843 2949 2851

35mm

中央

35mm中央も引き続き6100万画素のソニーがアドバンテージを発揮する。F11以降もキヤノンやニコンが追い付かないところを見ると、レンズの性能も侮れない。とは言え、キヤノンも非常に良好な結果を得ることができる。不思議な事にニコンはこの焦点距離で伸び悩んでいる。

Nikon Z Canon RF Sony FE
F4.0 3527 4331 4683
F5.6 3601 4141 4667
F8.0 3725 4255 4702
F11 3694 3871 4632
F16 3613 3699 4145
F22 3014 2992 3317

周辺部

キヤノンは24mmと同じく安定感のある周辺画質が得られる。ニコンは24mmと比べると遥かに改善し、絞り開放からキヤノンと同等で、絞ればトップに躍り出る。残念ながらソニーは6100万画素の解像性能でも周辺部が甘く、絞り開放の画質をソフトウェアで解析することが出来なかった。ただし、F8まで絞るとキヤノンやニコンと同等の性能まで追いつくことが出来る。

Nikon Z Canon RF Sony FE
F4.0 3638 3786
F5.6 4287 3895 3090
F8.0 4362 4084 4009
F11 4194 3899 4110
F16 3576 3573 3587
F22 2971 3061 3047

中央や周辺と比べるとパフォーマンスは低下するものの、キヤノンとニコンは絞り開放から安定した結果を得ることが可能。絞っても大きく改善しないが、実用的な画質である。その一方でソニーは開放がソフトで、他社に追いつくにはF8まで絞る必要がある。

Nikon Z Canon RF Sony FE
F4.0 3424 3299
F5.6 3594 3465 3003
F8.0 3755 3667 3647
F11 3718 3593 3755
F16 3249 3244 3422
F22 2671 2655 2794

50mm

中央

6100万画素のソニーが4500万画素のキヤノン・ニコンと同等だが、どのレンズも絞り開放から非常に良好だ。絞ると同じようなパフォーマンスの低下が見られる。

Nikon Z Canon RF Sony FE
F4.0 4456 4789 4227
F5.6 4493 4387 4810
F8.0 4119 4005 4227
F11 3954 4109 4349
F16 3490 3502 3809
F22 3008 3274 3179

周辺部

中央の結果とは打って変わって差が大きくなる。ニコンは絞り開放から非常に良好な結果を得ることができる。単焦点レンズと言っても良いくらいの性能だ。その一方でキヤノンやソニーは絞り開放のパフォーマンスが大きく低下する。キヤノンがニコンに追いつくのはF8~F11、ソニーが追い付くのはF16まで絞った時だ。

Nikon Z Canon RF Sony FE
F4.0 4343 3202 2997
F5.6 4306 3604 2742
F8.0 4324 4137 3341
F11 4214 4330 3674
F16 3810 3616 3752
F22 2965 3152 2992

ニコンはフレーム隅でも非常に良好な結果を得ることができる。キヤノンは絞り開放こそ少しソフトだが、絞ることでとても良好な結果となる。その一方でソニーは絞ってもあまり改善しない。

Nikon Z Canon RF Sony FE
F4.0 3778 2526 2649
F5.6 4600 3465 2422
F8.0 4379 4014 2530
F11 3902 3736 3184
F16 3512 3505 3341
F22 2971 2806 2913

70mm

中央

50mmと同じく、中央解像に大きな違いは見られない。カメラの解像性能を考慮するとソニーが伸び悩んでいるように見える。

Nikon Z Canon RF Sony FE
F4.0 4476 4169 4237
F5.6 4646 4348 4020
F8.0 4532 3970 4060
F11 4022 4166 4024
F16 3531 3751 3881
F22 3014 3162 3054

周辺部

相変わらずニコンは絞り開放から良好だ。絞りによる大きな改善は期待できないが、F16まで非常に一貫した結果を得ることが出来る。キヤノンはF4~F5.6でニコンよりもワンランク低い画質だが、F8まで絞ると一気にパフォーマンスが向上する。ソニーは実用的な画質だが、絞ってもあまり改善しないのは残念だ。

Nikon Z Canon RF Sony FE
F4.0 4100 3317 3442
F5.6 4100 3558 3500
F8.0 3965 4292 3188
F11 3950 4156 3746
F16 3757 3693 3706
F22 2902 3055 3086

ニコンも絞り開放は画質が少し低下するが、まだまだ良好なパフォーマンスを発揮している。キヤノンはワンランク下がるが、絞ると徐々に改善する。ただし、回折が始まる前にニコンのピークを超えることは無い。ソニーは相変わらず周辺画質が甘い。

Nikon Z Canon RF Sony FE
F4.0 3694 2788
F5.6 4399 3299 2913
F8.0 4362 3805 3103
F11 3782 3955 3024
F16 3688 3698 3531
F22 2878 2848 2934

105mm

中央

3本とも望遠端の中央でも良好な画質を維持している。ただし、絞った際のパフォーマンス低下速度が少し速い。特にソニーはF8~F11で急速に低下するので注意が必要だ。

Nikon Z Canon RF Sony FE
F4.0 4687 3831 4405
F5.6 3984 4228 4405
F8.0 3733 3890 3694
F11 3871 4268 3103
F16 3304 3885 3284
F22 2995 3147 3115

周辺部

周辺部は小さな差こそあれ、概ね似たような結果が得られる。その中でも最も良好な結果はニコンで、さらにキヤノン、ソニーと続く。

Nikon Z Canon RF Sony FE
F4.0 3744 3459 3161
F5.6 3838 3618 3091
F8.0 3538 3699 3020
F11 3632 3833 3341
F16 3285 3451 3441
F22 2977 3106 2759

望遠端のフレーム隅でもニコンやキヤノンはまずまず良好な結果を維持している。絞れば3500を超えるとても良好な結果だ。一方でソニーは甘く、絞りによる改善速度はかなり遅い。

Nikon Z Canon RF Sony FE
F4.0 3406 3225 2579
F5.6 3417 3280 2783
F8.0 3800 3501 2670
F11 3795 3870 3097
F16 3550 3446 2993
F22 2850 3004 2755

今回のまとめ

ポイント

NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

  • 広角端の隅が甘い
  • ズーム中間域で抜群の高い均質性
  • 望遠側の周辺画質が少し良好

RF24-105mm F4L IS USM

  • 広角側が絞り開放から隅まで良好
  • ズーム中間域で周辺・隅の画質が低下
  • 望遠側の周辺画質は絞ると良好

FE 24-105mm F4 G OSS

  • 広角側で抜群の中央解像だが隅は甘い
  • ズーム中間域で周辺・隅の画質が低下
  • ズーム中間域~望遠は絞ってもやや甘い

バランスが取れているのはキヤノンRF。完璧な光学性能からは程遠いが、どの焦点距離でも安定した結果を得ることが出来る。特に広角24mmの安定感が良好で、その他も1~2段絞って使えばズーム全域で良好な結果が得られるので使いやすい。
ニコンは広角側の周辺・隅が不得手なものの、望遠側の均質性ではベストな結果が得られる。特に50mm以降でその傾向が顕著。光学手ぶれ補正を犠牲にしつつ、マルチフォーカス方式を採用したのが功を奏しているのか?
ソニーは広角端における抜群の解像性能で目を引くものの、50mm以降で周辺・隅の解像性能が低く、絞ってもあまり改善しないのはマイナスポイント。キヤノンやニコンと比べると設計が少し古いので、これは今後の第二世代に期待するしかない。

もちろん、今回は近距離における解像性能の結果なので、中景や遠景ではまた違った結果が得られるかもしれない。今後の比較テストに乞うご期待。

購入早見表

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