このページではキヤノン「EOS R5」のメニューシステムを実際に使って気が付いたポイントをレビュー。基本的には従来通りですが、多機能となりページ数が増え、やや複雑化しています。
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メニューシステムレビュー
動画で確認
撮影
基本的に従来通りの撮影メニューですが、多機能化により8ページまで細分化され、従来機より少し複雑となっています。ページ移動量が増えたので、機能を探すのが厄介と感じるかもしれません。
ただし、ページごとにある程度カテゴライズされており…
1:画質
2:測光・露出
3:色・シャープネス
4:ノイズ低減
5:特殊撮影
6:ドライブ・シャッター
7:ライブビュー関連
8:表示オプション
となっているので、慣れてくると迷わなくなるはず。とは言え、出来れば記号や色分けして欲しかったところ。
従来通りの機能を紹介しているときりが無いので、ざっと目新しい項目を挙げると以下の通り。
・HDR PQ設定
・明瞭度設定
・レンズ光学補正
(DLO「強め」が追加された)
・シャッター方式
(シャッター方式の名称が他社と共通化)
ページ1
特にこれと言って大きな変化は無し。
EOS Rと比べて高画素となっているので、静止画クロップの「×1.6(=APS-Cフレーム)」が実用的な解像度で使いやすくなっています。従来機よりクロップを使う頻度は多くなるかもしれません。
ページ2
HDR PQ設定が追加されています。詳しい解説はキヤノン公式マニュアルを参照すると良いでしょう。この設定をオンにすると「JPEG」出力ではなく「HEIF」出力となるので注意が必要。
HEIFは高効率のイメージファイルフォーマットで、EOS R5におけるHEIFはJPEGと同程度のファイルサイズでより多くの情報を格納しています。優れたフォーマットですが、まだ普及途上であり、OSやブラウザによって対応がまちまちとなっているので注意が必要。ブログ用として使えない場合もあります。(例えば2020年8月現在、Wordpressでは今のところ非対応)
とは言え、JPEGより良好な画質を期待でき、普及して一般的なフォーマットとなればJPEGを使う理由が無くなります。今後に備えてどちらのフォーマットを使って撮影するのか考えておきたいところ。
その他項目について特筆すべきことはありません。
ページ3
JPEG/HEIF出力における新しい仕上がり設定の項目として「明瞭度」が追加されています。明瞭度とはなんぞや?と言う人は「ニコン:明瞭度の調整」が参考になると思います。ニコンの明瞭度ほど効き目に振れ幅はありませんが、隠し味程度に使える機能です。
さらに、レンズ光学補正「デジタルレンズオプティマイザ」に「強め」設定が加わっています。どれほどの効果が期待できるのかチェックする予定です。こうご期待。
ページ4
特筆すべき項目はナシ。
そのうちノイズリダクションの効果をチェックして記事にします。
ページ5
特筆すべき項目はナシ。
ページ6
シャッター方式がEOS Rのような「LVソフト撮影」と言った分かりづらいネーミングから「メカシャッター」「電子先幕」「電子シャッター」に切り替わっています。(LVソフト=電子先幕)
電子先幕シャッター時に以前のような「モード1・2」と言った選択肢はありません。
従来通り、シャッター方式は自動的に切り替わりません。電子先幕シャッター使用時に大口径レンズで高速シャッターを使うと露出ムラが発生する可能性があるので注意が必要。
ページ7
5Dシリーズから乗り換える人はファインダー表示がごちゃごちゃしていると感じる場合があると思います。そんな時は「撮影情報表示設定」からファインダー情報表示をカスタマイズすると良いでしょう。
レンズ側に手ぶれ補正を搭載しないレンズと組み合わせると、ページ7の上部に「手ぶれ補正」の項目が登場します。初期設定では手ぶれ補正がオフとなっているので注意が必要。マルチコントローラーといい、なぜ初期設定でカメラの機能をオフにしてしまうのか…。
ページ8
初期設定で「撮影画面表示設定(ライブビューのリフレッシュレート)」は省電力優先となっています。これを「なめらかさ優先」に設定変更することで、光学ファインダーに近い滑らな表示へと変化します。
ただし、バッテリー消費が激しくなるので常用はおススメできません。もしくはモバイルバッテリーが予備バッテリーは用意しておいたほうが良いかも。
AF
ページ1
「検出する被写体」が追加され、「人物・動物・優先なし」の3択を選ぶことが出来ます。目的が決まっているのであれば優先する被写体を設定しておくのがおススメ。ぶらぶらと散歩する時は「優先しない」に設定しておくと良いでしょう。小まめに切り替えると思うので、マイメニューに登録しておくと便利。
被写体認識AFのテストは後日実施予定。
ページ2
従来通り。
5Dシリーズから乗り換える人はフォーカスガイドが新鮮と感じるはず。ピーキングに取って代わるMFアシストとして活躍するはず。ただし、フォーカスガイドが機能しないレンズもあるので注意が必要。
どのような機能なのかはコチラを参照してください。
ページ3
5シリーズらしく、サーボ特性のプリセットがいくつか用意されています。目新しい要素として、「AUTO」モードが追加され、シチュエーションに合わせた設定を自動で調整してくれるモードが存在します。
「乗り移り特性」の設定項目はページ4に移動しています。
ページ4
特に大きな変更点はありませんが、一眼レフと比べていくらか仕様が異なるため、ミラーレスの動作に慣れていない人は一通り確認しておいた方が良いでしょう。電子式手動フォーカスなど。
ページ5
マルチコントローラーの感度を調整できる項目が追加されています。私の感覚では初期設定で問題ないと思いますが、よりスピーディな操作が必要な場合には感度を高めることができ、より繊細な操作が必要な場合は感度を低めることが可能。
他の項目は従来通り、読んで字のごとく。
オートエリア時の追従開始ポイントの指定は被写体によって変更したほうが便利。EOS R5の検出性能が優れているので、人物や動物なら「AUTO」で十分。乗り物や検出不可能な動物・昆虫などは任意選択を選ぶと使いやすいかも。ただし、検出機能に対応するAFと比べると、追従性能は完璧と言えない印象。
再生
新機能として、ページ4に音声メモが追加されています。この設定項目を調整することで、「RATE」ボタンを使い画像ファイルに連動した音声メモを付与することが可能。
音声メモは再生画面で任意の画像閲覧時にRATEボタン長押し(設定による)で記録します。記録した音声は同じくRATEボタンを押すことで再生可能です。
スマートフォン連動で位置情報を付与しない場合などに音声メモを残しておくと便利かもしれません。
個人的な使い方としては、レンズ情報をEXIF情報で残せないMFレンズを使うときに便利と感じています。例えばレンズ名や絞り値の設定状態など。
さらに、RAW現像でDPRAWを使った「ポートレートライティング」「背景明瞭度設定」に対応しています。デュアルピクセルCMOSを使った深度情報を活用するため、DPRAWでの撮影が必須。この機能を実際に活用する人がどれほどいるのか不明ですが、カメラ出力のJPEGがメインの人ならば面白い機能と感じるかもしれません。
通信
WiFiとBluetoothに対応。Bluetooth接続からのWiFiを使った画像転送や遠隔操作はとても安定した動作で使いやすい。一部メーカーと異なり、電源オフでもBluetooth経由で画像をスマートフォンにダウンロード可能。後はニコンSnapBridgeのように、Bluetoothを使った画像の自動転送に対応すると文句ナシ。
設定
変更点は以下の通り
・デュアルカードスロット化による記録機能の追加
・電源オフ時のシャッター状態
EOS RのようにシングルSDカードスロットでは無く、CFexpress B+SDXC UHS-IIの2段構え。書き込み速度の上限に大きな差があるのでうまく使い分けたいところ。2スロットは「自動切換え」「振り分け」「同一書き込み」に対応しており、SDカードを使う際は連写時のバッファに影響します。動画撮影時は「自撮り切替」「1:RAW・2:MP4」の2択となります。EOS R5の機能をフルで使うならば高性能なCFexpressが必須。
連写しない静止画であればSDカード1枚で十分と言えるでしょう。ただし、最高画質のRAW・JPEGを利用すると、RAW1枚で50MB前後、JPEG1枚で10?20MBのデータ容量が必要となってきます。かなりの枚数を取る予定ならば大容量のメモリーカード、もしくは予備を用意しておくことをおススメします。
EOS Rで導入された電源オフ時のシャッター閉幕機能は、オン・オフを選べるようになりました。これはセンサーの保護機能より、シャッター幕の保護を優先する場合に重宝します。センサーにゴミが付いてもブロアで吹き飛ばすことが出来ますが、シャッター幕を痛めてしまうと修理コースとなってしまうので、シャッター保護を優先するのも一つの手。
カスタマイズ
特にこれと言って目新しい項目は無いように見えますが、従来機に「ISOオートで測光中にISO感度変更」機能があったか不明。測光中にAUTOからISO感度を切り替えた場合、測光タイマーオフ後にAUTOへ戻すかどうかの選択が可能です。個人的にはAUTOで問題無いかなと思いますが、動作が気に入らない場合はオフにすると良いでしょう。
2ページ目にはモード選択が電子制御のEOS R5らしく「撮影モードの限定」機能が存在します。これは使わない撮影モードを選択メニューから省略することが出来る機能。例えば、バルブやマニュアルモードが必要無ければ、この設定で消し去ることが出来ます。限定するモードは静止画・動画モード共用なので注意。
ボタンカスタマイズ・ダイヤルカスタマイズにもいくらか変更点があるものの、これはちょっと話が長くなるので別記事でじっくり取り扱います。
マイメニュー
従来どおりのマイメニュー機能を搭載。
オリンパスのように通常メニューから「RECボタン」でマイメニューに登録できると便利なのですが…。機能が増えているので、いちいち全メニューから機能を探すのが結構な手間と感じます。とは言え、前述したように機能過多でページ数も増えているため、マイメニューの活用は必至。我慢して最初に設定すると後から楽になります。
動画
撮影メニュー
動画はあまり詳しく無いので割愛。動画クロップ時は8Kや4K高画質モードが使えないので注意。HDR PQの特性は静止画と同じ。必要なければオフ推奨。
静止画と同じく動画モードでも明瞭度設定を適用できるため、以前よりも仕上がりの幅が広がっています。明瞭度の効き目がもう少し高いとなお良かった。
AF
動画モードでも動物検出が可能。犬・猫・鳥と公式で言及している被写体への追従性はかなり良好と感じます。魚・昆虫なども検出しますが、検出が外れやすく、ピントが迷う場合があるので避けたほうが良し。
静止画でページ3のサーボ特性項目が無くなり、動画用のフォーカス機能が用意されています。出来ればこちらにもプリセットが欲しかったところ。
まとめ
多機能化でページがかなり増えていると感じますが、それだけ使いこなし甲斐のあるカメラだと思います。第2層が細分化されており、カテゴリ別の表示や色分けが必要だと感じます。現状ではマイメニューの活用が必至。
設定による機能の干渉は少なく、干渉した場合は何が原因か分かりやすく表示されています。この辺りの使い勝手はGood!干渉元が表示されないメーカーもあり、原因を探すのに一苦労することもあるのです…(例えばオリンパス)。
基本的に従来通りの使い方であれば、使いたい機能を探す苦労はしないはず。一方、DPRAWやHDR PQ、明瞭度など、普段あまり使わない機能を見つけるのは苦戦するかもしれません。
方向ボタンのあったEOS Rと異なり、おそらくダイヤルでメニューを操作する人が増えると思います。一眼レフでこの操作に慣れていないと、最初は戸惑うかも。しかし、3ダイヤルの操作に慣れてくると、ボタン操作より楽と感じる可能性あり。
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