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タムロン 50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD 徹底レビュー完全版

このページではタムロン「50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD」のレビューを掲載しています。

50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXDのレビュー一覧

管理人の評価

ポイント 評価 コメント
価格 安くは無いが適正
サイズ このクラスでは小型
重量 このクラスでは軽量
操作性 全体的に良好
AF性能 AF-Cが電光石火
解像性能 ズーム全域で良好
ボケ 後ボケが柔らかく滑らか
色収差 良好な補正状態
歪曲収差 補正必須
コマ収差・非点収差 まずまず良好な補正状態
周辺減光 ズーム両端で目立つ
逆光耐性 複雑な光学設計が仇に
満足度 汎用性抜群の望遠ズームレンズ

評価:

欠点少なめの高倍率望遠ズーム

一般的な100-400mmと同程度のサイズ感で50mmまで利用できる高倍率望遠ズームレンズ。高倍率を実現するために光学性能などが犠牲となっている印象はほとんど無く、ズーム全域で良好なパフォーマンスを発揮。いくつかの欠点は後処理などで簡単に補正可能で、注意すべきは逆光時のゴーストくらい。高速AFや接写性能なども含めて考慮すると、おススメしやすい万能感のある望遠ズームレンズに仕上がっています。

被写体の適正

被写体 適正 備考
人物 ボケは小さいが滑らかで柔らかい描写
子供・動物 高速AFや50mmが役に立つ
風景 ズーム全域で高解像
星景・夜景 明るいレンズではない
旅行 汎用性は高いが大きく重い
マクロ ズーム全域で0.5-0.25倍を実現
建築物 歪曲収差の補正が必須

まえがき

2022年夏に発表したタムロンの高倍率×超望遠ズームレンズ。このクラスでは一般的な「100-400mm」のズームレンジが拡大し、標準画角と言われる50mmの焦点距離に対応。広い画角を活かした風景から400mmの野生動物まで幅広い撮影が可能となっています。

概要
レンズの仕様
マウント E 最短撮影距離 0.25-1.5m
フォーマット フルサイズ 最大撮影倍率 1:2-1:4
焦点距離 50-400mm フィルター径 67mm
レンズ構成 18群24枚 手ぶれ補正 対応
開放絞り F4.5-6.3 テレコン -
最小絞り F22-32 コーティング BBAR-G2
絞り羽根 9枚円形絞り
サイズ・重量など
サイズ φ88.5×183.4mm 防塵防滴 対応
重量 1,155g AF VXD
その他 USB-Cポート・ズームロック
付属品
レンズフード

レンズサイズはシグマ「100-400mm F5-6.3 DG DN OS」と遜色なく、より大口径のズームレンズと比べて小型軽量。例えば「FE100-400mm F4.5-5.6 OSS GM」と比べて1cm以上短く、240gほど軽いレンズです。以下に比較表を掲載。

T 50-400 GM SIGMA
最大径 88.5mm 93.9mm 86.0mm
全長 183.4mm 205.0mm 199.2mm
重量 1155g 1395g 1140g

サイズを抑えつつ、汎用性を高めたレンズに仕上がっているのは魅力的ですね。ただし、テレコンバージョンレンズに対応していないので拡張性が皆無である点は事前に理解しておく必要があります。(シグマはライカLマウント版のみ対応)

デザインや機能性は最新のタムロンG2ラインらしいものとなっており、傷に強くなった外装や様々なコントロールポイント、そして独自のカスタマイズ機能に対応したUSB-Cポートを搭載しています。この辺りは実際にレンズをレビューしながら見てゆきましょう。

価格のチェック

売り出し価格はカメラ店の最安値で148,500円。同社の「150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD」が143,550円で販売を開始したことを考えると、400mmまでのズームレンズとしては決して安い価格設定ではありません。さらにシグマは10万円未満で購入可能。あくまでも望遠側を重視するのであれば別の選択肢も検討する必要があります。とは言え、50mmをカバーしているレンズは他に無く、一眼レフ用のシグマ「60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM」が19万円前後することを考えると、高い値付けとは言えません。超望遠ズームながら50mmも使いたい欲張りカメラマンなら面白いレンズとなるはず。

50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD Sony E
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50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD Nikon Z
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レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

タムロンらしい白を基調としたデザインの箱。マウント部と同じように箱の底面にルミナスゴールドのカラーを採用。レンズ本体は発泡樹脂で前後を固定して梱包されています。

レンズ本体の他に花形レンズフードと説明書、保証書、シリアルナンバー記載のシールが付属しています。三脚リングは付属していないので、必要であれば別途購入しておきましょう。2022年9月現在で在庫が無い店舗も多いですが、もともと一眼レフ用の三脚座なので互換品も数多く登場しています。

外観

外装は光沢の残る黒色の塗装が施されています。一見すると一眼レフ用レンズSPシリーズのような金属外装にも見えますが、触ってみるとプラスチック製の外装だと分かる質感です。ミラーレス用レンズは競合他社もプラスチック製の外装を採用するメーカーが多く、特に違和感はありません。他社は三脚リングを装着する部位のみ金属パーツを採用する場合もありますが、このレンズは先端からマウント付近までプラスチック製の外装を採用。とは言え、しっかりとした作りで、旧デザイン(28-75mm F2.8 Di III RXDなど)と比べて傷や指紋に強くなっているように見えます。

フォーカスリングはどちらもゴム製カバーを装着。リング表面に粘性は感じず、ゴミの付着は少ないと思われます。コントロールポイントは2つのリングの他に手ぶれ補正とカスタムモードスイッチ、カスタムボタンを搭載。(機能性は後述)
外装の文字は全てプリントで、エッチングなど芸が細かい加工は無し。この辺りはタムロンらしく割り切った感があります。ちなみに「設計 日本」「製造 ベトナム」と記載を確認。

内筒もプラスチック製ですが、400mmまで伸ばしても顕著なガタツキはありません。フィルターソケット付近は「150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD」と異なり、衝撃を吸収するゴムカバーを備えていません。

ハンズオン

全長183.4mm、重量1,155gであり、決して小型軽量なレンズとは言えません。と言っても「400mm F6.3」をカバーするズームレンズとしては軽く、シグマの100-400mmと同程度。幅広いズームレンジを考慮するとサイズや重量を良く抑えていると言えるでしょう。

前玉・後玉

タムロンDi IIIシリーズらしく67mmのねじ込み式フィルターに対応。他の多くのDi IIIシリーズレンズとフィルターを共有できるので非常に便利。特にニッチな高濃度NDなどを揃えやすいのは大きなメリットと感じます。

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前玉には防汚コートが施されているので、水滴や油汚れが付着した際のメンテナンスが簡単。とは言え、ダメージが想定できる撮影シーンでは予めプロテクトフィルターなどを装着しておくのがおススメです。

金属製のレンズマウントは4本のビスで固定されています。マウント周囲には防塵防滴用のガスケットを確認できます。カメラ側のマウントと隙間なく装着することが出来るものの、脱着時の抵抗感が非常に強いので注意が必要です。

後玉付近は反射防止のためのマットブラックな塗装が施されています。ズーム操作で後玉は前方へ移動しますが、その際も周囲の反射対策は良好。50mm時は後玉がマウント付近に配置されており、テレコンバージョンレンズを装着できる余地は残っていないように見えます。(将来的にテレコンが登場して対応する可能性は無さそう。)

フォーカスリング

ズームリングと比べると狭いですが(約17mm)、滑らかに回転するフォーカスリングを搭載。Di IIIシリーズ初期のレンズと比べると回転操作時にざらつくような感触が無く、非常に滑らかな操作性となっています。ただし、回転操作の抵抗が緩めで、少し触れただけでリングが反応してしまう場合あり。誤操作には気を付ける必要があります。回転方向やレスポンスは後述するTAMRON Lens Utilityでカスタマイズ可能。

ズームリング

レンズ先端には幅広いズームリング(約50mm)を搭載。50mmから400mmまでのストロークは約90度あるので、素早くフルズーム操作するのは難しい。とは言え、一般的な100-400mmの操作であればストロークは約75度くらいに収まっているので、一度に素早く操作することが可能です。滑らかで均質的な回転操作が可能ですが、動画撮影でスムーズなズーミングをするには僅かにぎこちない。

ズーム操作で内筒が大きく伸びます。50mmでレンズは最も短くなり、400mmでレンズは約75mm伸びて全長が250mmほど。ズームリングは50mmでのみロック可能で、150-500mmのようなフレックスズームリングロック機能はありません。

焦点距離ごとの開放F値

50~60mm F4.5
61~83mm F5.0
84~150mm F5.6
151~400mm F6.3

シグマ「100-400mm F5-6.3 DG DN OS」と比べるとF5.0~F5.6に推移する焦点距離が短いものの、劇的な差とは言えません。タムロン「150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD」はF5.0-5.6のレンジが広く、300mmでもF5.6を利用可能となっています。ただし、400mmは本レンズと同じくF6.3となり以降はさらにF値が大きくなります。全体的に見て、高倍率ながら開放F値の犠牲はそこまで無いように見えます。

レンズフード

花形のプラスチック製レンズフードが付属しています。レンズ本体はベトナム製ですが、フードはフィリピン製。ロック構造は無く、バヨネット装着時に抵抗感のある戻り止めがあるのみ。シンプルなデザインですが、内側には反射防止用の切り込み加工が施され、外側は指がかかりやすいような形状となっています。シグマのように滑り止め加工は施されていません。

フードの全高は約55mm。逆さ付けに対応しており、この際もズーム操作やフォーカス操作に支障はありません。

三脚座

別売り三脚座も購入。もともと一眼レフ用レンズ「100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD」のための三脚座なので、本レンズの記載は無し。製品型番は「A035TM」であり、類似商品「A034TM」もあるので購入時に間違わないように(間違えそうになった)。

本体とは異なり、全体的に金属パーツで構成された頑丈な作りです。三脚座にはアルカスイス互換のクランプに対応。本体への取り付けはノブを緩めて三脚リングを展開して装着します。このため、三脚座の脱着でレンズをカメラから取り外す必要はありません。

カメラを装着していない状態だとレンズは三脚座で自立します。ただし、カメラを装着するとカメラ側に重心が移動して倒れてしまうので注意。三脚リングに90度ごとのクリックストップは無く、白い点のマーキングがあるのみ。

対応三脚座 Model A035TM
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A035TMと同時にF-Fotoの互換品を入手。純正と比べると価格は1/3程度で、デザインが気にならず、三脚座が必要であればコストパフォーマンスの高い選択肢。(注:F-Foto 提供
デザインの野暮ったさは否めないものの、純正と同じく金属製のしっかりとした作り。純正と同じくアルカスイス互換のクランプに対応しつつ、三脚ネジ穴が貫通しているので、ネジが長い特殊な固定方法にも対応しています。

レンズ本体に問題なく装着できることを確認。純正と比べると、全高が低いぶん安定していますが、三脚座をグリップとして持ち歩くのは難しそう。三脚リングはやはりクリックストップがありません。

カメラに装着してもバランスを保っていられるのはF-Foto。純正は後方へ傾いてしまいます。

AmazonでA035TM互換のF-Foto製三脚座 商品ページ

スイッチ類

側面にはVCモードスイッチとカスタムモードスイッチ(後述)を搭載。どちらも3ポジション操作のスイッチとなっていますが、程よいグリップ性と抵抗感で扱いやすい。

スイッチ類の下部にはFnボタンを搭載。カメラ側のボタンカスタマイズに対応する「通常モード」の他、ボタン操作でAF/MFやフォーカスリミッターを切り替えたりすることも可能です。

TAMRON Lens Utility

マウント付近にUSB-Cポートを搭載。パソコンやスマートフォン(開発中)と接続することでレンズのカスタマイズが可能となっています。

パソコン接続時は専用のアプリケーションをダウンロードして起動しておく必要があります。また、カメラにレンズを装着したままカスタマイズしたい場合はカメラの電源をオンにしておく必要あり。このレンズは「カスタムスイッチ1~3」の機能変更と、フォーカスリングの設定変更、ファームウェアアップデートの3つに対応。

カスタムスイッチにレンズ専用の機能を割り当てることでFnボタンを使った素早い切替やフォーカス操作に対応しています。ユーザーモードでは無いので、別モードで切替た機能は現在のモードにも継承されるので注意が必要です。(例えばAF/MF切替でMFのままカスタムモード変更を実施するとAFに復帰できなくなる。)

装着例

α7 IVに装着。片手で保持することは可能ですが、被写体にフレームを固定しておく安定感を得るのは難しい。素直に左手をレンズの添えることをおススメします。とは言え、超望遠ズームとしては使い勝手が良く、カメラバッグに携帯しやすいのがGood。

AF・MF

フォーカススピード

ボイスコイルモータ駆動である「VXD」を使用した高速AFに対応。他社のリニアモーター駆動と同じく非常に高速かつ快適なフォーカシングを利用可能。ソニーEマウントカメラの仕様上、AF-Sで動作が少し遅くなるものの、AF-Cは見違えるほど高速化する場合があります。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指す。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となる。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。
今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離と無限遠で撮影した結果が以下の通り。

50mm

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100mm

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200mm

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300mm

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400mm

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全体的にフォーカスブリージングは皆無と言えませんが、素早くフォーカス操作をしない限りは安定したパフォーマンスを発揮しているように見えます。

精度

α7R IV・α7 IVと組み合わせた限りでは問題ありませんでした。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:α7R IV
  • 交換レンズ:50-400mm F4.5-6.3 Di III VC VXD
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 100 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

50mm

テスト結果

中央は絞り開放から4500に近い非常に良好な解像性能を発揮し、F5.6以降は撮影条件で解析できる上限に当たっています。F11以降は回折の影響で徐々に性能が低下するものの、F16付近までは良好な性能を維持。周辺部や隅は中央と比べてワンランク低下するものの、極端な画質低下は見られず、使い勝手は良好。α7R IVの解像性能を最大限活かしたいのであれば、F8?F11まで絞るのがおススメ。無限遠側の撮影結果とほぼ同じ傾向。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F4.5 4440 3669 3221
F5.6 4822 3448 3119
F8.0 4784 4023 3253
F11 4784 4106 3679
F16 3962 3774 3583
F22 3246 3108 2950
実写確認

70mm

テスト結果

中央は絞り開放から測定上限のピークが続きF11に至る。周辺部や隅も50mmと比べてパフォーマンスが改善し、絞り開放から4000前後の非常に良好な結果を得ることが出来ます。絞っても大きく改善しないので、露出や被写界深度の調整に使えば良いでしょう。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F5.0 4787 4127 3783
F5.6 4884 3947 3811
F8.0 4775 4340 3768
F11 4842 4209 3965
F16 3949 3663 3301
F22 3284 3161 3084
F25 2965 2863 2725
実写確認

100mm

テスト結果

広角側と同じく、中央は絞り開放から抜群の解像性能を発揮。周辺部や隅も4500に近い非常に良好な結果を絞り開放から得ることができ、均質性も良好です。回折による画質低下は早いものの、開放F値が暗い望遠ズームレンズで開放付近の性能が高いのは強みと言えるでしょう。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F5.6 4890 4457 4387
F8.0 4908 4356 4164
F11 4437 4101 3812
F16 3675 3509 3333
F22 3144 3041 3018
F25 2896 2675 2579
実写確認

200mm

テスト結果

100mmと比べると絞り開放の性能が低下するものの、それでも中央は4500に近い非常に良好な結果を得ることができます。周辺部も4000を維持していますが、隅は性能が1グレード低下(それでも良好な結果ですが)。全体的に絞っても改善することは無く、回折の影響を迎えます。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F6.3 4379 3980 3491
F8.0 4637 4023 3391
F11 4172 4107 3457
F16 3807 3722 3457
F22 3014 3044 2887
F32 2553 2392 2326
実写確認

300mm

テスト結果

200mmと比べて中央の絞り開放における性能は少し低下するものの、周辺部や隅の画質が良好で、均質性が非常に高いのが特徴的。望遠側までズームしても極端な画質低下が見られないのは使い勝手が良い。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F6.3 4068 3940 3828
F8.0 4616 3936 4004
F11 3786 3940 3397
F16 3726 3852 3269
F22 3009 3047 2966
F32 2373 2208 2248
実写確認

400mm

テスト結果

望遠端となる400mmは流石にパフォーマンスが低下するものの、中央から隅まで画質差の少ない、それでいて非常に良好な結果を得ることが出来ます。50mmをカバーする高倍率の望遠ズームレンズとしては優れた結果。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F6.3 3874 3873 3816
F8.0 4086 4037 3892
F11 3909 3886 3889
F16 3750 3457 3285
F22 2974 3047 2794
F32 2303 2309 2263
実写確認

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2022-09-22:小雨:無風
  • カメラ:α7R IV
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:Leofoto HB-70
  • 露出:絞り優先AE ISO 100
  • RAW:Adobe Lightroom Classic CC
    ・シャープネスオフ
    ・ノイズ低減オフ
    ・レンズ補正オフ

50mm

安定感のある解像性能。中央は絞り開放から非常にシャープで絞る必要性をほとんど感じません。隅に向かって非点収差のような描写の甘さが見られるものの、弱点と感じるような解像性能の低下は無し。

中央

開放から非常にシャープで、絞ることによる画質の改善は僅か。コントラストが少し上昇するようにも見えますが、基本的にはF4.5から実用的なパフォーマンスを発揮しています。

周辺

中央と比べると僅かにソフトですが、細かいことを言わなければ中央と遜色のない画質です。絞っても大きな変化はありません。

四隅

中央や周辺部と比べると非点収差かコマ収差のようなソフトさが見られるものの、影響は僅かであり、目立つ像の流れはありません。絞っても画質が向上することは無いので、MTF通り、非点収差の影響が大きのでしょうか?とは言え、細かいことを言わなければF4.5から実用的な画質。

70mm

50mmと同じくフレームの大部分は絞り開放からシャープな描写。絞っても大きな変化はありませんが、隅を少しでも改善したいのであればF8あたりがピーク。

中央

50mmと同じく絞り開放からピークの性能で、絞っても顕著な改善はありません。コントラストの改善もないので、基本的に被写界深度の調整で絞りを設定すると良いかも。

周辺

中央と同じく絞り開放からピークの画質で、F8まで安定感のある解像性能を得ることが可能。

四隅

絞り開放は中央や周辺と比べると少し甘い。特に目立つ画質差ではないものの、ピークを得たい場合はF8まで絞るのが良さそう。

100mm

相変わらず中央は絞り開放から非常に良好で、一昔前の望遠ズームのようなハロっぽさは感じません。周辺部や隅は中央と比べるとシャープネスやコントラストが低下するものの、F8~F11まで絞ると僅かに改善します。

中央

引き続き絞り開放から非常に良好。F8まで絞っても劇的な変化はありません。

周辺

絞り開放付近は細部のコントラストが少し甘く見えますが、F8まで絞ると改善します。F11まで絞っても大きな改善は見られず、寧ろ回折の影響を受け始めるので、ピークを維持できる絞り値の範囲アは狭い。

四隅

抜群に良くは無いですが、周辺部から顕著な画質低下は見られません。やはり1段絞ると僅かにコントラストが改善します。

200mm

100mmと同じく、非常に良好な中央解像と、良好な周辺・隅の解像性能を維持しています。絞りによる画質の変化は(回折以外)ほとんど無し。

中央

繰り返しとなりますが、絞り開放から非常に良好。

周辺

100mmと同じく、開放から良好で絞っても改善はしません。

四隅

周辺減光はいくらか見られるものの、解像性能やコントラストは絞り開放から良好。絞っても劇的に改善しませんが、画像処理次第で隅まで風景撮影に使えそうな結果が得られます。

300mm

広角側や中間域と比べると少し甘さを感じる画質となりますが、フレーム隅まで非常に安定感のある画質に違い無し。

中央

極僅かに球面収差・軸上色収差が増えたようにも見えますが、6100万画素のイメージセンサーで細部まで拡大しないと分からないような影響に抑えられています。

周辺

高周波成分の分解能で言えばそこまで良くないかもしれませんが、顕著なコントラスト低下や解像度の低下は無いように見えます。安定感のある画質で、2400万画素や3000万画素のセンサーであれば何の不満もなく絞り開放から利用できそう。

四隅

周辺部と同等で、隅に向かって顕著な画質の落ち込みはありません。

400mm

全体的にパフォーマンスは低下傾向となりますが、それでも弱点と呼べるような領域はありません。中央から広い範囲の周辺部にかけて同じような画質を得ることができます。隅のみパフォーマンスが若干低下。

中央

単焦点レンズと比べると切れ味は落ちるものの、このクラスのズームレンズとしては十分良好。1段絞ると僅かにコントラストが改善します。

周辺

基本的に中央と同程度の画質を維持。やはり1段絞るとコントラストが少し改善します。

四隅

中央や隅と比べると僅かに甘く、絞るとF11付近のピークに向かって緩やかに改善します。

撮影倍率

最短撮影距離は広角端から望遠端で0.25m-1.5mと変化します。撮影倍率は広角端で1:5のハーフマクロを実現しており、望遠端でも1:4のクオーターマクロとして利用可能。超望遠ズームとしては全体的に寄りやすく、特に広角端のハーフマクロはとても便利です。とは言え、焦点距離によって最短撮影距離と撮影倍率が変化しやすく、慣れるまでは最短撮影距離を割りやすいかもしれません。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレーム四隅に現れる色ずれを指す。絞り値による改善効果が小さいため、この問題を解決するにはカメラボディでのソフトウェア補正が必要。ただしボディ側の補正機能で比較的簡単に修正できるので、残存していたとして大問題となる可能性は低い。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向がある。

参考:Wikipedia 色収差

50mm

レンズ補正をオフにした状態(RAWには強制的に補正が適用されるので「オフ」のJPEGを使用)でも倍率色収差は極僅かで無視できる範囲内に収まっています。コントラストの高い状況で四隅をよく見ると色ずれを確認できるかもしれませんが、そのような場合も代償少なく簡単に補正することが可能。

100mm

50mmよりも色収差は少なくなっているように見えます。

200mm

6100万画素のα7R IVと組み合わせても色ずれはほぼありません。

300mm

200mmと同じく非常に良好な状態。

400mm

基本的には200mmや300mmと同じく補正無しでも無視できる範囲内に収まっています。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指す。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられる。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところだが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多い。

軸上色収差を完璧に補正しているレンズはピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できる。

参考:Wikipedia 色収差

50mm

軸上色収差は極僅かで、とても良好に補正されています。前後のボケ質をよく見てみると、後ボケが柔らかく、前ボケが硬めの描写。滲むような後ボケで色づくことはまずないと思われ、仮に硬い前ボケに色づきが発生したとしても最小限だと思われます。

100mm

50mmと同じく非常に良好な補正状態です。ゼロではありませんが、ゼロに近いパフォーマンス。

200mm

広角側と同じく非常に良好な補正状態です。

300mm

望遠側でも良好な補正状態が続いています。

 

400mm

望遠端まで特に問題はありません。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがち。個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくないと感じる。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人がいてもおかしくない。
参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルを以下に示す。

描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によって変化し、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向がある。
特殊な方法として「アポダイゼーション光学素子」などを使って強制的に滑らかなボケ描写を実現しているレンズも存在する。

実写で確認

軸上色収差のテストでも判明しているように、後ボケが少し滲みを伴う柔らかい描写で、逆に前ボケは少し硬めの描写。望遠レンズは前ボケが入る機会も多く、この辺りの匙加減を好むかどうかは個人差があるはず。とは言え、基本的には後ボケを入れる機会のほうが多くなると思われ、多くの撮影シーンで滑らかな後ボケを期待できます。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

ここで言う「口径食」とはレンズ口径がボケへ影響していることを指す。
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまったりする。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法が無い。しかし、絞ると羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じてF値を変化させる必要あり。

逆に口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが出来る。これは玉ボケに限った話ではなく、一般的な四隅のボケ描写の質感にも繋がる。口径食が強いと、ボケが小さく感じたり、場合によってはボケが荒れてしまう場合もある。
できれば口径食の小さいレンズが好ましいが、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要がある。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生する(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまう。

50mm

「50mm F4.5」と明るくないレンズですが、ハーフマクロの接写性能を活かすことで大きなボケを得ることが可能。隅に向かって口径食の影響が見られるものの過度ではなく、気になる場合はF8くらいまで絞ると改善します。玉ねぎボケの兆候は無く、ズームレンズとしては良好な描写。

100mm

50mmと同じく口径食や色収差の影響を抑えた扱いやすい玉ボケに見えます。単焦点レンズほど心地よい見栄えではないものの、悪目立ちすることは無いはず。

200mm

広角側と同じく、ズームレンズとしては使い勝手の良い描写が続きます。

300mm

広角側や中間域と比べると口径食が少し強くなります。2段ほど絞ると改善しますが、ボケや露光で妥協が必要となるので妥協点を見つける必要あり。

400mm

300mmよりも口径食の影響が強くなっているように見えますが、玉ボケそのものは滑らかで綺麗。

ボケ実写

50mm

少なくとも接写時は周辺部まで概ね良好で、滑らかな後ボケを得ることが出来ます。隅の玉ボケに少し騒がしさを感じるものの、これが悪目立ちすることはほぼ無いでしょう。1~2段絞っても同程度の描写を維持していますが、絞り過ぎるとボケのアウトラインが強調されてしまうので注意が必要です。

200mm

50mmと同じく良好な後ボケが得られます。高倍率ズームのボケとしては評価できる描写。

400mm

400mmでも高い撮影倍率を維持しているので、当然ながらボケはかなり大きくなります。小絞りでもボケ質に欠点はほとんど感じません。

撮影距離

全高170cmの三脚を人物に見立て、30mm F6.3で撮影距離を変えながら作例を撮った写真が以下の通り。

50mm

50mm F4.5は被写界深度が深く、被写体を背景から分離できるほどのボケを得ることが難しいです。特に全身をフレームに入れるような撮影距離ではボケがかなり小さくなります。ただし、膝上、上半身くらいまで近寄るとボケが十分に大きくなり、バストアップで被写体が完全に背景から分離。顔のクローズアップでは背景の輪郭が分かりにくくなるほどのボケが得られます。ボケ質は単焦点と比べる様な質感ではありませんが、高倍率ズームレンズとしては健闘している印象。

150mm

焦点距離が長くなると、暗い開放F値でも背景から被写体が浮かび上がる程度にはボケを得ることが可能。この際のボケ質は拡大すると少し騒がしく見えるかもしれませんが、パッと見た限りでは特に問題が無いように見えます。上半身くらいまで近寄ると十分なボケ量が得られ、顔のクローズアップでは背景の情報を溶かすことが可能。

400mm

400mmならばF6.3でも非常に大きなボケを得ることが出来ます。ただしワーキングディスタンスが長くなるので、遮蔽物や背景の処理が難しくなる可能性あり。撮影距離が長い場合のボケ質は単焦点レベルとは言えませんが、接写時は欠点が薄くなり、綺麗なボケが得られているように見えます。

球面収差

50mm

前後のボケ質に大きな変化はありませんが、僅かに描写の違いがある模様。ボケが大きい場合でも同様の傾向が続きます。

200mm

基本的には広角端と同じ。ボケが小さい場合はアウトラインが強調される可能性あり。

400mm

基本的には他の焦点距離と似たような傾向が続きます。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうことを指す。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすい。主に魚眼効果と似た形状の「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれる。

参考:Wikipedia 歪曲収差

比較的補正が簡単な収差だが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となる。

50mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

「広角端だから樽型だろう」と思いきや、かなり目立つ糸巻き型歪曲が残っています。人工物など直線的な被写体が周辺部に入る場合はレンズ補正やプロファイルを適用して歪曲収差を補正するのがおススメ。樽型と違って四隅の引き延ばしが発生しないため、積極的にレンズ補正を利用したいところ。

100mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

「ズーム中間域だから歪曲収差も低下するだろう」と思いきや、50mmよりも顕著な糸巻き型歪曲となります。手動補正にはLightroomで「-11」程度の補正量が必要。やはり補正をオフにして撮影するメリットはあまり無いと言えるでしょう。

200mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

100mmと同じく強めの糸巻き型歪曲。レンズ補正で綺麗に修正可能なので、極力プロファイルを利用した補正がおススメです。

300mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

広角側や中間域と同じく強めの糸巻き型歪曲が発生。やはりレンズ補正はオンにして撮影するのがおススメです。

400mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

望遠端まで目立つ糸巻き型歪曲が残っています。この結果、ズーム全域で目立つ糸巻き型歪曲が確認できたので、レンズ補正で歪曲収差を積極的に補正しておきたいところ。

周辺減光

周辺減光とは?

周辺減光とは読んで字のごとく。フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ちを指す。中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となる傾向。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生する。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象だが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景で高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

50mm

最短撮影距離

四隅に向かって薄っすらとした周辺減光が発生するものの、コスト少なく補正することが可能。また、F8まで絞ると光学的に問題をほぼ解消することが出来ます。

無限遠

最短撮影距離と比べると周辺減光の強度が高まりますが、それでもF8まで絞ると大っく改善します。

100mm

最短撮影距離

50mmよりも影響度合いが下がり、絞り開放からほとんど問題ありません。

無限遠

やはり無限遠側は隅の一部に向かって光量落ちが強くなるので、気になる場合はレンズ補正か絞りで対処したいところ。

200mm

最短撮影距離

100mmとほぼ同じ。

無限遠

100mmと似ていますが、若干緩和しているように見えます。

400mm

最短撮影距離

最短撮影距離の光量落ちとしては最も目立つ焦点距離。2段絞ると改善しますが、ISO感度やシャッタースピードへの影響を考慮するとレンズ補正の活用も必要。

無限遠

最短撮影距離と比べて影響はさらに強くなり、このレンズで最も光量低下が大きくなります。F11まで絞っても完璧には改善せず、F16まで絞る必要があるのは悩ましいところ。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないことを指す。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要がある。

参考:Wikipedia コマ収差

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる。

50mm

絞り開放から影響は僅かで、実写で問題と感じるシーンは少ないはず。

100mm

50mmと同じくコマ収差の影響は小さいように見えます。

200mm

広角側と比べると放射方向のフレアが少し強くなったようにも見えますが、それでも影響は軽微で問題とは感じません。

300mm

広角・中間域と比べると少し影響が強くなり、状況によっては少し目に付くかもしれません。

400mm

300mmと同様に見えます。

逆光耐性・光条

50mm

18群24枚と非常にレンズ構成枚数の多い光学系のため、当然ながらレンズ間での反射が多くなりゴーストも多い。フレーム全域に影響を及ぼすようなフレアは良く抑えられているように見えますが、ゴーストが多いので画質への影響は避けられない模様。絞るとゴーストは小さくなりますが、隠れていたフレアがゴーストのように収束するので結果的に悪化します。

光源を隅に配置するとゴーストの発生が抑えられ、絞り開放付近はほぼ問題なし。光源の位置を調整できるのであれば、出来るだけフレーム外となるように調整するのがおススメ。ただし、小絞りを使うと複数のゴーストが発生します。

135mm

広角側と比べるとゴーストが抑えられているものの、目立つフレアやゴーストが消えたわけではありません。絞っても劇的な変化は無し。

やはり光源をフレーム隅や外まで回避するとフレアやゴーストの影響を回避可能。絞っても影響は軽微なので、フレアを抑えたい場合は出来るだけ光源を避けるようにすると良いでしょう。レンズフードも効果的。

400mm

400mmの場合はフレアの影響が強く、全体的にコントラストが低下します。絞っても光条やゴーストの主張が強く、被写体が隠れてしまう可能性が高そう。

光源を隅に配置した場合でも、周辺がややフレア気味となるので注意が必要。絞ると悪化し、フレアの影響範囲が広がる模様。

光条

最小F値から1段ほど絞りを開けたところでシャープな光条が発生します。ただし、回折の影響を考慮すると解像性能などとバランス良く両立するのは難しそう。F16でも光条はシャープですが、小絞りと比べると光条の描写にパンチが欠けている印象あり。

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • ~400mmズームとしては小型軽量
  • 光学8倍の広いズームレンジ
  • 旧世代よりも改善した外装デザイン
  • 防塵防滴・防汚コート
  • カスタマイズ性の高いコントロールレイアウト
  • USB-Cポート経由でのカスタマイズ・更新に対応
  • 高速AF(AF-C時)
  • フォーカスブリージングが良く抑えられている
  • 近距離でも全体的に良好な解像性能
  • ズーム全域で安定感のある遠景解像性能
  • ズーム全域で高い接写性能
  • 倍率色収差を良好に補正
  • 軸上色収差を良好に補正
  • 滑らかな後ボケ

光学8倍の高倍率ズームレンズながら、広角端50mmから望遠端400mmまで良好な解像性能を発揮。これはフレーム中央のみならず、フレーム端や隅まで良好で、ズームレンジを考慮すると驚くほど優れた光学性能。正直に言うと、もう少しパフォーマンスが低いレンズかと思っていました。このため、野生動物やスポーツのみならず、フレーム全域でシャープな結果を得たい風景写真や自然植物などを撮影する場合にも適しています。

望遠を活かした浅い被写界深度の撮影でも、ボケは悪目立ちせず、アウトラインが強調されない柔らかい描写。単焦点ほど美しい描写ではないものの、主張しない扱いやすいボケが特徴。色収差などの補正状態も良く、後処理が難しいと感じるポイントは今のところありません。

悪かったところ

ココに注意

  • シグマ100-400mmよりも非常に高価
  • 三脚リングが別売り
  • テレコンバージョンレンズ非対応
  • ズーム全域で目立つ糸巻き型歪曲
  • ズーム両端で周辺減光が目立つ
  • ゴーストが発生しやすい
  • かなり絞らないと光条がシャープにならない
  • スローシャッター時の手ぶれ補正(要検証・相性の問題?)

高倍率ながら、光学性能に関する欠点は非常に少ない。そして、2つの光学的な欠点(歪曲・周辺減光)はレンズ補正で簡単に修正できるので、環境が整っていれば特に心配する必要はありません。逆光時のゴーストのみ気を付けて撮影すればよく、画角の狭い望遠ズームなので強い光源がフレームに入る機会は少ないはず。

1つに気になる点があるとすればスローシャッター時の光学手ぶれ補正。α7 IV装着時に三脚固定でVCオンのまま1秒以上のスローシャッターで撮影すると、百発百中で不自然なブレが発生。このような場合は手ぶれ補正をオフにすることで問題を回避することが出来ます。
しかし、α7R IVで同種の問題は発生しなかったため、カメラやファームウェアとの相性が原因である可能性もありそう。もしもスローシャッターを利用する機会があるのなら、手持ちのカメラとの相性は事前に確認しておくか、VCはオフに撮影するのがおススメです。

総合評価

満足度は99点。
社外製の100-400mmズームとしては少し高価ながら、幅広いズームレンジと撮影距離で優れた光学性能が得られる汎用性の高いレンズです。400mmズームを検討中で、特にこだわりが無ければバランスが良く、出来ることが多い本レンズが良い選択肢となることでしょう。

幅広いズームレンジ、高い解像性能、滑らかなボケ、高速かつ静かで正確なAF、豊富なカスタマイズ。100-400mm F4.5-6.3と変わらないようなサイズ・重量でこれを実現しており、被写体を選ばずに気軽に使うことが可能。テレコンバージョンレンズには対応していませんが、400mmまでで問題なければおススメの望遠ズームレンズです。

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競合レンズと比べて

100-400mm F5-6.3 DG DN OS

50-400mmよりも数万円安く、買い方次第では10万円以下で購入することが可能。ソニーEマウントにおける同クラスでは最も手ごろな価格の選択肢です。悪くないパフォーマンスの望遠ズームレンズですが、ズームレンジが広いタムロンと比べてアドバンテージが有るわけでは無く、サイズや重量も同程度。おまけにフォーカス駆動がステッピングモーターなので、リニアモーターのタムロンレンズと比べると瞬発力に欠けるがマイナスポイントとなります(それでも十分高速ですが)。50mmの広い画角が必要なく、AF性能にもこだわらなければコストパフォーマンスの高い400mmズームと言えるでしょう。

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150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD

どちらかと言えば「150-600mm」の亜種となるレンズですが、同程度の価格設定で500mmまで手が届く選択肢として検討している人もいるはず。サイズや重量は50-400mmよりも大きくなりますが、500mm F6.7まで利用でき、ズーム全域で接写性能がまずまず良好。VXD駆動による高速AFは同様で、ズームリングを任意のポジションで高トルクにすることが出来るフレックスズームロック機能が便利です。個人的には50-400mmの汎用性が好みですが、500mmを重視するのであればおススメできるレンズに仕上がっています。

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購入早見表

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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