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サムヤン AF 135mm F1.8 FE レンズレビュー 完全版

このページではサムヤン「AF 135mm F1.8 FE」のレビューを掲載しています。

AF 135mm F1.8 FE レビュー記事 一覧

管理人の評価

ポイント 評価 コメント
価格 手ごろな価格
サイズ やや小型
重量 最軽量
操作性 必要十分
AF性能 GMと比べなければ良好
解像性能 F1.8のみややソフト
ボケ 個性的ではないが良好
色収差 良好な補正状態
歪曲収差 ほぼ完璧
コマ収差・非点収差 非常に良好
周辺減光 F1.8から穏やか
逆光耐性 まずまず良好
満足度 コスパの良い135mm F1.8

評価:

携帯しやすい高性能135mm

注意すべきは開放のわずかなソフトさとAF速度のみ。少し絞れば全体的に良好な解像性能を得ることができ、扱いやすいボケや全体的に良好な補正状態の諸収差は高く評価できる高性能なレンズ。さらに同クラスでは最も軽量な772gの軽さは間違いなく強みとなるポイント。

被写体の適正

被写体 適正 備考
人物 F1.8の柔らかさが強みになる
子供・動物 距離によってAF速度が厳しい
風景 不満無し
星景・夜景 ハイライトにフレアが発生する場合あり
旅行 携帯性は間違いなく強みになる
マクロ 寄りやすい135mm
建築物 歪曲収差が良く抑えられている

まえがき

2022年春に登場したサムヤンのEマウント用望遠単焦点レンズです。サムヤン製AFレンズの中では最も焦点距離が長く、F1.8と大口径を採用。AF 50mm F1.4 IIと同じく「第二世代 AFシリーズ」と言うべきレンズであり、外装のデザインや光学設計は第一世代と比べると洗練されているように見えます。価格も上昇気味ですが、それだけの価値があるかどうか、このレビューでじっくりと検証していきたいと思います。

概要
レンズの仕様
発売日 2022年 5月27日 初値 134,000円
マウント E 最短撮影距離 0.7m
フォーマット 35mm 最大撮影倍率 0.243倍
焦点距離 135mm フィルター径 82mm
レンズ構成 11群13枚 手ぶれ補正 -
開放絞り F1.8-F22 テレコン -
最小絞り F22 コーティング UMC
絞り羽根 11
サイズ・重量など
サイズ φ93.4×129.6mm 防塵防滴 対応
重量 772g AF STM
その他 AFリミッター、カスタムスイッチ、AFLボタン
付属品
レンズフード・ポーチ

ソニーEマウントのAF135mmレンズは現状で4本。サイズは中程度ですが、重量が最も軽く、手持ち撮影に適したレンズに仕上がっています。最短撮影距離や撮影倍率はソニーGMと同程度。フォーカスはステッピングモーター駆動のため、ソニーGMには及ばないかもしれませんが、高い静粛性と滑らかな動作を期待できそう。

レンズ構成は11群13枚で、そのうち3枚にEDガラスを使用し、他に1枚の非球面レンズと2枚の高屈折率レンズを使用しています。SAMYANGが公開しているMTF曲線を見ると、フレームの大部分が絞り開放から非常に高解像であることが分かります。実写でMTF通りの性能を発揮できるのか注目ですねえ。

価格のチェック

価格はおよそ12万円前後。サムヤンAFレンズとしては高めの設定ですが、ソニーGMやツアイスと比べるとはるかに手ごろな価格と言えるでしょう。一眼レフ用設計のシグマも選択肢の一つですが、同価格帯とは言えサイズや重量を考慮するとサムヤンが有利と言えるかもしれません。

AF 135mm F1.8 FE
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レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

レンズデザインは最新ながら、パッケージのデザインは従来通り。価格を考慮すると少し安っぽい見た目です。

レンズ本体の他にレンズフード、レンズポーチ、説明書、保証書が付属。Tinyシリーズのようなジャストフィットのハードケースはありません。

外観

外装は主にプラスチック製で、表面は光沢を抑えたマットな仕上がり。フォーカスリングとAFLボタンのみゴム製です。しっかりとした作りですが、ソニー純正レンズやシグマ製レンズほど高級感はありません。同社のTinyシリーズよりもしっかりとしたプラスチック素材ですが、サムヤン旧世代のF1.4シリーズのような金属外装の質感と比べると少し安っぽいです。また、ゴム製AFLボタンに塵が付きやすいのは大きなマイナスポイント。

意匠はシンプルながらモダンなデザイン。レンズを前方から見ると、フード装着部にブランドカラーの赤いリングが見えるのはなかなかお洒落な作り。外装に施された表示は大部分がプリントですが、レンズ名のみエッチング加工を採用。

製造国は韓国。

ハンズオン

外装の質感は強みとはならないものの、その結果として772gの軽量化を実現。135mmの大口径レンズとしてはぶっちぎりの軽さで、これで防塵防滴にも対応しているのだから凄い。手に取って見ると、135mm F1.8とは思えないほど軽いことがわかる。この軽さは間違いなく強みと言えるでしょう。

前玉・後玉

前面は82mmのフィルター径に対応する前玉と、周囲に反射防止の対策が施されたプラスチックカバーを配置。前面にフッ素コーティングが施されているという主張は見られないので、水滴や汚れが付着しやすい環境であれば、保護フィルターの装着がおススメ。

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(金属製と思われる)レンズマウントは4本のビスで固定。レンズマウントの周囲には防塵防滴用のシーリングが施され、リング周辺やスイッチ付近も防塵防滴用シーリングで耐候性が確保されている模様。

フォーカスリング

個性的なテクスチャの幅広いフォーカスリングを搭載。ミラーレス用のフォーカスリングとしてはトルクがやや強く、重めの操作ですが、出だしから滑らかに操作可能。

フォーカスリングのレスポンスは非リニアですが、それでもストロークが非常に長い。一般的な回転速度で操作した場合、ピント全域のストロークが450度と長い。素早く回転した場合でも180度以上の操作が必要となります。フルマニュアルでのフォーカス操作は現実的とは言えません。

レンズドックを使ったカスタマイズでストロークを調整できると良かったかなと。その一方、後述するカスタムスイッチでリングを絞り制御で使うと、重めの回転操作と長いストロークで思いのほか使いやすく感じました。

コントロール

ソニー純正レンズと同じくボディ側でカスタマイズ可能なAFLボタンがあります。さらに、AF/MFスイッチの代わりに2ポジションに対応したカスタムスイッチを搭載。初期設定ではM1で「フォーカスリング」、M2で「絞りリング」として使うことが可能。ただし、絞りリングの状態でも、カメラ側で「MF」に設定した場合はフォーカスリングとして利用します。絞り制御に設定している場合、カメラのコマンドダイヤル操作を受け付けなくなる点に注意。

レンズフード

プラスチック製の円筒型レンズフードが付属。フィルター操作窓やロックボタンのない、シンプルな作りですが、質感はTinyシリーズよりも良好で、ソニー純正と比べて見劣るものではありません。内側には反射防止のマットな塗装が施され、先端には滑り止めや衝撃吸収の役割があると思われるゴムカバーを採用しています。

レンズ本体にはスムーズに装着でき、しっかりと固定されます。逆さ付けにも対応していますが、その際はフォーカスリングが隠れてしまうので不便。

装着例

α7R IVに装着したところ、大きなレンズながらバランスは非常に良好。大口径135mmと言えばフロントヘビーとなる傾向が強いものの、このレンズでそのような感触はほぼありません。重心はグリップ周辺に抑えられている印象。普段使いできる135mm F1.8と言っても差し支えありません。グリップとレンズの空間も十分に確保されています。

AF・MF

フォーカススピード

フォーカスはリードスクリュータイプのステッピングモーター駆動を使用。滑らかで静かに動作しますが、特に移動距離が長い場合に電光石火のAFとは言い難いパフォーマンスです。ピントが迷わず合えば問題のないフォーカス速度ですが、一度おおきく振り切れると復帰に時間がかかる可能性が高い。また、近距離を素早く動く被写体を追いかけるのは厳しいかもしれません。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指す。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となる。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。
今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離と無限遠で撮影した結果が以下の通り。

スライドショーには JavaScript が必要です。

最短撮影距離では画角が狭く、無限遠側で画角が広い。ピント両端で比べると画角の違いは顕著であり、フォーカス速度によってはズーム操作のような違和感を覚えるかもしれません。

精度

特に大きな問題はありませんが、前述したとおりハイスピード・ハイレスポンスではないので、AF-C使用時は精度が低下する可能性あり。

MF

長いストロークにより精度の高いフォーカス操作が可能です。素早く操作するには不向きですが、135mm F1.8の薄いピント面を操作するには適しています。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:ILCE-7RM4
  • 交換レンズ:AF 135mm F1.8 FE
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 100 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

絞り開放は6100万画素を満足に活かす性能ではありませんが、絞ると急速に改善します。F2.8の時点で中央から周辺部まで広い範囲で優れた解像性能が得られ、F5.6まで絞るとフレーム隅まで均質性の高い結果となります。ピークはF8まで続き、以降は回折の影響で低下傾向。

中央

チャート通り、絞り開放はややソフトな描写ですが、F2.8まで絞ると見違えるほど改善しています。絞り開放付近はポートレート向けの少し緩めな描写で、F2.0~F2.8の間に描写が急速に切り替わる模様。細部を見るとF4~F5.6でさらに改善するので、風景など解像性能を重視する撮影ではF5.6-F8を使うのがおススメです。

周辺

基本的に絞り値全域で中央とほぼ同じ結果が得られます。絞った際のピークは中央ほどではありませんが、実写で性能差を判断できるほどの違いはないと思います。

四隅

中央や周辺と比べると数値上はやや劣るものの、実写を確認するとほとんど見劣りしていない結果が得られています。

数値確認

中央 周辺部 四隅
F1.8 3171 3624 2785
F2.0 3543 3729 2867
F2.8 4167 4356 3398
F4.0 4764 4439 3398
F5.6 4628 4273 4469
F8.0 4355 4456 4453
F11 3894 4023 3609
F16 3408 3640 3366
F22 2917 2937 3139

実写確認

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2022年11月16日 くもり 無風
  • カメラ:α7R IV
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:Leofoto G4
  • 露出:絞り優先AE ISO 100 セルフタイマー
  • RAW:Adobe Lightroom Classic CC
    ・シャープネスオフ
    ・ノイズ補正オフ
    ・レンズ補正は極力オフ

テスト結果

中央

絞り開放のF1.8はややソフトな描写ですが、F2.8まで絞ると見違えるようにシャープでコントラストの高い結果が得られるようになります。さらに絞ると急速に改善し、F4付近でピークとなる際立った解像性能が得られます。6100万画素のα7R IVでも満足のいく結果と言えるでしょう。F8以降は回折の影響で徐々に性能が低下するものの、F11付近までは良好な解像性能を得られているように見えます。

周辺

中央と同じく、絞り開放付近はややソフトな描写であり、いまいちパッとしません。F2.8まで絞ると急速に画質が改善し、F4では中央と同程度の際立った解像性能を得ることができます。ピークの性能は中央と見比べても遜色のない結果であり、APS-Cフレームにクロップしても余裕で解像するように見えます。

四隅

中央や周辺部と同じく、絞り開放付近はややソフトな描写。ただし、フレーム隅の結果としては許容範囲内と言えるでしょう。F2.8まで絞るとぐっと改善しますが、非点収差のような像の甘さが若干残っています。ベストを尽くすのであればF5.6~F8まで絞ると非常に優れた結果を得ることができます。

一覧

絞り開放付近のソフトさは少し期待外れですが、少し絞ればフレームの大部分でシャープな結果を得ることができます。F1.8は適度に柔らかい描写が必要なポートレート用、F2.2以降は風景など、と割り切って使えば満足度の高いレンズです。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレーム四隅に現れる色ずれを指す。絞り値による改善効果が小さいため、この問題を解決するにはカメラボディでのソフトウェア補正が必要。ただしボディ側の補正機能で比較的簡単に修正できるので、残存していたとして大問題となる可能性は低い。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向がある。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

コントラストの高い領域で僅かな倍率色収差が残っているものの、この収差が実写で目立つシーンは非常に少ない。絞りによる改善は見られず、絞り全域で一定量の収差が発生しています。カメラ内補正や現像ソフトで簡単に補正可能であり、問題視する必要は無いでしょう。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指す。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられる。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところだが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多い。

軸上色収差を完璧に補正しているレンズはピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できる。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

軸上色収差がごくわずかに残っていますが、良好に補正されているので悪目立ちすることはありません。ただし、ピントの直前・直後におけるボケのアウトラインが強調されており、その部位に目立つ色収差が発生する可能性はゼロではありません。後処理が難しいので光学的に抑えておきたいところ。幸いにもF2.8付近まで絞るとほぼ解消します。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがち。個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくないと感じる。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人がいてもおかしくない。
参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルを以下に示す。

描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によって変化し、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向がある。
特殊な方法として「アポダイゼーション光学素子」などを使って強制的に滑らかなボケ描写を実現しているレンズも存在する。

実写で確認

前後に偏りのないニュートラルなボケです。球面収差が残る、滲むような柔らかいボケは期待できませんが、悪目立ちしない使い勝手が良い描写。軸上色収差によるボケの色づきも目立ちません。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

ここで言う「口径食」とはレンズ口径がボケへ影響していることを指す。
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまったりする。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法が無い。しかし、絞ると羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じてF値を変化させる必要あり。

逆に口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが出来る。これは玉ボケに限った話ではなく、一般的な四隅のボケ描写の質感にも繋がる。口径食が強いと、ボケが小さく感じたり、場合によってはボケが荒れてしまう場合もある。
できれば口径食の小さいレンズが好ましいが、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要がある。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生する(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまう。

実写で確認

フレーム隅に向かって口径食の影響が見られるものの、広い領域で円形を維持しているように見えます。非球面レンズのムラはほとんど目立たず、ボケの縁取りや色づきもほぼありません。口径食はF2.8まで絞るとほぼ解消し、11枚円形絞りでボケの形状をよく維持しています。

ボケ実写

近距離の135mm F1.8は被写界深度が非常に浅く、背景からの分離は容易。F4からF5.6まで絞っても、まだ十分なボケ量が得られます。

撮影距離が多少長くなったとしても、得られるボケ量に大きな変化はありません。全体的に滑らかで綺麗なボケ。

スタジオテストと同じく、前後のボケ質に大きな違いが見らない、使い勝手の良い描写です。1~2段絞っても見栄えの良い描写を維持しているのも強みと言えるでしょう。

撮影距離

全高170cmの三脚を人物に見立てて、様々な撮影距離から135mm F1.8で撮影した作例が以下の通り。全身をフレームに入れても背景から分離できるほどのボケ量が得られます。この際のボケは口径食がやや目立ち、状況によっては少し背景が騒がしく見えるかもしれません。接近するほどボケの見栄えが良くなり、上半身くらいまで撮影距離を短くすると満足のいく結果が得られます。

球面収差

前後のボケに描写の違いは見られず、球面収差は綺麗に補正されているように見えます。玉ボケにわずかな描写のムラが発生しているのは非球面レンズの研磨ムラでしょうか。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうことを指す。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすい。主に魚眼効果と似た形状の「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれる。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差だが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となる。

実写で確認

スライドショーには JavaScript が必要です。

目視でほとんど影響がないくらいに良く補正されています。

周辺減光

周辺減光とは?

周辺減光とは読んで字のごとく。フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ちを指す。中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となる傾向。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生する。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象だが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景で高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

最短撮影距離

絞り開放で広い範囲に薄っすらと減光の影響が見られますが、過度な光量落ちは見られず、よく抑えられているように見えます。

無限遠

最短撮影距離と比べると目立つようになりますが、それでも小型軽量な135mm F1.8としては周辺減光の強度は低い。特に補正の必要性は感じません。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないことを指す。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要がある。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる。

実写で確認

極わずかに収差が残存しているようにも見えますが、全体像からすると軽微な影響であり特に問題はありません。F2.8付近まで絞るとほぼ完璧に抑えることが可能です。

逆光耐性・光条

中央

フレアの影響で軽微なコントラスト低下が見られるものの、絞ることで改善します。その一方でゴーストが収束して目立ちやすくなるので注意が必要です。このような大口径望遠レンズとしてはまずまず良好な性能かなと思います。

光源周辺に光の輪のようなフレアが発生しますが、それ以外はよく抑えられているように見えます。

光条

ハイライトに光の輪のようなフレアが発生しています。原因は不明ですが、絞ることで改善します(F2.8付近で見えなくなる)。その後はF5.6付近でシャープな光条が発生し始め、F16のピークに向かって徐々に切れ味が良くなります。先細りする綺麗な光条ですね。

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • 非常に軽量
  • 手ごろな価格設定
  • 寄りやすい
  • 防塵防滴仕様
  • 微調整可能なMFリング
  • カスタムスイッチとAFLボタン
  • 絞った際にフレーム隅まで高解像
  • 倍率色収差の補正状態が良好
  • 軸上色収差の補正状態が良好
  • ニュートラルな見栄えの良いボケ
  • 口径食が目立たない
  • 歪曲収差の補正状態が良好
  • 周辺減光が穏やか
  • コマ収差の補正状態が良好
  • 逆光耐性が良好
  • 光条がシャープ

開ければ柔らかい描写で、絞れば高解像センサーでも満足のいく解像性能が得られる大口径の望遠レンズです。135mm F1.8のレンズとしては非常に軽量で、長時間の手持ち撮影で良好な携帯性は強みと感じるはず。軽量で手ごろな価格ながら光学性能は良好で、全体的に見て弱点と言えるポイントは少なめ。強いこだわりが無く、気軽に135mmの大きなボケを得てみたいのであれば面白い選択肢になると思います。

悪かったところ

ココに注意

  • 外装の高級感はGMやArtほどではない
  • 遅くは無いが速くもないAF
  • フォーカスブリージングが目立つ
  • 絞り開放付近は全体的に少しソフト
  • ハイライトに光輪が発生する場合あり

最も気を付けるべきは絞り開放の解像性能が少しソフトであること。これは近距離での撮影時のみならず、中距離や長距離でも同様の傾向が続きます。もしも開放からキレの良いパフォーマンスが必要であればG Masterレンズなどを考慮したほうが良いかもしれません。と言っても、このレンズもF2.2くらいまで絞ればグッと良くなるので、価格差ほどの性能差を感じることは出来ないかもしれません。開放のソフトさも状況によっては強みとなる場合もあり。

どうあがいてもG Masterに近づくことが出来ないのはフォーカス速度。ステッピングモーターとXDリニアモーターの違いは歴然としており、特に近距離で素早く動く被写体が多いのであれば純正レンズを検討したほうが良いでしょう。それ以外の場合であればサムヤンのAFでも十分に対応できると思います。

総合評価

満足度は95点。近距離の動体メインでなければおススメしやすい大口径レンズ。
開放の切れ味はイマイチですが、少し絞れば非常に良好となるので、個人的にはあまり気にしていません。また、絞りによる描写の変化を程よく楽しむことが出来ます。軽量で手持ち撮影と相性が良く、お散歩レンズとして使うのもやぶさかではありません。諸収差も良好に補正されているので操作・描写の使い勝手がGood。

フォーカス速度は人によって欠点と感じるかもれませんが、風景や静止した被写体を撮影するのであれば特に不満を感じることは無いでしょう。APS-Cクロップで「ハイスピードの望遠レンズ」として使うような人には向いていない可能性が高いです。

「SAMYANG」レンズの品質はどうなのか?
個人的な経験で言えば、日本ブランドのレンズと比べると初期不良を引き当てる可能性が高かったです。ただし、それは比較的古く、価格の安いモデルで多く経験したことであり、最近の比較的高価なサムヤンレンズで初期不良を引き当てたことはありません。また、2022年現在はKenkoTokinaが代理店となっているので、万が一不良品を掴んでしまったとしても交換対応や修理などに応じしてくれる可能性があります。

購入早見表

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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