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シグマ「28-70mm F2.8 DG DN | C」交換レンズレビュー完全版

シグマ「28-70mm F2.8 DG DN」のレビュー完全版を公開しました。

このレンズについて

  • 驚くほどの小型軽量な大口径ズーム
  • 特性は24-70mm F2.8 DG DN Artとよく似ている
  • 28mm側の解像性能が最も高い
  • ズームレンズとしては滑らかなボケ
  • 部分的に諸収差の補正がArtよりも悪い(補正可能)
  • 特にAF-Cで高速フォーカスを実現
  • 一部の初期ロットで逆光耐性が将来的に低下する可能性あり

コンパクトながらバランスよく高水準にまとめられた大口径ズームレンズ。部分的にレンズ補正が必須だと感じるものの、解像性能やボケに妥協が少なく、満足のいく光学性能に仕上がっている。24mmや防塵防滴が必要無ければ真面目に検討できるおススメの大口径ズームレンズ。

まえがき

レンズのおさらい

レンズ概要

  • 2021-03-12 発売
  • 商品ページ
  • データベース
  • 管理人のFlickrアルバム
  • レンズ構成:12群16枚
  • 開放絞り:F2.8
  • 最小絞り:F22
  • 絞り羽根:9枚(円形絞り)
  • 最短撮影距離:19-38cm
  • 最大撮影倍率:1:3.3-1:4.6
  • フィルター径:φ67mm
  • レンズサイズ:φφ72.2mm×103.5mm
  • 重量:470gg
  • 撥水防汚コート
  • ナノポーラス・スーパーマルチレイヤーコーティング
  • ステッピングモーター駆動
  • 簡易防塵防滴

シグマのフルサイズミラーレス用レンズ群「DG DN」シリーズにおける11本目となるレンズ。ズームレンズとしては4本目であり、標準ズームとしては2本目。シグマは2019年末に標準大口径ズーム「24-70mm F2.8 DG DN」をリリースしており、まさか1年とちょっとで2本目の標準大口径ズームが登場すると誰が予想できたでしょうか。

このレンズは24-70mm F2.8の光学設計を継承しつつ、広角側を28mmまで狭くして小型軽量化を実現。24-70mmのパフォーマンスを維持しつつ、重量を半分程度まで抑えた意欲作です。競合モデルは当然タムロンの「28-75mm F/2.8 Di III RXD」ですが、このレンズはさらに全長を短くし、より軽量化を遂げています。

軽量化の代償として、プラスチックパーツが多く、防塵防滴も簡易仕様です。とは言え、シグマ「fp」やソニー「α7C」と組み合わせることでシステム重量が1㎏を切るのは魅力的であり、妥協点以上の魅力があると感じる人もいることでしょう。

価格のチェック

ネットでは実売8万円前後で取引されています。フルサイズ用の大口径ズームレンズとしては安く、ここ最近で競合するとしたらタムロン「28-75mm F/2.8 Di III RXD」くらいでしょうか?タムロンと比較して若干高めですが。携帯性やシグマ最新設計のレンズと考えると魅力的と言えるでしょう。

レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

シグマグローバルビジョン(SGV)世代らしい白と黒を基調としたデザインの箱。2012年にSGVとして初登場した「35mm F1.4 DG HSM」から変わらないデザインですね。レンズの間仕切りは段ボール箱で覆われています。

付属品はレンズ本体の他にフード・説明書・保証書が付属します。Artラインのようなレンズケースはありません。

外観

外装は主にプラスチックパーツを使用。典型的なContemporaryラインのビルドクオリティです。プラスチック外装ですが全体的に作りは良好で、安っぽい作りでは決してありません。フォーカスリングはプラスチック製ですが、ズームリングは表面にグリップを高めるゴムカバーが施されています。

フォーカスリングとズームリング以外のコントロールはAF/MFスイッチのみ。ズームリングをロックする機構が無いのは惜しい。

ハンズオン

全長わずか103mm、重量470gと小型軽量な大口径ズームレンズです。あのタムロン「28-75mm F/2.8 Di III RXD」よりも小さく軽量なレンズに仕上がっています。レンズの作りで見劣りするかというとそうでもなく、むしろシグマのほうが高級感のある仕上がりです。ただし防塵防滴仕様は簡易的なものなので注意が必要。

前玉・後玉

フィルター径は67mmとコンパクト。24-70mm F2.8クラスの一般的なフィルター径が77-82mmと考えると非常に小さい。フィルターサイズが小さいぶん、C-PLやNDなど特殊フィルターの導入費用を抑えることができます。

前玉には撥水防汚コートを採用しているので、水滴や軽い汚れであればメンテナンスしやすい仕様です。とは言え、傷や重めの汚れが想定される場合はプロテクトフィルターを装着しておくのがおススメ。

真鍮製レンズマウントは4本のビスで固定。マウント周囲は簡易防滴用のシーリングが施されています。マウント付近の鏡筒にはエディションナンバーである「021」をプリントしているほか、最短撮影距離や「日本製」の表示を確認可能。

後玉はマウント付近に配置され、固定されています。ズーム操作による位置の変動はありません。このため、カメラ装着時にイメージセンサーから後玉までの空間における空気の出入りは無いものと思われます。密閉性が高く、防塵防滴の観点でプラスに働くことでしょう。

フォーカスリング

19mm幅のフォーカスリングは適度な抵抗量で滑らかに回転します。このクラスのフォーカスリングと言えば、抵抗が無く、非常に緩いイメージがあるものの、本レンズは非常にきちんとした抵抗を伴います。24-70mm F2.8 DG DNと比較して少し重く、より適切な操作感を得られる印象。とても良い。

ピント移動量はリング回転速度に依存し、素早く操作した場合は約180度ほどの操作量。ゆっくりと回転した場合は360度程度の操作量でピント全域を移動します。ほどよい移動量でフルマニュアルでも素早く、正確なマニュアル操作を実現。

ズームリング

約28mm幅のズームリングは一貫したトルクで滑らかに回転します。フォーカスリングと同じく適切な抵抗があり、誤操作の可能性が低い。28mmから70mmまで90度未満の回転角で素早い操作が可能です。

28mmから70mmへズームすることで、内筒が2.7cmほど前方へ伸びます。内筒にはシグマが特許を保有するTSC材を使用しており、プラスチックよりも強度が高く、アルミニウムと同等の熱特性を備えた頑丈なパーツです。24-70mm F2.8 DG DNの内筒ほどしっかりとした印象ではありませんが、小型軽量レンズには必要十分。

レンズフード

プラスチック製の花形レンズフード「LH706-01」が付属します。ありふれたプラスチック製レンズフードに見えますが、内側には反射防止用の切り込みが、表面には滑り止めのゴムカバーが施されています。滑り止めは悪くない感触ですが、小ゴミが付きやすいのは泣き所。

装着例

α7R IVと組み合わせたところ、F2.8ズームとは思えないような小型軽量レンズ。パッと見はF4ズームに見えますね。バランスはとても良好で、フロントヘビーと感じず、片手での操作も問題ありません。

24-70mm F2.8 DG DNとの比較

24-70mm F2.8 DG DNを隣に置いてみると、サイズ差は歴然としています。遥かに短く、細く、軽いレンズに仕上がっています。部分的に金属パーツを使用している24-70mmと比べるとプラスチッキーですが、28-70mmも悪くない仕上がり。

70mmまでズームすると全長差はさらに広がります。さらにレンズフードを装着すると、最大径にも大きな差が生じます。携帯性・収納性の違いは大きい。

AF・MF

フォーカススピード

基本的には24-70mm F2.8 DG DNと同等。AF-SでもAF-Cでも軽快に動作します。サードパーティ製の泣き所として、AF-Sの動作にウォブリングが混じるため、ソニー純正と比べると合焦速度にわずかな遅延が見られます。AF-Cではウォブリングが無くなり、素早く被写体を捕捉します。

ブリージング

ピント位置による画角変化は皆無ではなく、近側で画角が広くなる傾向があります。ズームレンジ全域で一貫した傾向が見られ、動画撮影時などでブリージングが目に付く可能性あり。

精度

α7R IVと組み合わせた限りでは精度に大きな問題はありません。

MF

リニアな応答性のフォーカスリングではありませんが、操作量が適度にあり、直感的な操作が可能です。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:α7R IV
  • 交換レンズ:28-70mm F2.8 DG DN
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • α7R IVのRAWファイルを使用
  • ISO 100 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェックしています)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証しています。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性があります。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

28mm

注意

広角28mmで解像力チャートをフレームに合わせるためには最短撮影距離に近い位置でテストすることとなります。必然的に周辺や四隅の解像性能に影響が出やすい点に注意してください(近距離では収差が大きくなりやすい)。

中央

絞り開放から4000を超える非常に良好な結果で、F4まで絞ればこの解像力チャートで測定できる限界値に到達します。文句ナシの結果であり、遠景解像でも同じようなパフォーマンスを発揮し、F4以降はF11まで限界値を維持しています。回折の影響でF16-22は性能が低下。

周辺

中央と比べてパフォーマンスが大きく低下。コントラストが悪化しており、F2.8では解析ソフトによる分析が不可能でした(極端に甘い描写ではないが、解析ソフトが機能しなくなる)。F4まで絞るとコントラストがグッと改善し、3000を超える良好な結果となります。F5.6~F8でさらに性能は向上し、最終的に中央と同程度の結果を得ることが可能。ピークはF8~F11。

四隅

周辺と同じくF2.8は解析不能。F4まで絞ると少し改善しますが、良像と言うにはコントラストが低いです。F5.6~F8で急速に改善し、F8~F11でピークの性能に到達。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F2.8 4258
F4.0 4568 3173 2625
F5.6 4534 3937 3613
F8.0 4534 4475 3820
F11 4550 4597 4253
F16 3921 3780 3576
F22 3277 3109 2995
実写確認

35mm

中央

28mmと同じく絞り開放から4000を超える非常に良好な性能。解像力チャートで測定できる限界値に達しています。遠景の実写テストでは「FE 35mm F1.4 GM」と遜色のない結果であり、28-70mm F2.8 DG DNの実力は確か。性能はF11まで4500以上を維持し、それ以降は回折の影響で低下します。

周辺

28mmと同じくF2.8は解析不能。F4まで絞ると改善し、F5.6で良像を得られる傾向も28mmと同じ。F8まで絞れば中央と同じく解析上限値に突き当たります。

四隅

F2.8で甘いのはもちろんとして、F4まで絞っても解析不能。数値がハッキリとするのはF5.6以降となります。それ以降は絞ることで確かに改善し、F8-F11で4000に近いとても良好な結果を得ることが可能。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F2.8 4502
F4.0 4629 2958
F5.6 4680 3674 3025
F8.0 4594 4574 3869
F11 4500 4591 4007
F16 4017 3919 3534
F22 3164 3215 2809
実写確認

50mm

テスト結果

中央

広角側と比べてF2.8のパフォーマンスが低下。おそらく、これは軸上色収差や球面収差の補正状態が悪化するため。実写を確認すると、確かにコントラストが低下し、僅かに色収差も見られます。絞ると画質は急速に改善し、F5.6で4500を超える極めて良好な性能となる。性能はF16で低下するものの、それでもF2.8やF4よりも良好な状態。F22は回折のデメリットが上回る。

周辺

やはりF2.8は解析不能。F4まで絞っても広角側ほど良くは無く、良好な画質を得るにはF8付近まで絞る必要あり。F8以降は4000を超える良好な画質を実現し、F16までは性能を維持しています。

四隅

F2.8は非常にソフトな描写で、周辺のF2.8と見比べても1ランク低い画質。F4まで絞っても依然としてソフトであり、F5.6でなんとか解析できる程度となる。F8で4000近い性能まで改善するものの、そこで頭打ちとなり、F11以降は少し低下します。それでもF4~F5.6よりは良好。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F2.8 3634
F4.0 4072 2562
F5.6 4845 3235 2932
F8.0 4597 4075 3910
F11 4545 4406 3636
F16 4033 4006 3630
F22 3156 3201 3003
実写確認

70mm

テスト結果

中央

50mmと同じく、絞り開放のパフォーマンスが低い。この傾向は遠景撮影でも同じとなるため、ディテールやコントラストを重視する場合はしっかりと絞りたい。ピークのF8へ向けて徐々に改善し、F5.6以降はとても良好なパフォーマンスを発揮します。

周辺

他の焦点距離と同じくF2.8は解析不能。F4で少し安定するものの、満足のいく画質を得たいのであれば少なくともF5.6まで絞りたいところ。F8~F11は4000を超える良好な性能を得ることが可能。

四隅

50mmと同じくF2.8~F4は解析不能。特にF2.8はかなり甘い。F5.6まで絞ると許容できる画質となり、F8~F11でとても良好な結果を得ることができます。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F2.8 3423
F4.0 3715 2274
F5.6 4367 3621 3129
F8.0 4795 4133 3707
F11 4545 4234 3953
F16 4082 3924 3489
F22 3245 3098 2895
実写確認

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2021-03-15:晴天(時々日陰):微風
  • テストカメラ:α7R IV(6100万画素)
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:Leofoto G4
  • ISO 100 固定
  • RAW出力→Adobe Lightroom Classic CCで現像
  • 現像時にシャープネス0設定

28mm

中央

絞り開放からピークの性能を発揮。絞りによる画質の改善はほぼ見られません。絞ることで僅かにコントラストが改善しているようにも見えますが、じっくりと見比べなければ分からない程度の差。回折の影響を受けるのが若干早く、F8まで絞るといくらかコントラストが低下していることが分かります。F16~F22ではα7R IVの高解像を全く活かすことが出来ないように見えます。

周辺

中央と比べるとF2.8の画質がいくらか低下しますが、まずまず良好なパフォーマンスを発揮。F4まで絞ると残存していた色収差の影響が無くなりピークの性能に到達。F4からF8までピークの性能を維持しています。F11からF22に至るまで、回折の影響でコントラストが低下します、

四隅

F2.8の場合、中央や四隅と比べると画質が1ランク低下します。若干甘い描写ですが、大口径標準ズームレンズの広角端における四隅と考えると健闘している画質。1段絞るとコントラストが改善し、より解像感のある結果を得ることができます。F5.6~F8でさらに描写が安定するものの、F4から顕著な画質の改善は期待できないようです。

実写で確認

24-70mm F2.8 DG DNの28mmと比べて画質差はほとんどありません。

35mm

中央

絞り開放から非常に高解像です。同時に持ち出したFE 35mm F1.4 GMと見比べて遜色のないパフォーマンスを発揮。絞り値による改善はまったく見られず、開放からトップスピードと考えて問題無さそう。

周辺

中央と比べると像が甘くなっているように見えます(F2.8時の色収差の影響が大きいかも)。F4~F5.6で画質が改善し、F5.6~F8でピークのパフォーマンス。この領域はFE 35mm F1.4 GMと明らかに差が付きますが、F4まで絞ると28-70mmも健闘しているように見えます。

四隅

周辺と比べてさらにF2.8の描写が甘くなっています。これはコマ収差による影響があると思われ、絞ると改善しますが、F4まで絞っても僅かに甘く、F8のピークに向かって徐々に向上。ピーク時はFE 35mm F1.4 GMほどではありませんが、十分きちんとした画質です。

実写で確認

中央は24-70mm F2.8 DG DNとほぼ変わりませんが、コントラストは28-70mmのほうが良好に見えます。同じ傾向は周辺部でも見られますが、四隅は24-70mmのほうが優れています。ただし、四隅はF8まで絞れば差が無くなります。

50mm

中央

35mmと同様、絞り開放からピークの性能を発揮。絞りによる画質改善はありません。F8で若干のコントラスト低下が始まっているように見えます。

周辺

35mmと同じくF2.8で色収差の影響が見られます。解像性能自体はF2.8から良好ですが、コントラストを改善したい場合はF4まで絞ると良いでしょう。F4以降は絞っても顕著な画質改善は無し。

四隅

他の焦点距離と同じく、F2.8はいくらか甘い描写です。絞ることでコマ収差と色収差を抑えることが可能。F8のピークに向かって、絞るごとに少しずつ画質が向上しています。

実写で確認

全体的に24-70mm F2.8 DG DNと同じ性能を発揮しています。

70mm

中央

絞り開放は僅かにこのトラストが弱いため、ベストを尽くすのであればF4~F5.6まで絞るのがおススメ。全体的に他の焦点距離よりも解像性能が低く、切れ味が弱い。絞れる環境であれば積極的に絞っておきたいところ。

周辺

中央と同じく、絞り開放のコントラストが少し低いです。絞ることで徐々に改善し、F5.6~F9でピークに達します。それほど顕著に改善するわけでは無いので、F2.8で後処理を施すのも一つの手。

四隅

安定感があり、極端な画質低下がないものの、若干ソフトな描写で切れ味は悪い印象。ピークのF8に向かって徐々に改善しますが、そう大きな変化はありません。粗い描写では無いので、後処理のシャープニングやコントラストの調整で満足のいく結果を得られる可能性あり。

実写で確認

24-70mm F2.8 DG DNとの差はほぼありません。

撮影倍率

レンズの最短撮影距離は28mm時に0.19m、70mm時に0.38mです。この際の撮影倍率はそれぞれ「1:3.3」と「1:4.6」。24-70mm F2.8 DG DNと同じく、広角側で撮影倍率が最大化し、望遠側は撮影倍率がいくらか低下します。28mmでは画角が広すぎ、撮影距離が短すぎて使い辛いので、似たような倍率を確保できる35mmを使うのがおススメ。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレーム四隅に現れる色ずれです。絞り値による改善効果が小さいため、この問題を解決するにはカメラボディでのソフトウェア補正が必要となります。ボディ側の補正機能で比較的簡単に修正できます。

28mm

近距離解像力チャートのテスト結果から四隅をクロップして確認。6100万画素のα7R IVで確認しても細部まで視認できる色ずれはありません。とても良好に補正されているように見えます。ソフト補正をオフにしたとしても実写で目立つシーンは少ないと思われます。

35mm

基本的に28mmと同様、非常に良好な補正状態です。ソフト補正を切り忘れたのでは、と2度確認したほど。絞り値全域で特に大きな問題はありません。

50mm

基本的に広角側と同じく良好な補正状態です。薄っすら色づいているようにも見えるのは恐らく軸上色収差の影響。引き続き非常に良好な補正状態です。

70mm

50mmと同じ。
このレンズはズームレンジ全域・絞り値全域で非常に良好な補正状態を実現している模様。倍率色収差の問題はなく、心配無用。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指しています。手前側で主にパープルフリンジとして、奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差です。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところですが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多いです。

28mm

絞り開放から非常に良好な補正状態です。僅かに色づいているようにも見えますが、実写で問題となる収差量ではないでしょう。

35mm

28mmと比べると極僅かに軸上色収差が増加しているように見えます。依然として問題ない程度ですが、極度にハイコントラストな領域では色ずれが目に付くかもしれません。僅かに残存する収差は1~2段絞るとことで解消しています。

50mm

広角側と比べると明らかに収差が顕著となり、実写でも目に付くシーンはあるはず。このクラスのズームレンズとしては意外なほど収差が残存しています。この傾向は24-70mm F2.8 DG DNと同じで、タムロンよりも悪い。

70mm

50mmと比べてさらに収差が強くなります。ハイコントラストなシーンではパープルフリンジなどに気を付けたほうが良いでしょう。F8までにほぼ解消しますが、F4~F5.6ではいくらか収差が残存しています。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には滲むように柔らかくボケるのが綺麗と感じます。逆に、段階的にボケず、急にボケ始める描写を硬調で好ましくないと感じます。

実写で確認

28mm

比較的後ボケ重視の傾向が見られ、後ボケが柔らかく滑らかにボケる一方で前ボケが少し硬い。28mm F2.8で前ボケを重視する機会は少ないと思われ、良好なバランスのボケと言えるでしょう。軸上色収差のテスト結果通り、ボケに色付きはなく、輝度差のある領域で騒がしさは見られません。

後ボケに限って言えば下手な単焦点レンズよりも良好な描写に見えます。24-70mm F2.8 DG DNと同じく、このクラスのレンズとしては強みとなるポイント。

70mm

基本的には28mmと同じく後ボケ重視の描写傾向。ズームレンズながら柔らかい後ボケを期待できます。ただし、28mmと比べて軸上色収差の影響が明らかに強い。後ボケはシアン、前ボケにはマゼンダの色ずれが見られ、少し騒がしくなっているのが残念。後ボケは柔らかくボケるため、悪目立ちしにくいものの、前ボケは騒がしく見えます。状況によってはパープルフリンジとして現れる可能性もあるため注意が必要です。

実写で確認 撮影距離

28mm

至近距離(1枚目)ではボケが大きく、描写は比較的滑らかで綺麗。色付きも少なく、見栄えの良い描写です。多少の輝度差があるボケも程よいコントラストで抑え込んでいる印象。ただし完璧ではなく、四隅に向かって口径食の影響があります。
少し距離を開けるとボケが小さくなります(2枚目)。まずまず良好な描写ですが、フレーム周辺部から四隅にかけて、非点収差や口径食の影響で少し騒がしい描写。しかし色収差を良く抑えているので悪目立ちしていない点を評価できる。
さらに距離が開くと(3枚目-4枚目)、ボケの縁取りが強くなり、若干騒がしく見えます。ズームレンズとしては健闘しているように見えますが、ボケ重視の単焦点レンズと比べると少し見劣りする。

70mm

至近距離では非常に柔らかい後ボケを得ることが出来ます(1枚目)。前述したようにボケの色付きはありますが、このボケ量であれば気にならない。
少し距離を開けても(2枚目)満足のいく柔らかいボケ描写。ボケの縁取りに僅かな色収差が見られるものの、許容範囲内。
さらに距離が開くと(3枚目-4枚目)、ボケの縁取りが強くなり、色収差の影響が少し目立つようになります。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、四隅が楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまったりします。これを解消するには絞りを閉じるしかありません。しかし、絞ると羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じてF値を変化させる必要あり。

逆に口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが出来ます。これは玉ボケに限った話ではなく、一般的な四隅のボケ描写の質感にも繋がります。口径食が強いと、ボケ量が少なく感じたり、四隅のボケが荒れてしまう場合もあるため、口径食の小さいレンズが好ましい。

28mm

周辺減光のテスト結果からも分かるように、このレンズは28mmにおける口径食の影響が強く現れています。APS-C領域まではまずまず良好に見えますが、そこから四隅に向かって急速に口径食の影響あり。一般的に口径食と言えば「楕円形」ですが、このレンズは歪な形状となり、楕円形よりも見栄えが悪いのはマイナス。絞ると徐々に改善しますが、同時に玉ボケが角ばり始めるのが悩ましいところ。

35mm

28mmと比べると口径食の影響が少なく、F4まで絞れば概ね改善します。このレンズは光学設計に非球面レンズをいくつか使用していますが、玉ボケに極端なムラはありません。

50mm

四隅以外は絞り開放から良好です。広角側ほどの不自然さはなく、さらに1段絞ればほぼ改善。

70mm

広角端(28mm)と比べると遥かに良好な結果。歪な形状とならず、四隅に向かって一般的な楕円形へと変化します。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに「歪む」収差です。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすい。主に魚眼効果と似た形状の「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

28mm

中程度の樽型歪曲ですが、陣笠状に変形するので手動補正は非常に難しい。レンズプロファイルによる補正は必須であり、Adobe Lightroomにプロファイルが無い現状はカメラ出力のJPEGでなんとかしたいところ。

35mm

歪曲の形状は樽型から糸巻き型に切り替わっています。穏やかな収差ですが、直線的な被写体を撮影する場合は目に付きます。28mmと同じく歪曲の形状が奇妙で、手動補正は難しいと思われます。ちなみに24-70mm F2.8 DG DNは穏やかな樽型であり、少し傾向が異なる模様。

50mm

やや強めの糸巻き型歪曲。35mmと比べると自然な歪曲収差に見えますが、収差が大きく、より大きな補正値を必要。24-70mm F2.8 DG DNはこの焦点距離で歪曲収差がゼロに近い状態となります。

70mm

50mmよりも少し強めの糸巻き型歪曲。ここまでくると直線的な被写体以外でも補正は必須と感じます。24-70mm F2.8 DG DNはより穏やかな糸巻き型歪曲です。

周辺減光

周辺減光とは?

周辺減光とは読んで字のごとく。フレーム周辺部で発生する不自然な減光のことです。中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となっていることを指します。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生、ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を増感でカバーするのでノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景で高感度を使う場合にはノイズが強く現れる可能性があります。

28mm

コンパクトなF2.8ズームレンズの妥協点でしょうか。絞り開放では四隅に向かって強めの光量落ちが発生します。Adobe Lightroomで補正する場合、「+89」で補正の最大値に近い強度で修正しなければなりません。当然、ノイズが強くなるので特に高感度ISO使用時は注意が必要です。絞りで光学的に改善するためにはF5.6まで絞る必要があります。ただし、四隅はしつこく光量落ちが残るため、場合によっては後処理が必要。

35mm

28mmよりは影響が少なく、F4まで絞ると全体的に改善します。F5.6まで絞れば四隅の光量落ちも改善し、補正は必要なくなります。

50mm

35mmよ比べると四隅の光量落ちがやや強めに発生します。F4まで絞っても無限遠側で強く残存しており、F5.6まで絞っても僅かに目に付きます。F8まで絞ればほぼ解消。

70mm

50mmと同傾向ですが、さらに光量落ちが強くなります。最短撮影距離より無限遠側で光量落ちが強くなるのも50mmと同じ。絞ると改善しますが、完璧に抑え込もうとするとF8まで絞る必要があります。

コマ収差・非点収差

コマ収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないことを指しています。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日などが影響を受ける場合があります。後処理が出来ないため、光学的に補正する必要がある収差。絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞り開放のコマ収差補正が重要となります(絞るとシャッタースピードかISO感度に影響があるため)。

28mm

完璧な補正状態ではなく、いくらかコマ収差・非点収差が残存しているように見えます。おそらく、これが遠景解像の四隅にマイナスの影響を与えています。
絞ることで安定するので、ベストを尽くすのであればF5.6~F8まで絞りたいところ。この結果も遠景解像と同じ傾向。

35mm

28mmと同じく絞り開放で収差が残存していることが分かります。実写で目障りな収差量ではありませんが、完璧に抑えようとするとF5.6~F8まで絞りたいところ。

50mm

他の焦点距離と同じく収差が残っています。F8に向けて徐々に改善する傾向も同じ。

70mm

他の焦点距離と比べるとコマ収差や非点収差の影響が小さく見えます。この結果も遠景解像と同傾向。

逆光耐性・光条

注意ポイント

シグマは本レンズの初回ロットにて「経年による逆光耐性低下」の可能性を告知しています。手持ちのレンズは指定されているシリアルナンバー外ですが、ギリギリ対象外のロットです。

修正:対象ロットでした

28mm

強めの光源をフレームに入れると、光源の位置によらずゴーストが発生します。もちろん、このような強い光源がフレームに入るシチュエーションは限られていると思いますが、ライブハウスなどの照明では同じ傾向となる可能性あり。屋外の風景写真でこのような問題が発生することは少ない。フレアは絞り値によらず目に付き、絞るとゴーストが目立ち始めます。

35mm

28mmと比べるとフレア・ゴーストの強度が低下しているように見えます。実写で目立つシーンは限られてくるはず。ただし、F11付近からゴーストの影響が強くなります。逆光時の絞り過ぎには気を付けたいところ。

50mm

広角側と比べてフレア・ゴーストの影響が遥かに少ない。ただし、強めの小さなゴーストが発生しているため、場合によっては広角側よりも厄介と感じるかもしれません。

70mm

基本的に50mmと同傾向。

総評

肯定的見解

ココがポイント

  • 小型軽量
  • この価格帯では良好な作り
  • 密閉性の高いマウント部
  • 良好なコントロール
  • 高速かつ静かなAF(特にAF-C時)
  • ブリージングの影響が目立ちにくい
  • 広角側の解像性能
  • 絞るとズームレンジ全域で良好な解像性能
  • ズームレンジ全域で良好な倍率色収差補正
  • 広角側の軸上色収差補正
  • 滑らかな後ボケ
  • まずまず良好なコマ収差補正

何と言っても注目するポイントはレンズの携帯性。
広角側を28mmに抑えることで、これほどまでに小型・軽量化できるのか。24-70mm F4やAPS-C用標準ズームに近いサイズは間違いなく強みとなるはず。携帯性しやすく、持ち出す機会が増え、使う頻度が増えることで「買ってよかった」と実感することでしょう。

小型軽量による光学性能の妥協はほとんど感じられず、基本的に24-70mm F2.8 DG DN Artと同じ感覚で扱うことが出来ます。Artと違い広角側に解像性能のバランスが偏っている点に注意が必要ですが、28mmを使ったスナップには最適。

後ボケは基本的に滑らかで綺麗。色収差は望遠側の軸上色収差以外は良好に補正され、オートフォーカスはAF-Cなら非常に快適に動作します。ズームレンズのボケに過信しなければ満足のいく描写。

批判的見解

ココに注意

  • 簡易防滴
  • ズームロックなし
  • 接写時の周辺解像性能
  • 望遠側の軸上色収差
  • 広角側の口径食(減光・ボケ)が顕著
  • ソフト補正必須の歪曲収差
  • 逆光耐性

最も注意したいのはレンズの歪曲収差。レンズ補正は必須であり、広角側では陣笠状の目立つ樽型、標準~望遠では目立つ糸巻き型歪曲が発生します。これはArtよりも明らかに目立つので、現像時は専用のプロファイルが必須となります。同時に周辺減光もかなり強めに発生するため、自動補正を適用するのがおススメです。

Artと同じく接写時に周辺解像が大きく低下する点にも注意が必要。絞ることで改善しますが、周辺までシャープな描写を得るにはF8~F11くらいまで絞る必要があります。さらに特定の逆光条件ではゴーストやフレアが出やすいので、状況によってはフレームの調整など工夫が必要。
手持ちのレンズは「経時で逆光耐性が低下する”可能性がある”初期ロット」ですが、購入直後からパフォーマンスが低下していたのかは不明。現在、新品交換の対応中。

総合評価

管理人
満足度は95点。
小型軽量ながらバランス良くまとまった光学性能は大いに評価できる。比較的広角側に重心を置いた解像性能と、デジタル補正必須の歪曲収差・周辺減光には気を付けたいところ。個人的に24-70mm F2.8 DG DNを手放して28-70mm F2.8に乗り換えようか悩み中。
28-70mm F2.8 DG DN Sony E
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28-70mm F2.8 DG DN Leica L
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併せて検討したいレンズ

24-70mm F2.8 DG DN Art

光学設計をある程度共有していると思われるシグマArtラインのレンズ。基本的にレンズの特性は似ていますが、解像性能は比較的望遠よりとなっている点で違いが見られます。また、歪曲収差の補正状態はContemporaryよりも良好。外装は防塵防滴仕様で、AFLボタンやズームロックなど充実しています。驚くほどの価格差では無いので、24mmや望遠側の解像性能を重視するのであればコチラがおススメ。ただし、Contemporaryと比べてサイズは明らかに大きく、重量は倍近い。カジュアルに使いたいのであればContemporaryがおススメ。

24-70mm F2.8 DG DN Sony E
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24-70mm F2.8 DG DN Leica L
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28-75mm F2.8 Di III RXD

28mm始まりのミラーレス用大口径ズームをいち早く投入したタムロンのレンズ。現状でContemporaryよりも安く、しっかりとした防塵防滴の点で優れています。解像性能やボケ、エルゴノミクスはContemporaryやArtのほうが少し良好。
軽量ながらレンズ全長が少し長く、カメラバッグへの収まりが悪い点でマイナス。このクラスのレンズサイズはシグマContemporaryくらいが程よいと思うのです。

28-75mm F/2.8 Di III RXD
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作例

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