シグマ「28-70mm F2.8 DG DN」を2週間使って得たファーストインプレッションを公開しました。
Index
まえがき
レンズのおさらい
レンズ概要
- 2021-03-12 発売
- 商品ページ
- データベース
- 管理人のFlickrアルバム
- レンズ構成:12群16枚
- 開放絞り:F2.8
- 最小絞り:F22
- 絞り羽根:9枚(円形絞り)
- 最短撮影距離:19-38cm
- 最大撮影倍率:1:3.3-1:4.6
- フィルター径:φ67mm
- レンズサイズ:φφ72.2mm×103.5mm
- 重量:470gg
- 撥水防汚コート
- ナノポーラス・スーパーマルチレイヤーコーティング
- ステッピングモーター駆動
- 簡易防塵防滴
シグマのフルサイズミラーレス用レンズ群「DG DN」シリーズにおける11本目となるレンズ。ズームレンズとしては4本目であり、標準ズームとしては2本目。シグマは2019年末に標準大口径ズーム「24-70mm F2.8 DG DN」をリリースしており、まさか1年とちょっとで2本目の標準大口径ズームが登場すると誰が予想できたでしょうか。
このレンズは24-70mm F2.8の光学設計を継承しつつ(設計者も同じ)、広角側を28mmまで狭くして小型軽量化を実現。24-70mmのパフォーマンスを維持しつつ、重量を半分程度まで抑えた意欲作です。競合モデルは当然タムロンの「28-75mm F/2.8 Di III RXD」ですが、このレンズはさらに全長を短くし、より軽量化を遂げています。
軽量化の代償として、プラスチックパーツが多く、防塵防滴も簡易仕様です。とは言え、シグマ「fp」やソニー「α7C」と組み合わせることでシステム重量が1?を切るのは魅力的であり、妥協点以上の魅力があると感じる人もいることでしょう。
価格のチェック
ネットでは実売8万円前後で取引されています。フルサイズ用の大口径ズームレンズとしては安く、ここ最近で競合するとしたらタムロン「28-75mm F/2.8 Di III RXD」くらいでしょうか?タムロンと比較して若干高めですが。携帯性やシグマ最新設計のレンズと考えると魅力的と言えるでしょう。
28-70mm F2.8 DG DN Sony E | |||
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28-70mm F2.8 DG DN Leica L | |||
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28-70mm F2.8 DG DNレビュー
ビルドクオリティ
外装はContemporaryラインらしく、主にプラスチックパーツを採用。Artラインや「I」シリーズと比べると質感は劣るものの、決して安っぽい作りではありません。ただし、外装はマットな塗装で、硬い物に当たるとスレが付きやすいので注意が必要。
タムロンDI IIIシリーズとほどシンプルな外観では無く、より機能性・操作性を重視したデザイン。機能美という意味ではシグマのほうが良好。
内部にはシグマ独自のTSC(耐熱性複合材)を使用。内筒もTSCだと思いますが、24-70mm F2.8 DG DNと比べると少しプラスチック感が強いように見えます。素材の差はありそうですが、レンズを伸ばした際に顕著なガタツキや遊びはありません。きちんと組み立てられているようです。
防塵防滴仕様はレンズマウントのシーリングのみ。接合部や可動部は防塵防滴仕様では無いので、悪天候での使用時は気を付けたいところ。
携帯性
標準大口径ズームとしては驚くほど小さく、軽いレンズです。タムロンよりも短く、軽く、APS-C用のズームレンズと勘違いしてしまいそうなサイズ感に収まっています。これ以上の軽量化は難しそう。
操作性
ズームリングは程よいトルクで滑らかに操作可能。ズーム全域は回転角90度未満で操作可能。ズームロックスイッチがないので、カメラバッグから取り出す際に意図せずレンズを伸ばしてしまうことがあるので注意(フードなどが内部の間仕切りに引っかかる、など)。
フォーカスリングのトルクはArtよりも少し重く、より適切な抵抗量で操作することが可能。24-70mm F2.8 Artのフォーカスリングは少し軽すぎるのです。ピント移動量はフォーカスリングの回転速度に依存。移動量は適切で、過不足はありません。
ズーム・フォーカス以外のコントロールは「AF/MF切替」スイッチのみ。ArtのようにAFLボタンやズームロックスイッチはありません。
オートフォーカス
フォーカスレンズの駆動にはステッピングモーターを使用。リニアモーター駆動では無いものの、動作音はほぼ聞こえず、フォーカス速度はとても速い。AF-S時は若干のウォブリングが混じるものの、AF-C時は迷いなく瞬間的にピントが合う。全体的にフォーカスブリージングも良く抑えられ、大きなピント移動でも画角に大きな変化が無いのはGood。
手ぶれ補正
大部分のミラーレス用レンズと同じく、光学手ぶれ補正は非搭載。ソニーαシリーズやパナソニックLUMIX Sシリーズであれば、ボディ内手ぶれ補正で問題と感じることは無いはず。ただし、ボディ側にも手ぶれ補正が無いシグマ「fp」での使用には注意が必要です。特に6100万画素の「fp L」では特に影響を受けやすいのでシャッタースピードの管理には気を付けたいところ。
解像性能
小型軽量ながら良好な解像性能を発揮。絞り開放の四隅はいくらか甘いものの、絞ることで画質が改善しない領域はありません。特に広角側における中央付近のパフォーマンスは単焦点レンズに匹敵するとても良好な性能。望遠側は絞り開放のコントラストが低下し、絞ってもフレーム周辺部が(6100万画素だと)伸び悩みます。
接写時は基本的に四隅に向かって性能が低下。絞れば改善するものの、概ねF8まで絞る必要があります。
像面湾曲
これまでのテスト結果を踏まえると、特に問題ありません。
ボケ
ズームレンズとしては良好な描写。玉ボケには非球面レンズの影響がいくらかあるものの、前後のボケは滑らかで綺麗。特に望遠側はコントラストがいくらか低下。騒がしいボケでもきちんとまとめることが出来るのは便利。
色収差による色づきが少なく、目障りとなりにくいのはGood。
色収差
全体的に良く補正されているものの、望遠側にて軸上色収差の影響がいくらか見られます。パープルフリンジとして極端に目立つ機会は少ないと思いますが、場合によって後処理や絞りによる調整が必要となります。倍率色収差は全体的に良好な補正状態で、特にこれと言って問題ありません。
球面収差
球面収差は良く補正されています。
歪曲収差
全体的にデジタル補正依存のレンズです。光学設計で歪曲収差の補正は諦めているように見えます。28mmのみ目立つ樽型歪曲で、陣笠状の歪曲となっているのでマニュアル補正が難しい。出来ることならボディ内でのレンズ補正、または補正プロファイルのある現像ソフトを使用するのがおススメ。35mmで歪曲の形状が糸巻き型へ変化し、50mmで目立つ糸巻き型歪曲へと変化。以降は70mmまで目立つ収差が残存しています。
周辺減光
広角端・望遠端の無限遠で目立ちますが、特にこのレンズの光量落ちが酷いというほどのものではありません。少し絞れば改善します。
コマ収差
完璧な補正状態ではないものの、実写では四隅を除いた大部分のフレームで特に問題ありません。敢えて言えば広角側で比較的良好、望遠側の四隅でコマ収差がいくらか目に付きます。
逆光耐性
テストでは強い光が入るとゴーストが発生しやすい。ただし、実写で問題となるシーンは少ないように感じました。
総評
小型軽量・低価格な大口径ズームながら良好な光学性能を発揮。24-70mm F2.8 DG DNと比べて見劣りするような画質ではなく、24mmが必要無ければ携帯性を重視して28-70mm F2.8 DG DNを選ぶのは大いにあり。特に広角側がシャープで、単焦点並の中央解像を備えています。さらに、絞ればどの焦点距離でもフレーム全体で画質が改善。さらにオートフォーカスは高速で、特にAF-C時の動作は非常に快適です。
気を付けるべきは望遠側でのコントラスト低下と色収差、そして歪曲収差の補正。歪曲収差は自動補正可能ですが、コントラストの低下や軸上色収差は防ぎきれません。必要であれば少し絞ったほうが良い結果を出せる場合もあるでしょう。
タムロンと比べてどちらが良いか?
防塵防滴を重視するのであればタムロンがおススメですが、光学性能や操作性を重視するのであればシグマがおススメ。接写性能はタムロンのほうが少し良好に見えますが、全体的にボケはシグマが良好。シグマのほうが少し高価ですが、差額ぶんくらいの価値はあると思います。どちらかを選ぶとしたら、個人的にはシグマを選ぶでしょう。
参考情報
購入早見表
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