このページではOM SYSTEM「M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO」の遠景解像性能についてレビューを掲載しています。(更新:LUMIX 20mm F1.7 IIとの比較を掲載しました。)
Index
M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PROのレビュー一覧
- M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO レンズレビュー 完全版
- M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO レビューVol.6 諸収差編
- M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO レビューVol.5 周辺減光・逆光編
- M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO レビューVol.4 ボケ編
- M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO レビューVol.3 近距離解像編
- M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO レビューVol.2 遠景解像編
- M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO レビューVol.1 外観・AF編
遠景解像力
テスト環境
- 撮影日:2021/12/10・晴れ・微風
- カメラ:OM-D E-M1 Mark III
- 露出:絞り優先AE・ISO 200
- ピント位置:中央1点
- RAW
- Adobe Lightroom Classic CC
・シャープネスオフ
テスト結果
PROレンズに期待していた結果を大きく下回る。「あらあら一体全体どうしちゃったの?」と言いたくなるレベル。中央と比べると周辺、隅に向かってパフォーマンスが大きく低下しているのが分かる。少なくともF1.4の明るさを活かした夜景の撮影に適したレンズとは言えず、F4まで絞った場合でも12-45mm F4 PROのほうが良好な結果を期待できる。これは像面湾曲の影響と思われ、絞って被写界深度を広げることで少し改善する。
中央
絞り開放から芯のあるシャープネスだが、球面収差の補正不足かコントラストが僅かに低い。軸上色収差による色づきは少ないものの、シャープな結果を得たい場合は少なくともF2まで絞っておきたいところ。F2まで絞るとコントラストが改善するが、シャープネスに目立った改善は見られない。
F2.8まで絞るとコントラストがさらに改善し、クロップした際のディテールがより良好に見える。ピークの画質はF5.6まで続き、F8以降は回折の影響で画質が徐々に低下する。
周辺
中央と比べると遥かにソフトな画質で、ピントが合っていないように見える。初期不良か?と思いたくなるくらいの画質低下だが、MTF曲線を見る限りでは非点収差の影響と思われる。絞りによる根本的な改善は期待できないが、被写界深度を広げることで非点収差を目立たなくすることは可能。
F1.4~F2はソフトな画質で、F2.8まで絞ると多少の改善が見られる。それでも被写界深度は不足気味なので、可能ならばF5.6~F8まで絞るのが好ましい。F8以降は回折の影響で中央画質が低下し始めるので、状況に応じて調整したいところ。
四隅
周辺と同じく、非点収差の影響か少しソフトな画質。極端な画質低下が見られないぶん、非点収差が非常に惜しく感じる。絞りによる影響は周辺部と同じで、F5.6からF8までしっかり絞らないとディテールがぼやけてしまう。
更新:LUMIX 20mm F1.7 IIとの比較
LUMIX 20mm F1.7 IIとの比較が見たいと声を頂いたので、撮影時期が異なるものの、テスト結果を掲載する。どちらも8000万画素ハイレゾショットのRAW現像だ。PROは色収差が少ないものの、非点収差が少なく、しっかりと解像しているのはLUMIXのように見える。AFが必要無ければ、個人的に遠景の撮影はLUMIX 20mm F1.7 IIを使いたいと思う。
更新:追加検証
初代E-M1からII・X・IIIと乗り継いできたユーザーで、大部分のPROレンズを購入してきた身としては、この結果を信じることが出来なかったので追加検証した。今回はハイレゾモードとAdobe Lightroomの相性が良いLUMIX G9 PROを使い、場所を変え、同じ被写体でフレームの位置を変えて撮影してみた。
やはり中央と隅には大きな画質差があり、絞っても一貫性が良いとは言えない。やはりMTF通り、非点収差が目立つ結果となってしまったように見える。ちなみに若干の像面湾曲も見られ、中央と隅にそれぞれピントを合わせた場合に結果が少し異なる。
まとめ
実写ではJPEG出力時のシャープネスやコントラストの度合い、立体的な被写体と被写界深度の兼ね合いで、このレンズの欠点は目立ちにくいと思われる。しかし、例えば星空や無限遠に近い遠景を撮影する場合は非点収差や像面湾曲の影響が問題と感じる可能性あり(高周波の分解能が必要無ければ以外とイケるかもしれない)。その際に使うレンズとしてベストな選択肢とは言えない。F1.2 PROやLEICA DG 25mm F1.4のほうが適した選択肢になると思う。
全ての撮影距離で結果が悪いわけでは無く、例えば近距離では絞り開放から周辺部まで安定した結果を得ることが出来た(後日レビューで公開予定)。どちらかと言えばポートレートなど撮影距離が近い場合に最高のパフォーマンスを発揮するようにチューニングしてあるのかもしれない。
購入早見表
M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO | |||
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作例
オリジナルデータはFlickrにて掲載
関連レンズ
- M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO
- M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8
- LEICA DG SUMMILUX 25mm / F1.4 II ASPH.
- LEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4 ASPH.
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- YN25mm F1.7M
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