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タムロン「90mm F2 Di III 1:1」「90mm F2.8 Di III 2:1」を想定したような特許出願

2023年5月24日付けでタムロンの気になる特許出願が公開。「90mm F2 Di III 1:1」「90mm F2.8 Di III 2:1」を想定したかのような実施例がいくつか含まれています。

概要

  • 【公開番号】P2023072281
  • 【公開日】2023-05-24
  • 【発明の名称】光学系及び撮像装置
  • 出願日】2021-11-12
  • 【出願人】
    【識別番号】000133227
    【氏名又は名称】株式会社タムロン
  • 【課題】全体を小型に維持しつつ、より大口径で撮像倍率の高い光学系及び撮像装置を提供することができる。
  • 【0001】
    本件発明は、光学系及び撮像装置に関し、特に、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の固体撮像素子(CCDやCMOS等)を用いた撮像装置に好適な光学系及び撮像装置に関する。
  • 【背景技術】
    【0002】
    従来から、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、一眼レフレックスカメラ、ミラーレス一眼カメラ等の種々の固体撮像素子を用いた撮像装置が普及している。これらの撮像装置の高性能化及び小型化の進展に伴い、その撮像レンズ(光学系)についても一層の高性能化及び小型化が求められており、マクロレンズもその例外ではない。マクロレンズとは、一般に、最大撮像倍率が0.5倍~1倍の撮像レンズをいう。
  • 【0003】
    マクロレンズでは、特に、フォーカシングに際する収差変動、例えば球面収差や像面湾曲の変動を抑えてフォーカス全域にわたり高い光学性能を実現することが求められている。しかしながら、現在市販されているマクロレンズの多くはF2.8程度である。ズームレンズでもF2.8程度の明るさで同様の撮像倍率を実現することが可能であり、ズームレンズをマクロレンズの代用として使用される場合もある。そのため、マクロレンズには、より小型且つ高性能であり、マクロレンズならではの撮像表現を追求したより高付加価値の製品が求められるようになってきている。
  • 【0007】
    しかしながら、特許文献1に開示の光学系はF2.0であり大口径比化が図られているものの、フォーカス群の重量及び移動量が大きいため、当該マクロレンズの大型化を抑制しながら更なる撮像倍率やフォーカス速度の向上を図ることは困難である。
  • 【0009】
    そこで、本発明の課題は、全体を小型に維持しつつ、より大口径で撮像倍率の高い光学系及び撮像装置を提供することにある。

実施例1(無限遠-0.5倍-等倍)

  • 焦点距離:92.7002-56.4352-38.4725
  • F値:2.110-3.200-4.200
  • 半画角:12.5792-6.5626-3.7783
  • 像高:21.633
  • 全長:134.619-134.619-145.676
  • バックフォーカス:18.500

実施例2(無限遠-0.5倍-0.8倍)

  • 焦点距離:92.7001-61.6892-46.4780
  • F値:2.1549-3.2000-3.8000
  • 半画角:12.5935-5.8338-5.7301
  • 像高:21.633
  • 全長:136.903
  • バックフォーカス:18.500

実施例3(無限遠-1倍-2倍)

  • 焦点距離:87.8766-39.7703-25.9505
  • F値:2.9000-5.8500-8.7000
  • 半画角:12.9523-8.4795-5.1482
  • 像高:21.633
  • 全長:145.000-145.000-154.112
  • バックフォーカス:37.877

実施例4(無限遠-0.75倍-1.5倍)

  • 焦点距離:91.6041-50.1114-35.1898
  • F値:2.9100-5.0000-6.5000
  • 半画角:12.7285-8.6295-5.5211
  • 像高:21.633
  • 全長:143.520-143.520-154.229
  • バックフォーカス:53.033-40.589-40.589

タムロンの90mmマクロレンズに関する光学系の特許出願は過去にもいくつか見てきました。しかし、それらが商品化された例はまだなく、今回の実施例も実現するかどうかはまだ分かりません。ただし、従来の特許出願と比べると少し特殊なコンセプトのレンズとなっているように見えます。

実施例1は等倍マクロに対応した開放F値が「F2」と明るいフルサイズ対応の光学系。等倍でも実効F値がF4と明るく、シャッタースピードを稼ぎやすいのは魅力的ですね。面白いことに、0.5倍まではインナーフォーカスで、等倍撮影時はレンズが前方へ繰りだす模様。

実施例2は実施例1と同じくF2の大口径マクロレンズですが、撮影倍率を「0.8」に抑える代わりに完全なインナーフォーカス仕様となっています。2つのフォーカスユニットを別々に動かすマルチフォーカスですが、0.5倍までと0.8倍までで動くフォーカスユニットが異なるのが興味深い(計3つのフォーカスレンズ群が存在することに)。

実施例3は開放F値が「F2.8」となってしまうものの、等倍を飛び越えて2倍マクロまで対応しています。フルサイズ対応のマクロレンズで2倍の撮影倍率に対応するAFレンズは貴重な存在と言えるでしょう。バックフォーカスはやや長めで、テレコンバージョンレンズを装着できそうな空間があるよに見えます。

前述したように商品化されるかどうかは不明。とは言え、タムロンが90mmマクロレンズ不在のままミラーレス用レンズのラインアップを放置するとも思えません。過去の特許なども考慮すると、「タムロン90mm」に相応しい光学系を模索しているのかもしれませんね。

タムロン Di III レンズ一覧

フルサイズ ズーム
フルサイズ 単焦点
APS-C

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