ePHOTOzineがタムロン「150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD」のレビューを公開。近距離では像面湾曲の影響があるものの、ズーム全域でシャープな中央領域を実現し、ボケは7枚絞りながら実に美しい描写と評価しています。
ePHOTOzine:Tamron 150-500mm f/5-6.7 Di III VC VXD (A057) Lens Review
レンズの紹介:
ビルドクオリティ:
- 円形レンズフードはバヨネットでしっかりと固定できる。
- フィルター径は82mmだ。
- コーティングはBBAR-G2のほかにフッ素コーティングが施されている。
- レンズは防塵防滴仕様だ。
- アルカスイス互換の三脚座は良好な作りだ。
携帯性:
- 1725gとかなり重いレンズだ。三脚座を装着するとさらに155gが追加される。
- 重いがコンパクトなレンズであり、α7R IIIに装着した際のバランスは良好だ。
操作性:
- ズームリングは滑らかに回転するが、多くのレンズが移動するためか非常に重い。
- ズームリングを前方へスライドすることで任意の焦点距離で固定可能だ。
- 150mmにリングを固定する従来式のロックスイッチもある。
- 手ぶれ補正スイッチ、手ぶれ補正モードスイッチ、AF/MF切替スイッチ、AFリミッタースイッチを搭載している。
- フォーカスリングは電子制御で滑らかに回転する。
オートフォーカス:
- VXD駆動のAFは被写体をほぼ瞬間的に捕捉する。
- 最大撮影倍率は150mmで1:3.1だ。この際の撮影距離は0.6mである。500mm時の最短撮影距離は1.8mで、この際の撮影倍率は1:3.7となる。
マニュアルフォーカス:
- 記載なし。
手ぶれ補正:
- 光学手ぶれ補正は実写で4~4.5段分と言ったところである。
解像性能:
- 150mm:中央はF5からF16までとても良好(Very good)で、F22で良好となる。 端は中央ほど良くなく、F5からF11まで良好(Good)、F16で非常に良好(Very good)となり、F22で良好(Good)だ。
- 200mm:中央はF5からF16までとても良好(Very good)で、F22で良好となる。端はF5で良好(Good)となり、F5.6からF16まで非常に良好だ(Very good)。
- 400mm:中央はF6.3からF11まで非常に良好(Very good)で、F16で良好(Good)、F22?F25でまずまず(Fair)だ。端はF6.3で良好(Good)、F8で非常に良好(Very good)、F11?F16で良好(Good)、F22?F25でまずまず(Fair)だ。
- 500mm:中央はF6.7?F8で良好(Good)、F11で非常に良好(Very good)、F16で良好(Good)、F22?F32でまずまず(Fair)だ。端はF6.7でまずまず(Fair)、F8で良好(Good)、F11でとても良好(Very good)、F16で良好(Good)、F22?F32でまずまず(Fair)だ。
- ピークは200mmだが、ズーム全域で実用的な画質だ。
- 像面湾曲の影響があるのでテストチャートとの相性は悪い。
像面湾曲:
- 接写時は像面湾曲が発生する。フラットな被写体を撮影した場合にフレーム端がピントから外れてしまう可能性がある。
ボケ:
- 長焦点側でとても心地よい描写だ。
色収差:
- 色収差の補正状態はとても良好だ。色ずれの兆候は見られず、大部分の写真で追加の補正が必要となることはないだろう。
球面収差:
- 記載なし。
歪曲収差:
- 歪曲収差は適切の補正されている。
- 150mm:+2.29%
- 200mm:+2.80%
- 400mm:+2.28%
- 500mm:+1.17%
- 野生動物やスポーツ写真で問題となる可能性は低い。
周辺減光:
- 絞り開放から控えめだ。絞るとさらに少なくなる。
コマ収差:
- 記載なし。
逆光耐性:
- 光源がフレーム外のすぐそばにあったとしても、フレアやゴーストはよく抑えられている。
- ゴーストを発生させることは可能だが、非現実的な状況でのみ発生する。レンズ構成枚数を考慮するとコーティング技術の効果が表れていると感じる。
総評
私はこのレンズが好きで、このレンズで撮影した結果に満足している。扱いやすく、シャープで非常に美しいボケ(絞り羽根が7枚しかないにもかかわらず)を実現している。シャープネスはフレーム中央が高く、特に近距離では、像面湾曲によって、フラットな被写体はF11まで絞る必要があるかもしれない。しかし、屋外で野生動物やスポーツを撮影する場合に、このレンズは輝き始める。本当に素晴らしい結果を生み出すことが可能だ。強くおすすめできるレンズである。
- 長所:
・中央で非常に良好なシャープネス
・逆光耐性
・色収差補正
・高速かつ静かなAF
・美しいボケ
・防塵防滴
・適度な光量落ち
・優れた光学手振れ補正- 短所:
・重い
・近距離時に像面湾曲あり
・望遠端におけるフレーム端のシャープネスが低下
とのこと。
近距離で像面湾曲が発生する傾向は手持ちのレンズでも確認しています。とは言え、これは近距離でフラットな被写体を撮影しない限り目立たないので、過度に心配する必要はないはず。望遠側でパフォーマンスが低下するものの、絞り開放から良好な結果を維持しているので使いやすそうですね。オートフォーカスはVXD駆動を採用しており静かで高速。
レンズサイズは100-400mmとよく似ており、150-600mm系ズームというよりは100-400mm派生のレンズと考えたほうが良いかもしれません。ただし、レンズ重量は1.7?とそれなりに重いので注意が必要です。最近登場したシグマ「150-600mm F5-6.3 DG DN OS」の存在が悩ましいところですねえ。
タムロン「150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD」交換レンズデータベース
関連レンズ
- FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS
- FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
- FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS
- 100-400mm F5-6.3 DG DN OS
- 150-600mm F5-6.3 DG DN OS
- 70-300mm F4.5-6.3 Di III RXD
関連記事
- 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD ニコンZほどではないが僅差の性能
- 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXDは実によくできたレンズ
- タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD は低照度には向かないがおススメできるレンズ
- タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD 暗めのレンズだが小型軽量で良好な光学性能
- タムロンが150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD ニコンZマウント用を正式発表
- ドイツ小売店が掲載の150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXDは間違いなくニコンZマウント用
- 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD X-mountは純正よりも優れたボケ味
- タムロンが150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD X-mountの不具合と再調整について告知
- 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXDは妥協点もあるが携帯性に優れたAFレンズ
- タムロンが50-400mm / 150-500mmのAF追従性を大幅に向上する最新ファームウェアを公開
サイト案内情報
タムロンレンズ関連記事
- 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD レンズレビューVol.3 解像チャート編
- 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD はボケがとても柔らかい描写
- 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD レンズレビューVol.2 遠景解像編
- 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
- タムロン 50-400mm F4.5-6.3 Di III VC VXD ニコン用はソニー用の10倍売れた
- 35-150mm F/2-2.8 Di III VXD はズーム全域で優れた中央解像
- 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD 全て満たすお買い得なマクロレンズ
- タムロン「14-24mm F2.8」「16-24mm F2.8」を想定したような光学系の特許出願
- 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD は最もバランスの取れたマクロレンズ
- タムロンがTamron Lens Utilityにデジタルフォローフォーカス機能を追加
最新情報やカメラ・レンズのレビューを発信しています。
「いいね!」を押すとFacebookの最新情報が届きます。