Digital Camera Worldがキヤノン「EOS R5」のレビューを公開。動画の過熱問題を指摘しつつ、8K動画の解像度や切り出しJPEGの実用性、そして「まさにチート」と言及している被写体検出AFを高く評価している模様。
まさにチートカメラ
Digital Camera World:Canon EOS R5 review
EOS R5はあらゆる面で強力なパフォーマンスを発揮するカメラとして登場した。8K動画は最高のシネマカメラを凌駕し、連写速度はスポーツカメラのハイエンドと同等、さらに4500万画素の解像度と8段分の手振れ補正を内蔵している。
もちろん中にはうますぎる話が紛れ込んでいる。EOS R5が正式発表されて直ぐに、動画機能に関する現実が露呈した。このカメラは発熱を防止するために録画時間が制限されている。
特徴
- EOS R5のスペックは全ての要素がキラーフィーチャーとなっている。特に注目を集めているのが驚くべき動画機能だ。
- R5は35mmフルサイズセンサーの全幅を読み出して、フル画角の8K RAW動画を撮影することが出来る。さらにUHD・DCIの両方で4:2:2 12Bit Canon Log、またはHDR PQで29.97fpsでの撮影が可能だ。
- 4K動画も同じくらい強烈なスペックとなっており、最大で119.88fps「4:2:2 Canon Log・HDR PQ・UHD or DCI」での撮影が可能だ。
- 8K DCI動画の解像度は8,192 x 4,320であり、カメラの静止画切り出し機能を使うと、3540万画素の高解像度静止画(JPEGまたはHEIFファイル)を出力することが可能だ。
- これらは全て新開発の「EOS史上最高解像度の4500万画素イメージセンサー」のおかげだ。おそらく5060万画素のEOS 5Ds/Rより解像するのだろう。
- 従来のローパスフィルターは2層4点式だが、4層16点式で5Ds/Rに匹敵するシャープネスを実現している。(ただし、EOS-1D X Mark IIIでこれを裏付ける結果は得られなかった)
- フラッグシップモデルである「EOS-1D X Mark III」から多くのテクノロジーを継承しており、ディープラーニング技術を使ったAFシステムもその一つだ。瞳・顔・頭部を不気味なほど正確に追従し、さらに鳥・猫・犬の瞳・顔・身体も検出する機能を備えている。
- オートフォーカスを支えているのは新開発の「デュアルピクセルCMOS AF II」システムだ。静止画では驚異の5940ポジション、動画では4500ポジションが利用できる。
- 連写速度もEOS-1D X Mark IIIと同等だ。電子シャッター使用時の最高速度は20コマ秒に達する。
- 超高速CFexpressカードに対応しているので、スポーツカメラ・ビデオカメラ・中判カメラと同じように使うことが出来る。
- 待望のボディ内手ぶれ補正を搭載しているのは非常にエキサイティングなことだ。レンズにもよるが、最大で8段分の補正効果を備えている。RFレンズと組み合わせることで最高の結果を得ることが出来るが、EF・EF-Sレンズ、さらには電子接点の無いMFレンズでも機能する。
操作性
- EOS Rと比べて知覚できない程度の厚み増と、70gの重量増が伴っている。重量はカメラ全体に分散され、バランスが取れている。
- カメラが重くなったことで、悪名だ高い大きく重いRFレンズとの相性が良くなっている。
- EOS Rと操作性はよく似ているが、M-Fnバーが無くなり、使い慣れたAFジョイスティックを搭載し、AF-ONボタンは元の位置に戻っている。
- 方向ボタンの代わりに、EOS 5D Mark IVのような背面ホイールを搭載している。
- 従来通りバリアングルモニタを搭載している。これは動画撮影で明らかに重要な機能だ。
- 5シリーズらしく同等の防塵防滴仕様を期待できる。ただし、EOS R5は一眼レフと異なり可動式液晶を搭載しているので5D Mar IVほど頑丈ではない。確かにいくらか耐えられるだろうが、一眼レフと比べると落としたり子供の手に触らせたくないと感じるはずだ。
- R5には新型バッテリー「LP-E6NH」が搭載されている。従来品と比べて14%容量が増え、下位互換性があるので他のカメラでも使用可能だ。
性能
- 4K 30pを超える動画機能を使用する場合、オーバーヒート防止のために録画時間の制限が必要だ。
- 4K 30pを使うとオーバーヒートの問題はまったく発生しない。好きなだけ撮影することが可能だ。(ただし、連続撮影時間は仕様上30分となる)
- 4K 60pだと約35分、8K 30pだと約20分でカメラが停止する。その後はカメラをクールダウンさせてから再開する必要がある。
- 4K 30pを超える動画を定期的に撮影するのであれば、これは間違いなく問題となる。どの製作でも20分以上の長回しは珍しいことだが、熱は内部に蓄積してゆく。短い動画をいくつも撮影したり、数多くの静止画を撮影したりすると、熱が蓄積し始めるため、実際に録画可能時間を正確に把握するのは難しい。
- 繰り返しとなるが、4K 30pではこの制限を受けない。そして、我々は8K 30pと4K 60pの動画を撮影しつつ、合間に静止画撮影もしながら問題は一回も発生しない幸せな時間を過ごした。
- 静止画が2の次で動画がメインとなるのであれば、EOS R5は適していないと思う。そして自身で判断するために、試用することを強くおススメする。
- オーバーヒートしない限り、驚くほど豊かなディテールを持つ8K動画を利用可能だ。さらに8Kからオーバーサンプリングされた4Kはこれまで見た中で最高の画質だ。
- スタンダード4Kモードは非常に平凡だが、実際にはR6より優れているように見える。
- 8Kやオーバーサンプリング4K、または4K 120pで撮影する場合、メモリーカードや記録ディスクはあっと言う間に一杯となってしまうだろう。最高の外付けハードディスクに投資する必要があると共に、8Kを処理する非常に強力なコンピューターも必要だ。動画すら再生できない人もいるだろう。グレーディング処理するなら猶更だ。
- そのほかに驚くべき事実はない。オーバーヒート以外は期待通りに動作する。4500万画素の静止画は見事で、ディテールは5Ds/Rほどでは無い場合ももあるが、並べてテストするとあらゆる点で見栄えが良い。
- 8K動画からの3500万画素の静止画切り出し機能も印象的だ。切り出しは以前から見られた技術だが、ここまでディテール豊富な切り出し機能を備えたカメラは存在しない。優れた3500万画素センサーカメラで撮影したような高解像な静止画だ。
- もちろん切り出し機能はJPEG・HEIFとなるので、再編集時の柔軟性は欠ける。白飛びしたハイライトを復元することは出来ない。それでも、露出が適切であれば、文字通り静止画用の動画撮影が可能だ。チート機能である。
- チート機能と言えば、新しい動物検出AFもその類だ。文字通り、野生動物の写真活動においてチート機能である。キヤノンのディープラーニングアルゴリズムは非常に優れており、カメラを被写体に向けるだけで認識・追従する。
AFジョイスティックでフォーカスエリアを操作する必要が無く、「被写体:動物」に設定してサーボAFで追いかけるだけだ。- キヤノンは動物を犬・猫・鳥と限定しているが、ライオン・サル・カメ・イグアナ・魚・スカンク・ミーアキャット・アライグマ・リス・フェネック・キツネをテストしたところ検出に成功した。目と顔があればほぼ間違いなく検出するようだ。
- これは誇張では無く、本当に多くの野生動物フォトグラファーを廃業させそうな、本当に画期的なテクノロジーだ。子供でも簡単に動物にピントが合った写真を撮影することが出来るだろう。
- 人間の被写体認識はさらに優れている。魔法を使ったかのように顔や瞳にピントを合わせ続ける。今ならソニーユーザーの友人にも自信を持って「街中で使える最高のオートフォーカス」と言うことが出来るだろう。まさに黒魔術だ。
- これらオートフォーカス機能は動画撮影時でも100%利用可能だ。ウェディングの新郎新婦を追いかける、セレンゲティで追いかけっこする野生動物でもEOS R5なら被写体を見つけるだけでピントを合わせてくれる。不気味なほど良好なAFだ。
- ラボテスト
・現在テスト中だ。ダイナミックレンジ・感度ノイズをチェック中である。EOS R5は本物のジギルとハイドだ。写真撮影用のカメラとしては絶対的な存在だ。α7R IVはより高解像センサーを搭載しているが、実写で解像性能差ほどシャープネスに差は見られない。そしてキヤノンのようなAFテクノロジーを備えていない。
オートフォーカスはどれだけ誇張してもし過ぎることは無い。人物や動物の写真であれば、EOS R5の強みを享受することが出来るだろう。本格的な野生動物の撮影にも検討できるものだ。
手ぶれ補正は我々が使って来たフルサイズシステムの中で最高のものだ。オリンパスやパナソニックのマイクロフォーサーズに優るとも劣らない性能を発揮する。低照度や長秒シャッター、そして望遠レンズや動画撮影時に大きない違いをもたらしてくれるだろう。
もしあなたが純粋に動画撮影を重視するユーザーならば、我々はEOS R5をおススメできないのは本当だ。
しかし誤解しないで欲しい。動画そのものは信じられないほど良いものだ。カメラがオーバーヒートの問題があるのでAカメラとしては使えない。4K 30pであれば問題を回避できるが、その場合はこのカメラにこだわる必要もないだろう。しかし、スチルカメラとして使うと、EOS R5はキヤノン史上最高の製品である。EOS RのフォルムとEOS 5Dの機能、そしてEOS-1D X Mark IIIに匹敵するプロ仕様のオートフォーカスが完璧に融合したカメラである。
静止画と動画を使い分けるハイブリッドユーザーであれば、EOS R5は使う喜びを感じることが出来る最高のカメラとなるはずだ。長所:RAW画質・市場最高のAF・フルサイズ最高のボディ内手ぶれ補正・驚異的な8K動画・電光石火の連写速度
短所:動画の制限・4Kで十分
とのこと。
話題となっている動画撮影時の発熱を指摘しつつも、その画質や8Kの潜在性能については高く評価しているようです。さらに優れた被写体検出や連写性能も考慮し「スチルカメラとしては最高」と結論に至った模様。
個人的にも8Kの切り出し機能には期待しており、パナソニック「4K PHOTO」のように使えないかなと画策中。とは言え、長時間の録画や待機状態には不向きなので、どこまで実用に耐えられるのかは実際にEOS R5を使って紹介したいところ。
さらに娘や動物を良く撮るので、被写体認識機能には期待しています。ソニーの動物瞳も便利ですが、瞳が隠れてしまうと認識できないのが痛いのですよね。パナソニックの動物認識とよく似ていますが、キヤノンは像面位相差AFに対応しているのが強み。さらに高速駆動のナノUSM搭載レンズと組み合わせることで、非常に強力なAF性能を発揮するのではないかなと。
ちなみに私が予約したEOS R5は間もなく手に入れることが出来そうです。
(更新:届きました。確かに静止画用カメラとしては非常に優れたミラーレスだと感じます。後日レビュー予定)
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