Lesnumeriquesがキヤノン「EOS R6」のレビューを公開。R5より低解像で4K UHDは僅かにクロップが発生するものの、カメラのエルゴノミクスやレスポンスを高く評価しています。高感度ISOはトップクラスのα7 IIIと同等とのこと。
直球ドストライクのEOS Rシリーズ
Lesnumeriques:Test Canon EOS R6 : un hybride 24x36 véloce et presque sans faille
- 2020年夏にキヤノンが発表したフルサイズミラーレスだ。EOS R6はフォトレジャーナリストだけでなく、スポーツカメラマンやビデオグラファーをターゲットにした汎用性の高いカメラでもある。
- キヤノンは2018年にフルサイズミラーレスの仲間入りを果たしたが、あまりにも貧弱なEOS Rと、明らかにエントリーレベルのEOS RPは力及ばず、写真の巨人は苦戦を強いられることになった。
- そこで2020年初夏、キヤノンはEOS R5に加えて、2台目のフルサイズミラーレスを発表した。EOS R5はすべて最上級のカメラ(4500万画素、RAWで8K、120fpsで4K)に仕上がり、R6は見劣りしない、より賢明な選択肢のカメラに仕上がっている。
- EOS R6は2000万画素センサーを搭載しており、8Kでの撮影はできない。しかし、センサーシフト式手ぶれ補正を搭載、R5と同じ高性能オートフォーカスシステムを実装している。さらに20fpsに達する高速連写にも対応。これらの特徴から、R6は2020年の写真市場に現れた、非常に汎用性の高いカメラと言えそうだ。
- 8月27日に発売され、価格的は高めの位置づけ(ボディで2,699ユーロ、またはRF 24-105mm F4-7.1 IS STMズームレンズ付きキットで3,059ユーロ)にもかかわらず、ニコンZ6、パナソニックLUMIX S1、キヤノンEOS R、ソニーα7 III(A7 III)などの業界のスタンダードモデルが直接のライバルとなる。
外観
- EOS RとRPをベースに、扱いやすさを追求したデザインだ。680gとソニーα7 IIIよりも大きく重いが、従来のフルサイズデジタル一眼レフよりもコンパクトなので、その点では良い妥協点だと思う。
- 多くのキヤノン製カメラと同じく、外装はマグネシウム合金では無くポリカーボネイトを使用している。ただしボディは完全な防塵防滴仕様で、欠点は見つからない。
- 測距点の選択は、EOS Rのように気まぐれなタッチパッドではなく、本物のジョイスティックを見つけることができて嬉しい。また、ホイールを使った際の作動方向を変更することも可能だ。
- モード変更は、R6は右肩に伝統的なホイールを採用している。
- キヤノンでは一般的なバリアングルモニタを搭載している。
- ソニーでも対応機種が出始めたが、R6は電源オフ時にシャッターを閉幕してイメージセンサーを保護する機能を備えている。この機能をオフにすることも可能だ。
- 電子ビューファインダーの解像度は369万ドットであり、R5の576万ドットよりも低く、最近登場したソニーα7S IIIの944万点には遠く及ばない。とはいえ、快適で、ほぼ100%の視野をカバーする優れたファインダーであることに変わりはない。また、デフォルトの60fpsよりも快適な120fpsの滑らかな表示を選ぶことも可能だ。
- ストレージには、USH-II対応のSDカード用デュアルスロットを採用している。
- 通信接続性は良好で、かなり完成度の高いものとなっている。
- CタイプのUSBポートを搭載しており、外部給電に対応している。
- さらにHDMI端子、マイク端子、ヘッドホン端子、のほかリモコン端子も備えている。
- クラシックなキヤノンのレイアウトには変わらないが、メニューはより複雑になっており、新機能が追加されている。メニューをナビゲートするのは必ずしも容易ではない。
パフォーマンス
- これは、我々がテストした中で最も高速なAFシステムの一つだ。昼間でも、低照度時でも、非常に早く被写体をロックすることができる。ロックまでのスピードはかなりのものだ。
- カメラの自動閉幕機能をオフにすると、起動速度はさらに向上する。
- 連写速度はほぼ公称値通りで、少し上回っている。メカニカルシャッターでは12fps強、電子シャッターでは21fpsまで上昇する。この性能は、キヤノンEOS-1D X Mark IIIやソニーα9 IIなどのスポーツカメラに匹敵するものだ。
- 非圧縮RAW+Jpeg(計260ファイル)で130枚の画像を連続撮影したところ、バッファメモリが飽和状態になった。
- キヤノンはEOS R6で、新しいオートフォーカス追尾システムを導入している。本当に効果的な人間の瞳追従に加え、動物(犬、猫、鳥を含む)の目を検出するシステムを追加した。効果的で、初期設定で動作不良となるのは稀だ。体や顔、目をよく検出し、使うのが楽しくなる。
- EOS-1D X Mark IIIに搭載されている2010万画素センサーを搭載している。ISO1600までのイメージで画質劣化を感じることはまずないだろう。ノイズはISO 3,200から出始め、ISO 6,400を超えると顕著となる。ISO25,600以上の画像を常用は難しい。拡張感度は緊急用だ。α7 IIIを上回るものでは無いが、非常に良好なセンサーである。
- プリプロダクションモデルを使用しているのでダイナミックレンジのテストはまだ出来ていない。
- ボディ内手ぶれ補正は公称値に届かないが非常に高性能だ。
動画
- EOS R5が8K RAWや4K 120fpsでクロップを伴わずガツガツ撮影できるマシンであるのに対し、EOS R6はもう少しリーズナブルだ。
- 4K UHDで最大60fpsに対応しており、ビットレートは230Mbpsだ。このビットレートは、デフォルトモードとH.264コーデックで有効であることに注意してほしい。キヤノンのC-LogプロファイルとH.265コーデックで撮影すると、ビットレートを340Mbpsまで向上させることが可能だ。いずれの場合も、サンプリングは内部記録で4:2:2 10Bitだ。
- 4K UHDはフル画角から僅かにクロップされる。Full HDから4Kへの切り替え時に若干のクロップに気が付くはずだ。その理由は、4K UHDモードではセンサーの94%しか使用していないため、1.07倍のクロップに相当するからである。これはEOS Rユーザーを困らせた1.7倍クロップに比べれば些細なことだが、考慮すべき事実であることに変わりはない。
- スローモーションを試したい人は、Full HDを使う必要がある。
- 全てのモードで瞳検出が可能だ。スチルと同じくらい効果的である。全体として、EOS R6の動画機能は、EOS R5やソニーα7S IIIに及ばないかもしれないが、それでも素晴らしいカメラであることに変わりはない。
- ローリングシャッターは4K UHDで上手く抑えられており、Full HDではほぼ解消されている。
キャノンが直球ドストライクの球を投げてきた。EOS R6は、双子のEOS R5よりも技術的には劣るものの、依然として強力な性能を備えている。効果的なエルゴノミクスを特徴とし、特にフルサイズカメラでは業界最高レベルの応答性を実現している。
我々が重箱の隅を楊枝でほじくるとしたら、低解像の2010万画素センサーであること、そして4K UHDでのわずかなトリミングを指摘する。しかし、それは根本的にR6を貶めるものにはならない。α7 IIIやZ 6、LUMIX S1などがひしめき合うスタンダードモデル市場においてキヤノンは彼らを揺さぶることが出来るだろうか?EOS R6はやや出遅れてしまったが、カメラの品質を考慮すると負け戦にはならないだろう。
長所:優れたエルゴノミクス・非常にレスポンスの良いAF・顔/瞳検出・キヤノン初のボディ内手ぶれ補正・防塵防滴・デュアルカードスロット・バリアングルモニタ・ヘッドホン端子・マイク端子・給電対応・4:2:2 10Bit
短所:電子シャッターが1/8000秒まで・4K UHDでのクロップ・センサー解像度
とのこと。
R5と比べると低解像ですが、より低価格で同等のAFシステムや手ぶれ補正、エルゴノミクスを利用できるフルサイズミラーレスですね。多くのレビューサイトで高い評価を得ていますが、Lesnumeriquesでも同様の結果となった模様。特にオートフォーカスの高速性や検出能力を評価し、連写性能も公称値通りと述べています。高速性を確保しつつ、α7 IIIと同等の高感度性能を獲得したのは凄い。ダイナミックレンジはテストできなかったみたいですが、EOS-1D X Mark IIIと同等のセンサーだとすると期待できそうです。
競合するスタンダードモデルと比べると、価格はやや高めですが、最新AFシステムや連写性能は魅力的と感じるかもしれません。
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