Digital Camera Worldがキヤノン「EOS R8」のファーストインプレッションを公開。低価格で小型軽量ながら、高性能なAFシステムや撮影速度を実現し、R6 Mark IIと同等の静止画/動画の画質が得られると評価。
DIgital Camera World:Hands on: Canon EOS R8 review
- 約4年前に初代EOS Rを発売して以来、キヤノンがいかに長い道のりを歩んできた。そして、現在のRFシステムがいかに多くの購買層を網羅しているのか思い知らされるカメラだ。
- キヤノンはハイエンドモデルであるEOS R3から、エントリー向けのEOS R10まで様々なカメラとレンズを投入している。キヤノンが減速する兆候は見られない。
- EOS R8は、APS-C機であるEOS R7の1つ下の数値でありながら、実はフルサイズセンサーを搭載している。
- キヤノンによると、R8はフルサイズカメラのエントリーモデルであるEOS RPと、本格派やプロ向けのEOS R6 Mark IIの間に位置するカメラだ。
- EOS R8は、アップグレードしたRPと見るか、スペックを落としたR6 Mark IIと見るか、2つを組み合わせたフランケンシュタインの怪物のような存在だ。
特徴
- R6 Mark IIと同じ2420万画素センサーを使用し、ISO感度のレンジも同じである。
- -6.5EVまでオートフォーカスが可能だ。
(訳注:F1.2レンズ使用時の話です)- R6 IIの驚異的な電子シャッタースピードを継承し、40コマ/秒という驚異的な速さで連続撮影が可能だ。
- 電子先幕シャッター時は最大6コマ/秒の撮影速度となる。
- R8の電子ビューファインダーは120fpsのリフレッシュレートを備え、キヤノンのOVFシミュレーションが付属する。
- 搭載されているデュアルピクセルCMOS AF IIは、最新の被写体認識とトラッキングを実装した最高のAFシステムだ。
- 最大4K 60p(6Kオーバーサンプリング)または最大180fpsのFullHDで、C-Log3またはHDR PQ、4:2:2 10bitの動画撮影が可能だ。
- 4Kでの記録時間制限は過去のものであるとキヤノンは主張している。
- Wi-Fi、Bluetooth 4.2、Apple MFI、image.canon、UVC、マルチファンクションシューなどの接続方式に加え、マイクロHDMI、3.5mmマイク・ヘッドホン端子、転送・充電用USB-Cなどの物理的なポートが用意されている。
- バッテリーにはLP-E17を採用し、フルサイズカメラが通常使用するLP-E6NHよりも小型で容量も少ない。しかしその分、バッテリー、SDカードを含めて461gと全体の小型・軽量化に寄与している。
操作性
- ボディはEOS RPをほぼ再現し、サイズ、重量ともに旧モデルから20gの軽量化を実現している。
- トッププレートのレイアウトはEOS R6 Mark IIとほぼ同じで、ロックスイッチがオン/オフ機能に変更され、従来の電源スイッチの位置に静止画/動画の切り替えスイッチを搭載している。
- トッププレートには、コントロールホイール2個、モードセレクトダイヤル、M-Fnボタン、録画ボタンと標準的なものを搭載。
- EOS R8は全体的にRPに近いデザインで、ボタンやダイヤルはR6よりかなり浅くなっている。
- 背面の操作系はR6と異なり、RPに近い、より高価なカメラにある背面ホイールやAFジョイスティックは無い。
- 従来、ジョイスティックはキヤノンの高級機と普及機を分ける重要なポイントだ。しかし、最近はエントリーモデルであるEOS R10にAFジョイスティックを搭載したことを考慮すると、明らかなハンディキャップのように感じられる。
- ジョイスティックの省略は残念だが、操作系は信じられないほど機能的で、方向キーでもフォーカスを微調整できる(ゆっくりだが)。
- 本当に不利な点は、SDカードスロットが1つだけなことだ。EOS R8をR6と区別化するためにスロットを1つにした論理は理解できるが、他のブランドには小型で同価格のカメラに2つ目のスロットがある。
(訳注:例えばZ 5やα7 IIIなどはデュアルカードスロットです)- SDカードスロットをカメラ底面にあるバッテリーコンパートメントに配置するデザインは、いつも信じられないほどイライラさせられる。このカメラはハイブリッドプロダクションデバイスとして開発されているため、リグやジンバル、三脚に搭載することが多いはずだ。
(訳注:つまりバッテリーコンパートメントだとSDカードの出し入れが出来なくなる可能性があるということ)性能
- センサー性能は、基本的にR6 Mark IIである。同じ2420万画素の解像度とDIGIC Xプロセッサを搭載。電子シャッターで40fpsの撮影ができるようになり、高価なキヤノン EOS R5よりも高速だ。
- また、最新のAFシステムとトラッキング性能を備えている。
- ボディ内手ぶれ補正を欠いているが、この価格帯で省かれるのは当然の選択と思われる。
- キヤノンは依然として、常に非常に優れたレンズ搭載の光学式手ぶれ補正を積極的に搭載しており、さらにデジタル手ぶれ補正と組み合わせることが可能である。
- R8で大きく損なわれている性能の1つは、バッテリーだ。省スペース化のために、より小型でパワーのないLP-E17バッテリーを採用。より耐久性のあるLP-E6NHを採用した高価なモデルとのすみ分けを図っている。
- LP-E17は決して悪いバッテリーではなく、キヤノンのAPS-C機やEOS RPに採用されているバッテリーだ。しかし、強化されたAFや動画機能を活用していると、目に見えるかのようにバッテリー残量がへってゆく。
総評
まさにすべてを兼ね備えてたカメラだ。究極の画質を求めるのではなく、被写界深度の浅さやダイナミックレンジの広さなど、フルサイズセンサーの利点がより良いコンテンツを生み出すことができるのであれば、R8はどんな状況でも成功するだろう。
R6 Mark IIの機能に魅了されたものの、予算が及ばないという方には、このカメラがおススメだ。もちろん、いくつかの妥協点はある。SDカードスロットは一つのみで、バッテリーと同じくカメラ下部に格納されている。また、ジョイスティックや背面ホイールでの操作に慣れている方にとっては、操作に慣れるまで時間がかかるだろう。
しかし、このカメラがもたらすテクノロジーを考えると、これらはすべて、かなり公平なトレードオフのように思える。写真と動画のハイブリッドカメラを求めるオンラインコンテンツクリエイター、フルサイズセンサーを試してみたいマニアックなフォトグラファー、予算の少ない学生にとって、EOS R8はすべての条件を満たしていると言えるだろう。
- 長所:
・最新のAFシステム
・40fpsの連続撮影速度
・信じられないほど小型軽量- 短所:
・厄介なカードスロットの位置
・容量が少ないバッテリー
・AFジョイスティックやホイールがない
とのこと。
EOS RPのように小さなボディに、EOS R6 IIと同等のセンサー・プロセッサ・AFシステムを詰め込んだ面白いカメラですね。少なくとも海外(北米)ではEOS R7と同程度の価格設定となっており、手ごろな価格で最新AFや40fpsの連続撮影を楽しめるフルサイズカメラに仕上がっている模様。動画撮影も6Kオーバーサンプリングの4K 60pまで利用可能となっており、バッテリーライフの問題さえ回避できれば、この価格帯としては十分以上の性能を発揮するカメラとなりそうです。
DCWが指摘しているように、競合他社では標準となっているボディ内手ぶれ補正を搭載していないことが欠点となりそうです。とは言え、キヤノンRFレンズは光学手振れ補正を搭載しているレンズが多く、ボディ内手ぶれ補正に依存する必要性は他社ほど高くないはず。
注意点として、あくまでも「EOS R7と同じ価格設定」は海外での話。少なくとも国内での販売価格はEOS R7よりも高くなる可能性が高く、R6 Mark IIとの価格差が小さいので「それならR6 IIを買う」と考える人も多いことでしょう。レビューする地域によって価格差が大きく、国内外で評価に微妙なズレを感じるかもしれません。EOS R7と同じ価格設定であれば、確かにコスパの良いフルサイズカメラで間違いないはず。
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