Lenstipがニコン「NIKKOR Z 50mm f/1.2 S」のレビューを公開。優れた光学性能と評価しつつ、より良好な光学性能で小型軽量なレンズが既に存在する(FE 50mm F1.2 GM)と言及しています。
Lenstip:Nikon Nikkor Z 50 mm f/1.2 S
ビルドクオリティ:
- 直径37mmの後玉は固定されており、内部は完璧な反射防止対策が施されている。
- レンズはタイ製だ。
- レンズにはフードとレンズポーチが付属する。
携帯性:
- このカテゴリのレンズとしては間違いなく最も大きく、最も重く、最も複雑な光学設計のレンズだ。そして最も大きなフィルター径を使用している。
- このレンズと比べたら、LeicaやVoigtlanderなどは小動物のように見える。そして、ソニーGMですら明らかに小型で軽量だ。
操作性:
- 幅10mmのコントロールリングは適切な抵抗量で滑らかに回転する。
- OLEDディスプレイを搭載し、重要な情報を表示することができる。DISPボタンでパラメータの変更が可能だ。
- L-Fnボタンにはカメラ側で21種類の機能から役割を登録することができる。
- 大きなフォーカスリングはF1.8 Sシリーズと異なりゴム製グリップだ。60mm幅のフォーカスリングは電子制御で動作する。回転速度に応じて移動量が変化し、素早く回転すると90度未満、ゆっくり回転すると120?130度でピント全域を移動できる。
オートフォーカス:
- Z 7との組み合わせでノイズレスで動作する。
- ピント全域を移動するのに0.9?1.0秒はかかる。
マニュアルフォーカス:
- 記載なし。
手ぶれ補正:
- 記載なし。
解像性能:
- Z 7のRAWを測定している。
- 良像の基準値は41~43lpmmだ。
- 最高の単焦点レンズで85lpmmを超えることがある。
- 中央はケチのつけようがない性能だ。開放から47lpmmに近い数値となり、良像を遥かに超えている。絞るとF4で80lpmmの優れた水準となる。
- ただし、このレンズの解像チャートは古いレンズのような曲線を描くため、ピークのF4?F5.6を頂点として絞り開放と小絞りではパフォーマンスが低下する。F1.2の開放F値を考慮するとF2.8における伸びが悪い。
- 例えば、ソニーFE 50mm F1.2 GMはF2.8でほぼ70lpmmだ。対してこのレンズは20lpmmよりも大きな差で劣っている。
- APS-C領域でもケチのつけようがない。F1.2の解像性能はもう少し高いと良かったが、幸いにもF1.4で良像の基準値を超える。ここでもソニーGMと比べるとこのレンズはそれほど良くない。
- フレーム端で良像を得るにはF1.4?F1.6まで絞る必要がある。ソニーはここでも絞り開放から良像を維持している。さらに絞った時の性能はニコンよりも8lpmm良好だ。
像面湾曲:
- 記載なし。
ボケ:
- ボケはとても心地よく見えるが、個人の主観によるものが大きい。
- 玉ボケは均質的で非球面レンズを使っているにも関わらず玉ねぎボケはわずかだ。
- 口径食はF1.2でのみ目立ち、F1.8で既に小さくなり、F2.5で解消する。
色収差:
- 軸上色収差に問題は見られない。絞り開放から色付きはわずかで、1段絞るとほぼ完全に抑えることができる。
- 倍率色収差の補正状態に文句を付けることは出来ない。ただし、ここでもソニーGMは少し良好だ。
球面収差:
- 球面収差の補正は完璧ではなく、近距離で絞るとわずかにピントがシフトする。
- 球面収差はおそらくボケ描写のために意図的に残してあるのだと思う。
- 個人的にシャープネスとボケのトレードオフはリスクが高いと考えている。ボケの評価は主観的だが、シャープネスは数値として簡単に測定できてしまうからだ。
歪曲収差:
- DXで-0.08%、FXでも+0.06%と拍手喝采の補正状態だ。このカテゴリではソニーGMよりも優れた結果だ。
周辺減光:
- FXで-2.43EVとかなりの光量落ちが見られる。しかし、数値はソニーGMよりも良好だ。
コマ収差:
- 興味深いことにDXフレームの隅でも変形が見られる。FXの隅ではさらに顕著となる。幸いにも1段絞ると高価は減少する。
- このカテゴリはソニーのほうが少し良好だ。
- 非点収差の平均値は15.1%だ。ソニーよりも僅かに良好だ。
逆光耐性:
- 絞り開放でコントラストの低下が目に付く。絞るとさらに問題が悪化する。
- このカテゴリでソニーはより良好だ。
総評
NIKKOR Z 50mm F1.2 Sは、多くの長所を持つ、よくまとまったレンズだ。使って楽しく、いい写真が撮れることは間違いない。とは言え、ソニーFE 50mm F1.2 GMは、同じ価格帯で、物理的に軽く、明らかに小さく、光学的に優れたレンズを製造できることを示している。さらに、付属品も充実している。
完璧なシステムと妥協のないF1.2レンズならば、大きく重いレンズも許容できると思う。とは言え、このレンズは少しやりすぎたのではないだろうか。ソニーを見ると分かるように、光学的に優れていながら、より小型軽量に作ることも可能だ。
- 長所:
・頑丈で防塵防滴仕様の金属鏡筒
・優れた中央解像
・良好なDXフレームの画質
・きちんとしたフルサイズ隅の画質
・無視できる軸上色収差
・穏やかな倍率色収差
・穏やかなAPS-Cの減光
・心地よいボケ
・静かで正確なAF- 短所:
・周辺減光が目だつ
・逆光耐性はより良好だと良かった
・サイズと重量が顕著
とのこと。
優れた光学性能のレンズですが、ソニーFE 50mm F1.2 GMと比べた際にサイズ差のアドバンテージは見られない模様。Lenstipが言及しているボケの主観的な評価で差が出るかもしれませんが、少なくとも解像性能や色収差で有利とはならない模様。特に解像性能の均質性が欠如している点についてはLesnumeriquesも指摘しています。
個人的にボケは50mm F1.2 Sのほうが滑らかで柔らかい描写に見えますが、ここに魅力を感じない場合は小型軽量なだFE 50mm F1.2 GMのほうが携帯性が良い分、満足度が高くなるかもしれません。(サイズ差は下部の比較画像を参照してください)
ニコンは光学設計で「対称型を突き詰めた理想的なレンズ構成」と言及しており、サイズ度外視で光の無理な屈折をさける努力をしているようです。これが実際に功を奏したのかどうか、実際に使ってみないと分からないかもしれませんね。Flickrの専用ページには既に700点を超えるユーザー投稿が公開されています。官能的ともいえる評価軸が自身の好みと合うかどうか、しっかりと見極めて購入したいところ。
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