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NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S 口径食は目立つが圧倒的な解像性能

Lenstipがニコン「NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S」のレビューを公開。口径食によるボケの変形や周辺減光が目立つとしつつも、隅までに圧倒的な解像性能を備えた稀有なレンズとのこと。

Lenstip:Nikon Nikkor Z MC 105 mm f/2.8 VR S

  • 外観:タイ製。鏡筒にはOLEDディスプレイを備えており、絞り値・距離・被写界深度を素早く確認できる。DISPボタンで表示内容の切り替えが可能。付属品のポーチは非常に薄く、保護性に乏しい。この価格帯であれば、より質の高い付属品が望まれる。
  • 構造:62mmフィルター。筐体および可動部はすべて密閉構造で、防塵・防滴性に優れるとされる。前玉にはフッ素コーティングが施され、水や汚れに強い。
  • 携帯性:サイズは大きめ。
  • 操作性:L-Fnボタンがあり、任意の機能を割り当て可能。AF/MF切替スイッチ、フォーカスレンジ切替(FULL、0.29~0.5m)スイッチを装備。幅7mmのリブ付きコントロールリングは、クリックレスの絞り調整または露出補正に対応し、滑らかで適度な抵抗感がある。
  • AF:動作音は静かで、かすかな音しか発しないが、動作速度は遅い。FULLレンジでは全距離を測距するため、合焦に1秒以上かかる。遠距離用のレンジが欠如している点は奇妙であるが、フォーカス精度自体は非常に優れており、屋内外問わず大きな問題はなかった。
  • MF:幅47mmの大型フォーカスリングはゴム製リブで覆われ、フォーカスバイワイヤ式。滑らかに動作し、適切な抵抗感もある。距離目盛や被写界深度目盛はない。回転角度は約700度と非常に大きく、マクロ域での精密な調整が可能。ただし、0.5m~無限遠までは100度で足りる。快適な操作性を備えるが、ブリージングは約168%と非常に大きい。
  • 手ぶれ補正:約4段分の補正効果があるとされ、手ぶれ補正性能はこのカテゴリ内でも高く評価される。
  • 解像性能:中央はライバルと互角。APS-Cでもフルサイズでも、画面全域にわたり非常に優れた解像性能を示す。特に中央以外で70 lpmmを超える唯一の製品であり、中央のみならず四隅においても際立った画質が圧倒的。マクロ用途での全域高画質は特筆に値する。
  • 像面湾曲:記載なし。
  • ボケ:ボケの円は美しく、内部は均一な明るさで玉ねぎボケは見られない。絞り込んでも縁の硬さはあまり目立たない。一方で、開放では口径食の影響が強く、2段絞っても影響は残る。
  • 軸上色収差:開放でもアウトフォーカス領域に色づきはほとんど見られず、模範的な補正性能。
  • 倍率色収差:非常に低いレベルであり、実用上の問題はない。競合製品と比べてもニッコールの性能は優秀であり、唯一シグマがこれよりわずかに低い値を記録。
  • 球面収差:前後のデフォーカス像がほぼ同一で、球面収差は十分に補正。
  • 歪曲収差:-0.75%の軽微な樽型歪みがあるが、実用上問題ない範囲。
  • 周辺減光:開放で最大51%(-2.04EV)とかなり目立つが、f/4で30%、f/5.6で13%、f/8では2%に減少し、十分補正可能。
  • コマ収差:フルサイズの隅で目立ち、特に点光源での形状変形が確認される。
  • 逆光耐性::逆光では明るいゴーストが発生しやすく、フレーム内やその近くに太陽があるとショットを損なう可能性がある。ソニーと同程度で、タムロンよりやや劣り、シグマより明らかに劣る性能である。
  • 光条:記載なし。
  • 作例集
  • 総評:マクロ用途に最適化され、欠点も設計意図に基づいた結果といえる。中央部のみならず周辺部の描写にも注力。これほどの性能を備えたライバルは存在しない。約850ドルと安価ではないが、競合モデルの多くは手ブレ補正を欠いており、周辺描写も劣る。ソニーは1500ドル以上と高価であるため、本レンズの価格は合理的といえる。
  • 競合について:記載なし。
  • 備考

NIKKOR Zとしては初となるマクロ(マイクロ)レンズの一つ。
全体的に高価格化が進む中、F1.8 Sシリーズと同程度の価格設定に抑えられています。実質的にFマウント用レンズから価格据え置きに近い設定で、驚いたZマウントユーザーは私だけではないはず。
(キヤノンやソニーの100mmマクロレンズは比較的高い)

価格据え置きながら光学性能は非常に良好で、さらにコントロールリングやL-Fnボタン、OLEDパネルなど、Zレンズらしい豊富な機能を搭載しているのが特徴的のようです。Lenstipでは、特にフレーム隅まで優れた解像性能や諸収差の補正状態を評価。注意点が無いわけではないものの、長所を考慮するとマクロレンズとしては許容範囲内と言ったところでしょうか。

私も発売日に入手しており、Lenstipのレビューは概ね同意できる内容と感じました。レビュー中で指摘しているように、撮影距離によってはAF速度が低下するので注意が必要。同時期に登場したRF100mm F2.8 L IS USMと比べると雲泥の差。

ただし、光学性能は非常に良好で、私が2021年に購入したレンズの中ではトップクラスの解像性能だと感じました。色収差も徹底的に補正しており、F2.8から細部まで高コントラストな画質は「これぞNIKKOR Z」と言ったところ。

その一方で、無限遠側の口径食や周辺減光が非常に目立ち、ボケが欠けやすいのが悩ましいところ。コントラストが高いので、背景によっては騒がしく感じることも…。マクロレンズとしては優秀ですが、F2.8を使ったポートレートなどでは欠点が目立つかもしれません。

ニコン「NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S」交換レンズデータベース

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