Optical Limitsがキヤノン「RF16mm F2.8 STM」のレビューを公開。RAWの光学性能を重視する同サイトと相性の悪いレンズですが「16mm F2.8がこの価格はお買い得である」と結論付けています。
Optical Limits:Canon RF 16mm f/2.8 STM - Review / Test Report
外観・構造:
- RF16mm F2.8 STMの製品が公開されたとき、キヤノンコミュニティは興奮に包まれました。しかし、世界はこれまで16mm F2.8の小さなフルサイズ用レンズを見たことがなかったので、私を含めた一部の人は、ソニーE 16mm F2.8のようなAPS-Cフォーマットのレンズではないかと予想していた。
- しかし、実際にはフルサイズ用レンズであり、このクラスのレンズとしてはこれまでにない価格設定だ。価格はわずか300ドルで、我々全員を驚かせた。
- 構造的には「RF50mm F1.8 STM」とほぼ同じだ。鏡筒にプリントされた焦点距離がなければ、見分けがつかない。
- レンズ本体はプラスチック製で、金属製レンズマウントを備えている。
- ウェザーシールはなく、レンズフードも同梱されていない。
携帯性:
- フィルターサイズ(43mm)もRF50mm F1.8と同じで、このクラスの超広角レンズで見られた巨大な前玉を考えると不可解だ。
- 沈胴式となっているので、カメラを起動するとレンズの内筒が少し動いて作動位置に移動する。
操作性:
- コントロールリングは1つで、マニュアルフォーカスまたはカスタム機能に割り当て、任意の機能を利用することができる。
フォーカス:
- フォーカシングはSTM(ステッピングモーター)を採用。
- AFでのフルタイムマニュアルに対応している。
- 内筒の軽量化により、AFスピードが非常に速くなっている。
- 動作中は甲高い音がするが、ノイズレベルは低い。
- 驚くべきことに、最大撮影倍率が1:3.8と高い。マクロの領域ではないが、多くの超広角レンズの中では接写性能が高い。
手ぶれ補正:
- 光学手ぶれ補正は搭載していない。
解像性能:
- 補正の良し悪しは補正の仕方にも大きく左右され、歪曲収差が4%を超えなければそれほど影響はないので、通常は補正なしの状態で解像感をテストする。
- しかし、このレンズは補正なしで使うことを想定していない。
- 中央の広い範囲の画質は何の問題もない。特に少し絞ったときに、このレンズはとてもシャープだ。
- しかし、フレーム端やフレーム隅は全く別の話だ。端はF2.8で問題ないが、四隅はF2.8でドロドロだ。絞り込んでいくと、端はそれなりに改善されるが、四隅の柔らかさはわずかにしか改善されない。
- 当然のことながら、このレンズは歪曲収差を補正しない方がはるかにシャープに見える。
- 試用したサンプルのセンタリング品質は良好である。
- すべての人がEOS R5を持っているわけではない。読者の中には、より妥当な価格のカメラでこのレンズがどのように動作するかに興味を持っている人もいるだろう。このため、既存の3000万画素機で撮り比べるのは有意義なことだ。
- 3000万画素機の場合も基本的には同じ傾向だが、センサー解像性能が低下したことで、周辺画質がかなり向上している。F2.8ではまだ若干のソフトさがあるものの、中程度の絞り値ではきちんとした結果が得られている。
像面湾曲:
- 像面湾曲は小さい。
ボケ:
- 非球面レンズを1枚使用しただけのシンプルなレンズだ。シンプルな光学設計は良いボケを生み出す傾向がある。
- 被写界深度の浅い写真には向いていないが、中央の広い範囲でボケ味は良好である。しかし、フレーム端や隅の部分でボケが悪化する。
色収差:
- 未補正の倍率色収差は約2.5pxで非常に目立つ。
- これは画質を落とさずに自動補正することができる。
球面収差:
- 記載なし。
歪曲収差:
- このレンズの樽型歪曲収差は10%近くにもなる。これは目立ち過ぎる。
- デジタル補正なしでは基本的に使用できない。しかしデジタル補正は、この問題をほぼゼロにするという素晴らしい仕事をしてくれる。
- この点は評価できるが、画像を大幅に引き伸ばすので、フレーム外側の解像度が低下する。
周辺減光:
- 歪曲収差と周辺光量補正をしないと、極端な光量落ちが発生する。F2.8では四隅がほぼ黒くなり、F4でも明るくならない。
- 歪曲収差補正を有効にして、周辺光量補正を無効にすると、問題のある四隅がクロップされる。F2.8ではまだ光量落ちは大きいが、超広角レンズであることを考慮すると酷くはない。
- 完全に補正した場合、中央から四隅に向かって光量落ちが非常に緩やかになるため、F2.8でも非常に良い結果が得られる。言うまでもなく、増感補正はノイズ増加のリスクをはらんでいる。
コマ収差:
- 記載なし。
逆光耐性:
- 記載なし。
総評
RF16mm F2.8 STMは様々な側面を持つレンズだ。例えば、EOS R3やR6をお持ちの方であれば、このレンズは適切な超広角レンズとなるだろう。EOS R5の4,500万画素では、画像の隅々まで見たくない。もちろん純正メーカーから発売された安価で大口径な超広角レンズであることも特筆すべき点だ。品質の問題を無視しても、この価格は非常に安い。選択肢がないよりもマシである。
テクニカルな観点から言えば、高画素カメラでは低品質だ。中央から広い範囲は完璧にシャープだが、四隅では品質が崩壊している。しかも、自動補正付きである。純粋なRAWでは過度の樽型歪曲、極端な周辺光量の低下、高い倍率色収差など、基本的に使用できない。このレンズは設計が不十分であり、奈落の底から引き上げるため、デジタル補正に大きく依存している。自動補正を適用した場合、樽型歪曲はわずかで、F2.8でも周辺光量低下は少なく、色収差も解消されている。
ビルドクオリティは、この価格クラスのコンシューマーグレードのレンズとしては良好だ。プラスチックと金属を組み合わせた部品や、滑らかなコントロール/フォーカスリングなど、かなりしっかりとした印象を受ける。また、小さなレンズなので、カジュアルな写真やストリート写真に最適だ。欠点としては、耐候性がなく、インナーフォーカスではなく、年代物の繰り出し式フォーカス構造に頼っていることだ。しかし、AF速度は十分に満足できる。
全体的に見て、16mmF2.8がこの金額で買えるのは、前述のような制限があるにせよ、非常にお買い得だ。ただ、ラーダ(ロシア車)の価格でメルセデスの品質を期待してはいけない。
とのこと。
当ブログでも魚眼レンズのような歪曲収差を指摘していますが、Optical Limitsも同様に大きな樽型歪曲を確認し、そして補正後は引き伸ばされる隅の解像性能が大きく低下すると言及しています。補正のしかたによっては良好な見栄えを期待できますが、最適化されているキヤノンのデジタルレンズオプティマイザ(DLO)以上とはならない可能性あり。DLOに対応したカメラ出力のJPEGやDPP4を使ったRAW現像であれば問題ないものの、Lightroom Classic CCなど社外製ソフトの補正とは相性が悪く感じるかもしれませんね。
Optical LimitsはEOS RやEOS R6などの組み合わせを勧めていますが、個人的にはEOS R5でも(価格やサイズを考慮すると)満足のいく結果が得られています。超広角で隅の端までシャープな結果を期待しなければ、コストパフォーマンスの高いレンズとなるはず。
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