Dustin Abbottがキヤノン「RF24-70mm F2.8L IS USM」のレビューを公開。歪曲収差や周辺減光が目立つものの、ズームレンジ全域で良好な解像性能やボケ描写(玉ボケは騒がしいようですが)を評価しています。
ズーム全域で強力な光学性能
Dustin Abbott:Canon RF 24-70mm F2.8L IS Review
- レンズの紹介:
・これまでキヤノンレンズでF2.8と手ぶれ補正を両立した標準ズームは存在しなかった。
・EOS R5やR6と組み合わせることで最大8段分の補正効果を得ることが出来る。
・RF15-35mm F2.8LとRF70-200mm F2.8Lと組み合わせることで、汎用性の高い焦点距離をプログレードのレンズでカバーすることが可能だ。
・RFレンズではよくあることだが、価格は安くない。そして小さくもない「シグマルート」を採用している。このレンズもクラスで最も重く、高価である。- ビルドクオリティ:
・ビルドクオリティは期待を裏切らないものだ。
・古いLレンズは防塵防滴のシーリングが一つ二つだが、それでも新品のように機能する。このレンズはさらに数多くのシーリングを採用している。
・前面と背面のレンズにフッ素コーティングを使用している。
・プロユースの使用に耐えられるように、頑丈で洗練された構造だ。
・耐衝撃性能を備え、外装はスレなどに強い。
・花形レンズフードはロックスイッチを備えた一般的なものだ。- 携帯性:
・第一印象はRF15-35mm F2.8Lと同じく「大きなレンズ」である。
・ソニーGMよりも少し短いが、重量は最も重い。・ニコンZやキヤノンEF用は比較してわずかに軽い。
・キヤノンRFは唯一光学手ぶれ補正を搭載している点に留意する必要がある。- 操作性:
・ズームリングは滑らかに動作する。70mm時には内筒が4cm伸びるが、操作に違和感は無い。バランス良好だ。
・ズームリングのロックスイッチがあるものの、必要と感じたことは一度もない。
・フォーカスリングとコントロールリングの触感は異なる。
・コントロールリングは露出補正や絞りの操作に利用可能だ。有料でクリックストップを解除することも出来る。- オートフォーカス:
・ナノUSM駆動のオートフォーカスは高速で静かに動作する。
・一般的なピント移動はほぼ瞬間的に完了する。
・EOS R5とR6の組み合わせで問題は何もない。一貫して優れた性能だ。これまで見てきた中では最高である。
・最短撮影距離と最大撮影倍率が改善している。しかし、ここ最近のミラーレス用レンズで見られるように、広角側での話となる。
・このレンズの最大撮影倍率0.30倍は32mmの焦点距離で達成される。分かりづらい焦点距離であり、期待していたものより厄介だ。
・70mmでは0.38mの最短撮影距離となる。最大倍率は0.23倍程度に見える。
・クローズアップ時の性能には感銘を受けた。ディテールとコントラストは良好で、ボケもかなり良い。- マニュアルフォーカス:
・記載なし。- 手ぶれ補正:
・EOS R5との組み合わせで、公称値ほど手ぶれ補正の効果は高くない。5段と1/3段分の補正効果に見える。
・私にとって、手ぶれ補正は動画で特に有効だ。電動ジンバルほど滑らかでは無いが、素早くカメラを操作する場合にはうまく機能する。- 解像性能:
・光学的な欠点が無いわけでは無いが、EFレンズよりも改善している。
・24mmはF2.8からフレーム全体で優れたシャープネスだ。コントラストは良好で、隅々までディーテルのある描写だ。
・F4まで絞るとさらに良くなり、F5.6で等倍でも美しいディテールを得られる。四隅のピークはF8だが、違いは極僅かである。
・35mmはフレームの大部分がF2.8から並外れた性能だ。四隅の端のみわずかにソフトである。F5.6まで絞れば良好な水準だ。
・50mmも引き続き強力な性能である。絞った際のピークは35mmほどでは無いが、四隅は良好だ。
・70mmも非常に良好だが、このズームレンズで最も弱い焦点距離となる。色収差によりコントラストが低下している。とは言え、実写ではとても良好に見える。軸上色収差の影響はしぼるごとに改善し、シャープさが増す。- 像面湾曲:
・記載なし。- ボケ:
・ズームレンズとしては非常に良好だ。
・玉ボケには騒がしさがあるものの、描写はとても良好である。
・後ボケはかなり柔らかく見える。- 色収差:
・70mmで軸上色収差の影響が残っている。- 球面収差:
・記載なし。- 歪曲収差:
・広角側では明らかな樽型歪曲が見られる。
・広角側の歪曲には陣笠状の歪みがあり、手動補正は難しい。
・望遠側では穏やかな糸巻き型歪曲となる。この収差は手動でも補正しやすい。- 周辺減光:
・広角側で四隅に偏った減光が見られる。プロファイル補正で改善するが、非リニアな減光で不自然な処理を避けるためか完璧な補正結果ではない。
・減光はEFレンズよりも遥かに目立つ。
・望遠側で光量落ちは改善するものの、やはり非リニアな影響を受ける。- コマ収差:
・記載なし。- 逆光耐性:
・とても良好でコントラストを維持できる。- 動画:
・EOS R5やR6では4K撮影時のクロップが無くなり、これまでよりも24-70mmの使い勝手が良くなっている。
・手ぶれ補正は電動ジンバルほど良好ではない。
・フォーカスブリージングが比較的少なく見える。
・レンズが大きく重いのが厄介である。- 作例集
総評
プログレードの標準ズームレンズは光学手ぶれ補正の搭載により柔軟性が高まっている。さらに、様々な環境で使用できるビルドクオリティを備えたレンズだ。
しかし、完璧なレンズでは無く、2299ドルと非常に高価な値付けである。レンズサイズは珍しいものでは無いが、それでも少し重く、大きいレンズだ。24mmでは複雑な樽型歪曲が発生し、周辺減光もかなり目立つ。
フレーム全体の素晴らしい画質やオートフォーカス、手ぶれ補正は優れている。長期的に使う価値のあるレンズだ。
長所:堅牢なビルドクオリティ・ハイクオリティな耐候性・静かで高速なAF・効果的な手ぶれ補正・全域で強力な光学性能・良好なボケ・優れた逆光耐性
短所:24mmの重い減光・大きく重い・高価
とのこと。
Optical Limitsのレビューと似ており、F2.8からフレームの大部分で良好な画質を得られる模様。四隅の端までシャープな描写を得たい場合はF5.6付近まで絞るのが良さそうですね。
やはり歪曲収差や周辺減光について指摘しているので、最適化されたレンズプロファイルで補正したいところ。その辺りを考慮しても優れた標準ズームレンズに仕上がっているようです。
30万円超と非常に高価な標準ズームレンズですが、光学性能やビルドクオリティ、そして軽快なAF性能を考慮すると面白い選択肢と言えそうです。需要に対して供給が追い付いておらず、注文から納品まで時間がかかる点には気を付けておいた方が良さそう。
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