Admiring Lightがキヤノン「RF70-200mm F2.8L IS USM」のレビューを公開。EFレンズの優れた光学性能を継承しつつ、小型軽量化を実現しており、気軽に持ち出せるレンズになったと評価しています。
高価だが本当に優れたレンズ
Admiring Light:Review: Canon RF 70-200mm f/2.8L IS USM
- レンズの紹介:
・キヤノンの70-200mmは常にカメラシステムの中核をなすレンズの一つであり、一貫して優れている。
・RFシステム用の新70-200mmはインナーズーム構造をやめ、コンパクトで伸びるズーム構造に切り替えている。- ビルドクオリティ:
・Lensrentalsの分解レビューによれば、防塵防滴仕様は心配ないと言われている。
・キヤノンは24-70mmや100-400mmなど、伸びるタイプのズームレンズでしっかりとした防塵防滴仕様の伸びるズームレンズを長年投入し続けている。
・外装はハイクオリティなエンジニアリングプラスチック製だ。とてもしっかりとした質感である。
・ズームレンズの内筒は非常に頑丈で遊びやガタツキは全くない。
・三脚リングは一眼レフ用と比べて少し幅が狭いがしっかりと固定される。ただし、回転動作が重い。レンズは軽量で手持ち撮影に適しているため、普段はこの三脚リングを外して使用している。
・白いプラスチック製のレンズフードが付属している。反射を防ぐために内側にリブ加工が施されているほか、フィルター操作用の窓がある。フードの直径が太く、収納性が悪いので個人的に好きでは無いデザインだ。
・RF24-105mm F4LのレンズフードはRF70-200mm F2.8Lに装着できる。ただし、逆さ付けは出来ない。
・後玉はレンズマウントに近く、エクステンダーに対応していない。焦点距離を拡張したい人にとって厄介な仕様だ。- 携帯性:
・インナーズームは全長が一定であることに加え、防塵防滴や堅牢性などの利点を持つ。ただし、サイズと重量は大きな欠点となってしまう。一般的なサイズは全長が約8インチ、重量が1.5kgだ。
・このレンズは伸びるズーム構造を採用しており、大幅なサイズダウンと減量に成功している。全長は5.75インチ、重量は1,070gだ。EF70-200mm F2.8L IS IIIと比較すると、重量は1/3減り、全長は25%短くなっており、違いはすぐに分かる。
・70mm時はカメラに装着した状態でも収納しやすい。
・軽量化しているのでカメラと組み合わせた時のバランスも良好だ。
・直径はタムロンの70-180mm F2.8よりも太いが、縮長は同程度だ。レンズフードはタムロンのほうがスリムなので、キヤノンの収納性は見劣りする。- 操作性:
・ズームリングは滑らかに回転する。
・フォーカスリングはとても滑らかに回転する。
・レンズマウント付近にコントロールリングを搭載。
・側面には4つのスイッチを搭載している。従来通りのスイッチであり、確実に操作でき、誤操作は稀だ。
・反対の側面にはズームリングを70mmで固定するスイッチがある。- オートフォーカス:
・ナノUSM駆動のAFは非常に高速だ。ワンショットAFでもサーボAFでも非常に高速であり、EOS R6との組み合わせで正確なフォーカシングが可能であった。
・動体の追従撮影も簡単だ。- ブリージング:
・EFレンズと比べてフォーカスブリージングについて顕著な変化が見られる。
・EFレンズは接写時に画角が狭くなるが(250mm程度)、このレンズは接写時に画角が広くなる。このため、接写時の画角に大きな違いが見られる。
・無限遠の画角は同程度だ。
・動画撮影ではブリージングが小さなRFレンズが望ましいと思う。- マニュアルフォーカス:
・記載なし。- 手ぶれ補正:
・5段分の光学手ぶれ補正を搭載している。R5やR6と組み合わせることで最大8段分の補正効果があるという。
・実写で8段分の補正効果が完全に得られることはないが、200mmで1/10秒、多くの場合は1/4秒でシャープな結果を得ることが出来る。これは6段分の補正効果となる優れた結果であり、信頼性が高い。- 解像性能:
・プログレードのレンズに期待されるように、とてもシャープなレンズだ。ズームレンジ全域でF2.8からフレーム全体がシャープである。
・中央は全域で並外れたシャープネスで、フレーム端の解像度低下も極僅かだ。絞るとすぐに改善する。
・EF70-200mm F2.8L IS III USMと比べて新境地と感じるほどの性能差では無い。
・私がこれまで使ってきた中で最もシャープな望遠ズームレンズの一つだ。- 像面湾曲:
・記載なし。- ボケ・色:
・心地よいボケ味である。
・後ボケは基本的にとても滑らかで、玉ボケは均質的だ。
・絞り開放では口径食の影響があるものの、このクラスとして特に酷い影響ではない。
・絞ってもボケ味は良好だ。
・優れた色とコントラストでパンチのある画質である。F4まで絞った時の改善効果は僅かだ。最近のハイエンドレンズはどれも素晴らしい色とコントラストを備えているため、驚くべきことでは無い。- 色収差:
・倍率色収差の補正は優れている。実質ゼロだ。
・軸上色収差はとても良好に補正され、F2.8でピント面前後の僅かな色づきのみである。絞ればすぐに解消する。- 球面収差:
・記載なし。- 歪曲収差:
・記載なし。- 周辺減光:
・広角端の影響は穏やかだ。
・望遠端ではより目立ち、かなり強くなる。F4まで絞ると大幅に改善し、F5.6で解消する。個人的な見解としては特に心配する必要は無い。- コマ収差:
・記載なし。- 逆光耐性:
・フレアによるコントラスト低下は良く抑えられている。
・太陽がフレーム内にあると、望遠側で強めのゴーストが発生する。- 作例集
総評
従来の70-200mm F2.8は重量級レンズだったが、RF70-200mm F2.8Lは扱いやすく、携帯性の優れたレンズである。私が写真を始めて以来、このようなレンズを待ち焦がれていた。このレンズが登場するまで、屋外で70-200mm F2.8を持ち歩くのが耐えられなかった。
シャープネスとボケは良好で、際立った画質である。そして非常に高速で正確なAFと手ぶれ補正を備えている。ビルドクオリティは見事で、操作性も良好だ。
唯一欠点があるとすれば価格設定だが、本当に優れたレンズだと思う。長所:小型軽量・堅牢なビルドクオリティ・高速正確なAF・卓越した光学手ぶれ補正・ズームレンジ全域でF2.8からとてもシャープ・優れたボケ・優れた色収差補正・優れた色とコントラスト・きちんとした歪曲収差補正
短所:場合によって逆光耐性・エクステンダー非対応・非常に高価
とのこと。
他のレビューサイトと同様、光学性能の際立った改善は見られないようですが、携帯性やAFはとても評価が高くなっている模様。ボケもズームレンズとしては見栄えの良い描写ですね。価格設定は30万円前後と非常に高価ではあるものの、EF70-200mm F2.8 IS III USMと比べて驚くほどの価格差では無いように見えます。(II型であれば20万円ちょっとで購入可能ですが)
悩ましいのはレンズが品薄であること。発売から1年以上が経過した現在でも数週間の納期が発生する人気レンズです(キタムラでは「2か月」と示されています)。EOS R5・EOS R6の登場が影響している可能性もありますが、春先に使いたいのであれば早めに注文しておいたほうが良さそうです。
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