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富士フイルム「X-S10」は幅広い層におススメしやすいカメラ

DPReviewが富士フイルム「X-S10」のレビューを公開。トラッキングAFの性能には改善が必要なものの、あらゆるジャンルのフォトグラファーにおススメしやすいカメラに仕上がっていると評価しています。

多くの人の心をくすぐるカメラ

DPReview:Fujifilm X-S10 full review: An image-stabilized camera for (almost) everyone

  • カメラの紹介
    ・富士フイルムはX-S10をX-T30とX-H1を掛け合わせたカメラと説明している。
    ・X-S10はEOS KissやニコンDxxxxシリーズのような操作に馴染んでいる人向けだ。
    ・本体価格999ドルと手が届かない値付けではない。
    ・スペック的にはX-T30とX-T4をブレンドしている。
    ・最も近い競合モデルは「α6600」「Z 50」「E-M5 Mark III」だ。Z 50は少し安価だがボディ内手ぶれ補正を搭載していない。
  • ビルド・外観
    ・全体的なデザインは他の富士フイルム機と異なっている。正面から見るとX-H1とよく似ているが、X-T200と似ている部分もある。
    ・ビルドクオリティはとてもしっかりとしている。防塵防滴仕様のような印象を受けるが、実際には耐候性を備えていない。
    ・プラスチッキーのように感じるのは2つのラベル無しダイヤルとポートカバーだけだ。
    ・NP-126Sバッテリーを使用している。X-T4のような大容量バッテリーではない。
    ・USB充電や給電に対応しているが、給電はUSB-PD製品に限られる。
  • 携帯性
    ・記載なし。
  • グリップ
    ・深くて良好なデザインだ。
    ・フロントダイヤルや付近のボタンにアクセスしやすい。
  • 操作性
    ・AFジョイスティックは他の富士フイルム機と少し動作が異なる。
    ・押し込みボタンは任意のエリアを拡大する機能が設定されている。他のモデルではリアダイヤルの押し込みボタンに設定されていた機能だ。
    ・AFジョイスティックを操作するだけでフォーカスエリア選択モードへ移行し、ダイヤル操作でエリアモードを選択することも出来る。
    ・AFジョイスティック押し込み機能で「顔セレクト」を使うと、顔検出時でもジョイスティックを押し込むだけで顔検出を無視して通常のフォーカスエリアを利用することが出来る。残念ながら、電源をリセットすると顔検出無効はオフとなる。
    ・背面のボタンはまばらだが、ターゲットを考慮すると適切だと思われる。
    ・他のモデルと同様に、AFモード専用スイッチが欲しいと感じた。
    ・X-T30やX-T4と大きく異なる点はシャッタースピードと露出補正用のダイヤルが無いことだ。モードダイヤルとコマンドダイヤルで操作することになる。富士フイルムのクラシカルな操作性のファンであれば悲鳴を上げるかもしれないが、初心者やエントリーモデルからのアップグレードには適している。
    ・オートISOは3セットのカスタマイズが可能だ。低速限界設定には自動モードもあるが、1/焦点距離の設定しかなく、低速・高速に調整する機能は無い。
  • 手ぶれ補正
    ・X-T4よりも30%小型軽量化した補正ユニットを搭載している。
    ・新型モーションセンサーによりユニットがより効果的となっている。
    ・消費電力を抑える再設計された基盤回路を備えている。
    ・X-T4と比べると半段ほど効果が弱い。
  • ファインダー・モニター
    ・どちらも平凡で目立たないスペックだ。
    ・モニターは3.0型104万ドットの液晶パネルでタッチパネルに対応している。
    ・ファインダーは236万ドットのOLEDパネルを使用し、0.62倍の光学系を備えている。リフレッシュレートはX-T30と同じ最大100fpsだ。
  • メニューシステム
    ・記載なし。
  • オートフォーカス
    ・オートモードでも任意のAFエリアモードを利用できるようになっている。(従来はワイドエリア固定だった)
    ・X-T4に匹敵するAFだ。
    ・顔検出と瞳検出のオンオフはメインメニューで設定する必要がある。
    ・AFジョイスティックで複数の顔から任意の顔を選んだり、押し込みボタンで検出を無効にすることも可能だ。
    ・スポーツやアクションの撮影でX-S10のトラッキングAFを心からおススメすることは出来ない。シングル・ゾーンを使ったほうが良い結果を残せると思う。
    ・カジュアルユーザーならば、トラッキングAFは役に立つと思う。
  • 連写性能
    ・記載なし。
  • 高感度ISOノイズ
    ・センサーとプロセッサが同じであるため、本質的にX-T4と同じ画質だ。
    ・RAWのディテールは2400万画素機と比べてしっかりとしている。
    ・高感度ISOでも見栄えが良いものの、いくらか色ノイズの低減機能が作用している可能性がある。
    ・JPEGはソニーほど低感度時のディテール再現が上手くないものの、高感度時はノイズを抑えながらディテールを上手く表現している。
  • ダイナミックレンジ
    ・X-T4と同じだ。
    ・デュアルゲインISOを実装しており、ISO800以降はダイナミックレンジが少し狭くなるものの、シャドウのノイズが抑えられている。
    ・ベースISO感度のノイズが抑えられているので、アンダーで撮影してハイライトの情報を維持することが可能だ。
  • 仕上がり機能
    ・オートモードとシーンモードは状況に応じてプロビア・ベルビア・アスティアのいずれかを選択するフイルムシミュレーションモードがある。我々のテストではポートレート撮影でプロビアを選択するエラーが発生した。
    ・オートモードでもRAW出力が可能となっている。
    ・フイルムシミュレーション選択時にQボタンを押すことで各モードの説明を確認することが出来る。
    ・X-A7のようにフイルムシミュレーションを見比べる機能は無い。
  • 動画
    ・基本的にX-T30と同じだ。
    ・オーバーサンプリングされたDCI/UHD 4Kで24p/30pで撮影可能である。
    ・マグネシウム合金ボディのおかげで4K動画を30分撮影できるとしている。
    ・Full HDで240fpsの撮影も可能だ。
    ・顔瞳検出に対応したAFを利用できる。顔セレクトにも対応しているが、検出が途切れるとハンチングする可能性がある。
    ・ボディ内手ぶれ補正に加え、電子手ぶれ補正と連携することでさらに手ぶれを抑えることが可能だ。
    ・画質は基本的にX-T30と同じである。優れたディテールの4Kだが、FullHDではモアレが発生しやすい。
    ・EOS M6 Mark IIと互角、Z 50よりも良好で、α6600に近い。
    ・F-logに対応しているが、内部記録は4:2:0 8Bitまでだ。柔軟性のある10Bit録画は外部レコーダーを使う必要がある。
    ・メモリーカード残量に応じてカウントダウンする表示では無く、記録時にゼロからカウントアップする機能が追加されているのは嬉しい。
    ・3.5mmマイクジャックに加え、USB経由でヘッドホン出力も利用可能だ。
  • 作例集

総評

like 素敵な画質
優れたグリップ
強力な動画機能
小型サイズ
優れたビルドクオリティ
USB経由でヘッドホン対応
オートモードの機能改善
USB充電
don't like トラッキングAFが競合他社より弱い
ファインダーが少し小さい
カスタムボタンが少ない
外部充電器が付属しない
まずまずのバッテリーライフ
オートISOの柔軟性が物足りない

富士フイルムX-S10は、多くの人の心をくすぐるカメラだ。1000ドルのボディ価格は、ほとんどの一般的なコンシューマーが「安い」と考えるものでは無いが、写真撮影に興味があり、なんでもできる本格的なカメラを探している場合、X-S10は本当にしっかりとした価値を持つ。

操作性は特に優れている。モードダイヤルと3種類のカスタマイズ可能なコントロールダイヤルを備え、素早く設定を操作できるカメラである。カスタマイズ可能なボタンがもう一つか二つあればいいのだが、タッチパネル(タッチFn対応)とAFジョイスティックは歓迎すべきである。

画質は文句なしだ。2600万画素の解像度で、その解像度を最大限に引き出すための効果的なボディ内手ぶれ補正機能も搭載している。快適で調整可能なJPEGエンジン、高品質なレンズの豊富なラインアップなど、X-S10は本当に素晴らしい画質を備えている。動画機能も充実しており、ディテールのある4K動画やログ記録、外部マイクやヘッドフォンも使用可能だ。

X-S10で一番の欠点はオートフォーカスだ。AF-S・AF-Cにおける「シングル」または「ゾーン」はうまくいくが、トラッキングAFは今のところ競合機には及ばない。オートフォーカス以外では、ファインダーが小さいのが気になる。

しかし、富士フイルムX-S10は、あらゆる種類の写真家にお勧めしやすいカメラである。以前から富士フイルムのラインアップに注目していたが、ミドル&ハイエンドカメラのシグネチャーとなっている専用のシャッタースピード、ISO、絞りダイヤルを必ずしも必要としていなかった人には、X-S10は一見の価値があると言えるだろう。

  • α6600:
    X-S10はより馴染みやすい操作性・優れたタッチインターフェースと動画機能を備えている。ただし、AFはソニーの方が良好で、手ごろな価格のレンズも揃っている。
  • Z 50:
    解像度はX-S10が良好だが、操作性は互角だ。高速連写や動画機能の点で富士フイルムが有利ではあるが、ニコンも同様の万能なカメラに仕上がっている。
  • E-M5 Mark III:
    小型の低画素センサーであり、X-S10のAPS-Cセンサーには及ばない。しかし、連写速度はいい勝負で、そして信じられないほど良好な作りのカメラである。

とのこと。
トラッキングAFはソニーほど優れた性能では無いようですが、全体的におススメしやすいカメラに仕上がっているみたいですね。最終的な評価は「銀賞 86%」となり、AF・ファインダー・モニター・通信接続性が足を引っ張ってしまった模様。

私も現役X-S10ユーザーですが、同意できる部分が多いです。
個人的に気になる部分は「スティック押し込み」でフレーム中央にAFエリアを戻す機能がないこと。そして、連写時にバッファが詰まりやすく、バッファクリアにも時間がかかること。あとはライブビュー時の拡大倍率が小さいこと。AF性能はDPReviewが言うほど悪くないと思うのですよね。ソニーと比べると分が悪いですが…。

それ以外では、優れた画質や効果的な手ぶれ補正、レスポンスの良いAFと瞳検出、良好な操作性のカメラと感じています。富士フイルム最新の画質・AFシステム・フイルムシミュレーション・JPEG機能を備え、これで10万円ならば安い買い物かなと。

X-T200寄りの操作性やバリアングルモニタが引っかかる人もいると思いますが、競合他社からの乗り換えやX-A7やX-T200からのステップアップと考えると、確かに最適なモデルだと感じます。

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