このページではタムロン「20-40mm F/2.8 Di III VXD」のレビューを掲載しています。今回はレンズの外観や操作性、カメラに装着してAF/MFの使いやすさなどを確認しています。
20-40mm F/2.8 Di III VXDのレビュー一覧
- タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD レンズレビュー完全版
- タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD レビューVol.6 周辺減光・逆光編
- タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD レビューVol.5 ボケ編
- タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD レビューVol.4 諸収差編
- タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD レビューVol.3 解像チャート編
- タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD レビューVol.2 遠景解像編
- タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXD レビューVol.1 外観・操作性・AF編
Index
まえがき
タムロン 20-40mm F/2.8 Di III VXDは2022年10月に発売されたフルサイズ用「Di III」シリーズ13本目となるレンズです。ズーム全域で開放F値「F2.8」の大口径を実現しつつ、超広角20mmから標準40mmまでをカバーする珍しいズームレンジをカバーしています。
概要 | |||
---|---|---|---|
レンズの仕様 | |||
発売日 | 2022年10月27日 | 初値 | 87,120円 |
マウント | E | 最短撮影距離 | 0.17-0.29m |
フォーマット | 35mm | 最大撮影倍率 | 1:3.8-1:5.1 |
焦点距離 | 20-40mm | フィルター径 | 67mm |
レンズ構成 | 11群12枚 | 手ぶれ補正 | - |
開放絞り | F2.8 | テレコン | - |
最小絞り | F22 | コーティング | BBAR-G2 |
絞り羽根 | 9枚 | ||
サイズ・重量など | |||
サイズ | φ74.4×86.5mm | 防塵防滴 | 簡易防滴 |
重量 | 365g | AF | VXD |
その他 | USB-Cポート | ||
付属品 | |||
レンズフード |
超広角をカバーしている大口径のズームレンズですが、全長86.5mm、重量365gと小型軽量です。よく似たサイズ感のレンズを挙げるとソニー「FE PZ 16-35mm F4 G」でしょうか。F4 Gほど広い画角をカバーしていないものの、望遠側は40mmまで利用でき、さらにF4よりも1段明るいF2.8で使用可能。F2.8は低照度でISO感度やシャッタースピードの維持に役立ち、さらにボケも大きくすることができます。小型軽量な大口径レンズは周辺部に向かって画質低下の傾向があり、このレンズもMTF曲線を見た限りでは例外ではありません。このあたりが実写でどのように影響しているのか、実際にテストで確認してみたいと思います。
価格のチェック
売り出し価格の最安値は87,120円。大口径のズームレンズとしてはサードパーティ製としても安く、特に純正レンズと比べると段違いに安くなっています。競合製品が無いことを考えると、もう少し高くでも買う人は買いそうですが…。
20-40mm F/2.8 Di III VXD | |||
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外観・操作性
箱・付属品
タムロンらしい白を基調としたデザインの箱。マウント部と同じように箱の底面にルミナスゴールドのカラーを採用。レンズ本体は段ボールの仕切りで前後を固定された状態で梱包。
レンズ本体の他に花形レンズフードと説明書、保証書、シリアルナンバー記載のシールが付属しています。
外観
ぱっと見た外観は一眼レフ用のSPシリーズとよく似ていますが、他のタムロンDi IIIシリーズと同じくプラスチック製の外装を採用。ミラーレス用レンズは競合他社もプラスチック製の外装を採用するメーカーが多く、特に違和感はありません。安っぽさは感じず、しっかりとした質感に加えて、旧デザイン(28-75mm F2.8 Di III RXDなど)と比べて傷や指紋に強くなっているように見えます。
ズームリングとフォーカスリングはどちらもゴム製カバーを装着。リング表面に粘性は感じず、ゴミの付着は少ないと思われます。外装の文字は全てプリントで、エッチングなど芸が細かい加工は無し。この辺りはタムロンらしく割り切った感があります。ちなみに「設計 日本」「製造 ベトナム」と記載を確認。
Di IIIシリーズの新世代らしく、USB-Cポートを搭載。パソコンやスマートフォンと接続することで、レンズのファームウェアを更新したり、カスタマイズすることが可能です。ただし、カスタムスイッチやFnボタンは搭載していないので、できることは限られています。
40mmから20mmに向かってズームアウトすると、内筒が前方へ伸びる構造。焦点距離20mmで最も長くなり、その際は40mmと比べて1cmほど全長が長くなります。
内筒もプラスチック製ですが、がたつきなどは無く、頑丈な印象を受けます。
ハンズオン
サイズがφ74.4×86.5mm、重量が365gとF2.8の大口径ズームとしては非常にコンパクトで軽量なレンズです。コンパクトな単焦点レンズを一回り大きくした程度のサイズ感であり、様々なカメラバッグに収納しやすいのがGood。
前玉・後玉
タムロンDi IIIシリーズらしく67mmのねじ込み式フィルターに対応。他の多くのDi IIIシリーズレンズとフィルターを共有できるので非常に便利。特にニッチな高濃度NDなどを揃えやすいのは大きなメリットと感じます。
前玉には防汚コートが施されているので、水滴や油汚れが付着した際のメンテナンスが簡単。とは言え、ダメージが想定できる撮影シーンでは予めプロテクトフィルターなどを装着しておくのがおススメです。
金属製のレンズマウントは4本のビスで固定されています。マウント周囲には簡易防滴用のガスケットを確認できます。カメラ側のマウントと隙間なく装着することが出来るものの、脱着時の抵抗感が非常に強いので注意が必要です。
後玉付近は反射防止のためのマットブラックな塗装が施されています。ズーム操作で後玉は後方へ移動。
フォーカスリング
タムロンDi IIIシリーズでは珍しく、レンズ先端にフォーカスリングを搭載。他のタムロンレンズに慣れていると、ズームリングと勘違いして操作してしまうかもしれません。少しだけ慣れが必要です。10mm幅のフォーカスリングは適度なトルクで滑らかに回転します。レスポンスはUSB-Cポート経由のカスタマイズでリニア(角度調整可能)/ノンリニアに変更できるほか、回転方向も設定することが可能。ノンリニアは応答性が良すぎるので、個人的には90-180度のリニア設定がおススメです。
ズームリング
17mm幅のズームリングは滑らかに回転しますが、指一本でも軽く回転するほど緩い。ただし自重落下する兆候は見られず、滑らかに回転するので微調整は簡単。動画撮影にも利用できそうですが、ズーム全域でストロークが90度近くあるのでワンアクションで20mmから40mmまで操作するのは難しい。
USB-Cポート
マウント付近にファームウェアアップデートやカスタマイズ用のUSB-Cポートを搭載。キャップなしですが、タムロン曰く問題は無いようです。
前述したように、Fnボタンやカスタムスイッチを搭載していないので、カスタマイズできるのはフォーカスリングのみ。それでもレスポンスや回転方向を調整できるのは便利と感じました。
レンズフード
プラスチック製の花形レンズフードが付属します。フィルター操作窓やロック構造のない非常にシンプルなフード。逆さ付けに対応しています。
装着例
α7R IVに装着。「単焦点並みにコンパクトなレンズ」とは言いませんが、少なくともF2.8大口径ズームレンズの中では最小・最軽量クラスで間違いないはず。シグマ「28-70mm F2.8 DG DN」よりも短くて軽い。感覚的には「FE 20mm F1.8 G」とほぼ同じなので、片手での撮影でも余裕があります。
グリップとレンズの間には十分な空間があり、手袋を装着したままでも普通に操作できます。
AF・MF
フォーカススピード
フォーカスはリニアモーター(VXD)駆動で動作。AF-Sでも最短撮影距離から無限遠まで非常に高速で、ほとんど迷うことなく合焦します。40mm側では合焦速度が少し低下しますが、それでもストレスを感じることはないでしょう。AF-Cを使用すると、さらに合焦速度が高くなり、ピント移動が目に見えないほどの電光石火で動作します。最短撮影距離に近い接写時はピントが迷いがちとなるものの、それ以外では非常に快適。
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指す。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となる。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。
今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離と無限遠で撮影した結果が以下の通り。
ゆっくり操作すると目立ちませんが、素早くピント移動する際は画角の変化が目に付きます。ソニーのフォーカスブリージング補正は利用できないので、この画角の変化を許容できないのであれば動画撮影には使用しないほうが良さそうです(深度合成などにも不向きと言えるかもしれません)。
精度
α7R IVやα7 IVと組み合わせて使用している限りではピント精度に関して問題なし。
MF
フォーカスリングは滑らかに回転し、レスポンスやストロークも調整できるので自分好みの操作性に設定可能。ただし、ノンリニア時の感度調整は出来ないので、リニア時の角度設定で調整します。
今回のまとめ
レンズの第一印象はとても良好。
大口径ズームレンズながら小型軽量で、日常的に持ち歩いても全く苦にならないレベルに収まっています。カメラバッグへの収納性も良く、片手でも簡単に撮影出来てしまう軽さは魅力的。外装こそプラスチック感があるものの、安っぽさはなく、旧世代よりもしっかりとした塗装が施され、カスタマイズやファームウェアアップデートに使えるUSB-Cポートまで搭載。これで防塵防滴やフッ素コーティングまで採用して10万円以下で入手可能となっています。コストパフォーマンスはとても良好。
「FE 20mm F1.8 G」や「FE PZ 16-35mm F4 G」とよく似たサイズのレンズで、20mm未満の広角域やF1.8の大口径が必要無ければ、このタムロンレンズが面白い選択肢になると思います。このサイズで20mmから40mmまでF2.8を利用できるメリットは大きい。フィルターサイズも67mmと程よく、他のタムロンレンズと共有でき、VXD駆動による高速AFやカスタマイズに対応したフォーカスリングも便利。
敢えて言えばFnボタンやカスタムスイッチを搭載していない点が残念ですが、レンズサイズが小さく、搭載する余地が無かったと言えば納得してしまいそうです。それくらい小型軽量が大正義となっているレンズ。光学2倍のショートズームながら、使い勝手の良い焦点距離を利用できるのでだ不便さはそう感じないはず。
購入早見表
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作例
関連レンズ
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- FE 24-70mm F2.8 GM II
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- 16-28mm F2.8 DG DN
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