ソニー「α7 IV」のレビュー第八弾を公開。今回はカメラのフォーカス性能や顔・瞳検出、AF/MFメニューシステムについてチェックしています。
α7 IV レビュー一覧
- ソニー α7 IV 徹底レビュー 完全版
- ソニー α7 IV 徹底レビューVol.7 カスタマイズ編
- ソニー α7 IV 徹底レビューVol.7 新メニューシステム編
- ソニー α7 IV 徹底レビューVol.6 ファーストインプレッション
- ソニー α7 IV 徹底レビューVol.5 連続撮影・ドライブ編
- ソニー α7 IV 徹底レビューVol.4 クリエイティブルックsample編
- ソニー α7 IV 徹底レビューVol.3 クリエイティブルック編
- ソニー α7 IV 徹底レビューVol.2 画質編 中間報告
- ソニー α7 IV 徹底レビューVol.1 外観・操作編
- ソニーα7 IV 外観・メニュー・シャッター音の確認
オートフォーカス
カバーエリア
新型プロセッサ「BIONZ XR」を搭載しているが、フォーカスエリアは従来通り。ただし、コントロールダイヤルでのフォーカスモード切替に対応している。従来機よりもシームレスな切替が可能だ。
AFメニュー
AF関連のメニューはカテゴリが5種類あり、全35項目で構成されている。一つ一つの項目はBIONZ X世代から存在するものだが、再構成され見やすくなった。ただし。カテゴリ「AF/MF」や「フォーカスエリア」は第三層が1ページに収まらず、2ページ目以降を確認するには第三層から直接スクロールするしかない。個人的にページが変わるのであれば、カテゴリタブを増やした方が良かったのではないかと思う。
追従フォーカスをカスタマイズできる項目は「AF被写体追従感度」のみ。 競合他社のように横切り特性や追従速度をカスタマイズする項目はない。一般的な撮影であれば標準設定で問題ないと思うが、もしも追従フォーカスの性能に不満を感じたらここを調整してみるといいだろう。
フォーカスエリア限定機能では日頃使わないフォーカスエリアを省略することで、必要なフォーカスエリアを素早く設定することができる。特にこのカメラではコマンドホイール2フォーカスエリアの変更を割り当てることができるため、この機能の重要性が高まっている。
カメラを縦位置と横位置で使い分けた際にフォーカスエリアやフォーカス位置も連動して切り替わるようになる。ポートレートなどで縦位置を利用するのであれば便利な機能かもしれないが、仰角や俯瞰で撮影することが多い場合は意図しないタイミングで縦位置と横位置が切り替わってしまう可能性がある。基本的にはオフに設定しておいた方がいいだろう。
少し前の機種から導入が進んでいたフォーカスエリア枠の色変更にα無印シリーズも対応。従来のグレー色のフォーカスエリアは、場合によって非常に見づらいことがあり、以前からフォーカス枠の色変更機能が望まれていた。歓迎できる機能強化だが、個人的には青色や茶色など幅広い色の変更に対応しているとなお良かった。
フォーカスエリアを移動した際にフレーム端に突き当たった際に、さらにボタンを押し込んでもフレームが移動しないのか、それとも逆フレーム端までジャンプするのか変更することができる。ゾーンエリアなど幅広いAFフレームを使ってる場合は特に必要性を感じないが、フレキシブルスポット小などを使っている際は、フレーム端から端までの移動が煩雑と感じるのでオンにしておいた方がいいだろう。
フレキシブルスポットを使用したフォーカスフレーム移動量を変化させる設定項目。通常はフォーカスフレームを0.5刻みで移動するが、移動量を「大」に設定するとフォーカスフレームが1.0刻みで移動するようになる。ちなみにフレキシブルスポット S ではこの設定の効力がない。
AF-S/AF-C
以前からソニーαの1点フォーカスは非常に応答速度が高く、正確な動作を期待できるものだった。BIONZ XR世代では、さらに応答性が高まり低コントラストや低照度でのフォーカス速度や精度が高まっているように感じる。特に至近距離と無限遠を交互にフォーカスするような場合には、キヤノンと並んでトップクラスの性能と言える。
ひと世代前から実装が始まったリアルタイムトラッキングAFは 追従開始後は粘り強く被写体を認識し追従し続ける。これほど粘り強い追従フォーカスはソニーを置いて他にない。 競合他社は被写体認識システムを導入することで高い追従性を実現しているが、 SONY のリアルタイムトラッキングは被写体を選ばずに素早く追従を開始できるのが特徴的だ。
もちろんソニーも動物や人物の瞳検出と連動させることができる。 開始時点で顔や瞳が検出されない場合はトラッキング開始位置を手動で指定する必要があるものの、リアルタイムトラッキング開始後に瞳などを検出してフォーカス位置を補正することは可能だ。
顔・瞳検出
前モデルはファームウェアアップデートで導入されたリアルタイム瞳AFを初めから実装している。「瞳AF」機能を使わなくても通常のフォーカスエリアで瞳を検出してフォーカスすることが可能だ。この際にリアルタイムトラッキングを使っていないと、検出は途切れた後は一般的なAF-Cへと移行する。
リアルタイムトラッキングを併用した場合、瞳を検出中は瞳検出オートフォーカスが優先され、検出が外れるとリアルタイムトラッキングで検出が外れた場所を粘り強く追従し続ける。この組み合わせにより、遮蔽物が頻繁に被写体を塞ぐような場合でも効果的に被写体を追従することが可能だ。
従来のソニーαは帽子着用時の瞳顔検出が苦手だった。しかし、このカメラでは帽子着用時も瞳をよく検出している。このような場合、以前はニコンZカメラの瞳検出の方が良好だったが、α7 IVののテスト結果はニコンZの検出精度と同等かそれ以上に見える。
少なくともα7 III比ではかなり良くなっているように見える。手持ちのカメラで言えばα7R IVよりも良好だ。帽子着用時と同じく、顔や瞳の検出に安定感がある。
検出距離
顔検出であれば上の写真くらまで顔を小さくしても反応する。とは言え、このサイズは顔検出するかしないかの瀬戸際なので、安定して追従したいのであれば、もう少しフレームに大きく写したほうが無難である。
瞳検出は上の写真くらいまで遠くに離れていても検出可能だ。望遠大口径など被写界深度が浅いレンズを使用しても正確なフォーカスを期待できる。
マニュアルフォーカス
フォーカスアシスト
従来通りフォーカスピーキングに対応している。ピーキングレベルとピーキング色の設定が可能だ。新機能である「フォーカスマップ」機能は動画撮影時のみの機能だが、個人的には静止画でも使ってみたい。欲を言えばキヤノンのフォーカスガイドのような機能があると良かった。
ライブビュー拡大
従来通りライブビューの拡大機能に対応している。
まとめ
良好な応答性と検出性能を備えた優れたフォーカスシステムだ。カメラのAF性能はレンズのアクチュエーターやセンサーの読み出し速度なども影響するので一概には言えないものの、ソニー最新のAFシステムを堪能できると思う。リアルタイムトラッキングは被写体を選ばずに粘り強く追従することが出来るし、人物や動物などで効果的な瞳検出AFを利用することが可能だ。
ただし、キヤノンのように後ろ向きの人物や動物を検出することは出来ないので、リアルタイムトラッキングの開始位置を手動で設定する必要がある。この点で、初動の掴みはキヤノンなどと比べて見劣りする。ただ、一度リアルタイムトラッキングを開始できれば、追従中の粘り強さは非常に頼もしい。
このカメラはローリングシャッターの影響を受けやすく、連続撮影時はメカニカルシャッターを使う必要性が高い。この場合、メカニカルシャッターにより撮像センサーがブラックアウトするので、追従連写の観点で言えば積層型CMOSセンサーの電子シャッター連写に見劣りする。特に激しい追従連写が必要であれば、他の一切合切を妥協してでもα9系やα1のほうがおススメだ。
一般的な撮影であれば、α7 IVのフォーカス性能に不満を感じることは少ないと思う。瞳や顔の検出精度が高まっているので、家族写真などにも使いやすくなっている。AF-ONボタンに設定されている「押している間トラッキングAF」も非常に便利だ。これで競合他社のように、人物や動物の身体検出機能が追加されれば鬼に金棒である。
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作例
カメラのおさらい
カメラの特徴
- 商品ページ/仕様表
- データベース
- 管理人のFlickrアルバム
- 発売日:2021-12-17
- 売り出し価格:296,010円
- イメージセンサー:
ー有効画素数:約3270万画素
ーローパスフィルタ:あり?
ー裏面照射型:対応
ー手ぶれ補正:5.5段分 - プロセッサ:BIONZ XR
- AF:
ーAF方式:ハイブリッド
ー測距点:759点
ーカバーエリア:約94%
ー検出機能:瞳AF(人間・動物・鳥) - 動画:
ー4K:~60p(Super35mm)
ーFull HD:~120p - ファインダー:0.5型 369万ドット OLEDパネル
- モニター:3.0型 104万ドット バリアングルモニタ
- 通信機能:2.4/5GHz Wi-Fi・Bluetooth 4.1 LE
- 対応メディア:CFexpress A・SD UHS-II
- バッテリー:NP-FZ100
- サイズ:131.3×96.4×79.8mm
- 重量:658g
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