このページではサムヤンの交換レンズ「AF45mm F1.8 FE」のレビューを掲載しています。
Index
レンズのおさらい
国内で2019年6月に発売したサムヤン製ソニーEマウント用単焦点レンズ。サムヤン製のEマウント用レンズとしては7本目となる。
- AF14mm F2.8 FE
- AF 24mm f/2.8 FE
- AF 35mm F1.4 FE
- AF 35mm f/2.8 FE
- AF45mm F1.8 FE
- AF50mm F1.4 FE
- AF85mm F1.4 FE
従来までは「F2.8でコンパクト」もしくは「F1.4で大口径」のレンズばかりだったので、今回の様に「程よいレンズ口径とサイズ」となるレンズは初。
ソニーEマウント用の標準単焦点AFレンズとしては「FE 50mm F1.8」に次いで安い。FE50mm F1.8との価格差はおよそ1?1.5万円ほどであり、この価格差に価値を見出すことが出来るかどうかがこのレンズ購入のポイントとなる。
焦点距離 | 45mm |
---|---|
明るさ | F1.8-F22 |
レンズ構成 | 6群7枚 |
画角 | フルサイズ:52.31° APS-C:35.31° |
コーティング | ウルトラマルチコーティング |
大きさ | 56.1×φ61.8mm |
重さ | 162g |
フィルター径 | 49mm |
最短撮影距離 | 0.45m |
最大撮影倍率 | 0.12倍 |
絞り羽根 | 9枚 |
6群7枚のレンズ構成でダブルガウスタイプのレンズと言うよりもソニー「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」に近い。さらにこの価格帯の標準単焦点としては珍しく特殊低分散(ED)レンズを1枚使用しているので高度な色収差補正に期待したいところ。
最短撮影距離は0.45mと標準単としては並みの性能だが、45mmと画角が少し広いので撮影倍率はやや低い0.12倍。このため「寄りきれない」と感じるシーンがあるかもしれない。
外観・操作性
全長56.1mm、重量162gと小型軽量なレンズサイズ。FE50mm F1.8と比べて12mm短く、24g軽い。
軽さの秘訣は全体的にプラスチック素材で構成され徹底的な軽量化が施されている。外装の質感は以前にレビューしたAF35mm F2.8 FEにとても近い。正直に言うと、4万円前後のレンズとしては外装のチープさは否めない。
デザインはこの世代のサムヤンレンズらしくシンプル。ストレートに伸びる外装には16mm幅のフォーカスリングが配置され、サムヤンらしい赤色のアクセントが施されている。
製造国は韓国でレンズ側面に記載。
フォーカスリングの動作は滑らかで、ソニーの自動アシストに対応。無限遠側のアソビが大きい割に適切な領域の回転角は小さいのでMF操作はやや難しい。
レンズ前玉は両面凹レンズとなっているのでレンズペンでのメンテナンスはペン側のサイズが小さくないと合わない。フッ素コーティングは施されていないので強く拭き過ぎないように注意したい。
フィルターは49mmを採用しており、FE28mm F2やFE35mm F2.8、FE55mm F1.8と共有可能。
レンズマウントは光沢があるものの、触った限りではプラスチック製の感触。長期的に利用するにはやや心もとない質感なので、レンズマウントくらいは金属製にして欲しかったところ。
防塵防滴仕様では無く、レンズマウント周辺のシーリングも無し。
プラスチック製の円形レンズフードが付属。装着はバヨネット式で逆さ付けが可能。かなり浅いレンズフードなので遮光性があるのか無いのか微妙なところ。
いっそ社外製のX-CAPなどを装着したほうが見た目的にも使い勝手的にも良さそう。
付属品
AF35mm F2.8 FEにも付属していたレンズケースが同梱。サイズはAF45mm F1.8 FEに最適化されており、ピッタリフィットする。
しっかりとしたハードケースで常用できるクオリティ。サイズ的にFE28mm F2も収納できるので重宝している。
α7 IIIとの組み合わせ
コンパクトなα7 IIIと組み合わせてもさらに小さいと感じるレンズサイズ。携帯性はもちろん良好でフルサイズミラーレスらしい単焦点レンズと言えるでしょう。これが40mmともう少し広い画角のレンズだったらお散歩用レンズに最適だったかもしれない。
オートフォーカス
爆速とは言えないものの、普段使いではストレスが溜まらない程度のフォーカススピード。近接から無限遠まで半秒程度で移動するため、よりピント位置の近いフォーカシングであればさらに高速となるはず。
ただし、ピント移動による画角変化(ブリージング)が大きく、ピント面近いフォーカシングでも若干もたつく傾向あり。
AF-Cや瞳AFも良好に動作するので激しく動くような被写体以外は対応できるはず。
無限遠側のフォーカス精度が悪い
風景写真など無限遠側でピントを合わせる際にオートフォーカスが上手く動作しなかった。遠い景色に向けてオートフォーカスを作動させると、カメラ側で「合焦」マークが点灯しても実はかなり前ピンだったりすることが多々ある。
カメラ側の問題を疑ってみたものの、同時に持っていったFE28mm F2では問題無し。この現象が個体の問題なのか、レンズ自体の問題なのか今のところ不明。購入店舗に掛け合って交換対応できないか調整中。
初期不良で交換
国内代理店であるケンコー・トキナーと相談して新品かつ状態を確認した個体と交換してもらうことができた。戻ってきた個体を実際に試してみたところ、パーフェクトな状態であることを確認。
遠景解像
前述したとおり、オートフォーカスではピントが合わないものの、マニュアルフォーカスでは普通に無限遠側でピント合う。
ピントを合わせた際の解像性能はなかなか良好。中央領域は開放からほぼトップスピードでAPS-C領域もほぼ同等。四隅は周辺減光もセットで若干解像性能が低下しているものの、F2.8まで絞れば改善し、F4からF16まで良好な画質を維持している。
軸上色収差が僅かに残存しているため、F1.8-F2.8の絞り値ではピント面で僅かなコントラスト低下が発生する場合もある。
像面湾曲は画質に影響を感じないくらいに極小。手に入れた個体の偏心は見られない。
全体的に良好な解像性能だけにAF時の精度不良が非常に残念。
ボケ 近距離
この価格帯のレンズとしてはなかなか綺麗で滑らかなボケ質。口径食の影響で四隅の変形は大きいものの、色収差による色づきは少なく非球面レンズの粗は目立たない。
ダブルガウスのボケとは一線を画しており、僅かに癖のある描写。小ボケ領域における滲むようなボケ質は個人的にかなり好みで、ピント面のシャープさと滑らかのボケ質のバランスは絶妙。
発色やコントラストは開放から良好だが、1段ほど絞ると僅かにコントラストの改善が見られる。
ボケ 中距離
やや距離を開けても綺麗なボケ描写を維持。近接ほど滲む描写では無いものの、シャープなピント面と滑らかなボケ質。
石畳の照り返しで僅かな軸上色収差の色ずれが見られるが、この照り返しでこの色ずれ量ならEDレンズがいい仕事をしているように思える。
軸上色収差
完璧な補正では無いものの、この価格帯のこのサイズのレンズとしては良好。追加補正が必要と感じるシーンはとても少なく、ハイコントラストなシーンでも躊躇なく絞り開放を利用できる。
歪曲収差
レンズプロファイルがRAWに格納されているものの、歪曲収差はJPEGでも未補正RAWでも変化なし。僅かな樽型で追加補正が必要と感じるシーンは少ない。
逆光耐性
非常に良好で小絞りを利用しても目立つゴーストやフレアの発生は見られない。
作例
今回のおさらい
- Good:程よい価格設定とレンズサイズ
- Good:小型軽量
- Bad:価格を考えると外装が安っぽい
- Bad:防塵防滴仕様では無い
- Good:しっかりとした専用ケース
- Good:程よく高速で静かなオートフォーカス
- Bad:
無限遠側のフォーカス精度が非常に悪い - Good:絞り開放から良好な遠景解像
- Good:滑らかなボケ
- Note:口径食の影響が強い四隅のボケ
- Good:開放から良好なコントラストと色
- Good:良く補正されている軸上色収差
- Good:良く補正されている歪曲収差
- Good:非常に良好な逆光耐性
満足度は70点。
無限遠のピント精度は致命的ではあるものの、これが個体の問題であれば特に気にする必要は無いでしょう。オートフォーカスの問題が解決できれば満足度は90点。追記:初期不良だったらしく、AFの問題は改善済
鏡筒の安っぽさがマイナスポイントだが、レンズの描写性能にはこれと言った不満が無い。絞り開放から安定した解像性能で目立つ色収差や歪曲収差は見当たらず、逆光耐性は良好。4万円前後の価格設定を考えるとパフォーマンスは高い。
個人的にこのレンズのおススメはボケ描写。ガウスタイプとは一線を画す癖のある描写で、特に近接時の滲むような小ボケ領域をこの価格帯で楽しめるのは凄い。
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- FE 50mm F2.8 マクロ
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