このページではソニーのミラーレス用交換レンズ「FE 20mm F1.8 G」のレビューを公開。連載1回目はレンズをα7 IIIに装着して解像力チャートを使ったテストを実施しています。
レンズのおさらい
主な特徴
- 2020年3月 発売
- 2020年3月現在でソニー製レンズで最も広い画角をカバーする単焦点レンズ
- 久しぶりの「G」単焦点レンズ
- フッ素コーティング
- XDリニアモーター
- 絞りリング+デクリック機構
- フォーカスホールドボタン
- 67mmフィルター対応
- 防塵防滴仕様
α7シリーズ開始からかなり長い時間かかりましたが、ようやく超広角単焦点レンズが登場しました。2020年に登場したソニー製フルサイズ対応Eマウントで最も画角の広い単焦点レンズです。
FE用としては珍しい「G」シリーズの単焦点レンズであり、「FE 90mm F2.8 Macro G OSS」に次いで2本目となります。無印「FE 28mm F2」「FE 35mm F1.8」と異なり、絞りリングやフッ素コーティング、しっかりとした防塵防滴仕様などで差別化されています。その一方、価格設定は10万円を超えているので注意。
20mmの広角レンズながら撮影倍率が「0.20?0.22倍」と高く、優れた接写性能を発揮します。F1.8の大口径と組み合わせることで20mmながら大きいボケを楽しむことが出来そうですね。
フォーカス駆動にはGMシリーズと同じ「XDリニアモーター」を使用しており、非常に高速で静かなオートフォーカスが期待できます。ただしブリージングはそれなりに目立つので動画撮影時は気を付けたほうが良いでしょう。
防塵防滴仕様の明るい超広角レンズとしてはレンズサイズが小さく、そして軽量デザイン。取り回しの良い広角単焦点となっています。タムロン「20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050」と比べて遥かに高価ですが、予算があればコチラがおススメ。
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撮影環境
テスト環境
- カメラボディ:α7 III
- 交換レンズ:FE 20mm F1.8 G
- パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)」
- オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
- 屋内で照明環境が一定
- 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
- α7 IIIのRAWファイルを使用
- ISO 100 固定
- Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネス オフ
・ノイズリダクション オフ
・色収差補正オフ
・格納されたレンズプロファイルオフ - 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
(像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェックしています) - 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)
補足
今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証しています。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性があります。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。
テスト結果
20mmの超広角レンズは定型の解像力チャートに近寄る必要があり、標準・望遠レンズと比べて相性が悪いです。それにも関わらず、絞り開放からフレーム四隅まで許容範囲内の画質に収まっています。
特に中央領域は非常にシャープ。約1段絞ると、2400万画素のα7 IIIで解像限界に達してしまいます。F4~F5.6で数値が低下しているのは、偽色が影響している可能性あり。F2.8とF8のパフォーマンスを考慮し、実写(下記参照)を見る限りではピークのパフォーマンスを維持しています。
周辺・四隅の解像性能は中央ほどシャープではありません。しかし開放から良像と言える数値を達成しており、FE28mm F2やFE35mm F1.8の絞り開放より遥かに良好です。さらにF4~F5.6で中央に近い解像性能を発揮します。近距離解像力チャートでここまで性能が伸びるは凄い。
中央 | 周辺部 | 四隅 | |
F1.8 | 3588 | 2854 | 2702 |
F2.0 | 3703 | 2854 | 2647 |
F2.8 | 4099 | 3065 | 2753 |
F4 | 3531 | 3322 | 3157 |
F5.6 | 3531 | 3706 | 3512 |
F8 | 4147 | 3629 | 3208 |
F11 | 3685 | 3527 | 3334 |
F16 | 3223 | 3208 | 3072 |
F22 | 2730 | 2601 | 2500 |
実写確認
実写を確認しても絞り開放から安定した解像性能を発揮していることが分かります。周辺や四隅のコントラストを高める場合は少なくとも1段、出来れば2?3段は絞っておきたいところ。
比較
タムロン20mm F2.8との比較
ハーフマクロの接写性能を持つ「20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050」と見比べてもほぼ互角の接写性能を発揮します。1段明るいことを考慮するとFE20mm F1.8 Gの自由度は高い。
ただし、絞って使う場合は大きな差を感じないかもしれません。とは言え、タムロン20mmは歪曲収差が極めて大きいので注意が必要。
タムロン17-28mm F2.8との比較
20mm F2.8と同じく悩ましい選択肢。少なくとも2400万画素のα7 IIIで使う限り、ピークの性能はあまり変わりません。少し安く、ズームレンズの汎用性を考慮すると「17-28mm F/2.8 Di III RXD」を選ぶのも一つの手。良いレンズだと思います。
ただし、絞り開放の安定感や中央解像のピークはソニーFE20mm F1.8 Gが遥かに優れています。
FE28mm・FE35mmとの比較
画角の狭いFE28mm F2やFE35mm F1.8より周辺・四隅のF1.8画質が安定しています。これは凄い、「G」レンズの貫禄と言ったところでしょうか。
少なくとも接写時の解像性能はF5.6~F8まで優位性があります。
解像力テストの雑感
満足度:95点
FE35mm F1.8の接写性能が思っていたより悪かった(周辺・四隅)ので、このレンズもあまり期待していなかったのですが…。いい意味で裏切られました。
絞り開放から安定感のある画質で気兼ねなく使っていくことが出来ます。接写性能の高さを活かして広角マクロと言った使い方もやぶさかではありません。
2400万画素のα7 IIIだと「17-28mm F/2.8 Di III RXD」も考慮すべきかなと思いますが、接写性能や絞り開放の周辺画質を重視するのであればFE20mm F1.8 Gを選ぶのも良いでしょう。
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