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FE 24-105mm F4 G OSS レンズレビュー Vol.5 諸収差編

このページではソニー「FE 24-105mm F4 G OSS」のレビュー第五弾を公開。今回は色収差や歪曲収差などを焦点距離ごとに確認した結果と評価を掲載しています。

FE 24-105mm F4 G OSS レビュー 一覧

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレーム四隅に現れる色ずれを指す。絞り値による改善効果が小さいため、この問題を解決するにはカメラボディでのソフトウェア補正が必要。ただしボディ側の補正機能で比較的簡単に修正できるので、残存していたとして大問題となる可能性は低い。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向がある。

参考:Wikipedia 色収差

実写で確認

JPEG(色収差補正オフ)

ソニーのRAWをLightroomで現像すると自動的に補正されてしまうため、JPEG出力時に「補正オフ」で撮影した作例を掲載する。24mmや35mmで倍率色収差が最も目立ち、50mm以降は収差が穏やかであることが分かる。

RAW現像(Lightroom)

参考までにLightroomでRAW現像した結果を掲載。自動的に色収差が補正されているので、収差が発生していた部分のコントラストが少し低くなっている。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指す。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられる。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところだが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多い。

軸上色収差を完璧に補正しているレンズはピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できる。

参考:Wikipedia 色収差

実写で確認

24mm

目を凝らしてじっくり確認すると、軸上色収差が発生しているのが分かる。とは言え、実写で問題となるような影響量ではなく、無視できる範囲に収まっている。さらに1段絞ればほぼ完璧に解消する。

35mm

24mmと同様、薄っすらと色づいているが大きな問題は見られない。

50mm

24mmや35mmと同様だが、ほんの少し色付きが強くなっているように見える。どちらにせよ問題は無い。

70mm

広角や標準域と比べると色づきがハッキリとしている。それでも大部分の状況で問題ない程度だが、極端にコントラストが高い領域には注意が必要だ。

105mm

70mmと同じく薄っすらと色づいている。

球面収差

24mm

前後のボケに描写の極端な違いは見られず、球面収差が良好に補正されていることが分かる。

35mm

24mmと同じく球面収差について大きな問題は見られないが、中央付近の輝描写に違いがある。

50mm

広角側と同様である。非球面レンズの研磨状態は完璧と言えないが、球面収差に関する大きな問題は無い。

70mm

これまでの焦点距離と同じく中央付近に僅かな違いがあるものの、顕著な違いは無い。

105mm

基本的には70mmと同じ傾向だ。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうことを指す。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすい。主に魚眼効果と似た形状の「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれる。

参考:Wikipedia 歪曲収差

比較的補正が簡単な収差だが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となる。

実写で確認

24mm

やや目立つ樽型歪曲が発生する。競合他社のニコンほど歪まないが、キヤノンよりも大きな収差だ。特に直線的な被写体をフレーム周辺部に配置する場合はソフトウェア補正が必須と言える。リニアな影響とは言い難く、手動の補正はなかなか難しい。

35mm

24mmとは打って変わって糸巻き型歪曲が発生。影響の度合いは小さいが、場合によっては補正が必要に見える。

50mm

35mmと比べると強めの糸巻き型歪曲で、多くの状況で目障りと感じる歪み方だ。レンズ補正は常にオンにしておきたい。

70mm

50mmと同程度の糸巻き型歪曲が発生する。

105mm

50mmや70mmと同程度の収差に見える。やはり競合他社のニコンほど目立たないが、キヤノンよりも影響は大きい。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないことを指す。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要がある。

参考:Wikipedia コマ収差

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる。

実写で確認

24mm

補正状態は100%完璧とは言えないが、大きく拡大しても影響量が僅かで、大部分の撮影では問題ないと思われる。それでも問題と感じる場合は1段絞ることで解消する。

35mm

24mmと比べると僅かに目に付く描写だが、やはり大きく拡大しない限り問題とは感じない。

50mm

35mmと異なり拡大しても収差は目立たない。良好な補正状態だ。

70mm

50mmと比べると少し目立つようになるが、それでも大きな問題は無い。

105mm

これまでと比べると少し目立つが、全体的に見ると些細な問題だ。

まとめ

フレーム内に直線的な物体が多く入るのであれば歪曲収差には気を付けたいところ。と言ってもカメラ内で自動的に補正され、対応する補正プロファイルを備えたRAW現像ソフトであれば問題視する必要は無い。また、光学的な歪曲収差を諦める代わりに、小型軽量化やその他の収差補正に力が入っていると思われる。メリットを考えれば歪曲収差のソフト補正などいくらでも妥協できる。とは言え、補正プロファイルを利用できない一部の環境では24mmの樽型歪曲を修正し辛いので注意が必要だ。

倍率色収差もソフトウェア補正に依存している分野である。特に広角~標準では周辺部や隅で色付きが発生するため、何か特別な事情が無い限りでは補正をオンにしておきたいところ。Lightroomでは補正プロファイルにより自動的に倍率色収差が補正され、これをオフにする手段が見当たらない。倍率色収差に関しても通常はソフト補正を常時オンにしておけばOKだと思う。

その他の収差、軸上色収差やコマ収差は(完璧な補正状態と言えないものの)大部分の被写体で問題ないはずだ。球面収差の補正状態もまずまず良好で、ニュートラルな描写である。
敢えて言えば軸上色収差がF4ズームとしては目立つようにも見えるが、全体的に見ると問題視するほど目立つ収差でもない。自動補正込みで考慮すると、諸収差について大きな問題は見当たらない。

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