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FE 24-105mm F4 G OSS レンズレビュー 完全版

このページではソニー「FE 24-105mm F4 G OSS」のレビューを掲載しています。

FE 24-105mm F4 G OSS レビュー 一覧

管理人の評価

ポイント 評価 コメント
価格 平均的
サイズ 平均的
重量 平均的
操作性 平均的
AF性能 とても良好
解像性能 広角や望遠の隅がソフト
ボケ ズームとしては良好
色収差 まずまず良好
歪曲収差 要補正
コマ収差・非点収差 大きな問題なし
周辺減光 ズーム両端で目立つ
逆光耐性 広角側が要改善
満足度 完璧ではないが良好

評価:

完璧ではないが便利なズームレンズ

広角側の逆光耐性や望遠側の周辺解像など、部分的に要改善点があるものの、致命傷となるような欠点は特になく、便利で扱いやすいF4ズームレンズだ。通常の価格設定で購入すると少し割高感があるものの、キャッシュバックキャンペーンや各店舗のポイント還元で10万円に近づけるとコストパフォーマンスが高いと感じる。

まえがき

2017年11月に発売されたソニーEマウント初となる24-105mmだ。24-70mmよりも幅広いズームレンジを開放F値「F4」でカバーしている便利なズームレンズである。フルサイズ対応のGシリーズとしては「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」に次いで新しいレンズでもある。

概要
レンズの仕様
マウント E 最短撮影距離 0.38m
フォーマット 35mm 最大撮影倍率 0.31倍
焦点距離 24-105mm フィルター径 77mm
レンズ構成 14群17枚 手ぶれ補正 搭載
開放絞り F4 テレコン -
最小絞り F22 コーティング NanoAR・F
絞り羽根 9枚
サイズ・重量など
サイズ φ83.4×113.3mm 防塵防滴 対応
重量 663g AF DDSSM
その他
付属品
ケース・フード・キャップ

焦点距離はこのクラスで一般的な「24-105mm」をカバーしている。開放F値や最小絞りも一般的なF4-F22を使用可能。レンズサイズや重量も他社と比べてこれと言った大きな差は無い。
ただし、最短撮影距離はハーフマクロ対応のパナソニックや、0.39倍のニコンと比べると見劣りする。ただし、キヤノンと比べると良好だ。

フォーカス駆動は手ブレ補正機構の圧電素子の収縮運動を直進運動に変換する技術をAF駆動に応用した「ダイレクトドライブSSM(DDSSM)」を使用。最新レンズで導入が続く「XDリニアモーター」と比べるとスピード性能で見劣りするものの、滑らかで十分高速なフォーカス性能を実現している。

コントロールは2つのリング以外にAFLボタンとAF/MF・OSSスイッチを搭載。絞りリングやズームリングロックは無い。

価格のチェック

売り出し価格は「¥145,416」であり、発売から4年ほど経過した今でも値下がりする傾向は見られない。ただし、ソニーのキャッシュバックキャンペーンで毎回のように高効率の還元が発生している。購入のタイミング次第では10万円ちょっとで購入することも可能だ。(楽天市場やYahoo!ショッピングのポイント付与率も高い場合が多い)

FE 24-105mm F4 G OSS
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レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

従来通り、ソニーαのブランドカラーであるインターナショナルオレンジを使ったビビッドなカラーリングの箱。遠くにあったとしても視認できるくらいの目立つ色合いに見える。レンズ本体はレンズポーチに入れられた状態で梱包されている。緩衝材は入っていない。

レンズ本体の他、レンズフードとレンズケース、説明書、保証書が付属する。レンズポーチは他社よりもしっかりとした作りだが、G Masterシリーズのケースような頑丈さは無い。

外観

外装はプラスチック製ながらしっかりとした作り。よく見るとプラスチックパーツの継ぎ目が見える。過度の安っぽさは感じないが、同じプラスチック外装のG Masterと比べると質感はやや劣る。表面はシボ加工が施されたマットな塗装で、指紋や傷がつきにくくなっている。
ちなみにレンズ先端のみ金属パーツを使用している。衝撃が加わった際の耐久性を考慮しているのだろうか?もしくは破損した場合の交換性を高めているのか…。

フォーカスリングとズームリングの表面加工に違いは見られないが、操作に困ったことは無い。
全体的に装飾は最小限。これと言った意匠は「G」のロゴしか見当たらない。外装の表記はレンズ名を除いてすべてプリント。経年劣化でプリントが剥がれてくるのか不明だが、中古屋の24-105mm F4 Gの状態を見ている限りでは問題無さそうだ。ちなみにレンズの製造国は「中国」と表示している。

レンズ内筒はプラスチックのような質感だが、外装のプラスチックよりも遥かに頑丈な作りと感じる。多段式ではなく、一つの筒が前後する仕組みとなっている。伸びた状態の内筒にガタツキは見られない。

ハンズオン

重量663g、全長113.3mm。24-105mm F4のレンズとしては平均的なサイズ・重量だ。小型軽量なソニーα7シリーズと組み合わせると少し大きく感じるが、追加グリップやバッテリーグリップを装着することで保持力は改善できる。
高級感溢れる質感ではないが、プラスチッキーなレンズとも感じない。実用性を重視したF4ズームらしい作りと感じる。

前玉・後玉

フィルターはこのクラスとしては一般的な77mm径に対応。70-200mm F2.8 GM IIや85mm F1.4 GM、100-400mm F4.5-5.6 GMと共通である。本格的にα7シリーズを運用するのであれば77mm径でフィルターを揃えておくのも一つの手。レンズ前面にはフッ素コーティングが施されているが、ダメージが予想されるシーンではプロテクトフィルターを装着しておいたほうが良いだろう。

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金属製レンズマウントは4本のビスで固定されている。周囲には防塵防滴用のゴムシーリングを配置。カメラ装着時にガタツキは無く、滑らかに装着できる。

レンズ後玉はズーム操作によって前後に移動する。内部は反射防止のために黒塗りされ、適切な逆光対策が施されている。ただ、隙間からフレキのようなパーツが垣間見える。

フォーカスリング

14mm幅のゴム製フォーカスリングを搭載。滑らかに回転するが、個人的な好みからすると少し緩すぎる。操作時の反応が良いのでDMFの場合は誤操作しやすい。操作時のレスポンスはリニアで、回転速度に関わらず約180°でピント全域を操作できる。フルマニュアルで素早く操作するにはストロークが少し長いものの、DMFで微調整するには程よいストロークと感じる。

ズームリング

約20mmのゴム製ズームリングを搭載。適切なトルクで比較的滑らかに回転するが、動画撮影で使うには滑らかさがあと少し足りない。ズーム全域でほぼ一貫したトルクながら、望遠側にズームするとトルクが少し強く感じる。24mmから105mmまでのストロークは約90°で、広角端から望遠端まで素早く移動することができる。

24mmで全長が最も短くなり、105mmで最も長くなる。105mmは内筒が47mm伸び、さらにレンズフードを装着すると40mm伸びる。
残念ながらこのレンズにはズームリングをロックする機能が無い。カメラバッグから取り出す際にフードがひっかかると内筒が伸びてしまう可能性あり。気を付けたい。

スイッチ類

レンズ側面にはAF/MF切替スイッチとOSSの切替スイッチを搭載している。どちらのスイッチも指にかかりやすく、使いやすい。

ズームリングとフォーカスリングの間にはフォーカスホールドボタンを搭載。ボディ側のカスタマイズで様々な機能を割り当てることが出来る。

レンズフード

プラスチック製の花形レンズフード「ALC-SH152」が付属する。ロック機構が無ければフィルター操作窓もない。非常にシンプルなレンズフードだ。ただし、内面の反射対策はしっかりとしているように見える。
逆さ付けに対応しているが、その際はフォーカスリングの操作が難しい。

装着例

α7R IVに装着したところ、レンズとのバランスは良好だ。初代や第二世代のα7シリーズではフロントヘビーと感じるかもしれない。第4世代のα7はグリップがとても良好で、片手で保持するのも問題無い。カメラグリップのレンズの間の空間は決して余裕があるとは言えないが、十分な広さを保っている。

AF・MF

フォーカススピード

このレンズのフォーカス駆動にはダイレクトドライブSSM(DDSSM)を採用している。最新レンズで採用が進む「XDリニアモーター」では無いが、フォーカス速度はとても高速で、快適に利用できるように見える。望遠端では合焦速度が少し低下するものの、少し広めのフォーカスエリアを使うことで速度が改善する可能性あり。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指す。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となる。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。
今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離と無限遠で撮影した結果が以下の通り。

24mm

完璧ではないが、ほぼ無視できる影響量に抑えられている。

50mm

24mmと同じく、ほぼ無視できる影響量に抑えられている。

105mm

視認できる画角変化が無いように見える。特にピント移動が多くなる焦点距離だけに拍手喝采の結果だ。

精度

α7R IVと組み合わせた限りでは大きな問題が無いように見える。

MF

前述したように180度ストロークでリニアレスポンスのフォーカス操作が可能。ストロークは少し長めだが、微調整しやすいと感じる。ただしフォーカスリングが少し軽すぎて誤操作しやすいのが玉に瑕。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:α7R IV
  • 交換レンズ:FE 24-105mm F4 G OSS
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 64 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
    ・格納されたレンズプロファイル(外せない)
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

24mm

中央が5000を超えるずば抜けた解像性能だが、隅に向かってパフォーマンスが急速に低下。絞ればしっかりとした結果を得られるので、被写体を隅に配置する場合はF8くらいまで絞ったほうがシャープな結果を期待できる。回折はF11以降で顕著となる。

これはあくまでも近接時のテスト結果であり、遠景ではまた違った結果になる可能性を忘れないで欲しい。とは言え、今回のテストにおける傾向は遠景解像とよく似ているように見える。絞り開放の画質が極端に悪いわけではないが、画質を重視するのであればF5.6~F8まで絞りたいところ。

数値

中央 周辺部 四隅
F4.0 5152 3651 2533
F5.6 5152 4353 3535
F8.0 5132 4429 3911
F11 4375 4238 3888
F16 4025 3673 3289
F22 3181 3017 2851

実写作例

隅に向かってコントラストが低下している原因は倍率色収差。Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像すると、色収差補正をオフにしてもオフに出来ない自動補正が適用されているらしく、倍率色収差の色が抜けている。同じフレームでカメラ出力時JPEGで色収差補正をオフにするとハッキリ確認できる。色収差の適切な補正次第で良好な結果を得られるように見える。

35mm

引き続き中央は絞り開放から非常に優れた結果を得ることが出来る。その一方で周辺部や隅は性能が著しく低下し、絞り開放ではテスト結果の測定が困難だった。F5.6まで絞ると周辺や隅が改善し、F8まで絞ると全体的に良好な結果を得ることが出来る。

数値

中央 周辺部 四隅
F4.0 4683
F5.6 4667 3090 3003
F8.0 4702 4009 3647
F11 4632 4110 3755
F16 4145 3587 3422
F22 3317 3047 2794

実写作例

基本的には24mmと同じ傾向だ。中央はシャープネス・コントラストどちらも良好だが、隅に向かって倍率色収差の自動補正によってコントラストが低下している。フレーム全体の解像性能を意識するのであれば、少なくともF8までは絞っておきたい。

50mm

広角側と比べると中央のパフォーマンスに低下が見られるが、周辺や隅が少し良好となる。とは言ったものの、中央との画質差は否定できず、絞り開放は大目に見てもソフトな画質だ。絞るとコントラストは改善するが、解像性能が改善するのはF11前後まで絞った時である。ズーム中間域に期待する画質とは言えない。

数値

中央 周辺部 四隅
F4.0 4227 2997 2649
F5.6 4810 2742 2422
F8.0 4227 3341 2530
F11 4349 3674 3184
F16 3809 3752 3341
F22 3179 2992 2913

実写作例

一見すると絞り開放以外はまずまず安定した画質。ただし、よく見てみると少し像が甘く、非点収差の影響がかなり残っているように見える。非点収差は絞りによる改善効果が薄く、収差を抑えるためには大きく絞る必要がある。

70mm

中央のパフォーマンスがさらに低下するが、周辺や隅の結果は広角や標準域よりも良くなる。全体的に絞りによる画質低下が少なく、絞り値全域で一貫した性能を得ることが可能だ。抜群の結果とは言えないが、扱いやすい性能である。

数値

中央 周辺部 四隅
F4.0 4237 3442
F5.6 4020 3500 2913
F8.0 4060 3188 3103
F11 4024 3746 3024
F16 3881 3706 3531
F22 3054 3086 2934

実写作例

じっくり観察すると絞り開放の周辺部でコントラストが少し低い。しかし、F5.6まで絞れば概ね改善される。それ以降にこれと言った画質の改善は見られない。

105mm

望遠端でも中央は良好な解像性能を発揮。ただしF8~F11で急激に性能が低下する。また、周辺や隅は70mmと比べると性能が低下しており、絞っても改善は期待できない。望遠端で画質が低下するのは予想の範囲内だが、「G」クラスのレンズとしてはちょっとイマイチな結果だ。

数値

中央 周辺部 四隅
F4.0 4405 3161 2579
F5.6 4405 3091 2783
F8.0 3694 3020 2670
F11 3103 3341 3097
F16 3284 3441 2993
F22 3115 2759 2755

実写作例

実写を確認してみると、極端な画質の乱れはないが、やはり隅に向かって少しソフトな画質である。絞るとコントラストが少し向上する以外に改善点は見られない。逆に隅の画質を妥協できれば安定感のある描写だ。

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2021/12/10 晴天 微風
  • カメラ:ILCE-7RM4 α7R IV
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:Leofoto G4
  • 露出:絞り優先AE ISO 100
  • RAW現像:Adobe Lightroom Classic CC
    ・シャープネスオフ
    ・ノイズリダクションオフ
    ・レンズ補正オフ

24mm

非常にシャープな中央部に加えて周辺部まで十分シャープな解像性能を備えている。隅は絞ってもあまり改善しないが、6100万画素の等倍で見ない限り問題は無い。

中央

絞り開放から非常にシャープで、絞りよる改善は全く見られない。6100万画素のα7R IVでもF4からピークの解像性能である。現像ソフトのシャープネスやコントラストの強調が全く必要ないくらい。このため、回折の影響を受けやすく、F8で既にシャープネスの低下が見られる。

周辺

中央と比べるとコントラストが少し低下しているが、6100万画素でも絞り開放から十分なシャープな結果を得られる。F5.6まで絞るとコントラストの改善が見られるが、解像性能に大きな変化は無い。F8まで絞ると回折の影響が見られ、以降は徐々にパフォーマンスが低下する。

四隅

コントラストは周辺部と変わらないが、解像性能は中央や周辺部と比べてワンランク低下する。とは言え非点収差の影響が目立たず、思いのほか安定している。絞っても解像性能に大きな変化は見られないが、F8まで絞ると僅かに安定しているように見える。F11以降で回折の影響が強くなる。

35mm

中央は24mmと同程度、周辺部や隅のパフォーマンスが向上しているように見える。このズームレンズにおけるスウィートスポット。

中央

基本的に24mmと同じ。絞り開放からピークの画質であり、絞っても解像性能・コントラストに改善は見られない。やはりF8以降で回折の影響が見られる。

周辺

24mmよりもコントラストに改善が見られる。絞っても解像性能・コントラストは大きく向上しないが、コントラストが少しだけ改善する。F8まで画質を維持し、F11以降で回折の影響が出始める。

四隅

24mmと比べて解像性能・コントラストが共に向上している。絞り開放からほとんどピークの画質だ。F5.6まで絞るとコントラストがピークを迎え、F8まで画質が維持される。

50mm

絞り開放のパフォーマンスが全体的に少し低下するが、大部分はF4から良好な画質に見える。

中央

全体的に見れば24mmや35mmと同程度の解像性能・コントラストだ。等倍でじっくり観察すると、わずかにコントラストが低下しており、F5.6まで絞ることで改善する。解像性能に大きな違いは見られない。F8以降で回折の影響を受ける傾向は従来通りだ。

周辺

35mmと比べるとパフォーマンスが低下しているようにも見えるが、基本的にはF4から非常に良好な画質だ。F5.6まで絞ると解像性能とコントラストがどちらも改善する。F8まで絞ると回折の影響が出始めるので、ピークはF5.6だと思われる。

四隅

35mmと比べると非点収差のような流れが僅かに発生している。それでもフレーム隅の画質としては十分良好だ。絞るとコントラストが改善し、非点収差の影響も抑えられているように見える。F8まで絞っても大きく改善しないが、画質のピークはF8のようだ。

70mm

中央は以前として良好だが、周辺部から隅にかけて画質が低下している。

中央

広角側と比べると細部のコントラストが若干低いように見える。それでも解像感に大きな変化は無く、非常に良好な画質であると言える。絞っても画質に大きな変化は無い。

周辺

絞り開放が少しソフトに見えるものの、F5.6まで絞ると改善し、画質のピークを迎える。F8まで絞ると回折の影響が発生している。

四隅

絞り開放の画質は明らかにワンランク低下している。F5.6まで絞ると大きく改善するので、風景撮影ではF5..6~F8がおススメだ。F11でも問題無く使えるが、中央や周辺部の画質は低下し始めている。

105mm

基本的には70mmと同じ傾向が続く。隅がソフトな描写だが、全体的に見るとF4ズームとしては健闘しているように見える。

中央

コントラストが僅かに低いものの、良好な解像性能を維持している。絞ると少し改善するが、同じ被写体を撮り比べない限りハッキリとしない画質差だ。これまでと同じくF8まで絞ると回折の影響を受ける。

周辺

F4ズームの望遠端における周辺部と考えると十分良好な解像性能だ。絞り開放からまずまず良好な解像性能・コントラストを発揮し、F5.6まで絞るとどちらも向上する。F8で回折の影響を受け、徐々にパフォーマンスは低下する。

四隅

中央や周辺と比べると少し低コントラストだが、解像性能は良好である。F5.6まで絞ると細部の描写に改善が見られ、F8でピークとなる。F11まで絞ると画質が低下し始めるので絞り過ぎには気を付けたい。

撮影倍率

このレンズの最短撮影距離はズーム全域で0.38mだ。つまり、画角の広い焦点距離では小さな被写体をクローズアップすることが出来ない。逆に望遠側では小さな被写体を最大撮影倍率0.31倍で写すことが可能だ。広角側では寄り切れないと感じることがあるものの、それは競合他社のF4ズームと同等である。望遠側の撮影倍率はパナソニックやニコンほどではないが、キヤノンよりも良好だ。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレーム四隅に現れる色ずれを指す。絞り値による改善効果が小さいため、この問題を解決するにはカメラボディでのソフトウェア補正が必要。ただしボディ側の補正機能で比較的簡単に修正できるので、残存していたとして大問題となる可能性は低い。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向がある。

参考:Wikipedia 色収差

JPEG(色収差補正オフ)

ソニーのRAWをLightroomで現像すると自動的に補正されてしまうため、JPEG出力時に「補正オフ」で撮影した作例を掲載する。24mmや35mmで倍率色収差が最も目立ち、50mm以降は収差が穏やかであることが分かる。

RAW現像(Lightroom)

参考までにLightroomでRAW現像した結果を掲載。自動的に色収差が補正されているので、収差が発生していた部分のコントラストが少し低くなっている。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指す。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられる。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところだが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多い。

軸上色収差を完璧に補正しているレンズはピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できる。

参考:Wikipedia 色収差

24mm

目を凝らしてじっくり確認すると、軸上色収差が発生しているのが分かる。とは言え、実写で問題となるような影響量ではなく、無視できる範囲に収まっている。さらに1段絞ればほぼ完璧に解消する。

35mm

24mmと同様、薄っすらと色づいているが大きな問題は見られない。

50mm

24mmや35mmと同様だが、ほんの少し色付きが強くなっているように見える。どちらにせよ問題は無い。

70mm

広角や標準域と比べると色づきがハッキリとしている。それでも大部分の状況で問題ない程度だが、極端にコントラストが高い領域には注意が必要だ。

105mm

70mmと同じく薄っすらと色づいている。

球面収差

24mm

前後のボケに描写の極端な違いは見られず、球面収差が良好に補正されていることが分かる。

35mm

24mmと同じく球面収差について大きな問題は見られないが、中央付近の輝描写に違いがある。

50mm

広角側と同様である。非球面レンズの研磨状態は完璧と言えないが、球面収差に関する大きな問題は無い。

70mm

これまでの焦点距離と同じく中央付近に僅かな違いがあるものの、顕著な違いは無い。

105mm

基本的には70mmと同じ傾向だ。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがち。個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくないと感じる。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人がいてもおかしくない。
参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルを以下に示す。

描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によって変化し、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向がある。
特殊な方法として「アポダイゼーション光学素子」などを使って強制的に滲むボケ描写を実現しているレンズも存在する。

実写で確認

24mm

この焦点距離は後ボケのほうが少し柔らかく、比較して前ボケは少し硬調だ。ボケが大きくなっても同様の傾向が続く。この24mm F4で前ボケが入ることは多くないので、バランスは良い。

50mm

24mmと比べるとニュートラルなボケで前後の質感に大きな差は見られない。逆に言えば、どちらも滑らかで柔らかい描写ではない。

105mm

標準域と同じく前後の質感に大きな差は見られない。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

ここで言う「口径食」とはレンズ口径がボケへ影響していることを指す。
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまったりする。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法が無い。しかし、絞ると羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じてF値を変化させる必要あり。

逆に口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが出来る。これは玉ボケに限った話ではなく、一般的な四隅のボケ描写の質感にも繋がる。口径食が強いと、ボケが小さく感じたり、場合によってはボケが荒れてしまう場合もある。
できれば口径食の小さいレンズが好ましいが、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要がある。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生する(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまう。

実写で確認

24mm

絞り開放付近ではフレーム隅に口径食の影響が見られる。これは1~2段絞ることで改善するが、その頃にはボケが非常に小さくなってしまうのが悩ましいところ。

50mm

広角域と比べると口径食の影響が少なく、絞り開放から隅までほぼ円形だ。F5.6~F8まで絞るとほぼ完璧に抑えることが可能。よく見ると非球面レンズの影響による同心円状のムラが見えるものの、実写でこれが問題となるシーンは少ないと思う。

105mm

標準域と比べると口径食が強くなるが、ボケが大きいので気にならない場合が多い。やはり非球面レンズの影響が見られるが、大問題と言うにはほど遠く、良く抑えられているように見える。

ボケ実写

24mm

スタジオテストでは柔らかかった後ボケだが、実写テストでは縁取りが少し硬い。目障りと言うほどではないものの、コントラストが極端に高い場合は気を付けたほうが良いかもしれない。色収差の影響はほとんど無く、絞り開放から快適に利用できる。

撮影距離が長くなっても基本的には同傾向だ。

50mm

広角側と比べると縁取りが弱く、滑らかで綺麗なボケに見える。同心円状のムラも良く抑えられており、心地よい描写だ。

撮影距離が長くなると、縁取りが僅かに強くなったように見える。色収差の影響も少しあるので、高コントラストなシーンでは気を付けたほうが良いかもしれない。

105mm

口径食は強めだが、ボケが大きいので気にならない。全体的に柔らかい描写で、少し絞っても全く気にならない。F8まで絞ると縁取りが気になり始めるが、まだ実用的な画質だ。

撮影距離が長くなると、口径食が少し強くなる。大問題ではないが、さらに撮影距離が長くなる場合は気を付けたほうが良いかもしれない。

撮影距離

全高170cmの三脚を人物に見立てて撮影した。

24mm

24mm F4で全身ポートレートは背景までぼかすことが出来ない。上半身をフレームに入れるとなんとか背景がボケてくるが、しっかりとボケを入れたいのであればバストアップや顔のクローズアップまで近寄る必要がある。

50mm

50mm F4の場合は全身をフレームに入れると背景が僅かにボケる。と言っても微ボケが背景まで続く印象で、被写体を分離するほどではない。上半身まで近寄ると、背景から分離するだけの十分なボケ量が得られる。さらに顔のクローズアップでボケが大きくなる。

105mm

105mm F4を使うことで、全身ポートレートでも背景をいくらかぼかすことが出来る。お世辞にもボケは滑らかな描写と言えないが、騒がしさは特に目立たない。上半身まで近寄ると背景を分離することができ、バストアップや顔のクローズアップまで近寄ると、さらに大きなボケが得られる。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうことを指す。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすい。主に魚眼効果と似た形状の「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれる。

参考:Wikipedia 歪曲収差

比較的補正が簡単な収差だが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となる。

24mm

やや目立つ樽型歪曲が発生する。競合他社のニコンほど歪まないが、キヤノンよりも大きな収差だ。特に直線的な被写体をフレーム周辺部に配置する場合はソフトウェア補正が必須と言える。リニアな影響とは言い難く、手動の補正はなかなか難しい。

35mm

24mmとは打って変わって糸巻き型歪曲が発生。影響の度合いは小さいが、場合によっては補正が必要に見える。

50mm

35mmと比べると強めの糸巻き型歪曲で、多くの状況で目障りと感じる歪み方だ。レンズ補正は常にオンにしておきたい。

70mm

50mmと同程度の糸巻き型歪曲が発生する。

105mm

50mmや70mmと同程度の収差に見える。やはり競合他社のニコンほど目立たないが、キヤノンよりも影響は大きい。

周辺減光

周辺減光とは?

周辺減光とは読んで字のごとく。フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ちを指す。中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となる傾向。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生する。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象だが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景で高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

24mm(無限遠:最短撮影距離)

無限遠に加えて最短撮影距離でも目立つ光量落ちが発生する。ただし、これは歪曲収差の補正前であり、歪曲収差の補正時に隅がトリミングされ、実写での影響は軽減される。無限遠側の隅はケラレのような黒い領域が残るので、気になる場合は歪曲収差の補正が必須だ。カメラ側で周辺減光の補正も可能だが、1~2段絞ることで物理的に周辺減光が解消する。

35mm(無限遠:最短撮影距離)

24mmと比べると周辺減光の影響が低下し、絞り開放のF4でも穏やかな光量落ちだ。さらに1段絞るとほとんど解消する。RAWでも隅のケラレは見られない。

50mm(無限遠:最短撮影距離)

ほとんど35mmと同じ傾向だ。

70mm(無限遠:最短撮影距離)

35mmや50mmと同じく周辺減光の影響はほとんど無い。

105mm(無限遠:最短撮影距離)

最短撮影距離では問題ないものの、無限遠側で目立つ周辺減光が発生する。105mmの無限遠側でF4を使う機会は少ないと思われ、さらに絞ると解消することから過度に心配する必要は無い。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないことを指す。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要がある。

参考:Wikipedia コマ収差

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる。

24mm

補正状態は100%完璧とは言えないが、大きく拡大しても影響量が僅かで、大部分の撮影では問題ないと思われる。それでも問題と感じる場合は1段絞ることで解消する。

35mm

24mmと比べると僅かに目に付く描写だが、やはり大きく拡大しない限り問題とは感じない。

50mm

35mmと異なり拡大しても収差は目立たない。良好な補正状態だ。

70mm

50mmと比べると少し目立つようになるが、それでも大きな問題は無い。

105mm

これまでと比べると少し目立つが、全体的に見ると些細な問題だ。

逆光耐性・光条

24mm

強い光源が中央付近にある場合、目立つゴーストが大量に発生する。標準ズームでゴーストを回避するのは難しいが、それにしても影響する範囲が広く、ゴーストの数も多い。競合他社と比べても見劣りするポイントだ。絞るとフレアは少し抑えられるが、ゴーストは絞り値全域で目に付く。

光源を隅に移動すると影響量は少なくなるが、それでもゴーストは絞り開放から存在する。さらに絞ると隠れていたゴーストまで顕在化し、実写ではゴーストの後処理が難しい。幸いにも不快なゴーストの描写ではなく、これはこれでアリ。さらに他社と違ってRGBカラーフィルターの反射が少なく、悪目立ちしないのはGood。

50mm

基本的に24mmと同じ傾向だ。光源周辺のRGB反射は少ないが、絞り開放から目立つゴーストやフレアが発生する。

フレーム隅でもフレアやゴーストの影響を完全には回避できない。

105mm

広角や中間域と比べると逆光時の影響が少なく、使いやすくなった印象を受ける。ニコンほどではないが、フレアやゴーストの耐性はキヤノン(の望遠側)よりも良好だ。

フレアやゴーストの影響が良く抑えられている。

光条

絞り羽根の枚数は9枚で、絞ると18本の光条が発生する。光条はF8付近から生成されはじめるが、シャープな描写を期待する場合はF16付近まで絞る必要がある。

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • キャッシュバックキャンペーンが多い
  • しっかりとした外装の作り
  • 光学4.3倍の便利なF4ズームレンズ
  • 防塵防滴・フッ素コーティング
  • リニアレスポンスのフォーカスリング
  • 豊富なコントロール
  • 反射防止が施されたレンズフード
  • DDSSM駆動による高速で静かなAF
  • フォーカスブリージングが抑えられている
  • ズーム全域で良好な中央解像性能
  • 望遠側で高い撮影倍率
  • 全体的にニュートラルなボケ
  • まずまず良好なコマ収差補正

汎用性の高いズームレンジ全域を開放F4でカバーしている便利なレンズだ。防塵防滴やフッ素コーティングで耐候性が強化され、ズーム全域0.38mの最短撮影距離で小さな被写体のクローズアップも可能となっている。さらに側面にはAFLボタンや2系統のスイッチを備え、オートフォーカスは高速かつ静かに動作する。普段使いにはとても便利なズームレンズである。完璧では無いものの、光学性能は概ね良好な結果を示し、部分的な弱点を理解して使えば満足度は高いと思う。

悪かったところ

ココに注意

  • ズームロックスイッチが無い
  • 接写時にズーム全域で周辺解像性能が低下する
  • 望遠側の絞り開放は隅が甘い
  • 広角側で倍率色収差が目立つ(自動的補正される)
  • F4としては軸上色収差が少し多い
  • 非球面レンズの研磨状態が完璧ではない
  • 撮影距離によっては後ボケが騒がしくなる
  • 歪曲収差が目立つ(自動的補正される)
  • ズーム両端で周辺減光が目立つ(自動的補正される)
  • 広角側の逆光時にゴーストが発生しやすい
  • 絞っても光条があまり綺麗ではない

致命傷となるような欠点は無いが、将来的に後継モデルが登場するのであれば改善を期待したいポイントがいくつかある。特に広角側の逆光耐性は便利ズームとしては少し痛いポイントだ。諸収差の自動補正は許容すべきだと思うが、最終的な結果として望遠側の周辺部がもう少し良好だと尚良かった。

総合評価

満足度は90点。
部分的に不満はあるものの、購入時の価格を考慮すると妥協できるポイントが多い(ウェブサイトで諸々を込みにして11万円台で新品を購入)。もしも15万円に近いタイミングでレンズを購入していたら、もう少し高い光学性能を期待していたかもしれない。
今回指摘した欠点はF4標準ズームとして、光学4.3倍のミラーレス用レンズとしては予想しやすいものが多く、意外と感じた弱点は広角側の逆光耐性のみ。後継モデルが登場するなら、その辺りの改善に期待。

敢えて言えば、コンパクトなα7シリーズにF4ズームは少し大きく感じる。
最近登場した「FE PZ 16-35mm F4 G」のように、諸収差について電子補正を積極的に活用し、小型軽量に舵を切ったF4標準ズームがあっても良いのかもしれない。

購入早見表

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