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ニコンNIKKOR Z 24-70mm f/4 S 交換レンズレビュー【解像力テスト編】

このページではニコン製Zマウント用交換レンズ「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」を解像力チャートでテストした結果を掲載しています。

レンズのおさらい

NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
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ニコンZカメラ「Z 7」「Z 6」と共に発表されたNIKKOR Z最初期のズームレンズ。
キットレンズにもなっているF4標準ズームですが「S-Line」の光学性能は伊達じゃない。

レンズ構成は11群14枚。ソニーの同種と比べて構成枚数がやや多く、質量もわずかに重い。沈胴機構を採用しており、レンズ格納時の収納性は高い。
外装は全体的にプラスチックパーツが多め。しかし、防塵防滴に配慮した設計であり、ソニーと異なりレンズマウント部にもシーリングが施されています。

仕様表には記載が無いものの、S-Lineでは標準装備となる「ナノクリスタルコート」を採用。さらに撥水・撥油性に優れたフッ素コーティングをレンズ前面に施しています。5万円台で新品同様が出回っているニコン純正レンズとしては贅沢な仕様と言えるでしょう。

このレンズは購入時にざっくりレンズのテストは実施済み。現状の相場(主に中古市場の新同品)を考慮すると非常に良好なパフォーマンスのレンズ。
歪曲収差の補正はソフトウェアに依存しているものの、解像性能は全体的に優れており、鬼のような逆光耐性を持つレンズ。
フォーカス駆動はミラーレスに適したステッピングモーターを採用。爆速では無いものの、大部分の撮影シーンで快適なフォーカス速度、そして滑らかで正確な動作です。

単品で購入すると10万円超とやや高めの価格設定ですが。カメラのキットレンズとしては購入すると実質5?7万円ほど。
キットレンズとして手に入れたものの、新品未使用で売却する人も結構多いです。カメラのキタムラ だけで100本以上の中古玉があったりするので選り取り見取り。明らかに中古市場でダブついているため、(2020年1月現在では)新品を買うより中古の「未使用品・新品同様」を購入するのがおススメ。

型式 ニコン Zマウント
焦点距離 24mm-70mm
最大口径比 1:4
レンズ構成 11群14枚(EDレンズ1枚、ED非球面レンズ1枚、非球面レンズ3枚、ナノクリスタルコートあり、最前面のレンズ面にフッ素コートあり)
画角 84°-34°20′(撮像範囲FX)
61°-22°50′(撮像範囲DX)
焦点距離目盛 24、28、35、50、70mm
ピント合わせ IF(インターナルフォーカス)方式
最短撮影距離 撮像面から0.3m(ズーム全域)
最大撮影倍率 0.3倍
絞り羽根枚数 7枚(円形絞り)
絞り方式 電磁絞りによる自動絞り
最大絞り f/4
最小絞り f/22
アタッチメントサイズ(フィルターサイズ) 72mm(P=0.75 mm)
寸法 約77.5mm(最大径)× 88.5mm(レンズマウント基準面からレンズ先端まで、沈胴時)
質量 約500g
付属品 ? レンズキャップ72mm LC-72B(スプリング式)
? 裏ぶたLF-N1
? バヨネットフードHB-85
? レンズケース CL-C1

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:Nikon Z 7
  • 交換レンズ:NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • :Nikon Z 7のRAWファイルを使用
  • ISO 64 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
    ・格納されたレンズプロファイル(外せない)
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェックしています)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証しています。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性があります。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

解像力テスト結果

24mm

メモ

  • 中央領域
    ・絞り開放から解像チャートの限界に近い数値。おそらく45000万画素以上の高解像センサーにも十分耐えうる分解能を持っているはず。
    ・開放からピークのパフォーマンスとなっているので絞っても解像性能は大きく改善
    ・Z 7で回折の影響が出始めるF11?F16でパフォーマンスが低下
  • 周辺領域
    ・定型の解像チャートと広角レンズは相性が悪い。特に周辺画質は遠景解像と差が出やすいので割り引いてみて欲しいところ。
    ・とは言え、像が甘いと感じるのは絞り開放のみ。1段絞ると中央領域に近いパフォーマンスを発揮、F5.6~F11まで4500万画素にも耐えうる近接解像。
  • 四隅領域
    ・さすがに四隅は甘く、倍率色収差と思われる影響も僅かにアリ。
    ・1?2段ほど絞ると改善するものの、中央?5割と比べるとやや物足りない。

近距離の解像力チャートと相性の悪い24mm画角のズームレンズとしては良好な結果。確かに中央と比べて四隅は甘い描写ですが、壊滅的な描写の荒れ方では無いので過度に心配する必要は無し。

測定数値

F値 中央 周辺部 四隅
F4 4651 3096 2565
F5.6 4496 3881 3141
F8 4478 4051 3322
F11 4440 3688 3360
F16 3669 3187 2898
F22 3141 2724 2532

実写サンプル

28mm

メモ

  • 中央領域
    ・24mmから引き続き、絞り開放からピークのパフォーマンスを発揮。
    ・やはりF8を超えた付近から解像性能の低下が始まる。被写界深度に問題が無ければF8までに抑えると良し。
  • 周辺領域
    ・中央領域と同じく基本的な傾向は24mmと同じ。
    ・F4だとやや甘いが、F5.6~F11で良好なパフォーマンスを発揮。
  • 四隅領域
    ・24mmと同じく開放ではややソフト。
    ・1段絞った時の改善幅は24mmより少し良好。どちらにせよF5.6以降は絞っても大きく改善しない。

基本的に24mmと同傾向ですが、撮影距離が少し長くなるので四隅領域の画質が若干改善します。出来るだけシャープな描写にしたいのであればF8~F11が最適。

測定数値

F値 中央 周辺部 四隅
F4 4381 3323 2718
F5.6 4572 4266 3266
F8 4381 4038 3474
F11 3965 3938 3465
F16 3531 3217 3141
F22 3033 2699 2463

実写サンプル

35mm

メモ

  • 中央領域
    ・広角側と同じく絞り開放からピークのパフォーマンス。全く衰えを知らない。
    ・絞った時のパフォーマンス低下は誤差の範囲内。
    ・やはり回折の影響でF8~11にかけて緩やかな低下が始まる。
  • 周辺領域
    ・広角側と比べると撮影距離が長くなるので解像性能はF4から良好。中央ほどはっきりとしたコントラストでは無いものの、後処理で何とでもなるレベル。
    ・1段絞ると中央と同程度となる。(マイクロコントラストは中央が少し良好)
  • 四隅領域
    ・基本的には広角側と同傾向。ただし、1?2段ほど絞ると良好な画質となる。

周辺領域は1段絞ると中央領域とほぼ同等。DXセンサーカメラで使う場合はフレーム全域でとても良好な画質を得ることが出来るはず。

測定数値

F値 中央 周辺部 四隅
F4 4578 3458 2411
F5.6 4143 4306 2737
F8 4197 3975 3241
F11 3944 3814 3205
F16 3728 3268 3104
F22 3036 2813 2431

実写サンプル

50mm

メモ

  • 中央領域
    ・標準域でも相変わらずF4からピークのパフォーマンスを発揮。特にこれと言った弱点は無し。素晴らしい。
  • 周辺領域
    ・35mmと比べると開放時のパフォーマンスが僅かに劣る。ただし、1段絞ると同程度となるので心配する必要は特に無し。
  • 四隅領域
    ・35mmまでの広角域と比べると開放から非常に良好な画質。周辺領域との画質差が無くなるので非常に使いやすい。
    ・F4でも実用的な画質に違いないものの、F5.6まで絞ると近接でも中央との画質差は僅か。

一般的に標準ズームは長焦点側で解像力が低下するものの、このレンズにおいてそのような気配は無し。むしろ撮影距離が伸びることで周辺が安定しているように見えます。

測定数値

F値 中央 周辺部 四隅
F4 4731 3175 3467
F5.6 4617 3792 3681
F8 4517 3831 3765
F11 4051 3870 3584
F16 3389 3399 3233
F22 2840 2961 2747

実写サンプル

70mm

メモ

  • 中央領域
    ・他の焦点距離と比べるとF4時のパフォーマンスが少し低下する。とは言え、良像に違いない。
  • 周辺領域
    ・中央との画質差が少なく非常に均質的な性能。
  • 四隅領域
    ・中央と同程度の画質。標準ズームでこれほど望遠側のパフォーマンスが高ければ御の字と言えるでしょう。

解像チャートを使った際の安定感は70mmがベスト。フレーム全域で均質かつ満足のいくシャープネスを実現しています。

測定数値

F値 中央 周辺部 四隅
F4 3962 3784 3206
F5.6 4362 4189 3733
F8 4150 4208 3828
F11 4131 3823 3669
F16 3389 3572 3283
F22 2926 2874 2702

実写サンプル

解像力テストの雑感

満足度:90点

標準ズームレンズの近接解像性能としては非常に良好。特に5万円台で状態の良い中古が手に入るズームレンズでZ 7の解像性能をこれだけ活かせるのだから文句ナシ。
広角側の四隅は4500万画素のZ 7には荷が重いものの、広角の接写で四隅の解像性能を気にする人はそう多く無いはず。

中央?周辺領域は絞り開放から良好な焦点距離が多いので、DXミラーレス「Z 50」に装着してクローズアップやマクロを楽しむのも良し。少し甘い四隅を切り捨てることができ、撮影倍率が0.45倍となるので面白い使い勝手となります。

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