ニコン「NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR」のレビュー第四弾を公開。今回は焦点距離・絞り値・ピント位置ごとの周辺減光や逆光時のフレア・ゴーストの発生具合を確認しています。
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NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VRのレビュー一覧
- NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR 徹底レビュー 完全版
- NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VRの諸収差をチェックする
- NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VRの周辺減光・逆光をチェックする
- NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VRのボケ質をチェックする
- NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VRの近距離解像性能をチェックする
- NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VRの遠景解像性能をチェックする
- NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR 外観・操作性・AFをチェックする
周辺減光
周辺減光とは?
周辺減光とは読んで字のごとく。フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ちを指す。中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となる傾向。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生する。
ソフトウェアで簡単に補正できる現象だが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景で高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。
18mm(最短撮影距離:無限遠)
最短撮影距離でも無限遠でも周辺減光がやや目立つ。ヴィネッティング補正で簡単に修正できるが、F5.6まで絞るとほとんど改善し、F8まで絞ることで光学的に解消する。電子補正によるノイズ増を気にするのであればF8まで絞るのがおススメ。
24mm(最短撮影距離:無限遠)
18mmと比べると周辺減光が穏やかとなる。最短撮影距離では絞り開放からほとんど影響を受けず、無限遠で光量落ちが少し強くなる程度だ。
35mm(最短撮影距離:無限遠)
24mmからさらに周辺減光の影響は低下する。無限遠でも影響は極僅かで、F5.6まで絞ると隅の端以外で解消する。
50mm(最短撮影距離:無限遠)
35mmからさらに改善し、ピント全域で絞り開放からほとんど問題が無くなる。
70mm(最短撮影距離:無限遠)
35mmや50mmと比べると悪化し、24mmと同程度となる。影響はほとんど無いが、気になるのであればヴィネッティング補正を適用しておきたい。
100mm(最短撮影距離:無限遠)
70mmからさらに悪化するが、18mmほどではない。また、F8まで絞ると改善する。
140mm(最短撮影距離:無限遠)
100mmと比べて僅かに悪化するものの、18mmほど酷くはない。最短撮影距離と無限遠で光量落ちに大きな違いが見られる。
逆光耐性・光条
18mm
強い光源を正面から受けると周辺にフレアとゴーストが発生する。Zレンズとしては影響の度合いが強く、特にゴーストは発生しやすいように見える。フレアはZ DX 16-50mmよりも少なく、ゴーストはより目立つ。出来る限り正面からの強い光源は避けたいところだ。
光源がフレーム隅にある場合は問題が遥かに小さくなる。ただし、ゴーストが僅かに発生している点でZ DX 16-50mmよりも少し見栄えが悪い。さらに絞ると線状のフレアが伸び、隠れていたゴーストも顕在化する。
50mm
傾向は18mmと同じ。正面からの光源はZ DX 16-50mmほど大きなゴーストではないが、目立つゴーストが発生することに違いはない。絞ると、さらに小さなゴーストが数多く発生する。
光源を隅に配置した場合はフレアで大きな影響こそないものの、ゴーストが薄っすらと発生している。この焦点距離でもZ DX 16-50mmより逆光耐性は悪いように見える。
140mm
望遠端で逆光を正面から受けると、光源の周囲にセンサー面の反射と思われる強いフレアが発生する。140mmでこのようなシーンは少ないと思われ、フレアに関しては問題視しなくても良いと思う。ゴーストは最小限に抑えられているのでフレーミングによっては気にならない場合も多い。
光源が隅にある場合はフレア・ゴーストともに良く抑えられているように見える。ただし小絞りを使うと線状のフレアが目立つようになる。
光条
絞ることでF11付近からシャープな光条が発生し始めるが、満足のいくサイズで光条を得ようと思ったらF22付近まで絞る必要あり。回折の影響を考慮すると現実的な絞り値で光条を発生させるのは難しい。
まとめ
周辺減光は18mmで気を付ける必要があるものの、風景シーンでF8まで絞れば十分に抑えられ、絞り開放で使う場合はヴィネッティング補正という選択肢もある。ズーム中間域では良く抑えられているし、望遠側は18mmよりも良好だ。特に大きな問題は見られない。
お馴染みのテスト環境ではZ DX 16-50mmと比べてパフォーマンスが悪いように見えたが、実写でフレアやゴーストが悪さをする機会は少なかった。極端に強い光源をフレーム中央・中央周辺に配置しなければ問題に直面する可能性は低いと思われる。
光源の周囲に発生するフレアはセンサー面の反射であることが多く、絞るとRGBっぽい斑点が浮かび上がる。レンズの間面反射と思われるフレア・ゴーストは少ない。
1か月以上このレンズを使用しているが、使用時に目障りでいやらしいゴーストが発生する機会は少なかった。もちろんフレアやゴーストがゼロではないものの、写真に自然に溶け込んでいるように見える。とは言え、Z DX 16-50mm VRと比べると(フレーム周辺部の逆光時に)ゴーストが多いので、逆光耐性を重視するのであればショートズームで撮影に臨んだ方が良い結果を得られるかもしれない。
絞った際の綺麗な光条は期待することなかれ。
光条にはなるものの、シャープでキレのある描写にはならない。APS-CでF16やF22、ひょっとするとF32~F40まで絞る必要があり、あまり現実的とは言えない。
全体的に見て、光条を期待しなければ、トラベルズームとして許容できる周辺減光・逆光耐性だ。このカテゴリで特に大問題と感じる点はなく、快適に使うことが出来ると思う。
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