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RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM 徹底レビューVol.3 解像チャート編

キヤノン「RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM」のレビュー第三弾を公開。今回は恒例の解像力チャートを使い、EOS R5と組み合わせた際の近距離解像性能をチェック。

RF15-30mm F4.5-6.3 IS STMのレビュー一覧

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:EOS R5
  • 交換レンズ:RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 100 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

15mm

測定結果

手ごろな価格の広角ズームレンズとしては良好な解像性能だ。絞り開放のF4.5でも中央から隅にかけて安定感のある結果を得ることが出来る。絞っても大幅な画質向上は期待できないが、絞り値全域で実用的な画質であることに間違いない。

数値確認

中央 周辺部 四隅
F4.5 4288 4250 3667
F5.6 4029 4318 3914
F8.0 3910 4497 3983
F11 3945 4318 3782
F16 3784 3617 3290
F22 3182 2911 2577

実写確認

中央から隅まで良好な解像度・コントラストを維持しているのが分かる。ただし、隅に向かうほど倍率色収差の影響が強くなっている。簡単に補正できる収差なので、カメラ内や現像ソフトの色収差補正は適用しておくのがおススメだ。

補正オン

今回のレンズにおける注意点は15mmの歪曲収差が非常に大きいことだ。解像テストは基本的に補正を全てオフにした状態で測定しているので、レンズ本来の歪曲収差が残ったままだ。実際には歪曲収差を補正して写真を利用することになるので現実に即していない。そこで、今回は特別に補正の有無でどれほど性能が変化するのかチェックしてみた。

ご覧のように、歪曲収差を補正することで隅のパフォーマンスが大きく低下していることが分かる。歪曲収差の補正を抜いた状態では確かにシャープだが、実際には補正適用で画質が少し低下する点は理解しておく必要がある。

20mm

測定結果

広い範囲で絞り開放のF5.0から非常に良好な性能だ。比較して隅はパフォーマンスが低下するものの、それでも良好な画質であり、欠点と呼ぶような描写の甘い画質ではない。絞ると多少の改善を期待できるが、F11以降で回折の影響が出始めるので、画質がピークとなる絞り値の選択肢は少ない。

数値確認

中央 周辺部 四隅
F5.0 4040 4359 3503
F5.6 4407 4507 3676
F8.0 4658 4463 3720
F11 4021 4211 3750
F16 3731 3789 3255
F22 3296 2902 2543
F29 2800 2606 2348

実写確認

15mmと同じく、全体的にシャープだが倍率色収差の影響が残っている。レンズ補正は適用しておくべきだ。

24mm

測定結果

20mmと同じくフレームの広い範囲で絞り開放から良好だが、隅で性能がやや低下する。全体的に性能のピークは絞り開放からF8までで、絞り過ぎると回折の影響でパフォーマンスが徐々に低下する。特にF22からF29は非常にソフトとなるので、被写界深度やスローシャッターが必要なシーン以外では避けたいところ。

数値確認

中央 周辺部 四隅
F5.6 4329 4041 3453
F8.0 4270 4037 3413
F11 3890 3919 3543
F16 3647 3737 3342
F22 3101 2840 2747
F29 2596 2519 2298

実写確認

これまでと同じく倍率色収差が目立つものの、安定感のある解像性能を引き続き実現している。接写して撮影することになる広角レンズの解像チャートテストで、ここまで隅の性能を維持しているのは称賛に値する。

30mm

測定結果

望遠端の30mmでは全体的に少し性能が低下するものの、やはり広い範囲は絞り開放から良好だ。隅にしても欠点と呼べるような画質低下は見当たらない。開放F値が大きく、絞りによる画質改善が得られる前に回折でパフォーマンスが低下してしまうのは避けられない。

数値確認

中央 周辺部 四隅
F6.3 4266 3824 3335
F8.0 4086 3945 3017
F11 3945 3757 3393
F16 3724 3724 3246
F22 3154 2820 2734
F32 2319 2258 2009

実写確認

他のズーム域と同じく安定感のある結果が得られる。24mmまでと異なり倍率色収差の補正状態も良好だ。

まとめ

手ごろな価格の広角ズームレンズだが、これと言った弱点が見当たらず、むしろ全体的に非常に良好な結果が得られるコストパフォーマンスの高いレンズに仕上がっている。もちろん、15mmは樽型歪曲を補正する過程で隅の画質を犠牲にする必要があるが、それでも十分に満足のいく結果を得ることができる。

実写テストでは(主に広角側で)単焦点レンズほどの切れ味や解像性能を得られなかったものの、少なくとも接近戦では単焦点レンズと大きな違いは無いようだ。ただし、倍率色収差がいくらか残存しているので、高コントラストな状況では補正必須の色ずれが発生するかもしれない。

全体的に見て、EOS Rシステム用の携帯性良好な広角ズームとして検討する価値があるレンズだ。F4 LやF2.8 Lなど高価な広角ズームを必要としないのであれば、大部分の人は満足のいく性能に仕上がっている。

購入早見表

RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM
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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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