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TTArtisan APO-M 35mm F2 ASPH. 徹底レビューVol.3 遠景解像編

銘匠光学「TTArtisan APO-M 35mm F2 ASPH.」のレビュー第三弾を公開。今回は恒例の撮影地点からレンズの遠景解像性能をチェックしています。

TTArtisan APO-M 35mm F2 ASPH.のレビュー一覧

はじめに

今回は焦点工房から期間限定で無償提供していただいた製品を評価しています。レビューにあたり、金銭の受け取りやテスト結果・評価への指示は一切ありません。無意識のバイアスがかかっている可能性を否定できませんが、これまでに様々な製品をレビューしてきた経験をもとに、出来る限り客観的な評価を心がけています。

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2022年8月18日 晴天 無風
  • カメラ:α7R IV 6100万画素
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:Leofoto G4
  • 露出:絞り優先AE ISO 100
  • 中央から隅まで1枚のショットで確認したいので斜め構図で撮影
  • RAW:Adobe Lightroom Classic CC
    ・シャープネス オフ
    ・レンズ補正オフ
    ・その他初期設定

テスト結果

中央は絞り開放から切れ味抜群だ。ただし中央から隅に向かって画質が低下するので、状況に合わせて絞りを調整して対応したい。下部に中央・周辺・隅をそれぞれを切り取った作例を掲載する。

中央

中央は絞り開放から非常に良好だ。球面収差や軸上色収差の影響はほとんど無い。僅かに残るハロっぽさもF2.8まで絞ることで改善し、コントラストが向上する。6100万画素のα7R IVでも満足のいく解像性能だ。ピークの性能はF5.6まで続き、F8で僅かに低下する。F11以降は回折の影響が強くなり、F22でかなりソフトとなる。

周辺

絞り開放は中央と比べると非点収差のような甘さが残る。絞ると急速に改善し、F2.8で十分にシャープとなり。F4で細部までコントラストの高い結果が得られるようになる。F5.6~F8とピークが続き、F11以降は中央と同じく画質が低下する。

四隅

F2の絞り開放は非点収差・コマ収差のような影響でかなりソフトだ。風景撮影などパンフォーカスの画質を重視する場合は不満を感じるだろう。F2.8~F4まで絞っても完璧とは言えず、F5.6で6100万画素を活かせる画質へと改善する。ピークはF8~F11であり、中央のピークを逃してしまうが、全体の均質性を重視するのであればF8/F11まで絞ったほうが良いだろう。

像面湾曲

簡単に言うと、ピント面が歪んていることを指す(歪曲収差とは異なる)。像面湾曲が残っていると、ピント面がセンサーに対してフラットな状態では無く、パンフォーカスを狙ってもピントが合わない。例えば、中央にピントを合わせても、同じ撮影距離のフレーム隅でピントが合わない。これを直接改善する手段はなく、絞って被写界深度を深くするしかない。

上の作例はそれぞれ中央にピントを合わせた写真と、隅にピントを合わせた写真の右上をクロップしたものだ。大きな違いは見られず、像面湾曲は適切に補正されていることが分かる。

まとめ

「絞り開放から全体的にシャープ」と言った類のレンズでは無いが、F8付近まで絞ればフレーム端までシャープでコントラストが高くなる。この時に得られる結果は6100万画素のα7R IVでも十分に満足のいくものだった。

フルマニュアルのレンズで苦労すると思うかもしれないが、無限遠近くでF8まで絞れば全体的にパンフォーカスを狙うことが出来るし、レンズのピント位置も正確だ。絞った場合の風景撮影でMFレンズが問題と感じることは少ないと思う。敢えて言えば、フレーム外の逆光でフレアの影響を受けやすく、コントラストが微妙に低下する場合がある。この辺りに気を付けて使えばコストパフォーマンスの高い35mmとなるはずだ。

購入早見表

TTArtisan APO-M 35mm F2 ASPH.
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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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