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EOS R8は他社と異なるアプローチのエントリーフルサイズカメラ

DPReviewがキヤノン「EOS R8」のハンズオンレビューを公開。他社のエントリーと異なり最新のセンサー・プロセッサを採用しつつ、操作性や手振れ補正などで区別化していると言及。検討する価値のあるカメラと評価しています。

DPReview:Canon EOS R8 hands-on

センサー性能

  • EOS R6 IIの2400万画素センサーとDIGIC Xプロセッサーを搭載している点が最も興味深い。2500ドルのカメラの主要な機能の多くを、より手頃な価格のキットに搭載している。
  • 裏面照射型でもなければ、3000万画素もないが、それでも良いセンサーだ。
  • 解像度はソニーα7 IVより低いものの、同価格帯のニコンZ 5やソニーα7C、さらに高価格帯のニコンZ 6 II、パナソニックS5 II、ライカSL2-Sに匹敵する。
  • R6 IIとR8のセンサーは、ディテールをしっかり捉えつつ、非常に優れたAF、最大40fpsの撮影速度、そして最大60pのクロップなしのオーバーサンプリング4Kを実現するためのバランスを取っている。

画質

  • EOS R8はR6 IIとハードウェアの多くを共有しているため、その画質は同じであると確信している。
  • EOS RがベースISOでよりディテールを再現するなら、R8は高ISOでよりノイズを抑えられると考えるのが妥当だ。
  • EOS Rの3000万画素センサーは、キヤノンセンサーが読み取りノイズの多い時代に作られたものだ。ライバルが提供するよりもダイナミックレンジが狭いことを意味している。
  • EOS R6 IIは、低ISO設定でより柔軟なRAWを実現し、EOS Rでは不可能な高ISO性能も実現していることが判明している。

パフォーマンス

  • センサーの違いは画質だけではない。読み出し速度は、AF性能、撮影速度、動画性能を決定づける。EOS R6 IIのセンサーは、これらの点で競争力がある。
  • EOS R8は、R6 IIの新AFシステム(被写体認識モードを含む)を搭載しており、追従性が非常に高く、様々な被写体を認識するためのアルゴリズムを備えている。
  • 特に人物を撮影する場合、R8は非常に優秀だ。
  • 最新のAFシステムは、実際に使ってみないとその良さがわからない。
  • 選んだAFポイントの近くの目に確実にピントを合わせてくれる。
  • 我々はピント合わせを全く意識することなく、光や露出、被写体とのコミュニケーションに集中することができる。
  • もう今までのAFシステムには戻れないと断言できる。
  • また、10bit HEIFなど、このクラスでは他に類を見ない機能を備えている。

撮影速度と動画

  • R6 IIと同様、JPEGで最大40fps、30fpsで15フレームのプリバッファリング(RAWバーストモード)が可能だ。
    訳注:40fpsはJPEG限定ではなかったはず…)
  • (多くのカメラと同じく)電子シャッターの高速連写や動画モードではローリングシャッターを抑えつつ、ダイナミックレンジが狭くなる。
    訳注Photons to PhotosのR6 IIテスト結果が参考になると思います)
  • R8はR6 IIよりもバッファが小さく、V60規格のUHS-IIカードでは、約120枚のJPEGまたは52枚のRAW+JPEGを撮影することができる。
  • 動画のスペックも素晴らしく、R8は水平6000画素のセンサー全幅から取り出した(6Kオーバーサンプリング)UHD 4Kを最大60pで撮影することが可能だ。
  • HDR PQモードで8bit H.264や10bit H.265、編集でカラーグレーディングを行う場合はC-Log3で標準カラーモードを撮影することが可能だ。このクラスとしては異例のハイスペックだ。
  • カメラにはマイクとヘッドフォンのソケットがあり、ホットシューの前面にあるマルチピンインターフェースにより、必要に応じてXLRアダプターを追加することができる。
  • 4K 60p、1080/120、180fpsはオーバーヒートの危険があるため、最初はそれぞれ30分、20分のクリップに制限されている。
  • オーバーサンプリング 4K 30pは2時間記録できるが、いずれの場合も温度よりもバッテリー寿命が制限となるだろう。

バッテリーライフ

  • 一番気になるのはバッテリーの持ちだ。
  • 比較的小型のLP-E17バッテリーは、モニター使用時で290枚、ファインダー使用時で150枚/回の撮影が可能だ。
  • 多くの写真を撮影したり、動画機能を多用する予定であれば、少なくとも1個の予備バッテリーと、場合によってはモバイルバッテリーを購入する経費を確保しておくと良いだろう。
  • もちろん、本格的な撮影を考えているのであればEOS R6 IIを検討すべきだ。
  • カジュアルなユーザーにとってもバッテリーは少し低容量すぎると感じる。
  • 低価格化・小型化を実現するうえでLP-E17を選択肢した考えは理解できる。

その他の差別化ポイント

  • バッテリー以外で最も目立つのは、236万ドットのファインダーだ。光学系の倍率は0.7倍で、R6 IIの0.76倍から大幅に小さくなっている。R6 IIの369万ドットのOLEDパネルと比べると精細さに欠ける。
  • そして、ジョイスティックがない。AFエリアの選択肢で画面をタップしたり、背面モニターをAFタッチパッドとして使うことはできるが、(ターゲットではない)マニアックな写真家、そして左目で撮影する写真家としては、EOS R8を検討する際に気を付けるべきポイントとなる。

位置づけ

  • 1500ドルはそれなりの金額であり、発売当初の価格は、現行機種の安売りと比較すると、常に高く見える。しかし、1500ドルは特別高いわけではない。
  • 少なくともアメリカでは、これより安い価格で発売されたフルサイズカメラは2機種しかない。
  • エントリー/ミドルとアマチュアの市場に1台のカメラで対応しようとした結果、2300ドルの発売価格のEOS Rが登場した。
  • 一方で、アマチュア向けに2500ドルでより素晴らしいEOS R6 IIを選ぶことができ、R8はエントリー/ミドル向けとして1500ドルで手に入れることができる。

ライバルと比較した場合の位置づけ

  • ニコン Z 5はZ 6IIのボディとビルドの多くを受け継ぎながら、古いセンサーを使用している。一方、EOS R8はよりベーシックなボディに最新のセンサーとプロセッサーを搭載している。
  • 1500ドル前後のフルサイズカメラ市場は、かなり面白い。
    (ニコン D300のようなハイエンドのAPS-Cデジタル一眼レフが1800ドルだったころには、こんなこと書くことになるとは予想していなかった)。
  • 直接的なライバルはニコンのZ 5とソニーのα7Cだ。発売時の価格はそれぞれ1400ドルと1800ドルだ。
  • ボディ内手ぶれ補正を搭載していないことはキヤノンEOS R8における最大の弱点であり、ライバルはいずれもボディ内手ぶれ補正を搭載している。
  • R8のキットズームは、光学手ぶれ補正を搭載しているが、特に動画撮影者にはレンズ内ではなくボディ内手ぶれ補正が有効だ。
  • R8と同様、α7Cはコストや複雑さを抑えるためにメカシャッターは後幕のみで、AFジョイスティックも搭載していない。α7Cは、旧世代のセンサーとプロセッサーを使用しており、4K 30pはクロップモードの8bitまでだ。
  • Z 5は、AFジョイスティックやデュアルカードスロットなどの高級機の特徴を継承している。しかし、古いセンサーを採用し、撮影速度が遅く、動画機能の足かせとなっている。
  • これらのモデルは全てどこかに妥協が伴っている。Z 5とα7Cはセンサーの面で妥協し、古いチップを使用している。一方のキヤノンは逆のルートを選択し、最新のセンサーとプロセッサを継承しつつ、ボディデザインがエントリー寄りだ。
  • どちらのアプローチを好むかは、それぞれの購入者の判断に委ねられる。しかし正直なところ、レンズラインアップは、これらの考慮事項のいずれかと同じくらい重要となってくるだろう。

まとめ

  • R8は比較的安価なフルサイズカメラで、価格を下げるために行った妥協点は、ある人にとっては受け入れがたい制限となるだろう。
  • EOS RPのようにエルゴノミクスの制限を受けながらも、2500ドルクラスのカメラに匹敵する性能を持っているカメラだ。RFのラインナップに必要なレンズが揃っているのであれば検討する価値があるだろう。
  • 電池の持ちは残念だが。

とのこと。
EOS RPのように小さなボディに、EOS R6 IIと同等のセンサー・プロセッサ・AFシステムを詰め込んだ面白いカメラですね。少なくとも海外ではEOS R7と同程度の価格設定となっており、手ごろな価格で最新AFや40fpsの連続撮影を楽しめるフルサイズカメラに仕上がっている模様。動画撮影も6Kオーバーサンプリングの4K 60pまで利用可能となっており、バッテリーライフの問題さえ回避できれば、AF性能や動画性能は同クラスで抜群。この価格帯としては十分以上の性能を発揮するカメラとなりそうです。

逆に、競合他社では標準となっているボディ内手ぶれ補正を搭載していないことが欠点となる模様。また、バッテリー容量も小さく、長時間の撮影には不向き。とは言え、キヤノンRFレンズは光学手振れ補正を搭載しているレンズが多く、バッテリーもUSB経由の充電や給電に対応しているので決定的な短所とは感じない場合も多いはず。また、同じバッテリーを使用するEOS RP比では高性能化しているにも関わらず改善しています。

ただし、あくまでも「1500ドル(税別)」の手ごろな価格設定は北米での話。世界情勢や円安の影響もあって、国内での売り出し価格はEOS Rよりも高く、EOS R6実勢価格に近いです。現状で12万円を切っているEOS RPと比べると10万円以上の価格差があるので、気軽におすすめできないのが悩ましいところ。
(ちなみに北米におけるEOS RPは999ドルで、R8との価格差は500ドル。これならR8を買うと思います)

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