Dustin Abbottがタムロン「17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD」のレビューを公開。玉ボケが少し騒がしいと指摘しつつ、ズームレンズとしては抜群の解像性能を発揮し、諸収差の補正も良好と評価しています。
オールインワンの高性能レンズ
Dustin Abbott:Tamron 17-70mm F2.8 Di III-A VC RXD (B070) Review
- レンズの紹介:
・タムロンはここ7、8年でサードパーティ製ズームの王様として台頭してきた。
・いくつか際立った単焦点レンズも投入しているが、主役は優れた光学性能と手ごろな価格が強みとなるズームレンズだ。
・ソニーEマウントに的を絞り、2年の間に8本もの新レンズを発売した。
・既に私も4本のタムロンレンズを所有している。
・今回タムロンは見落とされがちなAPS-C Eマウントに焦点を当てた。ユーザー数が多いにもかかわらず、レンズラインアップが少ない市場だ。17-70mm F2.8mmの存在がEマウントシステム最大の強みとなるかもしれない。
・タムロンはモデルネームに色々と付け加えるのが好きなので整理してみよう。「Di III」はミラーレスを指し、「-A」が追加されることでAPS-Cミラーレス用レンズであることを指ししている。
・「VC」は手ぶれ補正を指しており、ミラーレス用レンズで手ぶれ補正を搭載するのは「18-200mm F3.5-6.3 VC」以来のことだ。
・RXDはフォーカス駆動の種類を指している。
・既にソニーの標準ズームは「18-135mm F3.5-5.6 OSS」「16-70mm F4 ZA」「16-55mm F2.8 G」が存在する。タムロンの「17-70mm F2.8 VC」はこれらレンズの長所が組み合わさっている。- ビルドクオリティ:
・他のタムロンDi IIIシリーズと同様に67mmのフィルター径を採用している。
・被写界深度はフルサイズで言うところのF4に相当するが、レンズの明るさは紛れもなくF2.8だ。
・これまでのタムロンレンズと同じく、モダンでさっぱりとしたデザインだ。気を散らすものは無い。
・AF/MFスイッチやVCスイッチは存在しない。とてもシンプルなデザインで価格上昇を抑えている。
・花形レンズフードが付属する。内側には深めのリブが付いているので反射を防止するのに役立つ。プラスチック製のため軽量だが、それがクオリティを損なっているようには感じない。
・外装はサテン仕上げのエンジニアリングプラスチックだ。
・内部にいくつか防塵防滴処理が施されている。さらに前玉はフッ素コーティング処理で傷や耐候性を向上するのに役立っている。- 携帯性:
・私はα7シリーズのAPS-Cクロップで使用している。レンズサイズはフルサイズ用レンズとよく似ている。
・同クラスのレンズよりも直径が大きく、全長がかなり長い。実際、フルサイズ用28-75mm F2.8よりも大きなレンズだ。重量も525gと28-75mm F2.8とほぼ同じである。- 操作性:
・レンズには手前にフォーカスリング、奥にズームリングを搭載している。
・フォーカスリングは電子制御式だが、エミューレートに問題は見られない。リングは簡単に回転するが、少しざらつきを感じる。幸いにもAFが優れているのでMFはあまり必要無いだろう。
・ズームリングはきちんとしている。ズーム操作でレンズは約3cmほど伸びるがガタツキは見られない。- オートフォーカス:
・最短撮影距離は広角側で0.19m、望遠側で0.39mだ。広角側の撮影倍率は0.21倍近くとなり、望遠側では0.19倍になる。
・ステッピングモーター駆動のオートフォーカスはミラーレスに必要とされている機能を備えている。高速で静か、そして正確だ。近距離から遠景までほぼ瞬間的に移動する。
・瞳AFは良好に機能する。
・動画撮影でも滑らかに動作する。駆動音は内蔵マイクにも影響がない。
・フォーカスブリージングが実質ゼロのため、ピント距離に関わらずフレームに変化が無いのは大きな強みである。- マニュアルフォーカス:
・記載なし。- 手ぶれ補正:
・光学手ぶれ補正とボディ内手ぶれ補正を分離することは出来ない。
・手ぶれ補正はきちんと機能している。
・70mmで1/4秒での撮影が可能だった。これは約5段分の補正効果であり、もう少しシャッタースピードを遅くできると思う。
・動画でも優れた補正効果が得られる。- 解像性能:
・接写時は歪曲と像面湾曲が強調される。
・α7R IIIのクロップ 1800万画素でチェックしている。
・17mmはF2.8からほぼ完璧だ。解像度は高く、コントラストも強い。F5.6まで絞ると少し向上する。実写でも非常に良好だ。
・24mmは17mmよりも四隅に改善傾向が見られ、フレーム全体で信じられない程均質な光学性能だ。F5.6まで絞れば完璧である。
・35mmはさらに見栄えが良くなり、24mmよりもディテールとコントラストが少し改善する。ズームレンズでこれほどシャープな描写を見ることが出来るのは珍しい。並外れた光学性能だ。
・際立った性能は50mmでも継続している。非常にシャープで、フレーム全体で優れたコントラストである。
・70mmは中央のコントラストが少し低下するものの、四隅は他の焦点距離と同等だ。F4まで絞るとコントラストが改善する。70mmでも大部分のAPS-Cズームより優れている。- 像面湾曲:
- ボケ:
・玉ボケの形状はそれほど悪くない。フレーム端でいくらか変形するものの、それでも適度な円形を維持している。
・24-70mm F2.8 VCや45mm F1.8 VCを彷彿とする目立つ玉ねぎボケの兆候が見られる。このため、このレンズの玉ボケは好きになれない。
・他の状況でボケは見栄えが良くなるものの、光源の玉ボケは適していない。
・非常にコントラストの高いレンズであるため、自然とボケの描写は硬調に見えてしまう。
・幸いにも、自然風景の中で玉ねぎボケが悪目立ちするシーンはほとんど無い。
・個人的にボケはもう少し柔らかい方が好みだが、”ディールブレーカー”になるほどの描写ではない。- 色収差:
・17mmの倍率色収差はほとんどみられない。
・実写で軸上色収差の兆候は見られなかった。この収差の補正が良好なので、ズームレンジ全域で強力なコントラストを実現しているのだろう。
・70mmでは僅かに軸上色収差が大きくなる。それでも十分な補正状態だ。
・優れた色とコントラストでディテールの豊富な風景写真に適している。- 球面収差:
・記載なし。- 歪曲収差:
・広角で樽型、望遠で糸巻き型の歪曲が見られる。
・現時点でAdobe Lightroomにレンズプロファイルは存在しないのでマニュアル補正が必要となる。
・17mmの- 樽型歪曲は僅かな陣笠状歪曲を含み、完全に手動補正することは出来ない。とは言え、注意深く観察しないと気が付かない程度の収差だ。
・35mmでは穏やかな糸巻き型歪曲へと変化する。
・70mmでは糸巻き型歪曲が強くなるが、手動でも綺麗に補正可能だ。
・光学4倍ズームとしては良好な結果である。極端な欠点は無い。- 周辺減光:
・広角では四隅で-1.5段分の減光が見られる。
・35mm・70mmの周辺減光は17mmよりも1/3段ほど光量落ちが少ない。- コマ収差:
・記載なし。- 逆光耐性:
・逆光耐性は非常に良好だ。
・フレーム内に明るい太陽があったとしても、コントラストは非常に高く、ゴーストは最小限に抑えられている。総評
APS-C用の大口径ズームレンズとしては低価格ながら、シャープで歪曲が小さく、優れたAFを備えている。さらにズームレンジが広く、手ぶれ補正まで搭載している。このレンズが800ドルだ。1400ドルのソニーE 16-55mm F2.8 Gを選ぶ説得力のある理由は残されているだろうか?
欠点は少ない。ボケは状況によって少し騒がしくなり、外装のコントロールポイントは少ない。しかし、このレンズ1本とAPS-Cカメラがあれば撮影ニーズを十分満たすことができると思っている。ソニーAPS-C用の大口径標準ズームを探しているのであれば、手に入れるべきレンズはこれだ。
長所:素晴らしいズームレンジ・F2.8・良好なビルドクオリティ・防塵防滴・高速で静かで正確なAF・良好な手ぶれ補正・抜群の光学性能・良好な逆光耐性・収差補正・価格設定
短所:玉ボケが騒がしい・スイッチやボタンが無い・このクラスとしては最も大きく重い
とのこと。
玉ボケは確かに騒がしいですが、解像性能や諸収差の補正はとても良好な状態のようですね。特に光学4倍の大口径ズームレンズであり、手ぶれ補正まで搭載しているレンズとしては高水準にまとまっているように見えます。これで実売8万円前後となれば、確かに純正を買う必要が無いと感じる人も多そうです。(とは言え、純正のXDリニア駆動のAFは魅力的に見えますが)
スイッチやボタン操作の必要性を感じず、RXD駆動のオートフォーカスで十分満足できるのであれば、玉ボケ以外で注意すべき点は無さそう。敢えて言えばレンズサイズくらいでしょうか?
タムロンレンズとしては珍しくフォーカスブリージングをとても良好に抑えているのは注目すべきポイントと言えるかもしれません。
タムロン「17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD」交換レンズデータベース
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- E PZ 18-105mm F4 G OSS
- E PZ 18-110mm F4 G OSS
- E 18-135mm F3.5-5.6 OSS
- E 18-200mm F3.5-6.3 OSS LE
- 18-200mm F/3.5-6.3 Di III VC
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