Lenstipがタムロン「17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD」のレビューを公開。ズーム全域で優れた中央解像性能を発揮し、特に望遠側はトップクラスの単焦点レンズに匹敵する性能となる模様。
Lenstip:Tamron 17-70 mm f/2.8 Di III-A VC RXD
外観・構造:
- レンズマウントは金属製だ。
- 外装はプラスチック製で黒色の塗装が施されている。
- 日本設計・ベトナム製造とプリントされている。
- ズーム操作で単一の内筒が前方へ繰り出す。
- レンズ構成は12群16枚で、2枚のLDレンズと3枚の非球面レンズを使用している。
携帯性:
- 17-70mm F2.8は前例が無く、大きく重いレンズだったとしても驚きはない。
- 大きなレンズだが、フィルター径は67mmだ。
- ズーム操作で内筒が29mm伸びる。
操作性:
- 幅13mmのフォーカスリングはバイワイヤ構造でとても滑らかに回転する。
- フォーカスリングのストロークは180度以上で、精度の高い操作が可能だ。
- 幅40mmのズームリングは17-24-35-50-70mmの焦点距離マーキングがある。
フォーカス:
- α7R IIIと組み合わせたところ、間違いなくノイズレスで、スピードに関して言えば、最上級としか言いようがない。
- 広角側でフォーカシングが0.3秒を超えることはなく、本当に高速だ。
- 望遠側では少し遅くなるが、それでも通常で0.5秒以内にピントを合わせることができる。
- 精度については、少し悪い。屋外での撮影と明るいスタジオでの撮影の両方で失敗が見つかった。全体として、5?6%のショットでレンズはミスフォーカスするかもしれないと推測している。
手ぶれ補正:
- テストでは3.7段分の補正効果が得られた。
- 公称値が4段分であることを考えるときちんとした効果が得られる。
解像性能:
- 4240万画素のα7R IIIのRAWファイルを測定している。
- 良像の基準値は39-41lpmmだ。
- 単焦点レンズで75-80lpmmを超える場合がある。
- 現在のレコードはAPO-LANTHAR 50mm F2の81lpmm、65mm F2 DG DNの82.7lpmmだ。
- 中央は長焦点になるほど結果が良好だ。しかし17mmの絞り開放でも60lpmmというとても良好な結果となり、少し絞れば65lpmmを超える。
- 中央の30mmは絞り開放から64lpmmとなり、絞ると69lpmmに達する。
- 中央の50mmでさらに向上し、絞り開放で64lpmmを超え、ピークの性能で74lpmm近くとなる。
- 70mmの中央は絞り開放で66lpmmを超え、ピークでは81lpmmに達する。これは最高の単焦点レンズに匹敵する解像性能であり、拍手喝采だ。
- 17-30mmのフレーム端は絞り開放から50lpmmを超え、実用的な画質だ。絞ると60lpmmを大きく上回る。
- 50mmのフレーム端は絞り開放で46lpmmだが、絞ると急速に改善する。F4まで59lpmmとなり、F5.6ではほぼ64lpmmとなる。
- 70mmのフレーム端はF2.8で45lpmm、絞っても60lpmm未満だ。
- 解像性能に欠点は見られない。ズームレンジ全域、絞り値全域できちんとした結果が得られる。個性的なレンズであることを考えると拍手喝采の性能だ。
像面湾曲:
- 記載なし。
ボケ:
- 玉ねぎボケの兆候がハッキリと見られる。
- 口径食の影響はF2.8でのみ見られる。
色収差:
- 軸上色収差は僅かに発生しているが、大きな問題ではなく、F4まで絞ると改善する。
- 倍率色収差は17mmで0.13%~0.09%と目立つが、以降の焦点距離では中程度まで抑えられている。問題となるのは17mmの絞り開放付近で、それ以外の焦点距離・絞り値ではほとんど気にならない。
球面収差:
- 完全には補正されておらず、このレンズの強みとは言えない。
歪曲収差:
- 17mmでは-3.33%の樽型歪曲だ。それほど大きな数値ではないが、陣笠状に歪んでいる。
- 24mmでは+0.81%の僅かな糸巻き型歪曲だ。
- 35mmでは+2.50%まで増大し、50mmで+2.88%となる。
- 70mmでは+2.71%まで少し現象する。
- 華やかな結果ではないが、広角端の歪曲収差を抑える努力が実を結んでいる。
- この結果は一眼レフ用の17-70mm F2.8・F4ズームレンズよりも良好だ。
- 富士フイルムXF16-80mm F4は16mmで-6.38%と光学的な補正を諦めている。
周辺減光:
- 17mmで-2.71EVの光量落ちが発生する。30mmで-1.18EV、50mmで-2.14EV、70mmで-2.44EVだ。
コマ収差:
- 補正状態はとても良好だ。
- 非点収差の平均値は6.6%ときちんとした結果だ。細分化すると、17-30mmで11.2%と高く、望遠側ではわずか2.1%である。
逆光耐性:
- 逆光耐性は平凡だが、複雑なレンズ構成を考えると驚くべきことではない。
- 太陽がフレーム内にある場合、ゴーストやフレアが発生することは予想していました。しかし、明るい光源をフレームから遠ざけると、はっきりとしたゴーストが確認でき、少し残念な結果だ。
総評
安いとは言えないが、現状を鑑みると適正価格だ。
他のメーカーにはないユニークな設計のため、周辺減光や逆光耐性が犠牲となるのは理解できる。そして、幅広いズームレンジと開放F2.8の組み合わせで、どの焦点距離を使用しても、フレーム全体で非常に良い画質を実現しているのは重要なことだ。期待していたよりも少し良好な性能で、とても高く評価できるレンズである。
- 長所:
・ズーム全域でとても良好な中央画質
・きちんとした周辺部の画質
・軸上色収差に大きな問題なし
・30-70mmにおける倍率色収差
・コマ収差の補正状態
・非点収差の補正状態
・静かでとても高速なAF
・効果的な手ぶれ補正
・個性的なパラメータ- 短所:
・周辺減光
・球面収差
・逆光耐性
とのこと。
幅広いズームレンジでF2.8を実現した個性的な大口径ズームレンズですね。設計が難しいと言われている標準大口径ズームの光学倍率を拡張し、さらに光学手ぶれ補正まで搭載しているにも関わらず良好な解像性能が得られる模様。周辺減光や逆光耐性が弱点として挙げられているものの、問題を回避できればコストパフォーマンスの高いズームレンズとなりそうです。特にボディ内手ぶれ補正を搭載していないソニーAPS-C Eマウントボディでは貴重な選択肢。さらに注意点があるとすれば、玉ボケに非球面レンズの影響が強いことくらいでしょうか?これは各所の実写作例やユーザー投稿を確認しておいたほうが良いでしょう。
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