Dustin Abbottがシグマ「85mm F1.4 DG DN」のレビューを公開しています。歪曲や減光はレンズ補正に依存する部分があるようですが、一部を犠牲とすることでコンパクトサイズと素晴らしい描写を得たと高く評価しています。
さらに成熟したシグマレンズ
Dustin Abbott:Sigma 85mm F1.4 DN ART Review
- 一眼レフ用「85mm F1.4 DG HSM」は癖があるものの、非常に強力な光学性能を備えたレンズだった。しかし、それは他85mmの前にそびえ立つ巨大な獣だ。70-200mm F2.8近い重量だった。
そして2018年に登場したソニーEマウント用は私を暗黒面に追い込むようなサイズ・重量へ変貌した。- そんな中でシグマは魅力的なミラーレス専用設計の85mmを投入した。サイズを劇的に縮小し、豊富な機能、優れた光学性能を備えている。
- シグマは最高水準の光学系とレンズサイズの両立を目指しているようだ。100-400DGDNでもそう感じたが、さらにこのレンズでそれを強く実感した。
ビルドクオリティ
- レンズサイズを小さくしつつ、機能を追加するという見事な仕上がりだ。
- 一眼レフ用のソニーEマウント版はなんと1213gもあったが、このレンズは僅か626gである。それはちょうど半分ほどの重量だ。
- ソニーGMはの重量は821g、最も軽いサムヤンは568gだ。
- 全長は約102mmであり、一眼レフ用の164mmやソニーGMの115mmと比べて短くなっている。
(レビューの時点で寸法を教えてもらっていなかったので実測値)- レンズは本当に印象的な小ささだ。しかしながら従来と同じくらい高級感を維持しているのは感心する。
- 外装は金属とエンジニアリングプラスチックを含む複合素材で構成されている。ビルドクオリティはソニーGMと同等に見える。
- レンズマウントにはガスケットがあり、鏡筒内部にはいくつかシーリングが施されている。
- レンズ前面には良好なコーティングが施されているはずだ。
- 絞りリングはクリックを解除して動画向けに設定できる機能を備えている。さらに絞りリングを固定するこれまでに見たことが無い機能を実装した。これでうっかりAポジションからずれることは無いだろう。ロック機能はソニーGMには無い。
- 絞り羽根は一眼レフ用よりも枚数が多く、ソニーGMと同等だ。これにより、絞った際により円形を保ちやすくなっている。F5.6まで絞っても綺麗な円形を維持している。
- AF/MFスイッチやフォーカスホールドボタンも搭載している。
- フォーカスリングは良好な抵抗量で良好に動作する。MF/DMFによる自動アシストに対応している。
- レンズフードも高級感のあるものだ。GMより少し深く、ロック機構を搭載し、触感のある個性的な表面加工が施されている。
- フロントフィルターのサイズは一眼レフ用の86mmから77mmまで小さくなっている。
- 最短撮影距離は従来通りだが、撮影倍率が高い時の等倍画質は少し良くなっている。
オートフォーカス
- シグマレンズのレビューと言えば、オートフォーカスセクションで評価を落としていた。しかし、ミラーレス用レンズでそのようなことは無く、大部分は非常に優れたものだった。
- このレンズはステッピングモーター駆動を採用しており、滑らかで高速、かつ静かな動作を実現している。全体的なパフォーマンスはソニーGMより優れている。
- GMと比べて静かな動作音であり、鏡筒に耳を近づけないと聞こえない。
- MF時も滑らかな動作だ。
- AF-Cモードでは素晴らしいほど高速動作で、一般的な撮影ではほぼ瞬間的に被写体をロックする。心配することは無い。
- 瞳AFは全体的にうまく機能する。
- いくつか些細な癖がある(フリーズやピントを合わせにくくなる)ものの、電源を再投入したり、リフォーカスすることで解決する。
これらは最終的にファームウェアアップデートで修正されていると確信している。画質
- 11群15枚のレンズ構成はDG HSMやGMより複雑な光学設計だ。おそらくコンパクトサイズと画質の両立で必要だったのだろう。
- レンズサイズを小さくするための代償として2つの光学的欠点が存在する。一つは大きな糸巻き型歪曲、そしてもう一つは強い周辺減光・口径食だ。
- どちらもJPEGで完全に補正され、RAWでもいくらか修正されている。
- RAWファイルには周辺減光の補正データが組み込まれているが、歪曲収差は補正されない。Adobe Lightroomのレンズプロファイルが存在しないため、手動で補正することとなる。
- 手動補正は歪曲が「-11」減光が「+100」で綺麗な結果を得ることが出来る。
- 個人的に光学的な歪曲収差や周辺減光がディールブレーカーになるとは思っていないが、そのような人のために注意喚起した。それ以外の点はソニーGMと接戦だ。
- 様々な点で有利不利があるものの、勝負は互角だ。
- 様々な点で賛否両論あるが、GMが性能を上回っていないことが明らかだ。
- GMレンズと比較して気になったポイントがある。シグマは同じ露出設定で一貫して明るくなったのだ。 これはおそらくGMレンズを他の85mm F1.4と比べて、絞り羽根が少し小さいことが起因しているのでは無いかと思われる。
- 現時点で最強のレンズの一つと言われている85mm F1.4 DG HSMにも匹敵することが分かった。周辺領域はDG DNが優れ、フレーム端はDG HSMが優れている。
- 全体的に見て、遥かに小さく軽量、そして安価ながら非常に優れたレンズであるのは間違いない。
- 無限遠でも絞り開放の画質には感心した。F2まで絞るとパフォーマンスは向上し、コントラストと解像度がさらに高いレベルとなる。
- この新しいレンズは収差補正が優れており、DG HSMと比べて実写でシャープな結果になることが分かった。実写で発生する色収差が少なく、スペックシート上で想像するより優れた結果となる。
- DG HSMと比べて玉ボケが滑らかであり、色づきも少ない。
- ボケはDG HSMより柔らかく、心地よく、ソニーGMと戦えるものだ。
- 逆光耐性は平均より優れている。
簡単に言えば、新しい85mm F1.4 DG DNは、私の中では「勝ち組」だと思っている。?欠点はいくつかあるが(歪曲と周辺減光は非常に強い)、非常に多くの長所を考慮すると、欠点を許すのは難しいことではない。素晴らしい色、高いシャープネス、高コントラスト、美しいボケを1つのパッケージにまとめたこのレンズの描写が気に入っている。
オートフォーカスが改善され、カジュアルなポートレートでも楽に撮影できるようになり、完璧にピントが合った美しい結果が得られるようになったのを楽しめる。
レンズサイズが小さくなり、カメラバッグにもすんなり収まる。旅行に持っていきたくてもDG HSM Artなら諦めていただろう。
シグマは重要な岐路に立ち、光学性能と適度なレンズサイズを両立する道を選択肢した。そして私はシグマの成熟ぶりを高く評価したい。GMと同じくらい多機能で、さらに49%も低価格でそれを実現した。ブラボー!
長所:素晴らしいビルドクオリティ・防塵防滴・クラス最軽量の85mm F1.4の一つ・静かで高速かつ正確なAF・ラボテストと実写テストどちらでも優れたシャープネス・競合レンズより良好なボケ・優れた色収差補正・優れた逆光耐性・美しい発色・GM価格の49%
短所:強い糸巻き型歪曲・重い周辺減光
とのこと。
プレゼンテーションでも述べていたように、レンズ補正を積極的に活用したミラーレスらしい設計のレンズとなっているようです。レンズプロファイルを適用できないと歪曲収差や周辺減光の手動補正が必要となる場合があるものの、小型軽量で扱いやすい85mm F1.4を実現している模様。
さらにこのクラスの大口径レンズとしては珍しく、色収差が効果的に抑えられ、自然なボケ描写や絞り開放の高いコントラストを実現しているように見えます。11枚の絞り羽根で玉ボケも非常に綺麗ですね。
さらにDG DNシリーズで積極的に採用している絞りリングやデクリック機構を採用。コントラスト検出・位相差検出どちらにも対応できようにコンパクトなフォーカスレンズを実現しているのも凄い。
既に本日10時から予約販売が始まっており、価格は税込みで10万円ちょい。新開発ながら「85mm F1.4 DG HSM」の実勢価格とほぼ同じ。決して安くはないものの、光学性能とコンパクトサイズを実現してこの価格設定なら安いと感じる人もいるはず。
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