Lentipがソニー「FE 50mm F1.2 GM」のレビューを公開。絞り開放からFE 55mm F1.8 ZAのピーク性能を上回り、諸収差も良好に補正しボケも綺麗と高く評価しています。
Lenstip:Sony FE 50 mm f/1.2 GM
レンズの紹介:
- ソニーFEレンズは2013年10月から始まり、その年にFE 55mm F1.8 ZAが登場した。それ以降の50mmが登場するまで2年半待ち、2016年3月にFE 50mm F1.8が、2016年7月にFE 50mm F1.4 ZAが登場。さらに1か月後にはFE 50mm F2.8 Macroが登場した。
- そして2021年3月にソニーは60本目となるソニーFEレンズを発表した。このレンズは13本目のG Masterシリーズであり、初のF1.2レンズである。
ビルドクオリティ:
- 直径30mmの後玉はマウントとほぼ同じ位置で固定されている。
- マウント付近の外装はプラスチック製だ。
- 製造国はタイである。
- 直径48mmの前玉は72mmのフィルターソケットに囲まれている。
- スタイリッシュなハードケースが付属する。
携帯性:
- 記載なし。
操作性:
- 14.5mm幅の絞りリングは1/3段ごとに回転する。クリック付きだが、クリックを解除することも可能だ。
- レンズ中間にはAF/MFスイッチや2カ所のFnボタンがある。
- 幅24mmの電子制御式フォーカスリングがある。回転角は約140?160度だ。通常ならばこの回転角で十分だが、F1.2のように被写界深度が浅くなる場合は180度ほど欲しいところである。
オートフォーカス:
- 4つのXDリニアモーターを使用している。
- α7R IIIに装着した場合、ノイズレスで非常に高速だ。
- ピント距離全域を移動するのに0.5秒ほどだ。
- ミスショットはほとんど発生しない。
マニュアルフォーカス:
- 記載なし。
手ぶれ補正:
- 記載なし。
解像性能:
- α7R II・IIIの4240万画素カメラのRAWに基づき測定している。
- 良像の基準値は39?41lpmmだ。
- 最高の単焦点レンズで70lpmmを超えることがある。
- 今のところ105mm F2.8 DG DNの80.4lpmmと65mm F2 DG DNの82.7lpmmが最高だ。
- ピークの性能は79.0lpmmだ。レコードを破る結果では無いが、センセーショナルな結果である。
- 新記録では無いが、F1.2から69.7lpmmと素晴らしい結果である。これはFE 55mm F1.8 ZAやFE 50mm F1.8における絞った時のピーク性能だ。
- APS-C領域でも絞り開放から53lpmmのきちんとした結果が得られ、絞ると急速に向上する。66lpmmのピークは本当に驚くべき結果だ。多くの単焦点レンズの中央ピークよりも高い。
- フルサイズ端についてもケチのつけようがない。FE 50mm F1.4 ZAと同じサイズでより大口径にも関わらず、絞り開放から44lpmmと良像の基準値を超えている。絞ると63lpmmの非常に良好な結果となる。
像面湾曲:
- 記載なし。
ボケ:
- 描写はとても良好だ。
- 玉ボケは滑らかで、非球面レンズの影響は見られない。
- 口径食はハッキリと見えるが、F1.8までに中程度となり、F2.5で解消する。
色収差:
- F1.2にも関わらず、軸上色収差を良好に補正している。
- F1.2でも色づきはわずかだ。
- 倍率色収差は開放付近で0.03?0.04%と目に見えない程度だ。絞ると増加するが、0.06?0.07を超えず、依然として低レベルに抑えている。
球面収差:
- 球面収差の影響が僅かに残っているが、ボケ描写を意識したのかもしれない。解像性能のテスト結果から分かるように、この収差は効果的に補正されている。
歪曲収差:
- APS-Cでは-0.37%の樽型、フルサイズでは+0.65%の糸巻き型だ。僅かに陣笠状の歪曲収差がある。
- 結果はそれほど高くなく、通常は目立たないと思うが、50mmのレンズとしては陣笠状の歪曲が目に付く。他のレンズではあまりお目にかからないアプローチだ。
周辺減光:
- 絞り開放では-2.89EVと非常に重い。
- レンズのサイズとF1.2の口径を考慮すると、-3EVは予想していた。
- 例えばNOKTON 50mm F1.2はさらに目立つ。
- F1.4で-2.35EVとなり、F2まで絞れば-1.31EVだ。
コマ収差:
- APS-C範囲ではまったく目立たない。
- フルサイズではF1.2でいくらか変形が見られる。それでも1段しぼればほぼゼロまで抑えることが可能だ。
- 非点収差の平均値は17.8%だ。驚くほど高いが、これは他のカテゴリで良好な結果を得るための代償だろう。
逆光耐性:
- 逆光耐性は良好だが、フレーム隅に光源を配置した時にフレアが発生する。このような位置の光源を回避できれば問題無い。
- 前述した状況以外でフレアとゴーストを発生させるのは難しい。
総評
少し前に我々がテストしたソニーFE 35mm F1.4 GMの場合と同様、我々のまとめは短いものとなる。ソニーはまたしても優れたレンズを市場に投入することができたようだ。このレンズはF1.2の絞り開放の性能だけで「エディターズ・チョイス」と評価するに値するが、レンズの強みはこれだけで終わらない。強みは本当に多く、印象的だ。拍手喝采。
- 長所:
・頑丈で防塵防滴仕様
・F1.2からセンセーショナルな中央解像
・APS-Cでとても良好な画質
・フルサイズ端でも良好な画質
・わずかな倍率色収差
・きちんと補正した軸上色収差
・適切な補正状態のコマ収差
・APS-Cでおだやかな周辺減光
・逆光耐性
・ボケ
・非常に高速で静かで正確なAF- 短所:
・周辺減光が大きい
とのこと。
ピークの性能こそ新記録とはならないものの、絞り開放から非常に強力な解像性能を備えているようですね。F1.2の大口径を思う存分活用できるレンズに仕上がっている模様。周辺から四隅まで弱点と言える弱点は無く、諸収差も全体的に優れた補正状態のようです。
ボケは滲みを伴う柔らかい描写ではありませんが、色収差が少なく、滑らかで心地よい描写に見えます。個人的にはFE 50mm F1.4 ZAのほうが好みですが、使いやすいのはGMかなと。
「F1.4 GM」と比べると若干高価ですが、競合他社の50mm F1.2と比べるとまだまだ安い。FE 50mm F1.4 ZAとの差額は許容範囲内と感じ、F1.2の光学性能や防塵防滴、AF性能などが必要な場合はGMを要検討と言ったところでしょうか。
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50mmレンズ比較
50GM | 50ZA | 55ZA | 無印 | |
構成 (群-枚) |
10-14 | 9-12 | 5-7 | 5-6 |
絞り | 11 | 11 | 9 | 7 |
開放F値 | 1.2 | 1.4 | 1.8 | 1.8 |
最小F値 | 16 | 16 | 22 | 22 |
最短距離 | 0.4 | 0.45 | 0.5 | 0.45 |
最大倍率 | 0.17 | 0.15 | 0.14 | 0.14 |
フィルタ | 72 | 72 | 49 | 49 |
サイズ | 87.0 108 |
83.5 108 |
64.4 70.5 |
68.6 59.5 |
重量 | 778 | 778 | 281 | 186 |
防塵防滴 | 配慮 | - | 配慮 | - |
絞り環 | あり | あり | なし | なし |
AFL | あり | なし | なし | なし |
コート | ナノAR2 | T* | T* | 不明 |
AF | XD Liner | RSSM | Liner | DC |
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