Lenstipがニコン「NIKKOR Z 40mm f/2」のレビューを公開。解像性能は15年前のダブルガウスレンズのような傾向で、さらにビルドクオリティやアクセサリは劣化しているにも関わらず高くなっていると辛口の評価。
Lenstip:Nikon Nikkor Z 40 mm f/2.0
外観・構造:
- レンズは6枚で構成された非常にシンプルな光学設計だ。
- レンズマウントはプラスチック製だ。
- マウント付近の外装はプラスチック製だ。表面にはパラメータやシリアル番号、そしてタイ製造を表示している。
- 前玉は直径22mmだ。周囲は52mm径のフィルターに対応するソケットがある。
- レンズフード用のマウントは存在しない。
- 付属品はキャップだけだ。とても控えめなアクセサリである。
携帯性:
- 小型だが、サムヤンのレンズはさらに軽量である。
操作性:
- 19mm幅のフォーカスリングは適切なトルクで回転する。フォーカスバイワイヤ構造で、ピント全域のストロークは素早く回転した際に約110°だ。ゆっくり回転すると270°まで長くなる。
オートフォーカス:
- Z 7との組み合わせでノイズレスで動作する。
- フォーカス速度は中程度だ。ピント全域を0.7~0.8秒で移動する。
- 精度に関して問題は見られない。とても良好だ。
マニュアルフォーカス:
- 記載なし。
手ぶれ補正:
- 記載なし。
解像性能:
- Z 7のRAWを測定した。
- 良像の基準値は41~43lpmmだ。
- 最高の単焦点レンズで85lpmmに達するはずだ。
- テスト結果を見ると、15年前に戻ったような印象を受ける。ダブルガウスのF1.8~F2.0レンズをテストすると非常に良く似た性能を見た覚えがある。
- 中央はF2で基準値ギリギリだ。F2.8まで絞ると50lmmを超え、F4までに70lpmmに達する。F5.6で75.3lpmmの非常に良好な結果となる。とは言え、Z 35mm F1.8 Sは82lpmmを超え、Z 50mm F1.8 Sは84lpmmに達している。
- フレーム端はF2.5まで絞ると良像となる。絞ると改善するが、とても緩やかな改善速度だ。F5.6まで絞るとピークを迎えるが、50lpmmを僅かに超えるだけだ。中央と比べると遥かに低い数値である。
- 4群6枚のレンズ構成としてはパフォーマンスが最高だ。中央は絞り全域でシャープな描写を維持している。
像面湾曲:
- 記載なし。
ボケ:
- 非球面レンズの影響はあるが、注意深く観察しないと分からない程度だ。
- ボケの縁取りは少しハッキリとしているが、口径食の問題は無い。
色収差:
- シンプルな設計のレンズで、低分散ガラスも使用していないが、見事な軸上色収差の補正状態だ。絞り開放でも目立つ色付きは無く、拍手喝采である。
- 倍率色収差の補正状態は全体的に満足のいくものだ。
球面収差:
- 絞りによるフォーカスシフトが見られる。
- 球面収差について大きな問題はない。
歪曲収差:
- フルサイズで僅かな樽型だが、文句を言うほどのものでは無い。
周辺減光:
- 絞り開放で-2.46EVに達する。目立つが、同クラスで極端な数値ではない。
コマ収差:
- フルサイズの隅で非常に目立つ。
- 幸いにも1段絞ると問題は緩和する。それでも完全に解消するわけでは無い。
- 非点収差の平均値は5.9%と低い数値だ。
逆光耐性:
- レンズ構成枚数が少なく、逆光耐性に問題は見られない。
総評
「初心者のための単焦点レンズ」という問題に対するニコンのアプローチは、どちらかというとミニマルなもののようだ。いわば手抜きをして、その結果、古いNIKKOR 50mm F1.8に似た構造と性能のレンズを手に入れたということになる。しかし、このレンズのビルドクオリティは劣っており、アクセサリーも非常に控えめで、それでも旧型機の2?3倍の価格である。品質の良い安価な光学製品の時代は終わったようだ。
それでも、シャープで鮮明な写真が撮れるNIKKOR Z 40mm F2は、使っていて楽しいことには変わりない。同システムの1.8/35や1.8/50兄弟と比べても、かなりのコストダウンが図れるはずだ。
- 長所:
・とても良好な中央解像
・無視できる時上色収差
・僅かな倍率色収差
・実質ゼロ歪曲
・低非点収差
・APS-C穏やかな周辺減光
・きちんとした逆光耐性
・静かで正確なAF- 短所:
・絞り開放付近の隅が甘い
・フルサイズで周辺減光が目立つ
・コマ収差が目立つ
・マウントも外装もプラスチック
とのこと。
ここ最近のレビューとしてはかなり辛口の評価となったみたいですね。NIKKOR Zシステムのレンズとしてはシンプルなレンズ構成で、小型軽量なレンズ。しかし「絞り開放からシャープ」な描写を期待していると肩透かしとなるかもしれません。色収差補正は良好ながら、コマ収差の影響を受けやすいのも古いダブルガウスと同じ傾向。にも関わらず、レンズマウントはプラスチック製となり、アクセサリも省略が目立つと指摘しており、確かにその辺りは否定できないように見えます。個人的にもレンズマウントくらいは金属パーツを使用して欲しかったと思います。
とは言え、古いレンズと比べてインナーフォーカスを実現しているうえ防塵防滴に配慮し設計。さらにフォーカスブリージングも良く抑えられ、一眼レフ用レンズと比べると少し小型軽量である点は評価できるはず。
私も発売日からZ 7やZ fcと組み合わせて使用。確かに高性能なレンズではありませんが、小型軽量で気軽に持ち出せるレンズです。「絞り開放からシャープ」なNIKKOR Zに慣れていると、このくらい柔らかい描写が寧ろ新鮮で心地よい描写に見える時があります。NIKKOR Zに「高性能」を期待しているのであればおススメしませんが、「小型軽量」を重視するのであれば個人的にはアリな選択肢かなと。それに昔のダブルガウスタイプと比べると、絞り開放付近の四隅はまずまず安定しいているように見えます。
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