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SIRUI AF 85mm F1.4 FF レンズレビューVol.4 ボケ編

「SIRUI AF 85mm F1.4 FF」のレビュー第四弾 ボケ編を公開。滑らかな後ボケ、自然で適度な口径食、絞りを閉じても綺麗な玉ボケ、などなど、全体的に肯定的な結果が得られるボケ質となりました。

簡易的なまとめ

絞り開放から最高のシャープネスとコントラストではないものの、それがボケの質感や描写に良く作用しているように見えます。後ボケや微ボケは柔らかくて滑らか。複雑な背景でも過度に騒がしくならず、被写体を背景から自然に分離しています。ボケ質優先ならばコストパフォーマンスが高い。

Although it doesn't have the best sharpness and contrast from fully open aperture, it seems to work well for the texture and depiction of bokeh. The background bokeh and slight bokeh are soft and smooth. Even with complex backgrounds, it doesn't become overly noisy, and the subject is naturally separated from the background. If you prioritise bokeh quality, it has good cost performance.

SIRUI AF 85mm F1.4 FFのレビュー一覧

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

後ボケ

残存する球面収差の影響があるため、前後のボケ質はニュートラルではありません。後ボケは滲みを伴う柔らかいボケ質へと変化しており、ボケの輪郭が残りにくい描写。前ボケよりもフレームに入る機会が多い後ボケが柔らかい描写となるのは強み。

前ボケ

後ボケとは逆に、前ボケは輪郭が残りやすいボケ質です。状況によっては2線ボケとなる可能性がありますが、後ボケと比べると回避しやすい問題。どうしても気になる場合はF2・F2.8まで絞ると改善します。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

内側は滑らかですが、色収差の影響でボケの縁取りに若干の色づきが発生しています。特に倍率色収差の影響が強いためか、フレーム隅で目立つ傾向あり。小型サイズを考慮すると、口径食の影響は軽微。

1段絞る(F2.0)と軸上色収差の影響がほとんど無くなり、隅の口径食も改善します。倍率色収差による色づきは回避できませんが、それ以外は概ね良好。絞り羽根が15枚と多いため、絞っても綺麗な円形を維持しています。

2段絞り(F2.8)でも円形の綺麗な描写。口径食の影響はほとんどありません。

ボケ実写

至近距離

「85mm F1.4」で被写体に接近すると被写界深度は非常に浅い。ボケが大きく、質感を議論するような撮影距離ではありません。敢えて言えば、残存する球面収差によりコントラストが若干低い。(過度ではなく、味付け程度)

近距離

撮影距離が少し長い場合でも、後ボケは全体的に柔らかく滑らかな描写。ボケの輪郭は目立たず、色収差の影響はありません。

ブラックミストフィルター比較

レンズに付属するブラックミストフィルターを装着して撮り比べた結果が以下の通り。効果の薄いソフトフィルターを通したようなコントラスト低下が得られます。主に影響をうけるのはハイライトで、光が拡散しているように見えます。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。全身がフレームに入るような撮影距離でも後ボケは滑らかで綺麗。球面収差の影響は軽微で、ボケ質に大きな影響はありません。フレーム隅の質感も良好。

まとめ

絞り開放から最高のシャープネスとコントラストではないものの、それがボケの質感や描写に良く作用しているように見えます。後ボケや微ボケは柔らかくて滑らか。複雑な背景でも過度に騒がしくならず、被写体を背景から自然に分離しています。ボケ質優先ならばコストパフォーマンスが高い。

85mm F1.4 としては小型軽量ながら、口径食は適度。15枚の絞り羽根により絞っても良好な円形を維持しており、F2やF2.8でもきちんとした玉ボケが得られます。フレーム隅に向かって倍率色収差の影響が強くなるものの、欠点と言えばそれくらい。

軸上色収差の補正状態は完璧ではありませんが、ボケの色づきで悪目立ちするほどの影響はありません。フレーム周辺部まで自然なボケが得られるため、F1.4の絞り開放を様々なシーンで使うことができるレンズ。85mm F1.4 にボケを求めているのであれば、おススメの一本。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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