Lenstipが「VILTROX AF 50mm F1.8」Zマウントのレビューを公開。絞り開放付近の解像性能が甘く、諸収差も部分的に欠点を残し、何より玉ねぎボケが前代未聞で酷いと辛口の評価となっています。
Lenstip:Viltrox AF 50 mm f/1.8 FE / Z
外観・構造:
- 直径28mmの後玉はマウントから2cmほど奥に隠れた所で固定されている。
- レンズマウントは金属製だ。
- 鏡筒は金属製だ。
- レンズ構成は10群11枚である。
携帯性:
- NIKKOR Zほどではないが、このレンズもそれに近い大きなレンズだ。
- 古いダブルガウスタイプのレンズは遥かに小さい。
操作性:
- 7mm幅の絞りリングは滑らかに回転し、1/3段ごとのマーキングとAポジションがマーキングされている。
- モードスイッチは見当たらない。
- 35mm幅のフォーカスリングはバイワイヤで動作する。回転速度に応じてピント移動量は変化し、ゆっくり回転するとストロークは180度を超え、素早く回転すると120度だ。どちらの場合でも正確に操作できる。
フォーカス:
- ノイズレスで動作する。
- ピント全域を0.6-0.7秒で移動する。問題はないが、記録的なスピードでもない。
- ニコンZマウント初のサードパーティ製レンズとしてはAFの精度が良好だ。
手ぶれ補正:
- 記載なし。
解像性能:
- Z 7のRAWを測定している。
- 良像の基準値は41-43lpmmだ。
- 優れたレンズで80-85lpに達する。
- 中央はF1.8~F2で低解像となり、F2.2で良像に達し、F2.8以降できちんとした性能になる。
- APS-Cの端では良像を得るためにF2.8まで絞る必要がある。
- フルサイズの端では良像を得るためにF3.5まで絞る必要がある。
- このレンズは安価なNIKKOR Z 40mm F2にすら及ばない。
像面湾曲:
- 記載なし。
ボケ:
- これほど厄介な玉ねぎボケは見たことが無い。
- 我々のテスト史における記録的な玉ねぎボケだ。
- 玉ねぎボケは非球面レンズに由来するもので、現象を回避するにはレンズの研磨精度が高くなければならない。
- VILTROXはこの点で見事な失敗を犯した。非球面レンズの研磨精度が得られないのであれば、非球面レンズを使うべきではない。
- このような状態ではボケのみならず、解像度にも影響を与える。
色収差:
- 軸上色収差は絞り開放で目に付く。古いダブルガウスでもきちんと補正しているカテゴリだ。
- 倍率色収差は遥かに良好な状態だ。
球面収差:
- 絞るとフォーカスシフトが発生する。
- 前後ボケは明らかに異なり、球面収差の補正状態が悪いのは明らかだ。
歪曲収差:
- フルサイズでは+0.45%の糸巻き型歪曲だ。
- 数値は小さく、心配する必要は全くない。
周辺減光:
- 絞り開放の結果はZ 50mm F1.8 Sと全く同じだ。
コマ収差:
- フルサイズ隅で完璧な補正状態ではないが、あまり目立たない。
- 非点収差の平均値は4.6%と良好な結果である。
逆光耐性:
- 太陽をフレームに入れるとフレアが大量に発生する。
- 太陽をフレーム隅に配置した場合はゴーストが発生する。
- 標準画角で前玉も大きくないレンズなので、遥かに良好な結果を期待していた。
作例集
総評
残念ながら失敗作と評価すべきほかない。
実際には6-7枚のレンズ構成で125-200ドルの値札で販売されている古いダブルガウス構造と同等か、いくつかの分野ではかなり弱い部分がある。このレンズは380ドルで、良好な歪曲補正と僅かな周辺光量低下を除けば、オールドレンズと比較してそれ以上のものを提供することができない。今回のケースはVILTROXエンジニアの手には負えなかったようだ。もしも良質な非球面レンズの製造技術を持っていないのであれば、プレスリリースや広告で非球面レンズを前面に打ち出すべきではない。
このような辛口のまとめを書くのは非常に久しぶりだ。
このレンズを購入するのはおススメしないし、その価値はない。
- 長所:
・スタイリッシュでしっかりとした見た目の鏡筒
・倍率色収差がとても少ない
・歪曲収差が無視できる程度
・非点収差の補正状態がとても良好
・オートフォーカスが高速かつ静かで効果的- 短所:
・絞り開放付近の画質が期待に少し届かない
・フルサイズ端の画質はもう少し良いと良かった
・軸上色収差が少し目立ち過ぎる
・玉ねぎボケ
・球面収差が顕著
・逆光耐性が弱い
・周辺減光が目立つ
とのこと。
VILTROX製のフルサイズ対応AFレンズであり、ニコンZマウントでは貴重なサードパーティ製レンズでもあります。おそらくリバースエンジニアリングだと思われますが、STM駆動のAFや自動絞りは良好に動作するみたいですね。
ただし、Lenstipによる最近のレビューでは珍しい、非常に辛口な評価となってしまった模様。VILTROX製AFレンズは評価の高いAPS-Cレンズが多かっただけに意外な結果ですねえ…。
従来のVILTROX製APS-Cレンズや初期のフルサイズ対応レンズは非球面レンズを使用しておらず、玉ボケが非常に綺麗だった印象があります。今回登場したフルサイズ用のAFレンズ(24mm・35mm・50mm)で初めて非球面レンズを導入しましたが、どうやらレンズの研磨技術が追い付いておらず、導入は時期尚早だったようです。同様の欠点をSony Alpha Blogも指摘しており、特にボケ質を重視する場合は気を付けたいポイント。
さらに絞り開放の光学性能はお世辞にも良好とは言えず、適した被写体が限定されてしまうように見えます。Zマウントであれば、素直に「NIKKOR Z 40mm f/2」やアダプター経由の「AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G」を選んだ方が良いかもしれませんね。
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